Geric Planktonさんが投稿した焼肉ホルモン 風土.(北海道/すすきの)の口コミ詳細

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Seeking the Last Meal of My Life

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焼肉ホルモン 風土.すすきの(市電)、すすきの(市営)、豊水すすきの/焼肉、ホルモン、ジンギスカン

1

  • 夜の点数:4.2

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.2
      • |サービス 4.2
      • |雰囲気 4.2
      • |CP 4.2
      • |酒・ドリンク 4.2
1回目

2025/05 訪問

  • 夜の点数:4.2

    • [ 料理・味4.2
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.2
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク4.2
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

【人生最期の食事を求めて】炎揺れ、肉踊る。記憶に刻まれる上質と逸品。

冷蔵庫を所有していなかった頃、私は食品の費消の焦燥感すら抱くことなく、むしろ生の食材が時間とともに朽ちていく様を当然の摂理として受け容れていた。
だが、文明の恩寵のごとく備え付けられた家電付き賃貸マンションの冷蔵庫を使用するようになって、便利さの恩恵を受けながらも、私の心の片隅に形容しがたい焦燥の影が差すようになった。

食料品を冷蔵庫に詰めれば詰めるほど、私の内奥に潜む焦燥感は異様なまでに昂進し、そしてその焦燥を打ち消すかのように、私は食する。
それがジレンマであることを承知しつつも。
飽和と空虚とが表裏一体となって襲いかかるのだ。
かくして私は、断続的ではありながら、1日1食、あるいは状況によっては1日2食という食生活へと移行し、それもすでに久しい。
空となった冷蔵庫を見たときのあの安堵感、まさに虚無の確認による安息とでも言うべきだろう。
そして身体の感覚においては、何よりも集中力の持続という実益を伴っている。
まれに1日3食を摂ることもあるが、その際には明らかに精神と肉体のパフォーマンスが鈍重となる。
私にとって空腹は、単なる生理現象に留まらず、身体の調律を測る精緻なバロメーターなのである。
されば、世に推奨される規則正しい1日3食の生活習慣など、私には有害でしかない。

この国特有の同調圧力にも似た長期休暇――ゴールデンウィーク――が終わりを告げた。
風は未だ肌寒い夕暮れ時、私は静かに街を歩いていた。
休暇明けの夕刻、人影はまばらで、行き交う者たちの顔にはどこか曇りがちの陰影が差している。
長期の休暇がもたらす矛盾――混雑に揉まれ、享楽の名のもとに疲弊するという皮肉な現実の反映であろうか。
空腹の時間が長引くにつれて、日が暮れる頃には、獰猛なまでの食欲が私の内部から立ち現れた。
そうした時、焼肉という存在は実にふさわしい、私の空腹を根底から満たすに足る原始的かつ官能的な糧である。

すすきのの中央部に至ったとき、私は牛を象った照明の輝きに導かれた。
建物の内部へと吸い込まれていく人々の影。その店内にはすでに多くの客が、肉と火とに対峙する光景が広がっていた。
私の食欲はさらに獰猛さを増し、それを煽るかのように生ビールを注文した。

「山芋キムチ」と「カリトロホルモン」の異なる歯触りと風味に舌鼓を打つうち、ジョッキは空となり、私は何のためらいもなく、再び生ビールを所望した。
すると、目の前に現れたのは、朱、桜、黄という3色の対照的な色彩を纏った「黒毛和牛カルパッチョ」だった。
肉と卵黄とを絡め口に運ぶと、それはまるで咀嚼を拒み舌の上で静かに融解しつつ、得も言われぬ芳醇な風味を炸裂させた。
思わず私は心中に呟いた。
『この肉の旨味は何なのだ』と。

対照的に、淡白なる「昆布締めハツ刺し」が、私の昂ぶる心をふたたび静謐の域へと導く。やがて「サーロイン、もも肉、バラ肉」という焼肉の王道が到来し、私は飲料をハイボールに切り替えることを決断した。
この3種の肉は、私の空腹と今や獣性すら帯びた欲望とに真っ向から挑戦する存在である。

スタッフがこまめに網を交換する、その小さな配慮にすら私は悦びを見出していた。
その時、「炊きたての土鍋ご飯」と「芽ねぎ焼しゃぶ」が同時に運ばれてきた。
私は日頃から白米を食することはなく、また昨今の米価格高騰の報道も手伝って、この土鍋ご飯の温もりと香りは、いっそうの価値をもって私の前に現れたのである。
そして、「ハラミ、カルビ、ロース」という「シャトー盛り合わせ」が眼前に置かれた瞬間、私はあまりの壮麗さに瞠目し、箸を止めた。
光沢に輝く肉と脂のきらめき。
それを目にした途端、いったん静まっていたはずの食欲が再び暴風のごとく吹き荒れ、炎にまみれながら色彩を変える肉を貪り喰らうばかりであった。

気がつけば、店内には中国語や韓国語が飛び交っていた。
肉に耽溺するあまり、隣席がインバウンド客で賑わっていたことに私はしばらく気づかなかったのである。

「昆布締めミノ焼き」、「究極の玉子スープ」、そしてデザートとして供された「シャーベット」の登場は、焼肉という饗宴の終焉を告げていた。
再び淡白な味覚に戻ることで、私の食欲は徐々に沈静化した。
日々の節制された食生活、そしてその果てにおける一夜の暴食――その制圧の儀式として、焼肉ほどふさわしいものはない。
しかも、それは上質であることが不可欠なのだ。
炭火が静かに消えたとき、私はふと、ある思念に囚われた。
肉という生と火の劇的な交錯、その儚さと歓喜の余韻のなかで。……

2025/05/11 更新

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