assyassyさんのマイ★ベストレストラン 2014

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食咗飯未呀?香港では挨拶代わりに「ご飯食べた?」と声を掛けます。

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assyassy (男性・埼玉県) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

草喰 なかひがし (元田中、茶山・京都芸術大学、出町柳 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥10,000~¥14,999

2014/05訪問 2015/08/13

野趣と繊細さのせめぎあい、五感の琴線を掻き鳴らす珠玉の味わい

【葉月 夜の部】
ただただ溜息が出るばかりでございます。
素晴らしい料理の数々、摘み草の見事なまでのバリエーション、
心のこもったご主人中東さんのサービスの粋、驚きの数々、
饒舌に語りかけるすべてに対して、寡黙にならざるを得ない小生がカウンターの端っこで
この料理に出会ったことの喜びに震えるのみでした。
よくぞ難関を突破して予約を取ってくれたK君に感謝です。
葉月のお料理、写真を追加させていただきました。

【皐月 昼の部】
その日、京都駅で新幹線を降り立って地下鉄と市営バスを乗り継いで向かった先は
銀閣寺にほど近い一軒の摘み草料理の名店「草喰 なかひがし」さんでした。

つい先日NHKの特集番組でこちらのご主人中東久雄さんが取り上げられていたので
ご覧になった方も多いことと思います。

自ら毎朝、大原や洛北の畑や野原を巡り料理の素材を調達する姿勢に小生も心打たれた一人です。
京都でも最も予約の取れない店の一つといわれる当店に席を得ることができたのは
ほとんど奇跡といわれるほど無上の喜びでした。
人脈を駆使して席の確保に尽力してくれた元同僚で飲み友達のK君に感謝です。
当日はもう一つうれしいことが、、。小生が7年間にわたってお世話になった大阪堂島にある
関西支社から懐かしい飲み仲間のN君も駆けつけてくれたこと。

銀閣寺交番の前に佇む楚々とした一軒家がそのお店でした。
また開店前で暖簾もかかっていません。軒先に一枚の板が掲げてあって、そこには
「お竈はんの御飯に 炭火の肴を 山野草も添えて」と書かれていました。
お竈(くど)はんとは京都の方言で竈(かまど)のことです。

そうしているうちに中からスタッフの方が出てきて暖簾がかかりました。
皐月の季節に合わせた鯉の図柄があしらわれた鮮やかな暖簾です。
地味だった店頭が急に華やぎました。その前でK君N君と記念撮影です。

L字型のカウンターを挟んでご主人の中東さんと対面してお昼の御飯が始まります。
その後ろには朱色に染められたお竈(くど)さんがシンボル的な存在感を表しています。

めいめいに料理が運ばれ、中東さんから一つ一つ丁寧に素材や料理の説明があり、
それを聞いてからいただきます。繊細で緊張感あふれる料理の作り方からは想像できないほど、
中東さんの説明は解りやすく、しかも機知に富んでいて、時に駄洒落や冗談も交えながらで、
緊張を和らげてくれます。ここでは話術も大切なサービスの一つです。

最初は皐月の八寸が用意されます。飾りの野草、鞘付きのエンドウ、
のびるに醍醐を振りかけたもの、なまり節、野草とへしこをライスペーパーで巻いたもの
小魚、粽など最初から手が込んでいて目を見晴らせるものばかりです。
下ごしらえが大変そうです。最初からもう心を鷲づかみにさせられてしまいました。

二品目は耳型の器に供された山ウドのお浸し、
京都南丹市日吉町胡麻で採れた胡麻がまぶしてあります。まさに本場のものです。
おつゆまでいただきます。

若鮎と若竹の煮物、若鮎のほろ苦さ、若竹のかすかなエグミ、初夏の季節が
目に、香りに、味わいにどっと押し寄せてきます。

次なるは鯉のあらい、緋鯉と真鯉の器で供されます。この店では器でも季節感が楽しめます。
そしてここにも季節の野草がキレイにあしらわれています。

ここで炊きあがったばかりの蒸らす前の御飯がちょこっとやってきました。
香りを楽しむための一口です。

ご飯の香りの余韻を楽しませるように白味噌仕立てのお椀がやってきました。
鞘付きのエンドウ豆と新玉ねぎがあしらわれていて、玉ねぎにはちょこっと練り芥子が
添えられています。

