2回
2018/05 訪問
Dreams come true、ついに念願のパーラー江古田へ
<前置きが長いのでスルーしてください>
山手線を東西に切り分けると、私は東側にはそれなりに縁があるが、西側にはほとんど縁がない。会
社は以前は東京駅で今は新橋駅、通っていた学校も東側にあった。神奈川県に住んで東海道線で通う
と、山手線東側の駅にしか縁がない。
一方西側と言うと、学生の頃よく遊んでいた渋谷も今は3年に一度行くか行かないか。新宿に至って
は5年に一度行くかどうかだ。そんな中、1年に一度必ず行くのが池袋。会社の胃カメラの検診が実
施されるクリニックがあるからだ。
池袋と言えばラーメンと勝手に思い込んで(実際都内でも有数のラーメン屋さん集積地だと思う)、
行く度にいろいろラーメン屋さんを巡っていたが、昨年ドイツパンの名店リンデが池袋東武にあるこ
とを知り、今年もそこでパンを買って帰ろうと思っていた。
ところでパーラー江古田である。食べログを始める前からパンの情報を取っていたAll Aboutでは、
殿堂入りしているブレッド&サーカス、ツオップと並んでハード系食事パンの押しも押されぬ人気店
だ。いつかは行きたいと思っていたのだが、山手線西側方面にはとんと縁がない身の上、恐らくかな
わぬ夢だろうと半分くらい諦めていた。私は行動力が極端に欠けているのだ。
山手線西側に縁がない私は、そっち方面の土地勘も全くない。江古田と言う地名は知っていたが、お
そらく池袋から20~30分電車に乗るのだろうと勝手に思っていた。私の住んでいる神奈川の田舎で
は、特にJRだと駅間が離れていて、何でも遠いのだ。
胃カメラに行くので朝食を取れず、何となく手持無沙汰の当日朝、時間があったので西武池袋線の路
線図を見ると、何と江古田は池袋からたったの3駅。更に駅間隔が短い都内では5分くらい乗っていれ
着くすごく近いことがわかった。それでは行ってみようと、行動力が無い私でもそう思い立った。
胃カメラが無事終了し、むてっぽうでラーメンを食べて、多分生涯で初めてのの西武池袋線のホーム
へ。改札を抜けると準急が止まっている。すごいきれいな車両で、席が一つずつ独立していてヨーロ
ッパの電車みたいだ。私は鉄っちゃんではないが、遠足に行く小学生みたいに興奮していた。何度か
乗ったことがある同じ池袋を通る東武線とえらい違いだ。江古田には準急は止まらないそうなので、
おしゃれな準急ではなく、各駅停車に乗り込む。こちらも十分きれいな電車だ。
3駅だからあっという間に江古田に。食べログで見た地図を思い出しながら(スマホを持たない私は
記憶が頼り)歩く。北口で降りて線路沿いに左に行き、線路を渡らずに最初の細い道を右にと書いて
あったと記憶している。
江古田は昔ながらの商店街がある落ち着いた街だった。北口を左に少し行くだけで呉服屋さんが2軒
もある。死んだ母親も、妻もお茶をやっているので、私は和服とは日常的に接していた。呉服屋さん
がある街と言うのはそれだけで親しみが沸くのだ。それも2軒。そして2軒とも寂れている様子はな
い。着物離れが進んでいる今現在、こういう街はそれだけで好きになってしまう。
右に折れると、途端にお店が少なくなる。レビューによればお店は小さいながら大人気店なので、店
外で多くの人が待っているようなことが書いてあったが、道の先に待ち人の影は無い。そのうちに学
校が現れて来て(保育所)ますます不安になる。と 突然道の先の古い軒先の家から、パンを袋に入
れた人が。あーよかったと安堵した。
<ここからようやくパーラー江古田のレビューです>
全然お店っぽくない古い民家が店舗になっている。鎌倉辺りにありそうな店構えだ。店内は女子率が
高いというか、女子しかいない。木の扉を開けてお店に入ると、店員さんにテイクアウトかどうか聞
かれる。テイクアウトの人は入り口に並ぶようになっている。店員さんは短髪の男性ばかりだ。すご
く硬派のお店と言う感じが伝わってくる。入り口には旧式のガラスのショーケースがあって、そこに
パンが並んでいる。店内も設えもすべて古風な感じでまとまっている。
と またここで「やっちまった」ことに気が付く。五反田パン屋さん巡りの時と同じだ。一万円札を
くずしてくるのを忘れたのだ。千円札は一枚しかない。個人店では少なくとも4千円分くらい買わな
いと、一万円札を出すのが憚られる。パンの値段を見ると、200円台が中心ながら、突然500円台後
半のパンが並んでいたりする。ただ都心のパン屋さんのような値付けでは無いので、ちょっと気を付
ければ何とか千円札プラス小銭で乗り切れそうな感じ。
順番が回って来たので、小麦の酵母のバゲット、チャパタ、リュスティック、ベーコンエピをいただ
く。お会計は1,100円ちょっと。まだ余裕があったので、ハードトーストを追加。ショーケースの上
のパンドミタイプのトーストは600円弱だが、ハードトーストは200円台。一万円札を出さずに、無
事にお会計をすますことができた。やれやれ。
