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サヴール（SAVEUR）のバターケーキ
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2025/02/02 更新
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先日、田園調布にありますバターケーキが有名なお店、サヴール（SAVEUR）に行ってまいりました。
田園調布、そうあの田園調布です。渋沢栄一の、長嶋茂雄の、張本勲の、田園調布です。私が初めて田園調布を知ったのは小学3年生、友人宅のモノポリーゲームでのことです。小学生とはいえ都内在住ですから銀座、赤坂が高いことくらいは知っていました。そんな中、異彩を放っていたのが「田園調布」です。「ふふーん、さてはすごーい田舎の調布だな」と小馬鹿にしていたら、価格200！！これはどうゆうことだ？北千住60に対して田園調布200？！これは何かの間違いではないか？と友人に聞いたところ、どうも田園調布は富豪密集地帯、自他ともに認める富豪のみが生息を許されたヨーロピアンな街だと教えてくれました。その頃から私の中で田園調布が憧れの街になったのです。
そんな訳で、堂々と田園調布の駅で降車する口実ができたことは嬉しいかぎりです。サヴールさんは田園調布駅東口から3分。出口から真っ直ぐに歩くだけ、非常にアクセスが良いお店です。残念ながらエトワール調の高級住宅地とは逆サイドではありますが、瀟洒な駅舎を通過するだけで身が引き締まる思いです。
私は絶対にバターケーキを購入したかったので、前日にお電話にて冷凍バターケーキ、ガトー・ア・ラ・クレーム1本を予約しておきました。冷凍でも最低3時間前に冷蔵庫へ移動すれば美味しくいただけるとのこと、また賞味期限が1週間前後あるため、近日中の摂取が困難な事態に陥っても安心です。もちろんサヴールさんでは通販も活発に行っており、おうちが遠い方、お足が悪い方もお取り寄せで楽しんでいただけます。
バターケーキの種類はガトー・ア・ラ・クレームという一番オーソドックスなもの以外にバニラ風味、季節の風味マロンがございました。そして焼き菓子も何点かありました。バターケーキはスライスでの販売もありましたので、バニラとマロンも買っちゃおうかな、、と大変悩みましたが、珍しく理性が勝ちました。
ところでバターケーキというと少し昭和な香りがします。その理由はバタークリームが日持ちするからでしょう。1950年代後半、三種の神器の一つ冷蔵庫が普及するまでは日持ちするバタークリームでデコレーションされたバターケーキがクリスマスを席巻していたのです（多分）。ところが高度経済成長期と共に生クリームとイチゴがデコレーションされショートケーキが台頭してきます。さすがは日本人、西洋文化に憧れてクリスマスケーキが流行ったくせに、結局は縁起の良い紅白カラーが大好きなのです。日本人は皆、源平合戦の勝者か敗者、さてはDNAに紅白が組み込まれているに違いありません。おめでたい時は紅白！紅白歌合戦、紅白饅頭、紅白幕、紅白ケーキ！生成りのバターケーキは聖戦に敗れました。しかしです、時にはバタークリームがぺっとり塗られたバターケーキを食べたい時もあるのです。濃厚なバターの香り、溶けそうで溶けない存在感のあるクリーム。昭和を知る方ならご賛同いただけるのではないでしょうか。
そして本日、サヴールのバターケーキがその欲望を完璧に満たしてくれました。お気に入りのクイストゴー、レリーフのお皿に置くと、あらまー本当に素敵なのです。あたかも秋めいたデンマークの森に建つ可愛いお家のようです。バターケーキの美しい断面に見とれつつフォークを丁寧にさし入れます。伝わるバターの硬さ、口へ含む際に抜ける風味、口の中でスポンジが程よくバターと合わさり、まろやかに溶けていきます。お上品、誠にお上品。そもそも「SAVEUR」とはフランス語で「風味」という意味です。その通りです。こちらのバターケーキ、風味が素晴らしいのです。もちろん主人も「これ、うまい」と小さな目を見開き、いつも通りの返しです。語彙力の欠如、創造性の欠落。ともあれ、彼が「これ、うまい」「パチクリ」した時はちゃんと美味しい時です。夫婦で黙々と食べ進め、高価なヴィンテージのお皿からバタークリームを必死にこそげ取り、あっという間に食べてしまいました。主人も私も大満足のケーキでした。
私「やっぱりさー、田園調布て格調があるよね。子供の頃にモノポリーで知ってから憧れの街なんだよねー。」
主人「え？モノポリーって日本版があるの？え？ださくない？僕の家にあったモノポリーはアメリカの地名だったけど。え？ださくない？ハハッ、ださい。」
最終的に何となくイラッとしましたが、まだ冷蔵庫に半分バターケーキが残っているので、私はとても幸せです。ブログを読んで下さった皆さま、機会があればサヴールのバターケーキをお召し上がりいただければと思います。