4回
2025/06 訪問
梅雨を目前に控えたaruさんで初夏の味覚を堪能
梅雨入りを目前に控えた週末、ランチを予約してaruさんに再訪をしました。階段を上がると、紫陽花が私たちを出迎えてくれます。今回は満席ではなく、2組4名でのスタートだったためか、マダムお一人での配膳でしたが、いつも以上にスムーズな料理の提供でした。ただその分シェフは調理に専念されお話が出来ず少し残念でした。
メニューを拝見すると、グリーンピース、ピーマン、茄子など、まるで子どもの嫌いな野菜ランキングを参考にしているかのような野菜がずらり。どんな料理が出てくるのか期待が高まります。
まず運ばれてきたのは【美代ちゃんのとうもろこし・グリーンアスパラガス】続いて【ヤングコーン】。実家の裏にある美代ちゃんの家で採れたとうもろこしを使った冷製ポタージュスープと一口タルトは、素材本来の甘さが際立つ逸品です。グリーンアスパラガスはネーブルのジャムとニンニクの芽が添えられ、塩味が効いて味の変化を楽しめます。ヤングコーンはソテーされ、鮮やかなグリーンピースのピュレが添えられていました。
続いて【新玉葱とグリーンピース】。使われているグリーンピースは、普段家で食べているものとは艶も形も香りも全く違い、まるで別物のような美味しさ。通常より早採りしているそうです。新玉葱のアイスピュレは、玉ねぎの甘さがたまらないです。
【北河さんの夏アスパラガス】は、炭火で香ばしく焼かれたアスパラガスに、人参のピクルス、キュウリやトマトを細かく刻んだソース、そしてミル貝が合わさり、野菜と魚介が見事なハーモニーを奏でます。
【実家の畑から茄子】はモッツァレラチーズとミニトマトのエスプーマとよく絡み、【実家の畑から春人参】は鴨の脂で2時間かけてじっくりローストされ、ウイキョウのスパイスが効いていました。どちらも非常に満足度が高く、野菜が主役に昇華していました。
【ピーマン 白甘鯛】は、ピーマンの香りが立ち上り、甘鯛の旨味にピーマンにオリーブオイルや白葱が加えられたジューシーなソースが絡み合い、絶妙な味わいでした。
【スフィーダさんのグリーンピース にこまる】と題されたリゾットも、もちろん美味しくいただきました。
メインは【東三河の季節野菜 本州鹿】。aruさんらしい旬の野菜ソース代わりに見立てた華やか一皿。鹿肉もそれに負けない存在感を放ち、力強い味わいを堪能しました。
締めくくりのデザートは【エルダーフラワーとミント】。それにメニュー外の季節の果物が盛りだくさん。爽やかな香りが広がる、食後にぴったりの一皿。食後のドリンクの選択はaruさんではハーブティー一択です。いつも美味しい季節のフレッシュなハーブティーがいただけます。
今回も野菜を中心に、充実したコースを堪能しました。aruさんの料理は、一皿ごとの驚きと感動、野菜の新たな魅力を発見できその美味しさに魅了されました。東三河の豊かな初夏の恵みを存分に感じられ、心ゆくまで満たされた時間を過ごすことができました。
2025/09/14 更新
2025/02 訪問
東三河テロワール
非常に楽しみにしていた季節を変えてのaruさんへの再訪。冬野菜を中心に非常に満足度の高いコース料理でした。
この日のメニュー
◆実家の畑から青首大根
洋風茶碗蒸しのフランに水と塩のみの大根スープでほっこり温まります
◆RivermondFarmさんのミニトマト ウエタトマト キャベツ
フレッシュやセミドライのトマトの食べ比べ、キャベツの芯の甘味、白菜の柔らかさと甘めの味付けにわさび菜のピリリとした辛さなどが楽しめました
◆春菊 芽キャベツ
胡麻の芳醇な香りと春菊、中に隠された芽キャベツの凝縮感、スミイカの食感が合わさり非常に美味しいです
◆イチローファームさんの白菜
白菜に鴨の出汁の旨味、生ハムの塩味の調和
◆スフィーダさんの白葱とスティックセニョール 平目
肉厚の平目にバターのソース、白葱の甘さがよく絡みます
◆玉レタス
無肥料の天然に近づけて育てられた雑味のないクリアなレタス本来の味と瑞々しさ、蜂蜜や金柑のかおりに包まれライム胡椒がアクセントに
◆北河さんのスナップエンドウ にこまる
スナップエンドウの旨味、甘味が際立ちます
◆東三河の季節野菜 経産和牛(源氏)
サーロインの美味しい和牛と添えられたソース代わりの野菜との様々な組合せ
◆かぼす 柚子
デザート
◆フルーツ
苺の果肉感が印象に残りました
