桑畑三十郎さんのマイ★ベストレストラン 2011

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桑畑三十郎の旨い店・怪しい店

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

鳥一 (志木 / ホルモン)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥2,000~¥2,999 -

2012/03訪問 2012/04/25

【3月30日で閉店】ありがとう鳥一。

12年3月再訪

この日が営業最終日。数か月ぶりに訪問すると、オニーサンが飲み物を運んでいる。
マスターが体を悪くしているのでお手伝いかな?と思って尋ねたところ、なんと、鳥一の跡継ぎですと!

マスターがお店を閉めると聞いて、当店の味を引き継ぎたい、と名乗り出てくださったようだ。
店名は変わるものの、駅前のすぐ近所に物件も決まり、5月には開店されるとのこと。
マスターも体調が良くなれば顔を出すそうだ。

しんみりした気分で店を訪れたのだけれど、思わぬ朗報にうれしくて飲みすぎてしまった。
他の常連客も「新生・鳥一」に、大いに期待しているようだ。
ありがとう鳥一。志木の「ともしび」みたいな店だった。


11年11月再訪

肉質だの、店の清潔度だの云々をすべて差し置いて、アタシが一番親しんでいる店。


建物の取り壊しにともなう立ち退きと、マスターの体調により、12年3月で店を閉めることになった。


約15年にわたって通い続けた店なので、言葉が見つからない。
あと何回通えるかわからないけれど、この店で飲める幸せを大事にしようと思う。


08.2月更新
「志木で一番ディープな店」

ようやく「絶品レバ刺し」写真をアップしました。
疲れがたまったときは、鳥一でレバ刺しとホッピー頼んで、マスターと
世間話するだけで元気になる。私にとっては避難所みたいなお店です。

ちなみにこのお店、椅子がバラバラ。4種類ぐらいあります。
いちばんボロボロの長椅子は、端っこに座ると、もう片側の人が浮き上がります。
「横浜博」のパビリオンで使われていた椅子なんだそうです。なんでここに…?

07.8月のレビュー
一見バラックのような外観、たじろぐほどに黒ずんだ内装、
夏でもエアコンなしの店内からは七輪の煙がもうもう・・・
ほとんどの人は入店をためらう見た目にもかかわらず、志木駅前で
30年以上繁盛しているもつ焼き店。

人気の秘密は仙人みたいなマスターの人柄と、なにより美味しい
豚モツです。

メニューは豚もつ焼き(カシラ・レバー・白モツ・ナンコツ・ハツ・タン)
各一皿500円、レバ刺し650円、あとは野菜焼き、お新香、冷奴、お餅と
至ってシンプル。
 
特におすすめはレバ刺し。友人を連れて行くと、後で必ず
「あのレバ刺しのお店に行きたい!」とせがまれます。
また、もつ焼きのタレは自家製。バーベキュー用にこれだけ
売ってもらいたいほどの美味しさです。
最後に焼き餅をたっぷりのタレにひたして食べると幸せ。
生ビールはなく、飲み物はほとんどの人がホッピー(300円)。

15人も入ればいっぱいの店内。マスター一人でやっているので、
混みだすと注文を忘れることもしばしば。
こんなお店ですから「美味しいモツが食べられれば、あとは
細かいこと言わん」という鷹揚な方が向いているかと思います。

  • マスター 掲載承諾済み
  • 記念に
  • マスターの故郷新潟。この絵を描いた留学生は、のちにルーブル美術館の館長になられたそうだ。

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2位

千松しま (本塩釜、東塩釜、西塩釜 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥10,000~¥14,999

2011/05訪問 2011/10/06

宮城の至宝

2011年8月再訪

震災後、ようやく営業を再開されたと聞いて、念願の夜訪問。一万円コースを予約した。
まだ、地物の魚が満足に入る状況ではないものの、はぜ、ほや、きんじろがれい、車えびなどのお魚と、当店ならではの美しい盛り付け、丁寧な料理に魅了された。無口で凛とした雰囲気を漂わせる(でも話すといいひと)ご主人と、明るく話し上手な奥様のコンビネーションも絶妙。
全体的な満足度において当店を超える店を知らないことと、唯一無二の店であることから★5つに変更。

費用対満足度の素晴らしさは、都内の一万円台和食とは比較にならない。
敢えてひとつだけ難点を云えば、品数とボリュームがありすぎて、女性や年配者の胃袋だと最後までたどり着けないこと。
今回は〆のハゼ天丼が食べられそうになかったので天ぷらにしていただき、水菓子は(同行の友人用に)お持ち帰り。
同行の友人などは、あまりにもお腹いっぱいになりすぎて、しばらく座敷で腹を出して寝ていたほど。
聞けば、以前は京都並みにボリュームを抑えてコースを組み立てていたが、当地では「お腹一杯食べきれないほど」出さないと満足してもらえなかったため、敢えて量を多めにしているのだという。
胃袋の容量に自信のない方は、予約時にその旨伝えておけば調整してくれると思う。

ところで、当店を訪問する際に悩ましいのは、どこに泊まるかということと、行き帰りの足。
我々は今回、仙台駅前に宿をとって仙石線(本塩釜まで約30分)とタクシー(本塩釜駅から店まで約800円)を利用した。
車だと酒飲めないからねえ。

もうひとつ補足すると、当店はなかなか予約が取れない。
席数はそこそこあるのだが、ご主人が納得できる料理を出せる人数しか予約をとらないので、特に休前日の予約は困難。
宮城方面への旅行が決まったら、何を差し置いても先に予約をとっておくことをお勧めします。


