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藤巻一臣(掲載了承済み)
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アンティパストミスト
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フォアグラのウエハース、ビーツとキジのカルド
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クッキアイオ
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ペッシェインウミド
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仔羊のストゥファート
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スパゲティ サルサポモドーロ
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ドルチェがわりのチーズ
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ハーブティ
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ワインは一皿ごとに
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アタシの周囲の食べ歩き仲間に「日本で一番凄い料理を作る料理人は誰か」と問えば、それこそ千差万別の答えが返ってくる。
いっぽう、「日本で一番凄いサービスを提供するサービスマンは誰か」と問うと、かなりの確率で「藤巻一臣氏」の名を挙げてくる。
アタシ自身の乏しい経験の中でも、ダントツに「凄い」サービスを提供するヒトだと断言できる。
藤巻氏に初めてお会いしたのは、たしか4年ほど前だった。最初は横浜のSALONE。
その後も公私にわたってクンズホグレツのお付き合いを続けてきたのだが、その藤巻氏が新規店の総指揮官として、大阪へ赴くという。
文字通り「舐めまわすほど」溺愛するお嬢さんと離れてまでの単身赴任。決意は並大抵のものではなかったろう。
準備の段階からずっと気になっていて、関西訪問のチャンスを作りランチに伺った。
話は変わるが、ものを作ってお客さんに届くまでの過程で、「つくる」ヒトは偉くて、「売る」「届ける」側のヒトは一段下に見られる傾向がある。
クリエイターやデザイナー、作家という「ものを生み出す人たち」は偉くて、出来たものを運んだり売ったりする仕事は、どちらかというと「誰でもできる仕事」に見られがちだ。
そういった意味では、レストランにおける店の主役、クリエイターはシェフである。
たまに接客担当のオーナーが前面に出てくることもあるが、有名ソムリエでもない限り、サービスマンが店の「顔」として出てくることは少ない。
藤巻氏は社長でもシェフでもない。系列店の統括マネージャーではあるが、店に立っているときは、一人のサービスマンに過ぎない。
にもかかわらず、サローネ系列の店を知るひとの口からは必ず「藤巻氏」の名前が出てくる。そこが凄いのだ。
藤巻氏のいる店にいると、とにかく心地よく過ごせる。店内の呑んだり食べたり話したり、が全て滑らかな曲線の上で続いていく。
料理やワインの組み立てで、ときどき跳ねたり弾けたりすることもあるけれど、ミスのないフィギュアスケートの演技のように優雅な流れの中で、クルクルと転がされる快感がある。
当然ながら、彼の仕事は料理を運んでワインを注ぐだけではない。毎月のメニュー構成や味に細かい修正を加え、店全体のマネジメントとプロデュースを任されている。そういう意味では経営者と変わらないのだが、店の中では「全力で目の前のお客さんを楽しませる」という役割に専念しているように見える。
久しぶりにお会いして一番面白かったのは、ほんの数か月のあいだに、藤巻さんのイントネーションが、完全に大阪のソレに変わっていたこと。
「○○ですねん」といった「言い回し」だけを真似るのは比較的たやすいだろうけど、ここまで完璧に(関西人の友人が完璧だと言っていたので、そうなんだろう)大阪人になりきっていたのは、流石としかいいようがない。
目の前の客に合わせてイントネーションを変えるように、客のテンションや興味を汲み取り、縦横無尽に話を合わせ、秘孔をついてくる。
サービスの話ばかりしていては店に失礼なので、内装や料理の話も少し。
藤巻氏は冗談交じりに「居抜きのサローネ!」と仰っていたが、これまでの居抜き店舗ではできなかった「コンセプトに沿って、イチから店を作る」ことの面白さを見せてもらった。天井の照明のデザインからナプキンの手触りにいたるまで、1ミリの隙もないカッチョよさである。
(余談だが、建物は「ダイビル本館」なのでお間違いのないよう。アタシは間違えて、隣の「中之島ダイビル」に行ってしまい散々迷った)
これまでのサローネ系列の内装って、ビオディナミコを除きちょっと薄暗くて若干エロい印象があったんだけど、こっちは白とプラチナが主体で煌びやか。
料理の素晴らしさについては、先行の重鎮レビュアー諸氏が詳細に書かれているので、今さらトーシローのアタシがどうこう書くつもりもない。
シェフは27歳のイタリア修行帰りを大抜擢したそうだが、料理はまさにサローネそのもの。柑橘類とハーブの香りを巧みに使い、ほんの一口でギョッとさせる工夫。一皿ごとにグラスワインを合わせてくる、その和合っぷりも尋常ではない。グラス半分程度ずつとはいえ、昼から10杯以上のワインを飲んで完全に酔っ払ってしまった。
唯一、難を言えば(SALONE系列全般に言えることだけれど)、料理・サービスともに初訪問のインパクトが凄いので、人によっては2回目の訪問時、ある程度サプライズの「手の内」が見えてしまい、初回ほどの興奮が得られない可能性があること。当店はまだ1回しか行ったことがないから分からないけれど、決して廉価な店ではないので、訪問回数を重ねるにつれ「限界効用逓減の法則」とのタタカイになるような気がする。
とはいえ、若いスタッフたちが、まだぎごちなさを残しながらも生き生きと働いているさまが印象に残った。
いきなり食べログでとんでもない点数がついてるし、業界内の注目も相当なものであるようなので、スタッフの若い皆さんは大変なプレッシャーだろう。しかし、こんな変で凄いおっさんと働く機会はそうそうないだろうから、キツいだろうけれど色々吸収できてイイナァと思った。
藤巻氏のサービスを楽しむだけでも、ランチに10,000円以上払う価値のある店。