5回
2025/05 訪問
春の余韻、初夏の息吹
季節は移ろい、待ちわびた再訪の日。店にはまだ暖簾がかかっておらず、少し早めに到着してしまったようです。しばらく待つと、女将さんが笑顔で迎えてくれました。本日はお二人様ばかりですので、どうぞお好きなお席へとの優しい言葉に、心も和みます。
大将の熟練の技が間近に見られる中央の席や、焼き場前も魅力的ですが、活けられた花が美しく、女将さんにおすすめの日本酒を頼みやすい一番手前の席を選びました。
供された料理は、過ぎゆく春の余韻を残しつつも、若々しい初夏の息吹を感じさせるものでした。熟練の技によって引き出された素材本来の持ち味、抽出された出汁、そして大切にされた季節感を通して、日本の食文化の奥深さを改めて感じます。
そのさりげない設えの隅々にまで行き届いたこだわり、温かいおもてなし、そして居心地の良い空間に惹かれ、心落ち着く時間を過ごせました。
この日の料理
◆鳥貝 さやえんどう そら豆 枝豆 酢ジュレ 新生姜
◆よもぎ豆腐 車海老 西京味噌仕立てのお椀
◆鰆 平目のお造り
◆太刀魚 丸茄子 九条葱
◆真名鰹の焼き物 トウモロコシ トマト
◆蛤出汁 たけのこ真丈 アスパラガス
◆カマス 龍の瞳 混ぜご飯
◆安城牛のしゃぶしゃぶ コシヒカリ 花山椒
◆ちりめん山椒
◆本蕨餅
2025/05/10 更新
2024/12 訪問
今日を好き日に
和食は引き算の料理とよく耳にしますが、そんな言葉を聞くたびに安易に素材ありきの料理と考えていました。美味しい和食が食べたければ高価な食材を使った高級店に行くしかないと。もろちん他ジャンルの食でも圧倒的な食材の力を感じる料理はありますが、料理人の発想や調理法による向上の余地が大きく、和食では小さいと。
好日さんの料理は手の届く価格帯で厳選された食材を使い季節を感じ風味を味わう。食材の力を最大限活かすために仕込み、時に削ぎ、組合せ、受け継がれた技を磨く。ホームページを拝見すると『うつろう季節の中で 今日を好き日に かけがえのないひとときに』とあります。そんな真摯に向き合う姿勢で和食の魅力、奥深さに気づかせてくれた好日さんで日本が誇る無形文化の和食と日本酒をこれからも味わい楽しみたい想いです。予約が中々取れないのが難点ですが、次回は新緑の候に。
この日のお料理
◆蛤、金時草の白みそ、三杯酢ジュレ和え
◆白甘鯛のお吸い物
◆氷見の寒ブリのお造り
◆蓮根餅 源助大根 蟹あんかけ
◆カマスの塩焼き ちぢみほうれん草
◆九絵の一人鍋
◆金目鯛の混ぜご飯 おかわりに桜えび ちりめん山椒
◆リンゴと苺とパッションフルーツ
〇日本酒はおすすめで
好日さんはカウンターならではの大将、女将さん、他のお客さんとの距離感も近く一体感があるのも魅力。この日は隣の席の日本酒のおすすめ辛口を頼まれていたお客様に雨後の月の超辛口特別純米を一杯奢って頂きました。ご馳走様でした。
2024/12/28 更新
2024/07 訪問
七夕祭と鮎
7月下旬の週末あまり縁がない地下鉄大曽根駅に4ケ月振りに降り立ちました。前回と違う出口から出たため店の方向がよくわからず迷いながら向かうとなにやら商店街では七夕まつりが行われていました。七夕まつりと言いつつも7月7日や旧暦の8月上旬ではなく7月下旬に行われる理由はよく分かりませんが。
今回はカウンターの一番右側の焼き場の前の席に座りましたので大将のお手元がよく見えます。手際のいい調理、焼きや包丁さばき、人気店ながら奥に下がるときにもお客に背を向けない謙虚な姿勢など。
どの料理も季節感があり女将さんおすすめの日本酒も暑い季節らしく器まで冷やされてどれも美味しかったです。今回特に記憶に残ったのは焼物の鮎。焼き過ぎずに柔らかな身で香り良く、頭と尻尾と中骨を綺麗に抜き後ほど唐揚げに。七夕まつりに合わせたのかどうかは分かりませんが梶の葉の飾り付け。梶の葉に願い事をしたため水に浮かべる習慣があったそうです。それがいつしか五色の短冊に変わったのでしょうか。
昼のお会計は現金払いのみですが、お釣りに見慣れないお札が。おもちゃ銀行券ではなく新紙幣のようで現物を初めて見ました。デジタル庁まで作りながらこれだけ紙幣のデザインを頻繁に変える国が他にあるのか疑問も少し浮かびますが。
皆さん次回の予約をされてみえ少し先になりますが無事次回の予約が取れました。また移ろいゆく季節の料理をいただくことを楽しみにしています。
無添加雲丹。なめらか食感の胡麻豆腐