そして焼き物はアマゴの炭火焼、骨は抜いてこちらもカリカリに香ばしく焼かれていました。
唸ってしまうほど美味しい。

そしてごはんの前のお料理はアマダイの炭火焼かフランスはシャラン産の鴨のロースト
から選ぶことができます。N君とシェアしていただきました。
アマダイは香りが良くてまさに若狭の恵みです。
骨は頭から素揚げにして添えられています。もうどこまでも味わい尽くすのでしょうか。
シャラン産の鴨は切ると肉汁があふれ出します。これを新玉ねぎで和えて供されます。
美味しい鴨を味わい尽くそうという算段です。
これにはもう脱帽というか、スタンディング・オベーションでこたえたい心境になりました。

最後はお膳が到着です。草喰なかひがしさんの料理は、実はこれまでがプロローグで
本編はこれからの御飯です。
二種類の土鍋炊きごはんを手を変え品を変え楽しませてくれる仕組みが施されています。
うるめ鰯干し、和え物、香の物、お浸し、小鉢がご飯のおいしさを盛り上げてくれます。
こんなに美味しいめざしを食べたのは初めてです。
普通のご飯、オコゲご飯、変わりご飯、よくぞ日本に生まれけりという心境に至ります。

そして最後はイチゴや豆腐などをあしらったデザートが供されます。
全面的に混ぜ合わせていただく趣向。これが甘くなくてなんと美味なことか。

ご飯の途中でいただいたビールやお酒ももちろん美味しかったですが、
こちらはやっぱりお酒を楽しむというより、料理と季節を堪能させてくれる店だ
ということがよくわかりました。

もう一つ特筆は、京番茶、こんなに美味な京番茶は始めていただきました。
というより、京都人として初めて美味しいと思う番茶と出会ったかもしれません。
笑えない話ですが、、。

  • 先付+お凌ぎ
  • キュウリの色々 キュウリのムースにマイクロキュウリが花付きで乗っている
  • おわん 赤味噌と白味噌の合わせ

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2位

竹屋町 三多 (神宮丸太町、京都市役所前、丸太町(京都市営) / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.7
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2016/06訪問 2016/12/31

前々回は香住の蟹尽くし、前回は初夏の恵み、今回は春の走りをを堪能しました。

今年も夏に伺いました。いつもの元同僚二人のK君、Nさん、
そして湯島の有名居酒屋シンスケの大将ご夫妻にもご一緒していただきました。
冬の蟹もいいけれど夏の料理も最高でした。

【以前のレビュー】
予約をしたのが18か月前つまり一昨年の8月、2年越しの予約というのは
小生としても空前絶後かもしれません。ほとんど酔狂と言ってもいいほど。
草喰 なかひがしさんや食堂おがわさんも予約がとりにくいことで有名ですが、
ここほどではないと思います。

今回訪れたのは、前回の仲間+山形銀行のお一人、
それから湯島の老舗居酒屋シンスケの大将と女将さん夫婦。

いつも忘年会や新年会、通常の飲み会でお世話になったご縁で同行させていただきました。

いつもながら見事な料理の数々、今回は春の走りを感じさせるお料理を堪能させていただきました。

3回目の訪問なので饒舌にならないよういただいたお料理のみ紹介させていただくに留めます。

◆蚕豆と新タケノコ穂先のお寿司 穂先柔らかくておいしい

◆ばちこ(くちこ) こんな見事なばちこは見たことがありません

◆ほたるいかのぬた

◆雲丹とあわびの吸い物

◆鯛と赤貝の刺身

◆宍道湖の白魚とトマトの和風マリネ

◆金目鯛の焼き物

◆茗荷のさっぱり

◆アワビの胆和え

◆伊勢海老と新タケノコの葛あんかけ

◆タケノコと伊勢海老の土鍋焚ご飯

◆蜜柑のゼリー

【以前のレビュー】
草喰 なかひがしで一期一会の素敵なお昼をごちそうになったその夜。
寺町と竹屋町の角にある三多さんでまたしても贅沢な晩餐をいただきました。

カウンター6席二組しか客を取らない、こちらもまた予約が取りにくい割烹です。
楚々とした飾らないシンプルな店内。緊張感がピンと張りつめた空気と、
何事にも妥協を排する姿勢がたたずまいからも感じられる空間です。

