2回
2018/12 訪問
「オリーブオイルのペアリング」の成否は?
前菜(マルタ島の本鮪に厚岸産バフンウニとキャビア、にんじんのソース)にシチリア産オリーブオイル
神奈川県産トリュフにプッラータとモンサンミッシェル産ムール貝にサフランのスープ
モンサンミシェル産ムール貝
自家製カラスミとイクラのパスタ
サルディニア産オリーブオイル
玉ねぎの濃いパスタ
オリーブの木の皿に乗せたメインディッシュ
《アワビとウニのヴァポーレ》《イタリア産ロバのロースト》《ハンガリー産マグレカナル胸肉のロースト》
アワビとウニのヴァポーレ
イタリア産ロバのロースト
ハンガリー産マグレカナル胸肉のロースト
フランス産仔牛バベットステーキ、チンタネーゼのカツレツ
蜂蜜のセミフレッドとチョコレートのムース
ハーブティーと小菓子
2018/12/30 更新
2018/11 訪問
通常利用外口コミ
この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。
オリーブオイルと塩に特化した新進気鋭のイタリアン
四谷荒木町のイタリアン「オステリアT」といえば、自然食材にこだわり都心に自前の農園を所有して食材を賄い、ウニ食べ比べや白トリュフ食べ比べなど他店に類を見ない稀少なイベントで、通好みの隠れ家イタリアンとして個性的成長を遂げてきました。
このほど、オリーブオイルと塩にこだわってイタリア全土から30種類以上のオリーブオイルを取り寄せ、 料理に合わせてオリーブオイルを使い分けて、その違いを楽しめるオリーブにこだわったイタリアレストランを新たに四ッ谷駅前に出店、店内披露宴(いわゆる「プレオープン」)に招待されたので、行ってみました。
店主は従来から、筆者の京都滞在中にもやってきて、「徳山鮓」で発酵食品を学び、「比良山荘」で郷土料理の生かし方を学ぶなど、常に向上心をもち研究熱心でした。そうした経験からオリーブオイルに目をつけたのでしょう。オリーブオイルを工夫するだけなら他店にも類例があるとはいえ、店内に入ると、店主が日本オリーブオイルソムリエ協会会長の指南を受けて一緒に飲み比べてランク付けしたオリーブオイルがずらりと数十種類並び、早速ティスティングを試されました。店内全てのオリーブオイルをグレード分けし、コースの種類や料理の種類に従って合わせていくそうで、軌道に乗ったらイタリア料理の一分野としての部ランディングをかち得られる店となりそうです。
この夜は店内のプロジェクターで店の理念や方針を説明、食事は軽く4皿出してもらいましたが、自家農園のサラダはさすがに産地直送で野菜のみずみずしさが違いました。また、筆者のジビエ隙を知る店主が盛り付けさせたチンタセネーゼと鶉と兎のローストも口当たり良かった。モンサンミッシェル産ムール貝のパスタも、巧みな塩加減とそれにより引き出されるムール貝の出汁が美味しく、堪能いたしました。
本日正式開店ですが、折を見て通常メニューを食べに是非訪ねたいと思っています
2018/11/11 更新
先月開店のプレオープンに招待されたままだった四谷駅前「Oliva-va」へ。プレオープンでさんざん無銭飲食させてもらいながら、開店後に来店しないのも「食い逃げ」だし~(^^ゞ 通常メニューとしての「オリーヴオイルとのペアリングコース」にも興味がありました。
電話して入店。ただ、コースメニューが3種、金額しか書いていないので、店主を呼ぶと、「じゃぁ、おおはらさんの食べたい(アラカルトの)料理を指定してください」とアラカルトメニューを見せてきました。パスタで「オーナー在店時限定」の《玉ねぎの濃いパスタ》、メインで《アワビとウニのヴァポーレ》《イタリア産ロバのロースト》《スペイン産鴨肉ののロースト》を指定、メイン3品の分前菜を1皿減らして、あとはまかせると伝えた所、店主はメイン3種ともお出しして「9500円コース」で対応しますと答えて、注文がまとまりました。
前菜には、マルタ島の本鮪に厚岸産バフンウニとキャビア、にんじんのソース。インスタ映えする一品で、味も良かったけど、小さいので判断材料にはならず。これに合わせるようにとシチリア産オリーブオイルをグラスで渡されたけど、かけるには具が小さ過ぎるので、嗅いだり飲んだり。
もう一つの前菜には、神奈川県産トリュフにプッラータとモンサンミッシェル産ムール貝にサフランのスープ。このトリュフは芳香強く、国産それも神奈川県産と聞いてビックリ。国産トリュフの発見は十年ほど前にNHKでも報じられていたけど、主に京都北部の丹波産などでした。神奈川県でも獲れるとはねえ。プッラータと同じプーリア州産オリーブオイルが合わせるようにと出されました。ここでフォカッチャが出されたのでオリーブオイルに付けて(浸けて?)みたけど、フォカッチャが美味し過ぎるので、別の味を付けるのがもったいない。
最初のパスタは、自家製カラスミとイクラのパスタ。サルディニア産オリーブオイルと合わせます。次に、玉ねぎの濃いパスタ。これはオリーブオイルとよく合って、「合わせがい」がありました。このパスタ自体でも、充分美味しい。
さてメイン。アワビはやわらかくウニとも良く合って美味しい。ロバ肉は、低温調理ではないけど火入れが良いのか硬さがちょうど良くて美味しかった。鴨は当初予定のスペイン産がハンガリー産マグレカナルの胸肉ローストに差し替えられ、これがあの(フォアグラを作る)鴨!と出来ばえを堪能。オリーブオイルは「2018年ダブル金賞受賞」というピエモンテ産のものでした。
食べ終わったところで店主が来て、「どうですか?」「シェフ、料理上手いねえ」「そうですか! ありがとうございます。イタリアでは、何の料理にもオリーブオイルをじゃぶじゃぶかけて食べるんですよ!」
「どうです。お腹いっぱいにはなったでしょ?」「う~ん、もう1皿くらい(追加注文で)何か食べたいなぁって、メニュー見ていたんだよね」
驚く店主。「まだ、オリーブオイルも残っているし」と言うと、多少機嫌を直しながら、前菜の画面を見せようとするので、「いや、まだ肉食べたい」
結局、オリーブオイルの味比べ用に、フランス産仔牛バベットステーキを追加注文。もっとも、この皿が最も安かったというのもありますけど(^^ゞ
この店も前身の四谷荒木町時代は、店主と女優志望の超美人店員だけだったけど、今やイタリア人シェフにホールの女性店員が3人も。それでも店主は謙虚に、サービスから皿洗いまで全て自分でこなしています。バベットステーキもシェフから受け取った店主が運んできて、「チンタネーゼとカツレツ、サービスしておきました。」 この皿も、なかなか美味しかった。すでにメイン3種食べた後のタイミングだけに、バベットステーキの物足りなさは逆に「あっさり感」となってタイムリー。カツレツも中にチーズやフォアグラが仕込んであり、食べでがありました。
デザートは、蜂蜜のセミフレッドとチョコレートのムース。付け合わせ?にハーブティーを注文。
シェフの腕が良いのか、料理は味わいといい火入れといいよくできていました。「オリーブオイルのペアリング」がどこまで成功するか?は未知数。「ペアリング」というとワインがすぐ思い浮かぶけど、ワインとオリーブオイルとでは、料理におけるステータスが全然違うし。この店が「オリーブオイルのペアリング」レストランとして江湖の理解を得られ、イタリア料理の新分野を切り開けるよう願っています。