5回
2019/02 訪問
久し振りに伺うと、お料理のレベルは更に上がっている
2019/02/27 更新
2018/07 訪問
美味しいものは人を幸せにするⅡ
昨年末こちらを訪れて、2017年はあんまり積極的に美味しいものを食べに行かなかったと感じたのだ
が、2018年はちょっとは積極的に美味しいものを求めようと考えた結果、こちらを訪れるインターバ
ルが開いてしまった。久しぶりに谷シェフのところに続けて伺ったからだ。毎週のように名店を訪れ
る綺羅星のようなレビュアーの方々と違い、私がグランメゾン級のお店に行くのはせいぜい数か月に
一度だ。どこが増えると相対的にどこかが減ることになる。
ちょっと開いちゃったなぁと思ってこともあって、暑い夏の週末こちらにお邪魔した。近所のお店と
言うのは、暑い日でもタクシーに乗れば涼しく行き来できるというのが大きい。さすがに東京までタ
クシーで行き来する訳にはいかない。お店を訪れると、最近は週末の夜は混雑するのだが、割と空い
ている。みんな暑さでげんなりして外出を控えているのかもしれない。
席についていつものようにシャンパンをグラスでもお願いすると、クラフトビールの生を始めたとの
ことで、白ビールの生をお願いする。シャンパンが好きな妻はシャンパンを。白ビールはフルーティ
ーさが抑え気味の辛口のビールで、なかなか美味しいものだった。どういうルートで仕入れるのかは
不明だが、レベルの高いお店にはレベルの高いものが集まってくるのかもしれない。
お料理はいつものウニとトマトのアミューズから。暑い日には心地よい。今日は普段よりも味が濃い
ように感じたが、暑い日が続いてトマトの甘味が増したのかもしれない。
続いて前菜の、焼きアナゴを使ったお料理。絶妙に焼いたアナゴと同様のナスが絶妙で、見た目にも
涼しいいいお皿だった。(写真が無くてごめんなさい)
ワインはお勧めのカリフォルニアの白を。ルナというワイナリー。エチケットはシンプルでお洒落だ
が、ワインは香り高く濃厚なパワーを感じさせる、カリフォルニアらしいシャルドネ。名古屋の攻め
の料理に相性がぴったりだった。初めてのワインだったが、これは覚えておいても損はないワインだ
った。
お料理はその後、コーンのポタージュ。何回かいただいたことがあるが、レベルはアップしている。
下に敷いたジュレと、上に載せたシャーベット状のコーンのムースが絶妙。
料理はメインの前の地野菜を使ったお皿、メインの魚料理(千年鯛という珍しい魚)肉料理と続く。
肉料理はこちらでは初めてステーキ(牛肉のグリル)をいただくが、阿蘇の赤牛と言う銘柄牛だそう
で、赤身が多くさしが少ないタイプ。肉の味が感じられて美味しい。合わせるソースは生胡椒。こち
らでは定番だそうだが、メインにステーキをいただいたことがないので(いつもジビエやラム)初め
て味わうのだが、胡椒の風味が高く(最初は山椒と勘違いしたくらい)素晴らしいソースだった。
その後、デザート2品。特に2品目のルバーブを使ったデザートが秀逸。煮込んでソースと共に使うだ
けでなく、果肉も使ってある斬新なものだった。最後のお茶と主に供される小菓子と、こちらのお店
は最後まで手を抜かない。久しぶりに満喫しました。
2018/07/27 更新
2017/12 訪問
美味しいものは人を幸せにする
2017年も暮れようとしている。思い起こせば、今年はあんまり積極的に美味しいものを食べに行かな
かった。年を取るといろいろな事が億劫で、元々足りなかった積極性みたいなものが更に無くなって
きている。先日某ビジネス誌で、もっと欲を出さないと日本経済は衰退の一途を辿るという主旨の記
事を読んだ。何となく身につまされる。日本経済は別として、自分自身が衰退していくことは間違い
ないだろう。