2011年5月再訪

震災から2カ月、本塩釜にある「千松しま」をお見舞いがてら訪問した。

当店は高台の住宅地にあり、津波の被害は免れたものの、ご親族が被災されたことと、当地の漁業が壊滅的な被害を
受けた影響などにより、現在も休業中である。

震災後しばらくは再開の見込みが立たず、ご主人も気落ちしておられたそうだが、お子さんたちから
「お店が開けられないなら、通信販売でもしてみたら?」
とアドバイスされ、一念発起して通販用の料理に取り組みはじめたそうだ。

何度も試作を重ね、ようやくご主人の納得のいくものが出来たということで、自宅に送っていただいた。

基本的にお任せ3種の詰め合わせだが、素材の入荷状況によって内容・価格は変動するとのこと。
今回届いたのは「牡蠣の燻製」「鰻の山椒煮」「鮑・新生姜・昆布の炊き合わせ」4000円。

「牡蠣の燻製」
いったん味噌漬けにした牡蠣を燻製にして、さらに濾した梅干しで軽く酸味をつけたもの。
これ、素晴らしく美味しい。牡蠣の燻製が好きで、よく自分でも作ったり買ったりしているけれど、千松しまらしい
工夫がきいている。

「鰻の山椒煮」
鰻を山椒の実とともに濃いめの味付けで炊いたもの。
京都などでよくお土産で売られている鰻の山椒煮は大抵パサパサしていたり堅かったりで美味しくないけれど、
当店の鰻の山椒煮は、常連客向けにお土産として出していたものだそうで、安定感のある美味しさ。
お茶漬けにしたら鰻の旨味と山椒の爽やかな風味が溶け出して、とても良かった。

「鮑と新生姜と昆布の炊き合わせ」
小ぶりの鮑と地物の新生姜、昆布を薄味で炊き合わせたもの。
鮑入れてこの値段で大丈夫ですか?と確認したのだが、あまり儲けを載せる気はないらしい。
ご主人のお人柄がうかがえる。

本来当店では、天然鰻や松島産の牡蠣を使って料理を出していたのだが、残念ながら現在は手に入らない。
食材は他から取り寄せたものであるけれど、味はたしかに「千松しま」らしい丁寧なもので、お酒にはもちろん
ご飯のお供にも重宝しそうな味である。
市販の佃煮のようにベタベタせず、素材の味が生きているのが良い。


ただし、当店のお取り寄せは、クリック一つで届く通販のように便利なものではない。
その点は事前にお伝えしておく。

まず、工場生産ではなく、ご主人ひとりで手作りだから生産量には限界がある。
1日10セット程度がやっとだそうで、場合によっては日にちがかかるかもしれない。
日持ちもしない。(保存性よりも味を優先しているので)

包装も、手に入る既製品でなんとか揃えたということで、決してゴージャスではない。
(しかしながら、ご主人の手書き説明文には、あたたかみを感じる。)

ご夫婦そろってPCも携帯のメールも使えない。店舗のwebサイトもない。
だから注文は電話のみ。銀行に振り込み確認するのも大変なので、基本的に代引きで
お願いしたいとのこと。
(中間マージンがない分、かなり良心的な価格になっている)

それでも構いませんよ、というかたのみ、ご注文をお勧めします。
幸か不幸か、食べログ以外では告知しないようなので、当分は注文殺到ということはないと思う。


以下、すでにジゲンさんがアップされているので、コピペで失礼。

◆千松煮 おまかせ三種セット ★★★★★

 3,500円~4,500円(税込み・送料別) 
 商品代金は、季節折々の食材によって変動します。
 
 注文方法は電話注文のみ 
 基本的に代引きでお願いします
 (銀行振り込みは確認に時間がかかるため)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


6月中旬から徐々に営業を再開するそうで、通販は店舗営業が軌道に乗るまでの限定発売だそうだ。
「被災地支援」などと大仰に構えるのではなく、「千松しま」の美味しい料理を取り寄せて楽しみ、当地に思いを馳せる。
食いしん坊なりのやり方で、これまで美味しいもので楽しませてくれた宮城への恩返しをしたい、と思っている。

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2010年9月訪問時のレビュー

【松島料理】

漁港が見える店で海の幸、ってのは気分が盛り上がるんだが、実はこういう店ってオサカナの鮮度に頼りすぎて調理技術が
追い付かないことが多く、よく言えば「豪快」悪く言えば「雑に切っただけ焼いただけ」の魚を、腑に落ちない表情でモゴモゴと食べる、
という経験を何度もしている。

当店は食べログを始めた当初からずっと行きたいと思っていたのだが、いつも無計画な突発旅行ばかりしていたから
予約必須の当店にはなかなか訪問できずにいた。9月上旬、同行の友人たちの周到な手配でようやく念願が叶う。

店は高台の住宅街にあり、個室からは遠く松島の海と島々を見渡すことができる。
今回は常連さんの紹介で、特別に昼の貸切営業をしていただいたが、通常は夜のみの営業であるらしい。

食べログでは東北ナンバーワンの評価を得ている名店であり、同行の友人たちが詳細なレビューを上げてくれているので
特に印象的だった料理のみご紹介したい。


写真4枚目手前の「さんまの糠漬け」と写真5枚目「ハゼのわた和え」。

さんまの糠漬け
生でほんの少しの時間ぬか漬けにして、山形の漬物「だし」同様みじん切りにした野菜のぬか漬けがかけられている。
「へしこ」のように魚をぬか漬けにして焼く料理は食べたことがあるが、糠漬けにして刺身というのは新鮮だった。
ただ刺身で食べても美味しいさんまに、糠漬け特有の旨味と香りが加わって妙味。
さらに、漬けたさんまを焼き、胡瓜の古漬けとともに飯蒸しにしたものも良かった。このような素朴なとりあわせの料理は
田舎くさくなりがちだが、そこは京都で修業されたというご主人ならではの洗練を感じる。

