2回
2012/11 訪問
隠しておきたい“百獣のフレンチ”
今夜はマイミクさんからのリクエストで恵比寿「アーティショー」での自催ジビエオフ会でした。さる芸能人から聞いて昨秋初来店。この時に海亀とウリボー(仔猪)で筆者の度肝を抜いて以来1年、今年に入ってからは2月のカラス・ヒグマオフ会、5月の海亀づくしオフ会を自催で成功させ、“百獣を食らう”mixiグルメ達をすっかり魅了してきました。以後数回通いつつ、この夜は「普通のフレンチを」というマイミクさんのリクエスト、この「無理難題」(笑)をシェフがどう捌くのかが注目されました。
コースも揃える必要なし、食材も当日入荷なので事前予約なし、というゆるゆりな条件で来店。シェフからは事前に「雷鳥、うずら、鳩、蝦夷鹿、青首鴨はあります。リエーブルは分かりません」と不敵な?メール。日本では垂涎の貴重食材リエーブル(天然ウサギ)もこの店では年1羽は入れています。他の常連客がいつも食い尽くすそうで、「今年は筆者も」とリクエスト中。今夜は結局シェフのおまかせコース「セゾニエール」を選択。「シェフのおまかせ」のはずなのに、「メインは雷鳥、魚料理の代わりに蝦夷鹿レバーのムニエルに差し替えて」と【まかせてない】 さらに、マイミクさんがフォアグラ料理2種を両方食べたいと申し出ると、シェフは「じゃぁ、前菜でフォアグラのフランを載せましょう」とあっさり2皿出してきます。使い勝手良い居心地良い店ですね。あのグルメな芸能人が定期的に通うのも納得がいきます。
コースのアミューズ「海老のスープ」は濃厚。都内の某甲殻料理店も「初来店の時はこれくらい濃かったのに、先日はねえ」などと話題が飛びます。続く前菜はさすがに「おまかせ」したので、黒トリュフとフォアグラのフラン。黒トリュフが濃過ぎず良いアクセントとなって、美味しかったです。
前菜もう1皿が「穴子とじゃがいものタルト、めひかりのフリット」。出された瞬間に目を奪う盛り付け、タルトのじゃがいもの薄い層がミルフィーユのようで、味よりも「これほどの匠の技は!」と目で驚かせてくれます。
「北海道産蝦夷鹿レバーのムニエル」は焼きレバーだけでに良い意味でも悪い意味でも「レバー」です。でも鹿のレバーは初めて。若干の臭みがアクセントになって食が進みます。
むしろメインの「ヨーロッパ産雷鳥のロースト」は、臭みが“除染”されていて、ジビエで有名な世田谷区内の予約至難フレンチの方に軍配でしょうか。後者の方が臭みと足の爪を残していて“ジビエ感”があります。でもこの店は年々予約難化し、他方メニューもワンパターン化してきた感が否めません。今夜の「アーティショー」は、ジビエ店として比べた時に品揃えは勝るとも劣らず、総合的にはるかに高コスパかな?とも思えてきます。
今回はジビエの豊富さに力点を置いた店評になりましたが、実は鎌倉野菜を中心に野菜メニューにも力を入れています。「13種の鎌倉野菜のブレゼ」は上掲芸能人が来店のたびに必ず注文する一品。季節ごとに中の野菜が変わるため、いつ来店しても楽しめるとのこと。試したことはありませんが、「野菜だけ」のコースも注文すれば作ってくれそう。ジビエからベジまで守備範囲の広いフレンチを全てシェフ一人で切り盛りしている、「ミシュラン」にも掲載された今後ますます楽しみな店です。
2012/11/05 更新
もともと海亀とジビエで繋がり珍獣で通うようになったこのフレンチ。て過去には弊主宰オフ会で参加者最多の海亀オフ会も開かれ、また筆者の誕生日当日祝賀オフ会会場に何度も選ばれています。あまたの珍獣や珍食材の中で、ホワイトアスパラガスも「500円玉並みの太さ」がウリとなって初めて所望したのは6年前。この時は500玉の太さには僅か及ばなかったけど、翌年は優に達しました。でも、続く4年前には500円玉の太さに達せず、その後はこのレベルの太さでの入荷が叶わず、フレンチ人気の下火も加わって、来店自体が途絶えていました。そんな昨年、久々の来店で過去最高に太いホワイトアスパラガスを賞味、今年への期待を繋ぎました。
今年はfacebook上のやり取りだったか?入荷が期待できそうだと言われて4月に連絡すると、5月末では遅いと(^_^;) また今年も入荷量が乏しく「お一人でいらして下さい」とのメール。で食事優先で一人来店となりました。
昨年は入店してまず驚かされた、
店に客がいる!(xx;)☆\(-_-#)))
今回は全くの「おまかせ」で、食べたい食材を選んでシェフがその場で作る形式に。前からアドリブには強いシェフです。昨年から店で扱っているキャビアが、ホワイトアスパラガスに盛られてやってきます。
今年は、500円玉大の太さながら自らの重みを支えきれずフニャってしまい、500円玉より太くは見えません。いわば、女子ウケしない
ブッといけど、柔らかめ
だったのが惜しかった (^▽^;☆\(▼▼#)))
そんなホワイトアスパラガス、今回は切断されての配膳。従来はまる一本だったのに、、、と出された瞬間はイラっとしたけど、よく考えれば、切断してある方が食べやすい。分解されてもまる一本であることは写真から分かるし、アスパラガスは筋が強くて切るのが意外と手間なので、これはこれで、旨い!
付け合わせが大ぶりのアワビなのにも好感。もちろん食べやすく切って分解。でもアワビの生気と柔らかさはしっかり残しており、これだけでも銀座で食べたら諭吉か?と思いながら「色々な意味でもアワビ好き」な筆者はしっかり堪能しました。
先立つコースのアミューズには、フォアグラとモリーヌのフラン。フォアグラの味が濃厚に引き出されていて美味しうございました。シェフも腕を上げたようです(xx;☆\(-_-X)))
シェフ提示の食材の中からブルーオマールのローストを選択したので、温前菜に。つくしの散らし方といい、オマール海老のソースの引き出し具合といい、いつもながら満足。ブルーオマールもこの店では因縁の食材ですが、料理のデキは安定的に成長していると言えました。身は大振りではずし食べやすいように出してから入れ直す“香箱蟹手法”、何でも「作業」を厭う筆者の性格を熟知しています。食べるのが面倒だとたとえ料理のデキが良くても満足感に欠けますが、全てのバランスが整っており高評でした。
魚料理は、初耳の「ドーバーソール」を選択。ヒラメですね。この魚が13世紀から18世紀にかけて北海や大西洋で大豊作だったことがヨーロッパの食文化を変えたといういわくつきの魚。今回は「王道」(店主)のムニエルでまる1匹食べました。一人分はハーフだそうですが、営業上ハーフでは出せず、それに「おおはらさんなら、まる一匹イケますよ」という店主の勧めで“新たなる旅立ち”に挑戦。確かに食べ切れたけど、もう肉料理は無理でした。とはいえ肉の在庫は、青首鴨やウリボウや鹿といった
筆者的には「いつもの食材」。
初耳のドーバーソールを選んで正解でした。
デザートはおまかせでティラミスとガトーショコラ。六本木の2号店(ケーキ店)から気の利いたケーキ運ばせろよ、と思いつつも、量的には無理なので、これで良かったかも。これだけ、量も質もたっぷり食べてもリーズナブル。最後まで満足して皐月の通過儀礼を終えることができました。