ということで、2年続きでクリスマス前のディナーはこちらのお店で。クリスマスが近づくと混みそ
うだからと、前の週に行こうとしたら予約でいっぱいとのこと。夜はそれほど競争率が高くなかった
こちらのお店も、どんどん混むようになったようだ。当日も6席あるテーブルがいっぱいだった。ま
ぁ喜ばしいことなのだろう。というか、夜に食事に出かける人が昼に比べてすごく少ないというのは
湘南・鎌倉地方だけなのだろう。こちらのお店の名前をかなり広範囲に聞こえるようになったので、
横浜方面からもお客さんが来るようになったのではないか。
美味しいものは人を幸せにする。今夜は改めてその思いを強くした。今夜の美味しいものは、独特な
がら見事に調理されたフォアグラを始め、セップ茸、安納芋(だったかな?)、えぞ鹿(脂身も美
味)、そして何よりも、鰆のポワレといただいたワインのムルソーだ。
鰆のポワレは、皮目をきちんと香ばしく焼いた後に、身は電球の熱で仕上げているとのこと。レアに
近い微妙な頃合いで熱が通った白身魚は、弾力のある見事な食感と味加減で今夜の白眉だった。コー
スに合わせた2007年のムルソーも、力強く華やかで、常温で置いてもらったのだが、時間がたつにつ
れどんどん実力を発揮する素晴らしいワインだった。いつもはカリフォルニアの白をいただくのだ
が、今回は支配人が敢えて勧めてくださった。
いつもながらの美味しいお料理とホスピタリティーで、大満足の夜でした。
2017/12/20 更新
2017/07 訪問
美味しさに息を呑む どこまで高みに昇りつめるのだろう
評点を上げます。
うだるような暑さの週末、久し振りに訪問。初めて訪れたのもすごく暑い日だったのを思い出す。妻の誕生日前に義父が逝去し、誕生日ディナーが延び延びになっていた。49日も済ませたのでそろそろと思ってこちらを予約した。今まで夜は7,000円のコースのみだったが、10,000円のコースが出来たとのことなので、そちらをお願いした。
テーブルに着いていつもの通りグラスのシャンパンから。アミューズはこちらでお馴染みのウニのジェル仕立て。暑い日には心地よい一品。続いてフォアグラのポワレ、アメリカンチェリー仕立て。ここから息を呑むような美味しさの品が続く。フォアグラの下にはルバーブが敷かれている。アメリカンチェリーのソースがフォアグラを引き立てるが、フォアグラはカリッと焼いて仕上げてある。ちょっと珍しい食感の1品だ。ワインはいつもの通りカリフォルニアのシャルドネ。今日のお勧めは「ダックホーン」。アメリカらしい(?)民芸品店で売っていそうな洗練されないエチケットながら、大変力強く薫り高いものだった。室温に近い方が力を発揮しそうなので、そのままテーブルに置いていただく。
料理は続いてスイートコーンのポタージュ。コーンの軸で取ったという味わい深いスープに甘いコーン、底にはコンソメのジェルが忍ばせてある。魚のメインは石がれい。淡泊な、身が厚いポワレだが、まとわせてある少し苦みのあるソースが絶品。そこに青臭いツルムラサキが添えられていてそのコントラストが素晴らしい。最後に洞爺湖サミットでも供されたラムが、絶妙の焼き加減で供される。身に纏った脂肪が何とも言えない口どけで、唸らされる。フォアグラのポワレから夢を見るような絶品料理が続いた。これでようやく一息をつけると思いきや、最後のとどめが黒トリフのアイスクリーム。シェフが今日の昼間にアイデアが閃いたそうで、少量だけ提供される。これがまた濃厚で、豊潤で、息を呑む美味しさだった
デザートはマンゴー他のソルベに果物がパスタのように薄く長くカットされて共に提供される。一緒にお願いしたミントティーが今まで飲んだことが無いほど瑞々しい、素晴らしいものだった。