ハゼのわた和え
ハゼの背の部分の皮目を軽くあぶり、ハゼのわたと茗荷で合えたもの。
子供のころから秋になるとハゼ釣りをして、よく天ぷらで食べたから愛着のある魚。
東京湾のハゼを食べてきた人間にとっては、ハゼを生で、しかもワタを食べるなんて思いもつかないが、松島周辺の
綺麗な海で、とびきり鮮度がよいからできるのだろう。ワタのわずかな苦みとこくが、ハゼの身の甘味をひきたてる。

また、海のものだけでなく山のものも吟味されていて、知り合いから特別に分けてもらっているという梅干しや
ぜんまいの煮物も上品な味わいであったし、女将さんが今年はいまひとつ、と仰っていた鶴岡の枝豆も、
私がこの夏食べた中では一番味の濃い枝豆だった。
この日に出された海の幸は、他に赤柄、ぎんぽ、かながしら、ミンク鯨、まぐろ、ニシ貝、ほや、柳鰈など。
雲丹だのアワビだの鯛だのといった「格好の付きやすい海の幸」を使わずに、あえて知名度の低い地物の魚を
つかい、京料理の土台がありながらも、当地らしい手間と工夫を加えて食べさせる。
この料理は東京でも京都でも食べることができない。まさに「松島料理」と呼んでいいだろう。


9月上旬という、海のものも山のものも中途半端な時期に、これだけ楽しませてくれるというのは大したものである。
秋が深まった時期ならさぞや・・・と思うが、これは来年以降の楽しみにとっておこう。

  • 夜コース
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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3位

よーかんちゃん (鶯谷、入谷、上野 / その他、バー)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 -
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2011/03訪問 2011/11/09

鴬谷の神様

あまりにも久々すぎて、レビューの書き方すら覚えていないのだが書いてみる。


「よーかんちゃん」のことは、ずっと気になっていた。
鴬谷のどこか、煌めく店内で夜毎「よーかんちゃん」が歌い舞い踊り、皆を楽しませてくれるのだという。
だが、一見さんお断りの紹介制、お客は芸能人や財界人が中心ときいて、アタシには縁のない世界かもしれぬと
半分諦めつつ憧れていた店だった。


が、常々「よーかんちゃん行ってみたい」と呟いていたのが良かったのか、ある日突然、常連さんから友人を通じて
お誘いをいただいたのだ。
それから数日間は嬉しくて、よーかんちゃんを唯一の心の糧として生きていた。
当日など、あまりに興奮しすぎて、よーかんちゃんの前に酒場を2軒もハシゴしてしまった。


店は鴬谷のさびれたラブホテル街にあり、店の外には「宮内庁御用無」「会員制」の看板。
異界への入り口は、一見、閉鎖的なスナックである。


店内は写真の通り「光り輝くもの」で溢れていた。
一見雑多に見えるけれども、それは今までよく見てきたキワモノカオス的な装飾ではなく、一つの方向性と思想のもとに
高密度で配置された「発光物体」「反射物体」「動作物体」「よくわからない物体」の数々である。
アタシはいわゆる「ディズニーランド的」なもの、キラキラと輝いて楽しくて蔭のない光・・・というものを心から好きに
なれないのだが、この店の眩い光は、その背後に闇を感じさせる。店が終わって、電源を落とした後にあらわれる真の闇。
闇を意識させるこの光は、ディズニーランド的な光とは明らかに異なる。
だがしかし、この闇はオソロシゲなものではなく、黒いビロード、もしくは温かい泥を思わせるような深く柔らかな闇である。
この闇があるからこそ、アタシはこの光に、言い知れぬ魅力を感じるのだろう。


よーかんちゃんは瞬時にアタシたちの名前を憶え、的確な話題を振り、店内をくねくねと練り歩き、キュートな歌を披露する。
奥様と女性スタッフが、愉快な歌に合いの手を入れる。
客はナニカの水割りを飲みながら、ぱっかりと割れたエロティックな色合いの柘榴やパッションフルーツを口にしながら
よーかんちゃんの歌に腹を抱えて笑う。
もう30年以上も、この素晴らしきショウは繰り返されているのだという。


よーかんちゃんの名の由来とか経歴とか歌の内容とか料理とか、そんなところはどうでもよくて、伝えたいのは
本当にもう、アタシが楽しくて楽しくてしょうがなかった、ということだ。


このころ身辺にいくつかの問題が生じ、心底人生が面倒臭くなっていた時期だったのだが、この店を体験することで
何かが吹っ切れた。人生において、当の本人がどうしようもないほど苦しんでいる問題は、高い位置から俯瞰してみれば
どうでもよい問題であり、その高い位置へ、他ならぬよーかんちゃんが導いてくれたのだ。


私は宗教心や信仰心など持ち合わせてはおらぬが、神様って案外こういう処にいるのかもしれないと思った。
鴬谷のラブホテル街の谷間、闇に現れる、ピカピカメガネをかけた光り輝く神様。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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4位

レストラン カーウントカー (溜池山王、国会議事堂前、虎ノ門ヒルズ / ヨーロッパ料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2011/11訪問 2011/11/30

重厚そして軽やか

「都内で、どこでも好きな店に連れて行ってあげるよ」 と言われたら 「K.u.K!」 って即答するぐらい好きな店。
(誰もそんなこと言ってくれないけどナ!)

