この口コミは、アタシテッツさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。
問題のある口コミを報告する
ラルジャン虎ノ門、虎ノ門ヒルズ、国会議事堂前/フレンチ、イノベーティブ
-
昼の点数:4.0
-
¥10,000~¥14,999 / 1人
-
-
料理・味 3.8
-
|サービス 3.9
-
|雰囲気 3.6
-
|CP 4.0
-
|酒・ドリンク 4.1
-
-
[ 料理・味3.8
-
| サービス3.9
-
| 雰囲気3.6
-
| CP4.0
-
| 酒・ドリンク4.1 ]
シェフズコース昼の体験:繊細さの中に浮き沈み
-
{"count_target":".js-result-ReviewImage-286384794 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-286384794","content_type":"ReviewImage","content_id":286384794,"voted_flag":false,"count":0,"user_status":"","blocked":false}
-
{"count_target":".js-result-ReviewImage-286384796 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-286384796","content_type":"ReviewImage","content_id":286384796,"voted_flag":false,"count":0,"user_status":"","blocked":false}
-
{"count_target":".js-result-ReviewImage-286384800 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-286384800","content_type":"ReviewImage","content_id":286384800,"voted_flag":false,"count":0,"user_status":"","blocked":false}
-
{"count_target":".js-result-ReviewImage-286384802 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-286384802","content_type":"ReviewImage","content_id":286384802,"voted_flag":false,"count":0,"user_status":"","blocked":false}
2025/10/03 更新
加藤シェフの経歴は非常に華やかで、フランス料理のトップレストラン三つ星 Astrance や、北欧料理の二つ星 AOC で研鑽を積んだ稀有な存在です。人材がひしめく東京においても珍しい経歴でしょう。伝統的なフレンチの枠にとらわれることなく、日本の板前スタイルを取り入れ、ゲストが厨房スタッフの優雅な動きを間近に楽しめるよう工夫されています。
この日の最初の一皿は加藤シェフ自らが提供してくださり、穏やかに自己紹介をしながら「この店のオーナーです」と述べ、私たちの来訪に感謝しつつ、料理の特徴や理念を丁寧に語ってくれました。盛り付けは美しく、正統派フレンチの素地を感じさせるもので、ソースは繊細、さらに仕上げのソースアートはまるでステージパフォーマンスのように華やか。伝統的な北欧パンも感銘を受ける美味しさで、思わずおかわりしてしまいました。ポーションも適切で、リラックスできる快適な食事体験。ぜひ再訪したいと思わせる内容でした。唯一惜しいのはランチタイムではグラス単位での注文しかできないこと。しかし「L’argent」のワインリストは驚異的で、複数のDRCを揃え、なんと DRC La Tâche 2019 までラインナップされていたのは驚きでした。
前菜の試みと驚き
コースはデンマークの伝統的なパンケーキをアレンジした一皿から始まり、中にはわさび漬けが。辛味が爽快で、添えられたサワークリームは意外にもたこ焼きを連想させるユニークさがありました。続く千葉産落花生の冷製スープは、透抽(イカ)や海ぶどうを加えて食感を工夫していたものの、全体のバランスはやや弱く、旨味・甘味ともに控えめでした。
お茶とフォアグラの組み合わせ
掛川茶とフォアグラを組み合わせた一皿は、シェフの出自を感じさせます。フォアグラのテリーヌにシャンパンジュレとピスタチオを添えた構成で、複雑さはあるものの、ジュレのアルコール感やフォアグラの濃厚さがやや強く、茶の苦味とも重なり、好みが分かれる仕上がりでした。ブリオッシュは温かいものの、やや軽さが目立ちました。
スペシャリテとメインの流れ
スペシャリテの発酵マッシュルームは、上のマッシュルームの淡い甘みとスープのなめらかさが魅力的でしたが、卵黄を混ぜると旨味が薄れ、えぐみが出るのが惜しいところ。鹿児島の赤座海老は燻香が一瞬で消え、身がやや緩く、酸味のあるフルーツソースが海老本来の風味を覆ってしまいました。
長崎のクエは蛤のソースやタピオカを合わせた一皿。最初の一口は美味しく感じられましたが、身の中心部分が少しパサつき、外側の食材が強く主張しすぎてしまいました。それに比べ、北海道の十勝ハーブ牛は安心感のある仕上がりで、フィレ肉は柔らかく十分なボリュームがあり、松露ソースと林檎のシートで甘めに仕立てられ、満足感の高い一品でした。
華やかな締めくくり
熊本の薔薇を使った料理は、薔薇と炭を組み合わせ、阿蘇山をイメージした華やかな一皿。優雅な香りと濃厚な味わいで、この日のハイライトのひとつでした。最後は静岡のミニャルディーズとハーブティーで、穏やかな余韻を残しながら食事を締めくくりました。
「L’argent」のコースは、加藤シェフが培ったフレンチと北欧料理の技術が随所に光り、前菜からメイン、デザートに至るまで伝統と革新を併せ持つ構成でした。幾つかバランスに課題は残るものの、シェフ自らの温かいもてなしやライブ感あふれる演出、そして驚愕のワインリストが揃い、記憶に残る体験となりました。深みとエンターテインメント性を兼ね備えた饗宴であり、再訪に値する一軒です。