ビールをいただき、今この瞬間ここにいる幸せをかみしめ、
ここに集えた友人の健康と多幸を願って乾杯をしました。

ゆったりとした時間の経過に身を任せて美味しい料理をいただきましょう。

先付はピュレの上に雲丹を込めて薫り高い出汁の餡が注がれています。

あいなめの刺身は皮目を炭火で焼いてあり、香りも素敵です。
あいなめを刺身でいただいたのは初めてだと思います。
そのあと肝も供されました。これがめっぽう珍味で、お酒の肴には最高でした。

次なるはぐじのうしお汁。京都ではアマダイのことを親しみを込めて「ぐじ」と呼びます。
これをうしお汁にして、ウドと合わせてあります。初夏の息吹が感じられるお椀ですね。

一転してお肉がやってきました。ローストビーフのよう姿の美味しそうなお肉が、
これまた香り高いお出汁の餡にくるまれて、その上に花山椒があしらわれています。
而今の香りをまとったお肉は軟らかくて、極上の味わいに酔いしれました。

美味しい驚きは次々とやってきてまるでドラマのエピソードのように展開していきます。

次のページはボイルした車海老と烏賊の刺身を合わせ酢味噌で和えたもの。
手間はかけているけれど料理をし過ぎない素材のうまみを引き出す技に感服することしきりです。

煮アワビとアスパラガスの合わせ煮。淡白だからこそ味わい深いひと品です。
春から初夏への移ろいを感じます。木の芽の香りがたまらなくかぐわしい。

太刀魚の炭火焼がやってきました。鱧と共に関西ならではの夏の風物詩です。
ふくよかな身は淡白ながら華やかです。
青柚子の香りも爽やかで、初夏の薫風を感じさせるひと品です。
大根おろしと塩も添えられていました。小生は別々に酒肴のひと品としていただきました。

初夏の香りは次々とやってきます。稚鮎の酢のものです。
ほろ苦い味わいと鮎独特の香りが溜まりません。

そして関西人の大好きな淡路島産の新玉ねぎ。これが手に入ると穴子や鱧と新玉ねぎだけで
すき焼きを作ったものです。

そして最後はご飯です。新生姜の炊き込みご飯、香りが良くて幸福感に満たされます。
こごみのおひたし、パリパリの焼き海苔、大根の漬物とともにいただきます。

デザートはマンゴとイチゴの合わせたもの。

初夏の香りと風物詩をお腹いっぱい、そして心も満たしていただきました。

【前回のレビュー】
いやあ、素晴らしかったの一言に尽きますね。
東京からグルメ仲間3人が京都ホテルオークラに集合。

向かった先はミシュランでも☆を頂いた三多さん。寺町を上がった竹屋町の角にありました。
楚々とした店構え、インテリアも引き算の美学でとてもすっきりとしていて、
緊張感が漂っています。好きだなあこういう空間。

ミシュランと聞いていたのでもう少し年配の方を想像していたのですが、
ご主人はとてもお若くてびっくりしました。奥様と二人三脚の接客も
とても感じが良くて、すっかりくつろがせていただきました。

この日は季節がら蟹づくしでした。しかも香住の蟹ですから贅沢です。
なんでもご主人の実家が香住で、親戚には漁師の方もおられるとか、、。
朝まで香住の海で泳いでいた蟹なんだそうです。
松葉ガニの方は食べる直前でもまだ生きていましたよ。

まずは大好きなプレミアムモルツでスタートです。
お通しは金時人参と湯葉の葛蒸し。金時人参をムース状にしてトロトロの湯葉と
一緒に葛に収めて蒸したもの。金時人参の甘み湯葉の柔らかな食感、
ここでもう心はもうとろけてしまいました。