世界の都市の中でウィーンが一番好きなので、K.u.Kはながいこと憧れの店だった。
オーストリアの料理ってのは、お菓子は綺麗だけれど食事は見た目パッとしない。団子(クネーデル)だの煮込(グラーシュ)だのといったモッサリした料理が多く、フレンチやイタリアンのような華やかさはない。あのモッサリ料理をどうやって「宮廷料理」のレベルまで高めるのか興味があった。

で、1年おきに2回訪問してみての感想。

良い意味で、見た目と味わいのギャップがある。
見ての通り、盛りつけは上品ではあるものの、いまどきのアレコレちまちま盛ったり、絵画のように飾りつけたりする皿ではない。
「ニク!」「ソース!」「ツケアワセ!」「終了!」って感じの、たいへんシンプルな構成である。
白身魚のクレープ包み、鴨のローストにワインとカシスのソースなど、一見ちょっと重たい感じもする。
しかしながら味わってみると、もちろん味わいに厚みはあるものの、後味がすっ、と消える感じで、後に重さやしつこさが残らない。梅山豚のバインシンケン(超うまいハム)も、チーズを使った泡のスープも、ケーゼクラッハ(超うまいチーズ)も、口に入れるとぶわっと旨みが広がって、ワインを含むとさらにウヒャー極楽! となって、でも飲みこんだあとは舌と鼻がきれいにリセットされており、味と香りの記憶だけが残る。実に軽やか。
付け合わせやソースも必要十分で必然性がある。とくに、バインシンケンに添えられたマスタードのソースは、これだけでワイン3杯行けそうな魅惑の味。

毎回、料理に合わせたバイザグラスのワインのコースを頼むのだけれど、ここの白ワインがまた、素晴らしいのだ。
前菜・スープ・メイン・デザートに合わせて、それぞれ「ナミナミ」注いでくれて5000円ほど。もう少し飲めるなら、乾杯用にゼクトを1杯。全くのワイン素人であるアタシでさえも、ここの白ワインと料理の組み合わせは毎回感動するし、ワイン好きの同行者はかなり喜んでいたので、お好きなひとは更に楽しめると思う。

また、当店は甘みの使い方と選び方がとても巧いと思う。なにしろ、甘いものが苦手なアタシが、当店ではケーゼクラッハにハチミツ垂らしたのをツマミに、トロッケンベーレンアウスレーゼ(極甘口ワイン)舐めて、さらにウッカリするとデザートまで平らげちゃうぐらいだもの。
ちなみに焼菓子はお隣のツッカベッカライカヤヌマのもので、食べきれなかったものをお土産に包んでもらった連れは、その夜「ちっこい菓子がうまいんですけれども!」と叫んでいた。そう、アタシもここのケーゼベッカライだいすきだ。

店内はゆったりとシックな内装。平日の夜だとあまり混まないので、ゆったり食事できる。
客層はかなりオトナ。デートや接待と言った「ひとに食べさせる」需要は多くなく、自ら美味しいものを食べたい人だけが訪れているという感じ。

サービスは、押し付けがましくなく行き届いた印象。
SALONE」や、カンテサンス的なマニアックな解説やハッピーバースデー!的な派手な演出を好むかたにはお勧めしない。

訪問前はとにかくお高い、というイメージがあったのだけれど、実はそうでもない。

ディナーのコースが12000円と8500円。大食い、もしくは「高いほう」を頼まねばならぬ事情がなければ、質量ともに8500円で十分。
コースの内容は、アミューズ・前菜・スープ・メイン・デザート・食後の飲み物・プティフール。
追加注文で名物のバインシンケンと、食後にケーゼクラッハを2、3人で1人前程度。せっかくK.u.Kに来たなら、この2つは絶対に頼んだほうがいい。

これにバイザグラスのワインのセット、乾杯用のゼクトをつけて、〆ておひとり16,000円~18,000円ほど。
そりゃ額としては高いけれど、費用対満足度で考えると、十分に納得できる。

初めて行って感動した店って、2回目はある程度「種明かし」を知っている分感動が薄れ、見る目が厳しくなる。舞台袖でマジックショーを見ているようなものだ。演出が派手な店ほどそうなりやすい。
しかしながら当店は、2回目の訪問でも、感動が薄れるどころか「あー、やっぱりKuKはいいナア!」と感心することしきり。 

ウィーンとオーストリアの料理と白ワインが好きなアタシにとっては、ほぼ「完璧」に近い店。
次はいつ行こうかと楽しみにしている。

  • バインシンケン
  • ゼクト
  • (説明なし)

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5位

魚信旅館 (尾道 / 日本料理、料理旅館)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥10,000~¥14,999

2011/08訪問 2011/10/14

おこぜを知り尽くした「おこぜや」の「おこぜ尽くし」

尾道は手ごろな店から高級店まで、魅力的なお店が沢山あって迷ってしまう。
そんな尾道でも、とびぬけて評価の高いお店が、この魚信旅館だった。何しろ、あのウィーン君が、当店のオコゼ尽くしのコースに★5つをつけている。

オコゼのゼラチン質の皮とぷりぷりした白身は、刺身でも煮つけでも大変に美味しい。が、高級魚の割に見た目がたいへんにゴツく醜いのと、棘に猛毒があり処理が難しいせいか、アタシが行くような手頃な和食店ではあまり見かけない。ましてやオコゼ尽くしのコースなんて聞いたことがない。これは食べてみたいぞ。

当店は別名「おこぜや」と呼ばれるほどオコゼで有名な店らしい。旅館だが食事のみでも利用できる。
しかし、店のHPを調べても、オコゼづくしのコースは見当たらない。普通のコースの中にオコゼの料理が1,2品入るコースばかり。当店は料理旅館なので、宿泊しないと出してもらえない特別コースなんだろうか・・・でも宿泊は結構高いよなあ・・・などと悶々。
結局お店に電話して、「オコゼづくしのコースが食べたいんですが・・・」と尋ねてみたら、オコゼづくしで8800円のコースがあるとのこと。昼食としてはかなり贅沢だが、食い気に負けて予約した。

