1回
2025/06 訪問
映像も料理も“魅せる”レストラン。味も期待を裏切らない。
2025/06/11 更新
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昨年オープンしたこちらのお店。
『グルマンディーズ』長谷川シェフが監修する新業態ということで話題性は十分だったが、実際に足を運んでみて、その完成度の高さに驚かされた。
この日は個室を利用。通常のホールと同様にプロジェクションマッピングが施されていて、映像が広がる。
花が咲き、蝶が舞う幻想的な世界に包まれながら食事を楽しめる、没入感のある空間だった。
この日は予めコースを予約。
スタートは「オシェトラキャビアとブリニ」。温かくふんわりしたブリニに、塩気のしっかりしたキャビアとサワークリームの酸味が合わさり、見た目にも味にもインパクトがある一皿。黒い石が敷かれた器の演出も印象的。
前菜は「シマアジとカリフラワーのムース、トマトジュレ」。淡い色合いの中に、蝶をかたどったクッキーと色とりどりのハーブや野菜があしらわれており、
プロジェクションマッピングの蝶とリンクするような演出が粋。
味のバランスも秀逸で、身の厚いシマアジの脂、ムースのなめらかさ、ジュレの酸味が三位一体となっていた。
温前菜は「花ズッキーニの鶉とフォアグラ詰め サマートリュフ添え」。火入れが絶妙で、花ズッキーニの香りと食感が残る中に、濃厚な鶉とフォアグラの詰め物がとろりと溶け出す。トリュフの香りも主張しすぎず、ソースも重すぎず、素材の力を生かした仕上がり。料理の一部として自然に調和していた。
これはまた食べたいと思った一皿。
パスタは「アメリカンチェリーのラビオリ クランベリーソース」。口に運んだ瞬間、甘酸っぱさが広がり、まるでデザートのような不思議な感覚。中にはほのかにチーズが仕込まれており、果実の酸味と一体化している。これを“パスタ”として出すセンスに、コース全体の振り幅の広さを感じる。
魚料理は「オマールエビのソテー」。香ばしく焼き上げられており、ぷりっと弾ける食感。旨みが凝縮されている。甲殻類の甘みを引き立てるソスも美味しく、付け合せの野菜もみずみずしかった。
肉料理は「お茶の木で燻した黒毛和牛のロースト カカオソース」。
まず塊の状態で運ばれてきて香りを楽しませてから、カットしてサーブ。燻香とカカオの深み、肉の旨みが三重奏を奏でるような構成。薄くスライスされた生マッシュルームの香りと食感が、単なる飾りではなく料理に必要なパーツとして機能していた。
デザートは「抹茶のバスクチーズケーキ」。濃厚ながら甘さ控えめで、抹茶の苦味が食後にちょうどよい。小菓子も添えられており、最後まで丁寧なコースだった。
この内容でこの価格は、正直信じられないほどのコストパフォーマンス。
料理、サービス、空間すべてにおいて“特別感”があり、単なる映えレストランではない本格派。
大崎という立地も、恵比寿や渋谷から山手線で10〜15分と意外とアクセスがよく、むしろ穴場感がある。
料理と映像、そして空間演出がここまで有機的に融合しているレストランはなかなかない。記憶に残るディナーだった。
ぜひまた大切な人と訪れたい。