それに見てください器のきれいなこと。中には江戸時代の骨とう品も使われていました。

お酒は佐賀県の鍋島。ぬる燗でいただきましたが、スキッとした飲み口の純米酒でした。

一品目はこっぺ蟹です。昔よく食べました。でもここのはすごい。外子も内子もたっぷりです。
しかも足の身はきれいに殻を外して身の中に収められていました。
ぷりぷりした食感の外子、ねっとり濃厚な内子、もう言葉を失ってしまいそうです。
最後はきれいに甲羅だけになってしまいました。これで甲羅酒をしたら美味しいでしょうね。

次なるは河豚ブツの白子和えです。
トラフグの身や皮を鱈の白子のムースに絡めて頂く贅沢なお料理です。
お醤油を適量垂らしてかき混ぜていただくと河豚のブリブリとした食感と美味しさ、
それに絡まる白子の香りと旨みが混然一体となって、うっとり夢見心地になってしまいます。
料理の腕もさることながら素材を組み合わせるセンスも素敵だなと思いました。

三品目はアワビと海老芋の葛仕立てです。
しこしこしたアワビとトロンとした海老芋の柔らかさが一品の中に収まる楽しさ。
料理って奥深いなといまさらながら考えさせられた一品です。
こういう時の葛の役割にはほんとうに包容力があるなと感心させられます。

四品目はぐじとしめじのすり流し汁です。
ぐじは甘味があって香りも良くて、本当に美味しい魚です。
鱗ごと焼いて食べるのも最高ですが、こうしてすリ流しにするのも一興ですね。
この季節体の芯から温まります。

そしていよいよ松葉カニの登場です。まだ生きています。
足は裁いて軽く炙って頂きます。薬味は出汁に酢橘を混ぜたもの、塩、
どちらかと言うと塩の方が美味しいですが、酢橘入りの出汁も捨てがたいし、
そのままも良いですね。

甲羅の身が出てくる前にひと掬いカニ味噌がやってきました。
旨みの凝縮ですね。お酒をひと際美味しくしてくれます。

甲羅の身はこのカニ味噌とまじりあって出てきました。美味い。この季節に蟹が食べられる幸せ。
なんという贅沢三昧なのでしょう。

その後は銀杏の包み揚げ。シンプルですが、香が高くて美味しいです。
そして最後は大原のほうれん草と胡麻のお吸い物。これも美味しい。

そして締めは土鍋炊きご飯です。ちょこっと一口。旨ーい。
その後これでもかと言うほどちりめん山椒をふりかけ、大葉を散らして頂きました。
京都ならではの贅沢です。こんなに大量のちりめん山椒がいただけるのは、、。

デザートには季節の果物のゼリーがけ、甘いもの苦手の小生にも美味しくいただけました。

お若いのに確かな腕と素敵なセンスでミシュランを獲得され、
それでも謙虚でおごることなく素晴らしい接客をしていただき、感銘を受けました。
これからも研鑽を積み、多くの人に美味しい感動を与えていただきたいと思います。
ごちそうさまでした。シーズンを変えてまた伺います。

  • 伊勢海老と新タケノコの葛あんかけ
  • アワビの胆和え
  • 活き伊勢海老

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3位

花しま (祇園四条、京都河原町、清水五条 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2014/11訪問 2014/11/07

石塀小路の裏ろーじにひっそりと咲いた料理屋、花しま

木屋町の人気店割烹やましたで長年にわたって立板さんを勤められ、
今年6月に満を持して自分の店を構えられた花島さん。
案内を頂いたので、帰省したのを機に幼馴染の従姉妹を伴って伺いました。

場所は八坂の鳥居を下がった下河原、石塀小路の裏のろーじ。
そこに密やかに咲く雪月花のような風情で、
ぽっと明かりが灯るまさに大人の隠れ家というにふさわしいお店です。

店内に入るとL字型のカウンター9席ほど、すべて花島さんの手の届く範囲の設えです。
優しい光が灯るくつろいだ雰囲気の中、お任せの料理にじっくりと舌鼓を打たせていただきました。
割烹やましたはどちらかというと豪快さと活気があふれる雰囲気ですが、
花しまさんは落ち着きと安らぎに満ちた雰囲気です。まさに動と静。

