3回
2025/05 訪問
香り高く多彩な蕎麦を存分に
平日夕方、前日電話予約にて。訪問・レビューともに2回目。
近くのお茶屋さんで抹茶ジェラートとショッピングを楽しんだ後に、と言うと某孤独なドラマのシーズン2みたいですが、間が90分近く空いて、小平駅周辺を散策するも、なかなか時間がつぶれない。ジェラートのカロリーはとっくに消費し、腹ペコで訪れました。
この日は予約でいっぱいとの表示が。その場合、暖簾が下がらないそうで、早い予約の方は要注意です。
※食レポはなるべく文章量を抑えるため、前回詳しくした点はカットしたり、写真のほうに回しましたが、それでも長文に。ご容赦を。
・お酒のアテ取り合わせ(○焼き蕎麦味噌、☆きのこおろし、◎ほうれん草おひたし、○もずく酢、◎板わさ)
・日本酒 店主おまかせ3種
◎鼎(長野) 芳醇旨口
○佐久の花(長野) 淡麗やや辛
○磯自慢(静岡) 辛口
日本酒は異なるタイプを誂えてくれます。アテの中では、きのこが深い旨みとコクで素晴らしく、ほうれん草は部位やお酒次第で味わいがかなり変わるのが印象的でした。
☆北寄貝刺し
◎生牡蠣
大きな北寄貝は抜群の歯触りとトロリ感、そして旨みと圧倒的な甘さ。貝柱まで甘い! イイお値段(1500円)だけのことはあります。
生牡蠣についてはこれまで慎重で、Rのつかない月に食べたのは初めて、オイスターバーにも行ったことがありませんが、もう昔の格言ですね。少ししっかりめのトロリでした。
本日の目当ては徹底的に蕎麦を食べること。
肴はここまで、お酒も鶴齢追加(1合)にとどめ、計画決行。
☆☆佳蕎三昧
詳細は写真のほうをご覧ください。3種すべてがもちろん美味しく、香りにあふれる。
2種のつゆも素晴らしい。特に江戸前がやはり好み。
ただ、お腹のほうがそろそろピークで、繊細さと違いを味わいきれず。
超濃厚な蕎麦湯を堪能しながら、よせばいいのに…
☆鴨こまきのこ汁つけ
完全にキャパオーバーでしたが、前回「次は鴨や軍鶏を」と決意したのと、最初のきのこおろしが絶品だったのでつい。軍鶏と選びがたく、最後はコイントスで決めました(笑)
もう腹パン、でも美味しい。スルスル入った。やはり凄い蕎麦だ。
全部食べても他のお客が来なかったため、手の空いたご店主としばし歓談。蕎麦についてやこちらでお店を開いた経緯も伺いました。
フロア・ドリンク・洗い担当のアルバイトの方がこの日初仕事で、ご店主が色々ソフトに教える様子を見聞きしましたが、心配りがやはり凄いレベル。バイトさんにとっては大変だったでしょう。彼女の負担を考え、団体予約が入ったこともあり、パンパンになる前に予約を締め切ったのだそう。私は早い時間だったのでOKだったのかも。
「ここはとても良いお店なので、たくさん学んでください」と、バイトさんにエール(?)を送りました。
初回の経験から、今回は肴をだいぶアジャストできたかと。お蕎麦も凄い量を食べました。品はありませんでしたが悔いもなし。
お会計は8500円ほどと張りましたが、このレベル・量ではあり得ないリーズナブルさ。普通に食べればもっと安く上がりますよ。
蕎麦の本領を味わうにはお昼に伺い、酒・肴なしで専念すべきでしょう。肴もまだまだ気になる品々ありすぎなので、さらにその次はそちらメインかな。
ご店主曰く「もうすぐ冷やかけやります。」
ホントに困ります(笑)
お酒のアテ取り合わせ。予約時お酒を飲むと伝えると用意してもらえます
店主おまかせ日本酒3種
本日の肴①
日本酒リスト。ここに記載のないものもきっと多い
肴②。超強力メンバーで選べない(笑)
北寄貝。すごく大きい。そして甘い!
生牡蠣
鶴齢(新潟)
冷たいお蕎麦一覧。すべて「店主おすすめ」なのは本心からでしょう
蕎麦はタイプによって粉を変える
佳蕎三昧の説明
つゆ2種。右の江戸前は深く辛口
並蕎麦。すでにすごく美味い
生粉打ち。さらに繊細に
粗挽き。ボツリとしたハード感
蕎麦湯を注ぐ
江戸前に蕎麦湯。蕎麦湯だけでなくつゆも濃厚なため、山かけのよう
究極の選択
鴨こまきのこ汁つけ
中には具がひしめき合う
ほぼ満腹なのに入っちゃう
2025/05/13 更新
2025/02 訪問
蕎麦の持ち味を最大に生かす、大胆な引き算と足し算。強烈な印象を残す、エクストリーム蕎麦屋さん
多摩エリア業務、4/5日め。前日に電話で予約。北風ぴいぷう吹きすさぶ平日夕刻に伺いました。
武蔵野線新小平駅より、青梅街道を東進すること10分超、西武多摩湖線を横切ってほどなくの街道沿いにお店はあります。
まず圧倒されたのが、情報量の多さ。貼り紙とPOP合わせて10枚近くに、びっしり文字が書かれています。メニューもとても多い!
