この口コミは、インネパカレー男さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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昼の点数:4.5
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~¥999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.5
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.5
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|酒・ドリンク 3.5
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[ 料理・味4.0
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| サービス4.5
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| 雰囲気4.0
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| CP4.5
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| 酒・ドリンク3.5 ]
帰ってきたインネパ、ネパール味のチャトパテとモモ
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チャトパテ 400円
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モモ 550円
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マンゴーラッシー
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スープ
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2025/07/11 更新
「ネパールどうだった?」キッチンで忙しく手を動かしながら、ネパリお兄さんが訊いてくる。
「楽しかったです。人生で一番楽しかったです」ふふ、と私は笑う。
私は5月の終わりに、7ヶ月間のネパール滞在を終えた。帰国後一番最初に訪れたインド・ネパール料理店が、ここ"ニューニルヴァーナ"だった。
昨年の12月初旬、お兄さんから私に連絡が来た。彼はそれまで別のインネパで働いていたが、自分の店を開くという。彼は私に"ニューニルヴァーナ"のチラシを送ってきた。
店内は5つくらいのテーブル席に加えて、カウンター席もある。私は13時前に入店し、一つだけ空いていた奥のテーブル席に腰を下ろした。丁度店内全体を見渡せる格好となった。日本人客たちがおしゃべりに勤しんでいる。スタッフはお兄さん含むネパリの方々3人。私の頭上背後にはテレビが設置されていた。画面内で民族衣装を着たネパリたちが、ネパリソングに合わせて踊っている。
私はネパリお姉さんに、モモ(550円)と、チャトパテ(400円)を注文した。ネパールにいる間に日本のインネパ相場がどのように変動したのか、私はあずかり知らない。しかし、2つのネパールスナックで1,000円以下というのは、安いのではないだろうか。
スープがサービスされた。お兄さんは「暑いから」と、私の前にマンゴーラッシーまで置いた。手前みそになり恐縮だが、私はネパリ店員さん相手ならば、高確率でサービスを引き出せる自信がある。それにしても、熱いスープに冷たいマンゴーらシーとは、いかにも名古屋っぽい。
「で、どうして自分で店を開こうと思ったんですか?」私がモモにフォークを挿し始めた頃には、お兄さんとお姉さんが私の前に座っていた。
「前にこの近くで、別のレストランで働いていたことがあるんです。だから、前からのお客さんというか、知り合いが多いんですよ」
「あー、そういうことだったんですね。ここだとやりやすいんですね」
お店を新しく開くとなれば、当然集客について考えるはずである。立地条件やターゲット層を検討し、最適な物件を探すはずである。お兄さんはもちろんそういった点を考慮したには違いない。だが、彼が一番重要視したのは、"自分が"その場所で上手くやれるかどうか、という点だったのだろう。自分がこれまで作り上げてきた客との繋がりを、活かせる場所だったのか。
お兄さんの発言は本当だと私は思った。というのも、彼はレジですべての客とコミュニケーションを取っている。その中には昔知り合ったお客さんもいるのだろう。なるほど、"戻る"という選択が、インネパストラテジーとなりうる。
その意味でこの店こそ、"帰ってきたインネパ"なのだろう、と私は頷いた。
「留学生とかも来るんですか?」
「学生は、夕方に来るかなぁ」
「モモが冷めますよ」と、お姉さんが私に微笑んだ。
「大丈夫ですよ、こうやって話しながら食べたほうが楽しいから。でも、僕店に入った時、びっくりしたんですよ。なんでかっていうと、皆さんすごいお客さんに対して笑顔で優しく接しているじゃないですか?お水やナンのおかわりにも、とてもよく気を配っていらっしゃいますよね。ネパール現地の食堂だと、もっと無機質な対応じゃないですか?僕はこう実感しましたよ。ネパールは家族や友人、知り合いには、異常なまでの優しさを与える。でも、それら以外にはぶっきらぼうなことも多い」
モモは小ぶりサイズで10個ほど、皿に乗っていた。オレンジ色のチャトニを囲んでいる。丸っこいフォルムが愛おしい。モモの子どもたちがキャンプファイヤーでマイムマイムを踊っている、そんな様子を想像してしまう。皮はモチモチ、中の鶏肉餡はジューシー、それにチャトニのピリ辛が加わり、美味しい。
チャトパテはポン菓子のブジャやインスタント麺のチョウチョウ、細かく刻まれた人参や胡瓜、豆が混ぜられている。一人分ではない山盛りである。一口食べて、口から火が出そうになった。辛い。私は「辛いです」と、正直にお姉さんに笑った。モモと一緒に食べると、なぜか辛みが軽減された。そのうちに"辛い"が、"辛美味い"に変わっていった。
「日本だと、どうしてもネパールの味にはできないんだよねぇ...」と、チャトパテを出す時にお兄さんは言ったが、そんなことはなさそうだけどな、と私は思った。現地のモモやチャトパテと変わらない気がする。
マンゴーラッシーは2杯目までいただいた。私は「15時まで居座っていてもいいですか?」と許可を取り、振り向くような体勢で、頭上のテレビをそぞろ目で眺めた。14時を回ると、ネパリ男性と日本人のグループがやってきた。日本人男性がチーズナンか何かを食べて、「めちゃくちゃ美味い」と絶賛していた。お兄さんが「今新しいチーズナンを開発中です」と胸を張っていた("明太ポテトチーズナン"とか言っていた気がする)。彼は元の場所に戻ってきても、新たなものを求める研究意欲に溢れているようである。
15時を回り私が立ち上がると、「夜までいていいよ」とお兄さんが言った。「電車とバスと自転車に乗らないといけないので、さすがに帰ります」と、私は笑った。レジでもやっぱりおしゃべりを続けた。店のドアから一緒に出ると、女性が犬を散歩に連れているのが目に入った。お兄さんが彼女に、「こんにちは!」と明るい笑顔を向けた。私は驚かずにはいられなかった。
「えっ、お兄さん、あの人も知り合いなんですか!?どんだけ知り合いいるんですか!?」
ダンネバード。ごちそうさまでした。