それは料理も現れていて、繊細で優しくてまろやか。
花島さんの料理に対する姿勢や意図がよく感じられました。

それと、もうひとつ素敵だなと思ったのが趣味のいい器の数々。
奥様がセレクトされたと伺いましたが、どの料理もお酒も器が引き立て役になって、
次の料理が待ち遠しくなるほどワクワクさせられました。

頂いたのは次の通り

◆季節の白和え
◆笹の葉で包んだお寿司
◆梅干しだけの茶碗蒸し
◆車海老漬け刺身の卵黄巻をとろろ芋で
◆車海老の頭焼き
◆フグのブツ
◆焼き子持ちもろこ
◆里芋の葛仕立て
◆鮎の唐揚げ 大根おろしで
◆かぶら蒸
◆秋刀魚ごはん
◆香の物

中でも印象に残ったのが梅干だけの茶碗蒸し、
まさにお出汁を味わうための料理ですね。
京都ではこういうシンプルな茶碗蒸しを味わうことがあるのだそうです。
それから車えびの漬け刺身をとろろ芋に絡めていただく一品、
こういう頂き方があるのだと、印象に残りました。
そして最後に供された秋刀魚のご飯。
秋刀魚を3枚におろして炭火で焼き上げ、薬味とともに炊き上げたご飯に
混ぜ合わせた香りのいいご飯です。
なんと一組一組にそれぞれに頃合を見計らって炊き始めます。
効率だけではない、客を最上の状態でもてなしたいという主の心意気を感じました。

いずこも同じではあるのですが、特に京都という地にあっては、一期一会の連鎖が
あってこその商売。そのために味を磨き、もてなしに精を出す。
割烹やましたの頃より8キロもスリムになったという精悍な姿の花島さんを
眺めながら、自分の店を持つということはいかに覚悟がいることかと感じ入ったしだいです。

末永いご繁栄をお祈りいたします。
また帰省したら寄せていただきます。

  • 和え物
  • 蛤出汁のお吸い物
  • 生湯葉あんかけ

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4位

山さき (牛込神楽坂、飯田橋、神楽坂 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/07訪問 2014/07/11

落ち着いた空間でいただく絶品の江戸料理。

この店の料理を味わって即座に脳裏に浮かんだこと。それはみおつくし料理帖という高田郁の時代小説でした。
それはある意味この店のオーナー山崎美香さんにとって、とても失礼なことかもしれないですが、
「江戸料理の洗練」という通底するテーマでは見事に一致しているような気がしたからです。

神楽坂の毘沙門天の真向かいにあるせんべい屋さんの2階にある店舗。豪奢でも洒脱でもなく、
驚くほど家庭的と言ったら平凡に聞こえるかもしれないですが、あたたかな空気と寛ぎの空間が待っていました。
しかしそうはいってもぬくもりを感じる木のカウンターに配されていたのは、カッシーナの椅子。
要所要所はきちんとしめて、寛ぎとともに凛とした緊張感のバランスを保っています。

もう一つ、オーナーの山崎美香さんはじめとする女性スタッフの笑顔や柔らかい所作なども
この店に洗練と華やぎやおもてなしの心を存分に感じるのではないかと思います。

頂いたのはアイナメの鍋を中心にした季節のコース。
まずはヱビスの小瓶をいただき、小振りのビアタンで喉を潤します。
お通しは甘くて柔らかな玉子焼き、焼き海苔の崩し煮、枝豆、山椒風味の魚身の時雨風など。
どれも工夫が新鮮で、料理のひと手間を楽しめるものでした。

野菜の小鉢もさっぱりとしたもの。
辛口ということでお願いした冷の高清水(純米)によく合います。

お刺身は白身魚に雲丹のコラボ。
焼き魚は季節の香り満載のアユの塩焼き。緑も鮮やかな蓼酢でいただきます。
川面からはねた若鮎、その向こうに里山の緑、初夏の情景が目に浮かぶようです。
頭からかぶりついて丸ごといただきました。