日本酒が充実しており、日本酒一本で色々楽しもうと決めました。
結論を先に言うと、ハマりました。
長文平にご容赦を。
《肴いろいろ》
○焼蕎麦味噌 ほうれん草おひたし ○きのこ煮浸し 板わさ もずく酢
電話予約時、お酒を飲むか聞かれ、YES→軽く用意しておきます、の流れで誂えられたもの。
ちょっとずつ色々というのがうれしい。
皆なかなかですが、わずかに雑味もあるかな。
《店長おすすめ 日本酒の味比べ》
◎栄光富士(山形) 旨辛
○而今(三重) 複雑旨口
◎佐久乃花(長野) 淡麗辛口
合わせて1合ぶん。この順で飲んでほしいと補足されました。皆美味しく、旨→辛の順番も王道。而今はいいお酒と思いますし、料理に応じて甘さ辛さ酸味が引き出されますが、きのこと合わせたときには苦味を引き出してしまっておっとっと。
説明書きを読みつつほろ酔いご機嫌となり、
存分に頼もうと決めて第2ラウンドへ。
・鰺たたき(福岡)
◎白菜浅漬け(小平)
鰺たたきは思春期に魚好きを醸成してくれた思い出メニュー。蕎麦つゆとぽん酢仕上げは予想外。シンプルに醤油のほうが好みですが、味がなじんだ中盤以降、旨かったです。
白菜は地元のもの。浸かり具合と、しっかり冷やした爽やかさがヒットでした。
◎鶴齢 純米吟醸1合(新潟)
☆お猪口
私の中で新潟の日本酒株は20年前までに暴落してしまったのですが、鶴齢は数少ない頼れるお酒。淡麗辛口でありながら広がりがあります。
お猪口☆って何事!? となりますが、まず注ぐと緑鮮やかな内面がマル。さらに素晴らしいのが形状で、素焼きの感触+少し凹んだ側面が持つ指に絶妙にフィット。何か官能的ですらある触感に唸りました。これ欲しいなあ。
ここから味覚の感度も上がった気がします。
《夜のサービス 天富良セット》普通の蕎麦を「味比べ」(生粉打ちと粗挽き)に変更
つゆは江戸味(辛口)を指定
お蕎麦提供のタイミングを聞いてもらえます。まずは天婦羅に専念。魚は穴子をチョイス。
きつね色のしっかり揚げで、まずは卓上のサラサラ海塩で食べましたが合わず。旨み+水分を加えてくれる天つゆ一択です。
☆ぽてとさらだ(セットに附属)
鹿児島新じゃがとのことですが、構成はそれと玉ねぎのみの真っ白ビジュアル。芋のしっとり感に少しコクを足し、サラリ、しっとりを両立。見た目と相まって新雪のような印象。ひらがな表記がよくわかる、素敵な一品でした。
◎日高見(宮城)半合
鶴齢で止めたかったのですが足りなくなりました(笑)。サラリ淡麗、後から追いかけてくる旨み。陶器のタンブラーも良き。
☆☆生粉打ち
天婦羅完食、満を持してコール。「乾きやすいのでお早めに」の注意込みで供されたのは、極細のお蕎麦。速攻で撮影して一口「!」
水分をしっかり飛ばしており、蕎麦の香りと少しの粘りがストレートに伝わります。極細なのでコシの強さが優しくなり、ひたすらに繊細。蕎麦の魅力がよくわかる感動の品です。
乾く暇など与えず2分で完食!
☆粗挽き
こちらは一転、太め硬め、粉が浮くほどのワイルド仕様。ポクっとした食感が面白く、蕎麦の甘みを力強く伝えます。生粉打ちとのコントラストを含めて楽しめる品。
生粉打ちもこちらも、たくさんつゆをつけるのはもったいない。辛口をちょっとつけるのが、カッコつけでなく最適では。
◎蕎麦湯
湯桶からトロリと注がれる液体に、目を疑いました。甘酒?と見紛うほどに濃厚。蕎麦粉入れまくりです。当然風味たっぷり。蕎麦湯を飲んだ回数なんてもちろん覚えちゃいませんが、蕎麦湯をつゆで割ったのは、間違いなく初めてです(笑)
全ての料理に工夫が見えます。少しワイルドな面がありますが、素材やその料理の一番のヒキを強調するために、不要な要素は常識にとらわれずカットし、ヒキを強めるプラスを加える方針かと。ポテトサラダ、蕎麦、蕎麦湯に強い感銘を受けました。
ちょくちょく様子を見に来てくれたご店主は快活で楽しげ。お蕎麦、そして日本酒への愛がひしひしと伝わってきました。
青梅街道に面し、西武多摩湖線以外は駅からだいぶ遠く、ロケーションは不利。お客は私含めて2組で、特に平日夜は人通り自体に恵まれないのではと推察します。
メニューも多く、食材キープも大変でしょうが、鴨や軍鶏もあるとのことで大いに気になります。
私の住まいからはそうしょっちゅう行けませんが、ぜひとも再訪したい。
ファンになりました!