◆ハーブティー
フルーツたっぷりのハーブティー
東三河の食材を大切にして生産者をリスペクトし想いを届ける類を見ないフレンチ。季節の移ろいを感じる料理との一期一会。輸送手段や栽培方法などの発展により野菜がスーパーに一年中並ぶ現代社会において、便利さと引き換えに失われたものがあるのかもしれません。東三河のテロワールの豊かさに触れてふとそう思いました。
2025/09/14 更新
2024/10 訪問
東三河の自然の恵みと旬の食材が奏でる晩秋コース
豊橋のaruさんにランチで初訪問。12:00一斉スタートの5分前ドアオープン。4階建てと思われるビルの2階が店舗のはずですが階段のシャッター自体が半分閉まっています。時間になるとシャッターオープンされ名前を呼ばれ案内されました。
店内は余裕のある間隔で3卓のみで、他の2組は常連さんのためこちらの名前が分かったようです。3階から上は大家さんの事務所とのこと。レースのカーテン越しに柔らかな陽が差し込み、アンティークなスピーカーから静かな音楽が流れ街の喧騒を忘れ落ち着ける空間です。
メニューは【牛蒡 落花生 和栗】【ズッキーニ】【スフィーダさんのルッコラとロロン南瓜】【真菰筍】【備中蓮根 里芋】【鈴木製茶さんの椎茸】【落花生とにこまる】【東三河の季節野菜 本州鹿】【ピオーネ】【ベルガモット】
ワインは日本のワインも豊富なようで、ワインセラーには可愛らしいエチケットの豊田市のアズッカ エ アズッコのワインも見受けられます。ご夫婦と思われる二人で営まれ、シェフ自ら料理を運ばれることもあり、美味しい状態で食べてもらいたいという気持ちが伝わりました。
この日の料理で一番記憶に残ったのは備中蓮根 里芋。お茶で燻した蓮根を里芋のピュレ、鴨の出汁と合わせていただくと蓮根のもっちりした食感と旨味、深みのあるクリーミーなソースで今までに食べた蓮根料理で一番美味しかったです。
真菰筍の食感とワタリガニの身とフィンガーライム、野菜をソースに見立てた魚料理や設楽町の鹿肉等、どの料理も東三河の自然の恵みと旬の食材が奏でる季節を感じられる料理でした。
デザートと一緒にだされたメニュー表示にない果物も嬉しい驚きで、フルーツの紅茶も美味しかったです。季節を変えてまた東三河の旬を味わいたいと思います。
2024/10/23 更新
夏の終わり、静かに秋が訪れる頃。この日のメニューは、まるで季節の変わり目を告げる風のように、涼しさを増していく空気を映していました。
まず、【ピーマン・島オクラ・金糸瓜】。この時期ならではの凝縮した野菜を、新生姜や味噌、ごまの香りでいただく繊細なフィンガーフードは、aruさんらしい夏の日の贈り物のようです
【とうもろこし】はフランと冷製スープの組み合わせ。実と軸からとった甘みが口にする前から香りで伝わり、一口食べるとその驚きが広がります。続く【赤ピーマン】では、焼き茄子のピューレの味わいのあとの落花生と肉厚のピーマンの食感が印象的
【和梨 鰆】あきづき梨の爽やかな甘みで、鰆の繊細な風味や燻した香りが引き立ち、さっぱりとした味わいの中にフィンガーライムがアクセントを添えていました
【九重栗南瓜】じっくりローストされた南瓜は、その甘さが極限まで引き出されており、しっとりとした舌触りにピリ辛の味付け、ピクルスの酸味が調和したまさにワイン泥棒の一品
【秋味のスープ】遠州灘の海老のねっとりとした食感、新城の和栗や新生姜の爽やかさ、お箸でいただく滋味深い一杯です
【牛蒡 真羽太】は、力強い牛蒡の香りと土の風味が、魚の持つ上品な旨味をさらに際立たせていました
【落花生 にこまる】初めて訪れたあの日のことを思い出し、また季節が巡ったのだと、静かに実感しました
メインの【東三河の季節野菜 豊橋牛】は赤身の旨味が凝縮されたお肉。シェフに伺うと、豊橋牛は乳用種のホルスタイン種を肉牛として育てたものだそうです。いつもながら、aruさんのメインは肉本来の旨味をしっかり感じられ、胃もたれしないのが素晴らしいです
【栗きんとん 季節の果物】【和梨】新城の栗きんとん・黒イチジク・白イチジク・シャインマスカット・クイーンニーナ・巨峰・あきづき
地産地消には、季節の変わり目など端境期には品揃えなど色々難しいことがあると思いますが、それを感じさせない東三河の豊かさが表現されたコース。マダムとシェフの温かいサービスもあり、心地よい時間がゆっくりと流れていきました。