とろろを浮かべた味噌汁仕立てのお椀は誠に優しくて滋味にあふれています。
里いも、オクラ、キンピラ、海老、鯛の子などの炊き合わせも、
それぞれ素材の味わいが際立っています。めいめいに炊いたものを一鉢に合わせる。
日本料理の技の見せ所ですね。

そして真打は本日のアイナメのお鍋です。薄い飴色をしたお出汁にひとつ、丸い南高梅が沈んでいます。
絵になる景色です。塩だけで漬けた梅なんだそうです。

同じく真打のオーナー山崎美香さん手ずから、菜箸を優雅に振舞って鍋を作り上げてくれます。
梅干しを少し崩して、最初は骨切をして湯引きされたアイナメと湯葉をいい頃合を見計らって、
めいめいの小鉢によそってくれます。

なんという美味しさなんでしょう。これが江戸料理というものの真髄なのでしょうか。
明らかに昆布出汁を多用する京料理とは違うけれど、もっとシンプルで素材の味わいを深く感じる出汁です。

更に驚くことにはアイナメ鍋の第二弾が待ち構えていました。
油でさっと揚げたアイナメと独活と水菜で煮たもの。コクがぐっと深まってきました。
湯引きの時よりアイナメの味わいも増したように感じます。

こうしてアイナメと野菜と梅干の好い味が行きわたった出汁にご飯をくぐらせた
雑炊というより、茶漬けのようなものを最後によそってくれます。
このおいしさと言ったら、味わったものだけの特権です。月並みですが至福の時間ですね。
燗でいただいた常山が見事に呼応してくれました。

最後に佐藤錦とアメリカンチェリーを交配させたサクランボのデザートをいただき、
お開きとしました。

それにしても、鬼平犯科帳や剣客商売の中にも散見される江戸の料理。
野趣はあっても洗練を感じることはないだろうと斜めなメガネで見ていましたが、
今回はそういう小生の偏見を根底から覆してくれました。
季節に合わせて変わる鍋の素材、地産地消をモットーに厳選した食材、
それらを味わいに、秋にはまた行ってみたい良いお店を紹介していただいたと感謝しております。

また一期一会の精神で真っ新になって再訪したいものです。
オーナーの山崎美香さんに心より「ごちそうさま」と申し上げます。

  • アイナメ鍋の具
  • 南高梅の入ったお出汁
  • アイナメの鍋

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5位

クラシカ表参道 (表参道、明治神宮前、渋谷 / フレンチ、イタリアン、ダイニングバー)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/09訪問 2014/09/26

ステファン・パンテル・コレクション 京都の風が竹林に吹きそよぐ

祇園にあった創作フレンチの店ケザコ/KEZAKOを卒業し、
今年2月に京都御所の南に自らの名前を冠した新しい店Ryoriya(料理屋) Stephan Pantel
開店させたステファン・パンテルさんが東京でコラボレートした店が表参道にオープンしました。

ステファン・パンテルさんは常駐していませんが、自らプロデュースした料理を
薫陶を受けた熟練のスタッフが提供してくれます。

ステファン・パンテルさんの経歴は南フランス生まれ13歳の頃より実家のレストランで修行を始め、
ニースやパリの三ツ星レストランを経験、2001年に来日し京都で「KEZAKO」をオープンさせ
大きな話題を呼んだシェフ・ド・キュイジーヌです。

日本で彼の名前を一躍有名にしたお店の名前「KEZAKO」はロマンス語で、フランス語に訳すと
Qu'est-ce que c'est?(ケスクセ) 「なにそれ」という意味です。

ロマンス語は古代ラテン語の俗語で、後にフランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、
カタルーニャ語、ルーマニア語などのルーツになった言語で、いまでもスイスの公用語のひとつとして
使われています。

ステファンさんがその名に込めて狙ったのはフランス料理と京料理の融合。
まさに「なにそれ」と人を驚かせわくわくさせるものでした。
それはフランス料理にとっても日本の料理素材にとっても、常識を打ち破る革新性を秘めたものでした。