尾道駅から15分ほど歩いた海沿いにある。尾道の街並みに溶け込む風情ある外観。
築100年、数寄屋造りの旅館で、建て増しを繰り返したのか複雑な作り。古いけれどよく手入れされている印象。食事だけにもかかわらず、海に面した眺望の素晴らしい客室に通されて嬉しくなる。席には一筆箋で手書きのメッセージも添えられており心遣いを感じる。

季節やオコゼの入荷状況によって品書きが変わってくるようだが、この日の品書きは以下の通り。

○オコゼ煮凝り
○オコゼ薄造り
○オコゼ煮つけ
○オコゼ唐揚げ
○オコゼそば米蒸し
○オコゼ赤だし
○ウニ御飯
○こもんアイスクリーム

本当にオコゼづくしである。特に良かったのは「煮凝り」「薄造り」「煮つけ」。

弾力ある身もさることながら、オコゼの魅力はなんといってもゼラチン質の皮や身から染み出るうまみにあると思っている。皮やいろんな部位をたっぷり使って、ゼラチン質と旨みが凝縮された煮凝り。
今までに食べた煮凝りの中でもトップクラスの美味さだった。一口で、わざわざ尾道まで足を伸ばして良かったと思わせる煮凝り。

薄造りは、弾力ある白身もさることながら、添えられた皮や内臓が良い。コリコリと噛みしめるごとに旨みが出てきて、そこに冷えた地酒「天保一」を流しこむ幸せといったらアナタ。

そして、なんといっても素晴らしかったのが「煮つけ」。最初、ちょっと煮汁が濃いめかな?と感じたが、密度のあるおこぜの白身と合わせると丁度良い力強さ。これまでにもオコゼの薄造りや煮つけを食べたことはあったが、ここまで夢中で食べたのは初めて。おそらく、この近辺が漁場として恵まれているうえ、「おこぜや」と呼ばれるだけあって、オコゼの美味しい調理法を熟知しているのだろう。あまりに美味しかったので、最後はお湯を注いで骨汁にしてキレイに平らげた。「おこぜのおこぜ」が、その証拠写真となるだろうか。

そば米蒸し、赤だしといった脇役にまでオコゼが使われていて、どちらも手抜きなく感心させられる美味しさ。唯一もったいないなと思ったのは唐揚げ。骨までカリッと揚げるための配慮だと思うけれど、やや揚げすぎなのと量が多いのとで食べきれなかった。
〆のウニ御飯はいわゆるウニ丼。真ん中にうずら卵を落とすのは、尾道~今治エリア一帯の特徴なんだろうか。ウニの産地が近いから当然の美味しさ。

食後はお腹いっぱいになりすぎて、さらに客室だったのでごろんと横になってしまった。ああ、このまま泊まれたら最高なのに。

ビールと地酒の4合瓶をつけて、1人当たり12000円ほど。それでも費用対満足度は高い。この手の白身魚は若い人にはあまり受けないので、万人にお勧めするわけではないが、煮こごりの写真にピンときたかたはツボかも知れんね。
通常のコースでも「薄造り」もしくは「唐揚げ」は入っているようだが、何といっても「煮つけ」と「煮凝り」が良かったので、オコゼ尽くしのコースをお勧めしたい。他のかたのレビューを見ると、おこぜが不漁のときは完全におこぜづくしのメニューが出来ない時もあるようだ。
天然ものだから仕方ない。

ウィーン君も書いておられたが、観光地の旅館の夕食というのは大概がっかりさせられるものだ。当店はロケーションの良さに加え、この料理の充実度。次回はぜひ泊まりがけでゆっくり訪れたい。

  • おこぜ煮つけ
  • おこぜのにこごり
  • おこぜ薄造り

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6位

チャテオあくさん (十日市町、本川町、土橋 / ステーキ、創作料理、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2011/08訪問 2011/11/30

煙の世界

まず店名からして訳がわからない。移転する前は「至福の世界 チャテオあくさん」という、さらに訳のわからない名前だった。
何だよ○○の世界って。男の世界マンダムかよ、などとツッコミを入れながらレビューを読んでいた記憶がある。

で、何でわざわざ広島まで来て、穴子も牡蠣もお好み焼きも食べずに当店を目指したかと言うと、マニアの匂いが漂っていたからだ。

アタシはひとつの物事を極めたヒトというのを尊敬する。頑固職人的なストイックさもいいけれど、どちらかというと「アータ、そこまでやるの??」と呆れられるようなマニアックさを好む。
ウィーン君のレビューを読んで、当店のご主人に、その種のマニアックさを嗅ぎつけたのだ。

当店、地元においては「肉料理の店」として、普通のOLさんグループやカップルで賑わっている。
で、もうひとつの顔が「燻製料理」と「発酵料理」の店。当店、とにかくなんでも燻製にしちゃうのだ。

今回注文したのは、野菜以外はすべて燻製という燻製尽くしのコース8000円。
さて、どんなものが燻製にされていたかというと

卵・干しぶどう
あさり・川エビ・さざえ・アユ・岩のり
にんにく・大豆・しいたけ
サーモン(上に載っている岩塩が燻製らしい)
干し玉ねぎ
ステーキ・ベーコン・チーズ
といった具合。

卵の燻製ひとつとっても、普通の燻製卵とは違っている。そのへんで売っている燻製卵はこげ茶色のかた茹で卵だが、当店のそれは赤玉卵そのままの色で、黄身も半熟。それなのにちゃんと燻製の風味がついている。

肉やチーズの燻製はよく見るが、魚介類や野菜の燻製と言うのも珍しい。チップの種類やベースの味付けを色々替えているせいか、それぞれ味わいが異なり、燻製ばかり食べ続けていても飽きない。
当然ながら、手当たり次第に燻製にして出しているわけではなく、色々試して美味しかったものを出している印象。
薫製コースの場合、最初に何の燻製か説明されないので、食べてみて当てる、というのも楽しみの一つ。
ワインはボトルの白、ジュブレシャンベルタンだったかな。肉料理や燻製に合うものが数本セレクトされている。