今までより一段高いコースを設定したのは、シェフの自信の表れだと思うが、料理のレベルは更に上がっている。どこまで高みに昇りつめるのだろうか。それにしても、こんなにレベルの高いお料理とサービスと雰囲気を提供するお店が、前々日に電話して予約が取れるというのは、湘南・鎌倉地区特有の現象と思う。ありがたいと同時に少し残念な気もする。都内にあればすぐに予約が取れないお店になってしまうのだろうに。
2017/07/18 更新
2016/12 訪問
夢見るような時間を過ごせるお店。湘南フレンチの歴史を塗り替える実力
(再訪)個人的には今年一番のお店だった。いいレストランで再訪したのは、ル・マンジュ・トゥー、幸庵以来なので、相性が良かったのかと思う。いただいたのは7,000円のコースで、定番らしい「トマトとウニのムース」から始まり、前菜は私は白子、妻はフォアグラをいただき、その後「かぼちゃのポタージュ」、これも定番の湘南野菜のロースト、魚料理はやがら、お肉はジビエのカルガモをいただいた。
お料理はもちろん素晴らしいが、今回最も印象に残ったのはワインだった。前回伺った時に、オーナーの趣味でカリフォルニアワインのコレクションが充実している聞き、今回はカリフォルニアワインの白のお勧めをお願いした。いただいたのは「ミ・スエーニョ」のシャルドネ2009年。カリフォルニアのシャルドネは、ブルゴーニュに比べると糖度が高く、その分力強さが増すという。正にその言葉通りの味わいで、アメリカ的と言うか今一つぱっとしないエチケットとは裏腹の大変すばらしいワインでした。その力強さは、肉料理のジビエの鴨に合わせても負けないくらいで、包容力もあり感銘しました。カリフォルニアワイン恐るべし。
来年もまたお世話になります。
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湘南・鎌倉地区のちょっといいレストランのサービスの系統は2つに分かれると勝手に思っている。一つ目はパーソナルケアと言うか、一人一人に親身になってサービスしてくれる系統。これはこのエリアに年配の方々が多く住んでいるということが影響しているのかもしれない。都内と大分違うのは、ちょっといいお店にお邪魔するとご年配の方を多く目にするというか、半分以上と言う場合も珍しくない。
二つ目は、プロフェッショナルが洗練されたサービスを提供する系統で、都内はおそらくこちらが主流なのだと思うが、湘南・鎌倉地区ではそれほど多くは無い。もちろん土地柄を反映して、洗練されてはいるが親身なサービスという形にはなるが。
私はどちらかというと後者の系統が好みだ。このお店は個人的には前者の系統のサービスに分類している「ブランデルブ 北鎌倉」プロデュースだそうで(同店は年配のお客さんが多い)サービスの系統は前者よりかと思っていたのだが、その予想は裏切られる。
猛暑の週末の夜に伺う。メニューは7,000円のコースのみで、第二の前菜とお肉の主菜は選択制になっている。前菜は、妻はイカを私は鱧をお願いする。お肉の主菜は、妻は夏鹿を私は京鴨を選択。コースはアミューズからスタートしたのだが、当日ソムリエの方との会話が楽しくて、夢を見るように時間が過ぎて行ったので、内容はあまりよく覚えていない。写真も撮らないし。ただすごく美味しかった記憶だけある。(すいません)野菜の使い方が実に見事で、それが魚やお肉の素材と絶妙にマッチしており、ちょっとやそっとのレベルのお店ではないことが伺われる。
そしてこのお店の魅力はシェフやお料理だけではなく、サービスやワインも含めて語らなければならない。シェフが芝のクレッセント出身であることはレビューで見ていたのだが、ソムリエと言うか支配人?の方も同じくクレッセント(副支配人)出身だそうで、正に鵠沼にクレッセントを持って来たような感じになっている。(クレッセントは高くて行かれないので、あくまで想像ですが)彼の、銘店で経験を積んだことが伺われる若いながら見事な会話の引き出し、自らひけらかすことは無いものの訊くと出てくるものすごいワインの知識と、しゃべりすぎることもなく、かと言って寡黙でもなく、お客さんを快適な気分にしてくれる、多分本当のプロ意識を身に着けているサービスを心行くまで堪能しました。
