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2025/06 訪問
芦屋の静謐に寄り添う、季節の余韻 — 日本料理 時宜
2025/06/21 更新
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出張先で訪れた芦屋【日本料理 時宜】。
時宜とは“その時、その人、その場にふさわしい料理を”という想いが込められているそう。地元・淡路や近隣関西の旬を大切にしながら、料理にも器にも静かな美意識が通う。
いただいたのは、季節の移ろいと土地の恵みを丁寧に表現したコース。料理長小倉氏の繊細な手仕事が光る、美しさと滋味を兼ね備えた至福の時間。
◆ 温付｜温かい鎧落とし
・淡路島の玉ねぎに、生胡椒の刺激が絶妙なアクセント。ふっくらと骨切りされた鱧は、舌の上でとろけるようなやさしさ。
◆ 鎧吸い
・出汁の透明感が見事。鱧の旨みをさらに引き立て、体の芯まで染み渡る一椀。
◆ 前菜
・胡麻豆腐ピュアホワイト 枝豆添え：とろりと滑らかな豆腐に、枝豆の甘みが映える。
・炙り蛸と金時草のおしたし：胡麻の香りが立ち、ほのかな苦味とのバランスが秀逸。
・帆立炙りと瓜のマリネ：ほんのり甘い金系瓜とベビーリーフの爽やかさが、炙った帆立の旨味を引き立てる。
◆ 造り
・天然真鯛、鮪、縞鯵の焼霜造り、烏賊：氷の器で供され、夏の涼感を演出。山葵、紫芽、柚子胡椒オイルなど、薬味の多彩さも魅力。
◆ 進肴
・甘鯛の香揚げ 白髪葱と花穂紫蘇をのせ、スープ仕立てに。カリッと揚げた皮目と出汁の調和が素晴らしい。
◆ 强肴
・無花果の胡麻クリーム掛け：和の胡麻ソースがフルーツの甘さを引き立てる、印象的な一皿。
・神戸牛の炙り出庵焼き：翡翠茄子や南京、香味野菜とともに、生姜餡でさっぱりと。
◆ 食事
・五種の薬味で楽しむ鰻茶漬け。まずはそのまま、次に薬味と出汁で。炭火焼きの香ばしい鰻が堪らない。
・香の物：水茄子、胡瓜、昆布佃煮などが色とりどりに並び、食後の余韻を整える。
◆ 甘味
・抹茶あんみつ：宇治抹茶アイス、白玉、餡子、赤えんどう豆に寒天。
・濃茶の黒蜜がしっかりと全体をまとめる。素材の味を活かした、上品な甘さ。
全体を通じ「品格のある和」の美学が一貫してこだわり抜かれたコース。
華美ではなく、それでいて一皿ごとに「おっ」と心が動かされる品々。まさに、一期一会の“時宜”を味わえる嗜好の夜。