パンのラインナップは、一部フルーツを使ったパンが並ぶ以外は、バリバリのハード系の食事パンの
み。イートインでサンドイッチ類が充実しているようなので、調理パン、総菜パン類も無い。いいで
すね。大好きですこういうお店。
週末に食する。
まずはハードトーストから。ねっとりした生地で、最近はやりのもっちりした角食とは真逆のタイ
プ。ブレッド&サーカスの玄米トースト、24sekkiのオーガニックブランと同じ系統のパンだ。こう
いうパンは大好きです。
続いてバゲット。全粒粉の風味と酸味が感じられる。こういうもっさりしたパンも大好きです。
そしてベーコンエピ。こんなに存在感のあるベーコンエピは初めてだ。
リュスティック。ハードトーストと並んで、今回最も気に入った1品。もさもさ感の中に、しっとり
感があり、酸味も風味も十分感じられる。
最後にチャパタ。硬質な食感で、唾液を十分出さないと飲み込めない。こういうパンも大好きです。
こちらのパンの魅力は一言で言うと「存在感」だろうと思う。クラムがどうのクラストがどうのとい
うレベルを超越した、パーラー江古田的成り立ちみたいなものが全体を支配している。私のような一
見の初心者がどうこう言うレベルではない。こういうある種の風格が出せるお店は、私の拙いパンの
知識の中では、ラトリエ ドゥ プレジールとブレッド&サーカスくらいだ。
結局大満足でした。評点は4.0ですが、こちらの魅力はイートインを体験しないと、十分味わえない
んだろうなと思う。江古田周辺には有名なラーメン屋さんも多いようなので、来年の胃カメラの後は
是非江古田で と思いを新たにしました。イートインはちょっと男子にはきついですが。
2018/05/28 更新
駅前の三四郎を後に、早くも今日の3軒目、真打「パーラー江古田」に向かう。去年は初めただったの
で不安と共に歩いた径も(スマホを持たない私は地図を記憶して歩く、そしてよく間違える)今年は
大丈夫。三四郎で、思いのほかおいしいラーメンをいただいたので、意気揚々と進んでいく。
進む道すがら、あり得もしないことを妄想しながら歩く。去年レビューを上げたところ、多くのマイ
レビュアーさんから、是非ともイートインにトライするように勧められたのだが、ラーメン屋さんや
焼き鳥屋さんならいざ知らず、「パーラー江古田」のおじさんのおひとり様は、さすがにハードルが
高い。でも行ってみたら席が空いていて「ラーメンを食べた後でお腹がいっぱいだし、どうしようど
うしよう」などと迷っている姿を妄想したのだ。そもそも大人気の同店のお昼時、席待ちは当たり前。
空きがあるわけなどないのだ。
ところがなんと、行ってみるとカウンターに一つだけ空きがある。妄想が現実になってしまったのだ。
お腹はそこそこ一杯だったけど、こんなチャンスは一生来ないかもしれないと、空いていたカウンタ
ーに座る。店内は当然ながら女性ばかり。とはいえカウンターだとオジサンのおひとり様もあまり気
にならない。素朴なメニューを眺めながら何を食べるか考える。そういえば、レビューの中に「スペ
シャルパンセット」はパンが食べ切らなくても持ち帰り可能 という記述があったことを思い出す。
飲み物はできるだけお腹にたまらないように、水分が少ないワインをお願いする(まぁこれも水分で
すが)。ワインならばということで、単品で「ポークリエット」を追加すると(どれだけ頼むんだろ
うこの人は)セットのチーズをリエットに代えてくれるというので、ありがたく申し出を受ける。
ワインはお店の女性の方がちゃんと味見をしながら勧めてくれる。白ワインが1種類と、オーストラリ
アの赤とイタリアの赤。一番お勧めっぽかったオーストラリアの赤をいただく。すっきりとしながら
後味はそれなりに深い、いいワインでした。グラスで1,000円。
暫くして着丼(というのだろうか?)かなり多くの、だけどすごく美味しそうなパンが、少量の野菜
とポークリエット、カルピスバター、ジャム、そしてオリーブオイルと共に盛り合されている。ジャ
ムは玉ねぎのジャムとのこと。初めてだ。フォカッチャ、リュスティック、カンパーニュ、フリュ
イ、ゴマのパン、などなど。すべてすごく美味しそうだし、実際美味しい。
結局、ワインとポークリエット共にすべて食べちゃいました。ごちそうさまでした。パンは別腹です。
お店を出る前に、お持ち帰りのパンを購入。昨年は1,000円札が2枚しかなくて、思うように購入でき
なかったのだが(1万円札を出すには、5,000円くらい買わないと心苦しい)今年はちゃんと用意して
ある。マイレビュアーさんに勧められた「湘南小麦のカンパーニュ」がなくて代わりに「はる~」
(はるゆたかではなかったような)のカンパーニュのハーフ(900円)と、食べて美味しかった「リ
ュスティック」と「ゴマのパン」を。全部で4,000円弱。
家に帰って夜と翌朝食する。間違いない味。昨年は「別に」だった辛口の奥さんも、今年は美味しそ
うに食べている。「美味しいパンにはバターはつけない」ということで、バター無しで食べている。
よかった、よかった。