お店の地下にはかなりの規模のワインセラーがあるそうで、プロデューサーの「ブランデルブ北鎌倉」の支配人の好みで、カリフォルニアワインがすごく充実しているとのこと。それを楽しみに再訪したい、常連になりたいお店です。
2016/12/16 更新
12月に伺おうと思ったが、予定がつかずに年を超えてしまった。結局2018年は1回しか伺えなかった。
私は毎月グランメゾンに伺うようなタイプでは無いので、申し訳ないが、神楽坂が増えると、こちら
が相対的に減ってしまう。2月の来年から天皇誕生日になる予定の日に、満を持して訪問した。
7時に伺うと、ほぼ同時にもう一組お客さんがあって、ほぼ満席となる。割と余裕を持って席を配置
している古い洋館のレストランは、以前夜には、数組のお客さんしかいないことが多かった。昼の予
約は多いが、夜は数日前でもOKなくらい、このエリアのお客さんは夜には出かけない。それがここ
のところかなりお客さんが入っているし、予約も2週間前くらいでは難しくなっている。このエリア
だけじゃなくて、県内からお客さんが来るのだろう。食べログの評点も、フレンチのカテゴリーでは
神奈川県No.1だ。
いつものように、名物のウニとトマトのジュレでコースは始まる。ワインはこれもいつものように、
支配人の川井さんが選んで下さる。今回はカリフォルニアではなく、ムートンが手掛けているラング
ドックのシャルドネをお願いする。樽の香りが控えめながら、力強くスパイシーないいワインだった。
もちろん今日の料理に合わせて選んでくださっている。
お料理は続いてフォアグラのソテー。添えられているふきのとうのフリットの苦みが絶妙にマッチす
る。そして次に、こちらの名物の地野菜を使ったお料理。個人的にはこれが今日の白眉その1。いつ
もは焼き野菜が多いが、今回は軽く火を通した野菜に、別添えのコンソメスープをかけていただく。
このスープのブイヨンが、息を飲むくらい美味しい。短角牛の脛から取ったブイヨンとのことだが、
ちょっとやそっとのレベルではない。
メインはソルベを挟んで、シーフードはアワビでお肉はカルガモ。それぞれ文句のつけようがない美
味しさ。ワインはお肉のところでメルローをいただく。このメルローがまたすごく華やかで元気なメ
ルローで、今まで飲んだことがない美味しさ。こちらに来ると面白いワインを楽しませてくれる。
デザートは柑橘系の後に、先ほどの野菜料理と同じ形式で、ソルベ、生鮮、フリーズドライされたフ
ルーツに別添えのホワイトチョコレートソースをかける。これがまた素晴らしく、本日の白眉その2。
こちらのシェフは、食材の火入れに卓越しているが、お料理のレベルがさらに上がったような印象だ。
美味しい料理を提供すると、お客さんが集まり、そのお客さんが更に美味しい料理を求めるので、シ
ェフのお料理のレベルがまた上がる。そういう、いいサイクルに入っているようだ。
最後に残念なニュース。こちらのお店をシェフと共に支えていた、クレッセント時代からの盟友、支
配人の川井さんが、ご家族の関係で、今月でお店を去ることになった。ル・マンジュ・トゥーのレビ
ューにも書いたけれど、通いたいと思うお店には「居心地の良さ」がある。川井さんは私にとって、
こちらのお店の居心地の良さの象徴だった。今後もまた同じ業界で働き続けるそうなので、また新し
いおお店にもお伺いできればと思う。古巣に戻る話もあるそうだが、クレッセントじゃちょっと厳し
いなぁ。とにかくご活躍をお祈りしたい。