※業務5日めの最終日も初めてのお店を予約したのですが、その際「食べログには投稿しないでほしい」とお願いされました。なので記しません(たいへん美味しく楽しい時を過ごせました)。
食べログは強力なプラットホームなので、功もあれば当然刃にもなる。
レビュアーの一員として、よくよく戒めたいと思います。
日本酒味比べ。合計1合の量
お酒のアテ、ちょっとずつ色々
白菜浅漬け
鰺たたき
鶴齢(1合)。お猪口が絶妙に素敵
天富良セットの、ぽてとさらだ。はらりしっとり絶妙な食感
天婦羅
右からオクラ、茄子、穴子、南瓜
生粉打ち。つゆは江戸前(辛口)を指定
粗挽き
蕎麦湯を注ぐ
甘酒? いえいえ蕎麦湯です
お蕎麦の産地
地元産食材のメニュー
天婦羅は好みの魚介をセレクト
味の裏付けある情報は快い
上段、お蕎麦の説明は大事です
2025/02/15 更新
平日夜訪問。2月、5月に続いて3度目。
《ポイント》
・リーズナブルに飲み比べを楽しめる夏の日本酒
・料理はさっぱりメニューが特に秀逸
・3種の香り高い蕎麦を存分に味わえる「佳蕎三昧」が凄い
・蕎麦だけで満腹になれるほど量も十二分
◎〈日本酒おすすめ3種飲み比べ〉
光栄菊(佐賀)Sunburst バランス型旨口
鼎(長野)純米吟醸 淡麗辛口
浅茅生(滋賀)特別純米生原酒 豊潤旨辛
いずれも夏のお酒。三者三様の特徴でみな美味しい。約千円でこれはとてもお得。
◯鰹刺し(背)
ちょうど焼き上がったものを勧められゲット。「背と腹どちらにします?」と訊かれ、しばし迷って背を選択。
茗荷や生姜と合わせただけでは鰹圧勝。それだけ強いタイプですが、タマネギスライスも加えて落ち着きました。
☆☆(長野産)きのこおろし
シャキクニュなめらかな色々きのこをレンゲで食べる贅沢。大根おろし・出汁は控えめでワキに徹する。名作です。
此処の料理は「油を使わないメニュー」が光る気がします。
◯小平産ブロッコリー胡麻くりーむ
地元産ブロッコリーは品良く、それを生かす硬めの茹でも◎。胡麻ダレはドレッシング部分がちょっと主張しすぎかな。
今回はお酒・料理はここで止め、蕎麦に注力しました。
【佳蕎三昧(かけ付き)】※つゆはノーマル(淡口)・濃口(江戸汁)の2種
☆(第一陣)生粉打ち(千葉県成田秋そば、90g)
極細ですぐコンディションが変わるため、速攻で撮影して口へ。焦って写真がピンボケに。ゴメンナサイ。
もう秋そばが出ているんですね。夏でも風味十分で薬味要らず。淡口・濃口のつゆの併せは甲乙つけがたい。
☆☆(第二陣)粗挽き(対馬在来種、90g)
対馬の蕎麦が独特の風味。強い香りに甘みも相当なもの。クセ強ですが好き! よく噛みしめて味わいすぎ、食べきらないうちに次が来ちゃいました。
☆☆(第三陣)冷やかけ(青森)
氷水で締めた細切り蕎麦(120g)を冷え冷えのかけ汁で。まずかけ汁が鰹・鯖節の香りがブワッと広がるスペシャル仕様。蕎麦も冷たく適度なコシ、かつ汁の中でも甘く香りがちゃんとある。美味い!涼しい!素晴らしい!
途中からきのこ冷やかけにしようと、きのこおろしを残していたのですが、混ぜるのがもったいなくてそのまま完食。
☆(第四陣)蕎麦湯で色々
ここまで、蕎麦とつゆだけで完璧で、薬味が余りまくり。つゆもかなり残る。そしてきのこも(笑)
ここで蕎麦湯の出番。
甘酒並み、イヤなめらかなホットケーキの種ぐらいトロ~リなソレを、2種のつゆ、薬味、きのことともに味わい尽くす。もう最高です。
蕎麦自体豊かな香りをもち、そして異なる食感。超濃厚な蕎麦湯も蕎麦がき的な味わいがある。
いずれも堪能しましたが、今回のMVPは冷やかけ。節の香り鮮烈なかけ汁に、互角に渡りあう蕎麦。こんな冷やかけがあったらいいな、という理想に近いものでした。
蕎麦は大好きですが、夏でも力強い風味が楽しめ、量・価格ともに破格の此処は本当に異質の存在。変わり蕎麦もなくて、十割蕎麦だけで勝負しています。今回「産地と品種の違い」を強く実感しました。ちょっと距離はありますが、今後も通って様々な蕎麦を味わおうと思います!