その料理を京都だけでなく東京でもいただけるというのは、まことに喜ばしく、ご同慶の至りであります。
お店は青山通り国連大学のすぐそばの路地を少し入ったところにあります。
インテリアはゴージャスながら格式ばらず、寛ぎを演出しています。
キッチンはオープンキッチンで、厨房と客席の一体感を計算に入れたつくりです。

何より来店客を印象付けるのが建物を取り囲む竹林の風情。まるで京都嵯峨野の竹林にある
レストランに招かれたような演出が心憎いです。

その夜、いただいたのはステファン・パンテル・コレクションというディナー・コースです。

前菜は鰻とりんごのピクルスと九条ねぎのプレッセ アルガンオイルの緑のジュ
見た目はテリーヌ風で、九条葱の甘みとぎりぎりの苦味、林檎の酸味甘み、鰻の香ばしさと
味わい深さが一堂に会するマリアージュ、九条葱のソースでいただきます。

前菜のふた品目はフォアグラのコンフィ奈良漬け巻き 南国フルーツソース
コンフィにして脂分を落としたフォアグラを固めて、奈良漬で巻いたもの。
この組み合わせはシンプルながら、力強い味わいと、驚きをもたらしてくれます。
このセンス、以前KEZAKOでいただいたときにもそうですが、改めて魅了させられました。

三皿目は半熟卵 れんこん キノコのソテーと共にへしこのソースで
摺って蒸上げたレンコン饅頭に半熟卵とキノコのソテーがあわせられています。
それにへしこのソースを泡立ててかけてあります。
見た目の美しさ、驚き、そして素材と調理の多彩さに驚くばかりですが、
それらを一挙にまとめ上げるへしこのソースの力強さ。
お茶漬けや酒のつまみしか思い描けない若狭の保存食、塩漬け鯖の糠漬けが
華麗な変身を遂げた瞬間です。アンチョビでも出せない深い味わいと風味が香り発ちます。
混ぜ合わせていただくとフーっと息の長いため息が漏れてしまいます。

メインディッシュは2種類からチョイス出来ました。
肉は鴨、魚は鮎。小生は悩んだ結果次のものをお願いしました。
マグレドカナールのロースト 赤玉葱のコンポートとさつまいも添え スパイスの香りいっぱいに
フォアグラ用に育てられた鴨はお肉もしっかりした美味しさ!です。
かっちりとした肉質、上質な香り、この料理だけは正当なフランス料理の醍醐味が味わえました。

デザートは
洋梨のカラメリゼとパンペルデュ リコリスのアイスクリーム
黒豆醤油のバターカラメルソースと一緒に

洋ナシとフレンチトースト風のパンペルデュ、恐る恐る一口いただきました。
やはり甘いものは苦手で、一口だけでしたが柔らかくてしっとり。
黒豆醤油の香ばしい香りとアイスクリームの甘い香りが漂っています。
それにアイスクリームの上には塩昆布がちょこっと。驚きです。
甘いもの好きな人にはたまらないデザートなのでしょうね。

最後はエスプレッソをいただき閉めといたしました。

そうそう、ワインのことを忘れていました。
とっかかりは、スパークリングワイン、
まるでシャンパーニュのようなゴールド色のシャルル、繊細な泡立ちのさわやかな辛口が特徴です。
心地よい酸味と滑らかな口当たりのいいワインでした。

食事中はブルゴーニュのピノノワール ラヴィニエを1本開けて、サーブしていただきました。
そのタイミングも見事なものでした。
果実の風味が豊かで、舌に吸いつくようなきめの細かいタンニンが印象的でした。

全般的にこの店の風格からすると、とてもリーズナブルなワインを取り揃えていて、
グランメゾンのようにワイン選びにドキドキする必要はありません。

ステファン・パンテル・コレクション 京都の風が竹林に吹きそよぐような
素敵な料理との出会いが待っています。

  • 前菜 鰻と九条葱と林檎のマリアージュ
  • フォアグラのコンフィ 奈良漬巻き
  • フォアグラのコンフィ・アップ

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6位

私厨房 勇 (白金台、白金高輪、広尾 / 中華料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/06訪問 2014/06/18