鱧・冬瓜
鰹
郡上鮎 梶の葉
車海老と椎茸
鮎の頭・尻尾・中骨を抜いて唐揚げ。骨はパリパリ
三河一色産鰻・茄子
安城和牛。かなりレア気味
富山県産米
ちりめん山椒。お代わりいただきました。
桃・シャインマスカット・パッションフルーツ
涼し気に霧吹き
千代鶴
田酒
商店街七夕まつり
2024/08/02 更新
2024/03 訪問
春の訪れ
シンプルな佇まいの外観の暖簾をくぐると、店内も外観同様余分なものを見せない造り。奥に個室があるようですがカウンター中心でご夫婦と思われる方が迎えてくれました。この日は自分たち2人も含めて7名のお客。
カウンターは厨房側がお客さんを見下ろすことがないようにか一段低くなっている模様。またテーブルの奥行も結構ありましたので、小柄な奥様は料理やお酒の配膳がちょっと大変そう。
和食ですので日本酒を飲もうとメニューを拝見すると日本酒のペアリングもありましたが、自分たちのペースで飲みたいので1合づつ都度注文することに。
1杯目は自分たちで銘柄を指定しましたが2杯目からはおまかせにしました。ドリンクは奥様が担当され料理にあうように、またお酒の種類毎に器の厚さによる口当たりにまで拘って考えてくださいました。
お料理の内容はというと何ということでしょう、本日のコースのメニューがありません。曖昧な記憶から記述しますのでいつも以上に間違いがあるかもしれません。
先付けはホタルイカの三杯酢のジュレ。菜の花やアスパラガスも添えられ新生姜の香りがたまりません。
お造りは甘鯛とカレイ。甘鯛をお塩をつけて食べると甘い脂がとろけ皮目を少し炙った香りと合わさります。
焼き物は鰆の西京焼き。山椒がかなり効いて、うるいが添えられていました。うるいって初めて知りました。キャベツみたいな見た目と思いましたが山菜のようです。
甘鯛のあんかけの小鍋。シャキシャキの香り豊かな筍が入っておりあんかけと抜群に合いとても美味しかったです。
揚げ物は北海道の鱒やふきのとう、タラの芽などこちらも春を感じる一品。
ご飯は有機栽培のお米に安城牛だったかな?それにぬわんと漬けたホタルイカまで。これだけでまた日本酒が飲みたくなりましたが自制しました。
ご飯はそのまま食べても、すき焼き丼風にお肉を玉子に絡めてご飯に乗せても美味しい。卵も食べた事がないほどすごく濃厚で絡みまくり。ご飯のお代わりをいただくと、しらすと踊るかつお節を乗せてくれました。
デザートは愛知のいちごと高知のキウイにミニ最中。最中はパリパリの皮にバターの香り豊かな桜漬けが挟まっていました。
調理過程の一部をカウンターではなく奥の見えない部屋でやられるなど食事に集中できるようにといった気遣いや配慮が随所に感じられました。居心地のいい雰囲気や、ご主人も寡黙ながらも料理に真摯に向き合い春を感じる素晴らしい料理。季節を変えて再訪したいと思います。
2024/03/24 更新
立秋を過ぎたとはいえ、容赦なく照りつける太陽が、厳しい夏を物語っていました。そんな中、久しぶりに好日さんの暖簾をくぐると、使われているのが見たことがない奥の個室にまで花が活けられ、清潔で落ち着く空間が広がり、ひんやりとした清々しい空気が体を包み込みます。
今回は、前回の新緑の候に訪れてから数ヶ月ぶり、残暑の訪問です。カウンターに活けられた瑞々しい枝葉が美しく、この日の料理への期待が高まります。
供された料理は、一品ごとに繊細な仕事が光ります。心がほっとする風味、野菜の美味しさや魚介の旨味、〆のつやつやの土鍋ご飯には、気候変動による生産量の変動などで米が高騰している世の中で改めて日本人にとっての大事さを再認識させられました。
自分の惹かれる飲食店は、やはり作る人の情熱が伝わるかどうかだと感じました。自分の色を前面に出した燃え盛るような情熱でも、静かなる情熱であっても。毎回、季節ごとに移ろう日本の食文化の奥深さを、心と舌で感じさせてくれます。
大将の真摯な仕事と、女将さんの温かいおもてなしに心から感謝し、また次の季節に再訪できる日を楽しみにしています。
この日料理
◆先付 蒸し鮑の肝和え、土佐酢ジュレ オクラ
◆お椀 三河鱧の湯引き 柚子 梅肉 白髪ねぎ
◆お造り イチミダイとカマス
◆飛龍頭 石川小芋 黒皮南京 干し椎茸 インゲン
◆三河の鰻の白焼 落花生 新銀杏
◆三河蛤の小鍋 イチローファームの翡翠茄子 冬瓜 新生姜
◆食事 黒ムツ 卵 白米
◆デザート 桃のシャーベット 果肉 落花生のロースト