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和音大江橋、北新地、東梅田/ダイニングバー、ワインバー
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夜の点数:4.2
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料理・味 4.2
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|サービス 4.2
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|雰囲気 4.2
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|CP 4.2
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|酒・ドリンク 4.2
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[ 料理・味4.2
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| サービス4.2
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| 雰囲気4.2
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| CP4.2
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| 酒・ドリンク4.2 ]
静寂の底に、白は揺れる
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2025/12/08 更新
北新地にあるワインバー「和音」。
久しぶりにその扉を押した瞬間、静けさが一気に押し寄せてきた。時間の軸がわずかに揺れ、すべての色が淡くなるような──そんな気配があった。
店の構えはあの頃のまま。柔らかな照明の下で迎えてくれるのは、変わらず二人の女性。彼女たちがまだ別の店で働いていた頃からの付き合いだから、もうどれだけの月日が流れたのか、正確には思い出せない。けれど、独立して「和音」を開いたと聞いたあの日から、私の足は自然とこの場所へ向かうようになった。
この夜も、最初の一杯は迷いなく白ワイン。なぜかここでは、赤よりも白が似合う。派手さはなくとも芯があり、そっと寄り添うような味わいが、和音の空気と重なるのだ。
「カリブーは、ありますか?」
思わず口をついた問いに、返ってきたのは少し申し訳なさそうな声。「今日は置いていなくて──」
滋賀・ヒトミワイナリーの一本。ここで出会い、現地まで足を運んだほど気に入ったワイン。今夜その姿はなかったが、それでも、いつかまた出会える予感が心を少しだけ温める。
料理は、記憶の中よりもさらに洗練されていた。
まずはパテカン。変わらぬ厚みと、口に入れた瞬間に広がる塩気と香草の余韻に、思わずグラスが進む。ポテトサラダの姿は見えなかったが、その代わりに現れたのは、鮮やかな赤の皿にこんもりと盛られたスパゲティサラダ。燻玉の代役としては充分すぎる出来で、黒胡椒がピリッと効いたその味わいは、むしろ今の気分にぴたりと寄り添った。
静寂の底で、そっと揺れる白。
その傍らに、皿の上に咲く記憶のかけらたち。
変わらないものがあるということは、思っている以上に心を解いてくれる。
それを思い出せただけでも、今夜ここに来た意味はあった。