ご主人は一見コワモテのおっさんだが、アタシがウマイウマイとニヤケながら食べているのを見てか、カウンター越しに色々と話をしてくれた。
色々と面白いものが出てくるので、つい「これ何ですか?」と聞いちゃうのだけれど、「まず食べてから聞け!」と何度も叱られた。笑
ほとんどの燻製が素晴らしかったのだけれど、唯一ステーキ肉の燻製だけが、切り身が大きかったせいか塩けの強さと硬さが気になり、あとでお願いして小さく切り分けてもらった。
そのとき、ご主人がどうも納得いかなかったらしく、わざわざ元の肉をステーキにして出してくれた。とても良い肉だった。
このひと燻製マニア、ってか料理マニアなんだなあ・・・としみじみ感動した瞬間だった。

2年漬けた牡蠣の塩辛など、気になる発酵料理もいろいろあったのだけれど、お腹がいっぱいで注文できなかったのが残念。
予約すれば醍醐も出せるそうで、これも食べてみたかったなあ。

帰りに食べきれなかった燻製をお土産に包んでもらったのだけれど、オマケだといって、生のデラウェアの燻製も付けてくれた。
生のブドウを燻製にしちゃう発想。今までにも、きっととんでもないものを燻製にして試行錯誤を続けてきたのだろう。

東京にもいくつか燻製料理の店があり、行ったことがあるけれど、ここまで突き詰めた店はそうそうないと思う。
ご主人におかれましては、これからもマニア道を突き詰めていただきたく存じます。

  • ステーキ肉、ベーコン、チーズ
  • 卵・干しぶどう
  • あさり、エビ、アユ、さざえ、海苔

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7位

みなと食堂 (陸奥湊 / 食堂、海鮮丼、郷土料理)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2015/07訪問 2016/08/25

ミナトで待ってるぜ

2015年7月
再訪超多数 飽きもせず、毎年行ってるなあ。

このお魚が東京で呼ばれるところの平目かそうでないかは置いといて(サイズと脂ののり具合からして、違うような気もする)平目漬け丼は不動の定番。

さらに今回印象的だったのはホヤ。
ホヤ好きの同行者と八戸周辺のホヤを食べまくったなかで、当店のホヤが1番味が濃くて肉厚で美味しかった。

ご主人に尋ねたところ、八木産のホヤを買えば間違いないよ。と教えられた。
みろく横丁の美味では種市のホヤが最高と言われ、あとで陸奥湊の市場で立ち寄った魚屋のオバちゃんは、八戸産を激しくプッシュしていたので、皆さんホヤの産地については一家言あるのだろう。なんか今回のホヤツアーで、ホヤの殻を見ればだいたい産地が分かるようになってしまった。

ご主人のすっとぼけたキャラクターも魅力。混み合うと時間がかかるのが難であったが、今回はお手伝いの女性が入って待ち時間が短縮された。喜ばしい。

2011.8月再訪

平目のヅケ丼といちご煮の美味しさが忘れられず再訪。
今回はヅケ丼の平目が綺麗に並んでいて見栄えがする。
生ウニもとびっきりの鮮度であった。裏切らない店だなあ。

2010.9月
9月とはいえ、早朝の八戸はひんやりと肌寒い。魚市場の食堂で朝食でも、と陸奥港駅をめざす。
草臥れてはいるものの、朝日を浴びてどことなく凛とした佇まい。
美味い店というのは外観からしてオーラを放っていることが往々にしてあるが、この店構えを見て
即座に「あ! こりゃ間違いない、旨い店だな! 」と確信した。

愛想がいいというわけでもないが、人のよさそうなオッチャンが迎えてくれる。
店内はカウンターとテーブル席がいくつか、我々が口開けのようで、ほかにお客の姿はなし。
手書きで無造作にペタペタと貼られた品書きをぐるりと眺めまわす。

マグロだの雲丹だのが入った、一般的な海鮮丼もあるが、ここは当店名物の「平目のヅケ丼」(1000円)、
ついでに地物使用と書かれた「いちご煮」(700円)、おまけに朝からビールも注文。

注文を受けると、店のオッチャンは厨房から姿を消す。店の裏にある市場へ刺身を仕入れに行くのだ。
実に合理的なシステムである。

軽くヅケにした平目がどんぶり一杯に敷き詰められ、真ん中に卵の黄身を落としてある。
付け合せはイカ焼きに海藻のお吸い物、お新香。

ご飯を半分にしてもらったので、少し大げさに言うと平目とご飯が1:1ぐらいの割合で口の中で混ざる。
漬け汁を吸ってうまみを増した平目に黄身がからまり、ご飯でほんのすこし温まって甘味が増す。
ご飯と平目を噛みしめている間、とても幸せな気持ちだった。
今までで一番美味しくもゼータクな平目の食べ方だったかもしれない。

イチゴ煮はこれまで缶詰で売られているものしか食べたことがなかった。見た目は地味だが、底のほうに
軽く火の通った雲丹とアワビ(とこぶしぐらいのサイズだったけど)が結構たくさん沈んでいて、汁にも
それらの旨味が溶け込んでいる。味付けは控えめで、まさに滋味という味わい。

周囲の雰囲気と、ストレートな店名、渋すぎる外観、温かみがありつつもそっけない店内、そして
シンプルで安くてうまい魚料理。パーフェクトである。
今までに行った漁港食堂のなかで、1番か2番か、というくらい気に入った。


この値段で、こんなに沢山平目が入ってて大丈夫なのだろうか、と少々心配になったが、
あとで市場での値段を見て納得した。小ぶりの平目が1サク200円。
他にも筋子や赤むつ、雲丹の貝焼きなどが、おいおい本当かよと目を疑うような値段で並んでいる。
なんなの、この天国。アタシ将来、ここに住もうかしら…と、なかば本気で思った。

  • 八木産ホヤ
  • (説明なし)
  • 平目漬け丼

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8位

仙人小屋 (甲斐大泉、甲斐小泉 / 郷土料理、オーガニック、肉料理)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2011/05訪問 2011/10/06

山菜岩魚茸鹿熊仙人調達調理

2011年5月再訪

友人たちと大人数で再訪。
2年前と比べると、有名になった分、ちょっと俗っぽくなったかな・・・
とはいえ、見たこともない山菜や獣肉、山の珍味を楽しめた。
今回のフォトジェニックは、菫の花が美しい山菜そば。普通の蕎麦屋で山菜そば頼んでコレ出てきたらビックリするよな。
秋の茸シーズンにも行ってみたい。


2009年5月

夫が同僚から聞いてきた話。
「八ヶ岳のちかくに、主人が自分でとってきた食材だけを出す店がある。山菜や茸はもちろん
川魚や鹿、猪などのケモノに至るまで、自分でつかまえてくるらしい」
いまどき、そんな昔話みたいな店あるんかいな。
店の名前は仙人小屋、ご主人は「仙人」と名乗る人物。ますます怪しい。行きたい。

5月末のとある平日、夫婦ともに休みがとれたので、アノ店に行ってみようと。
ナビで登録してあった場所に辿り着くと山の中。家なんか一軒もない。
心配になってきたところで、ぽつんと山小屋風の店が見えてきました。

仙人・・・ではなく、愛想の良いオニーサンがお出迎え。
店内も山荘風。あちこちに鹿の頭骨や熊の毛皮、剥製などが飾られています。

メニューは毎日変わるので入り口にしかない。入り口で決めてくださいとのこと。
メニュー写真を見ていただければ、この店の「本気」ぶりが伝わると思います。
さんざん悩んで鹿レアーロースト定食(2100円)、熊肉丼(1800円)山菜盛り合わせ
注文。定食類は単品でも頼めます。

壁にはずらりと果実酒、薬草酒が。
今の時期おすすめのアカシア酒(グラス700円)は、アカシアの白い花を漬け込んだもの。
5月の山間でむせかえるような甘い香りを放つアカシア(正しくはハリエンジュ)そのままの
甘い香りと味。アカシアハチミツ飲んでるみたい。

山菜盛り合わせ
仙人が朝4時から山に入って採ってくる山菜。その日とれたものをおひたしや油いため、
胡麻和えなどにして少しずつ。店内のカウンター前には、その日採れた山菜が並びます。
定番では根曲がり竹、うど、ふきのとう、こしあぶら、珍しいところでは、山ぶどうの若芽、
はりきり、いけま、なんてのも。5月下旬ぐらいになると、生食できる「幻の蕨」がとれるらしい。

鹿レアーロースト定食
「牛たたき」風に周囲だけ火を通した鹿肉。粒マスタードを添えて。
おそらく塩コショウをまぶして、フライパンで転がして焼いただけだと思うんだけど、ジューシーで
柔らかいし、旨味が強い。
今まで食べた鹿肉の中では、肉自体が一番美味しいと感じました。
冬の間に獲った鹿をとっておいて使うのだとか。
定食は「きのこ汁」「ご飯」「小鉢いくつか」がついてきます。
「きのこ汁」は、今の時期、茸は種類が少ないので、一部栽培品を加えていますが、秋になると
すべて天然茸になるそうです。

熊肉丼
かなりのボリューム。たっぷりの玉ねぎと一緒に、甘辛醤油味の炒めた熊肉が載っています。
「熊肉は臭い」というイメージがありましたが、ここの熊肉は血抜きをしっかりしてある上、
癖の強い脂を取り除いてあるので、思ったほど臭くはありませんでした。
ものすごく美味しいってもんじゃないけど、体が温まる感じがします。

お茶はセルフサービス。自分でヤカンから注ぎます。
「麦茶」「ジャスミン茶」のほか「唐松茶」「ニッキ茶」「せんぶり茶」なんてのも。
唐松茶は・・・松脂みたいな香りがしました。ニッキ茶は甘い。
夫は、勝手にブレンドして「十六茶風」の何かを作っていました。

写真の多さから、私のハイテンションぶりがわかるでしょうか
他にお客さんがいなかったのをいいことに、気になったものを撮りまくりました。
随所に貼り紙された「熊のとりかた」「猪のとりかた」「鹿のとりかた」の説明が面白かったので
興味のある方は写真を拡大して見てください。
「本当はどうやって獲るんですか?」「この獲り方ですよ。・・・100回に1回ぐらいは。」とオニーサン。

サービス担当のオニーサンによると、イチオシは秋の茸汁で、香りが素晴らしいのだそうです。
彼は茸汁の美味しさに感動して、この店に住み込みで働き始めたのだとか。
仙人は料理担当で、ほとんど表に出てきません。たまに奥から声が。

帰りしな、昨日仙人が作ったというマスの燻製をお土産に。
ふだんスーパーや釣堀で見かける虹鱒より、はるかに大きくて800円。
家に帰って酒のつまみに食べたら、身が厚くて火の通りが絶妙で、味も香りも良い。
もう2,3尾買えばよかったと後悔しました。
お会計はお土産込みで、2人で6,000円ちょい。

本当は☆4.5~5を献上したいところですが、人によって大きく好き嫌いが分かれそうなところと
ランキングが妙なことになりそうな予感から、☆4つに抑えておきます。
我々夫婦にとっては、ドンピシャで好みの店でした。これから間違いなく通うと思います。
まずは夏のやまめイクラ丼と秋の茸汁だ。

以下、訪問を検討している方へ伝達事項。
洗練された雰囲気や十分なサービスを求めるかたにはお勧めできません。
食に対する冒険心をお持ちの方にだけお勧めいたします。
トイレは店の外の小屋。環境に優しいオールドスタイルのアレですので、苦手な方は
ほかで済ませてきた方がよろしいかと。
週末、とくに秋の週末は店の外まで行列だそうです。座席の予約はできません。
食材にも限りがあるので、平日がおすすめとのこと。時期によって定休日が変わるのでご注意を。

  • 山菜そば
  • 山の珍味
  • 山菜しゃぶしゃぶ

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9位

みますや (小川町、淡路町、新御茶ノ水 / 居酒屋、日本酒バー、焼酎バー)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 3.0
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2012/10訪問 2012/12/04

みますや伝説

子供のころから、気の合う友達はいわゆる「変わり者」が多かった。
類は友を呼ぶ、と言われるかもしれないが、どちらかというとアタシは人目を気にして「マトモで良い人のフリ」をしたがるので、ひとから「アイツちょっと変わってる」と言われても気にせず自分を貫いている連中に憧れていたのかもしれない。

食べログにおいても、やはり「変人の匂い」がするヒトたちとコメント欄での交流が増え、ついには一杯やりましょうや、ってなことになり、「大阪の変態」と「越後のアル中」と初めて当店で呑んだのが3年半ほど前。
みますやの何が我々をそうさせたの分からない。異形のアジフライか、おそろしいほどのペースで飲み干された燗酒か、それとも、あらぬ形状のカラシを絞られた子持ち昆布か。ともかく我々は大いに意気投合し、以来、「チームみますや」という訳のわからないグループ名の下に、あるときはみますやで、あるときはトプカで、そのほかにもあんなところやこんなところで、数百キロの自宅距離を隔てているとは思えない頻度で酒を酌み交わすようになった。

「チームみますや」のみならず、当店ではさまざまな友人たちと呑んでいる。あるものはアジフライを山ほど頼み、あるものはトプカより美味いといわれているカレーを平らげ、決して上等とは言えない熱燗をくいくいと空けてきた。

当店が現存する日本最古の居酒屋だと知ったのは、もう何度もみますやに通ってからの話で、はっきり言ってしまうと、「味」「雰囲気」「サービス」ともに図抜けたものは何もない。そもそもアタシは普段、料理がああだこうだ、サービスが良いの悪いのと勝手なことを書き散らしているものの、実際のところ「酒」と「バカ話のできる呑み仲間」さえいれば、店なんざどこでもいいのだ。
それでもみますやには何かがある。いつも混んでいるけど、オネーサンはあんまり日本語通じないけど、あの尻尾のないアジフライはどこかへ行ってしまったけれど、アタシにとって特別な店。

  • 伝説の尻尾なしアジフライ
  • アジフライ
  • 最近のアジフライ

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10位

鳥しき (目黒、白金台、不動前 / 焼き鳥)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2011/06訪問 2011/11/30

確かに一つの「頂点」なのだろう

当店についてはすでに語りつくされている感があるけれども、今年感動した店の一軒なので書いておこう。

友人から再三、「味もサービスも素晴らしい、焼き鳥屋の頂点」と聞き、一度は行ってみたいものだと思っていた。
しかしながら、あまりにも人気のお店で、とにかく予約が取れないのだという。
焼き鳥ってのは気軽にヒョイッと食べにいくもので、何カ月も前から予約して行く、なんてのは性に合わないから諦めていた。
ある雨の日、ラッキーなことに当日キャンセルが出たので念願の訪問。

目黒駅からすぐの場所、予想していたよりもずっと落ち着いた清潔感のあるお店。
普通の人が「焼き鳥屋」から連想するような煙くて黒くて・・・という店からは大分離れている。
コの字型のカウンターのみで、どんなジャンルの店にしろ、このぐらいの「主人の目が届く」規模の店は好き。

小奇麗な焼き鳥屋というと、バードコート系列の田楽とか、錦糸町のとり喜みたいに、焼き鳥にあんまり焼き色をつけないイメージがある。そういったお店は鶏肉自体の美味しさを楽しむ分にはいいのだけれど、焼き鳥ならではのかりっとした皮や香ばしい香りには欠ける。

当店はというと、「小奇麗焼き鳥」(そんなジャンルあるのか?)の店らしからぬところがあり、血肝や笹身は肉の色が変わる程度、香りを出したほうが美味しい部位に関してはしっかりと脂を焦がす。焼き方の「緩急」が鮮やか。
品川の鳥てるの焼き方もかなり好きだけれど、当店はさらに求道的に「究めている」印象。
特に半熟の白玉(うずらの卵)とちょうちんは忘れられない美味しさだった。

焼き鳥だけでなく、最初に出された糠漬けが素晴らしい浸かり具合だった。家でも毎日糠漬けを漬けているが、家でも外でもあんなに素晴らしいコンディションの糠漬けにはなかなか出会えないと思った。隙がないなあ。
アタシが普段気軽に食べに行く焼き鳥とは全く別のジャンルの店だけれど、素晴らしい店であり、また焼き鳥と言う料理のジャンルを突き詰めた突端の部分に当店はあるのだろう。


店内の清潔さ、居心地の良さ、店のひとびとの気配り、どれも文句のつけようがない。これで呑んで食べて8000円ほどだから人気が出ないわけがない。今後も予約困難な状態が続くのだろうね。

また雨の日の夜にでもキャンセルが出て、運よく行けないかなあ・・・などと都合のいいことを考えている。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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