ストーリーテリングのある創作中華の店、白金にできました

美味しい中華料理が食べたいならグランドホテルのレストランに行けばいい。
餃子のおいしい店、点心のおいしい店、麺のおいしい店が好みなら専門店を探せばいい。
でも、今までにない独創的で刺激的な中華料理をいただきたいのなら、こちらがお勧めです。

シェフの原さんとカウンター越しにいろいろお話しさせていただき、気付いたことがあります。
それは原さんが白金という新しい舞台でストーリーテリングのある料理を目指しているんだなということ。
ストーリーテリングとはマーケティングやPR、ブランディング等でよく聞かれる言葉ですが、
その意図するところは次のように要約できます。

「ストーリーテリング」とは、伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの
“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のことです。
抽象的な単語や情報を羅列するよりも、相手の記憶に残りやすく、得られる理解や共感を深める効果があります。

たとえば「毎朝築地で目利きをした鮮魚を使用」といわれるより
「銚子漁協の漁師、犬吠 埼さんが朝網で揚げた魚を直送」といわれたほうが体験価値が高まるというものです。
食材にも調理法にも、原さんは物語性のある付加価値で味付けをし、
お客様に体験価値の高い料理を提供したいと考えられておられるようです。

そういう意味で白金という土地柄は、それを求めるこだわりのある感度の高いお客様に事欠かないロケーション
なのではないかと思います。

前置きはさておき、原さんの独創的な料理をいただきましょう。
6時に予約をして店に向かうと店頭まで出てきてお出迎えをしていただきました。
木のぬくもりに包まれたシックな店内、カウンターだけ8席というスケールにしては
ゆったりとしています。中華料理店にしては珍しくオープンキッチンです。
席数といいオープンキッチンといい、お客様としっかりと向き合い、対話を大切にしたいという姿勢が見て取れます。

ビールはハートランドの生。前菜はミニトマトの甘酢漬け、スモークサーモンのクリームチーズ巻き、
蒸し鶏(よだれ鶏)の四川ソースかけ。見た目はまるでイタリアンのアンティパストのような一皿ですね。
酸味のあるミニトマトをさらに甘酢に漬け込む、面白い発想です。

二皿目はゴールドラッシュという生でも食べられるトウモロコシを使ったコーンポタージュです。
皮が軟らかく味わいが深いのでそのままつぶしてほんの一塩しただけと原シェフ。
爽やかな甘みが口いっぱいに広がります。

三皿目は活き鮑のチャイニーズステーキ、6000円のコースで正直言って鮑のステーキが出てくるとは驚きです。
肝と豆鼓を絡めたソースがおいしい。そういえばお箸と共にナイフとフォークが用意されていて、
これで食べるのが楽しい。こういう様式のボーダーを外しているところも印象深いものです。

そういえばデキャンタでお願いした15年物の甕出し紹興酒は赤ワインのグラスに注いでいただきます。
ワインのようにスワーリングすると、馥郁とした香りがグラスから立ち上がってきます。
こんなに素敵な香りの紹興酒をいただいたのは上海王宝和大酒店‎で雄雌両方の上海蟹とともに15年物の
紹興酒をいただいて以来です。
「ブランデーのように掌で温めて、香りを楽しまれる方もいますよ」と原シェフ。
夢見心地のような味わいにしばし陶酔です。

四皿目は北海道産の帆立貝と中国野菜の炒め、香港の香り。エリンギ、黄韮、紅芯大根、金針菜(百合の蕾)
と貝柱を香港独特の豚肉を炒め発酵させた調味料で香り高く炒め上げたものです。
以前原シェフの料理で頂いて印象深かった咸魚(ハムユイ)という香港クサヤの調味料もそうでしたが、
香港仕込みの珍しい味覚が楽しめるのもこの店ならではの真骨頂です。

さて、美味しい白ワインもいただくことにしましょう。
なんとこの店にはソムリエはいませんが、ワインのセレクトはフランスのワイナリーで修業をされている方の
厳選のモノとか、、。次の肉料理にも合う美味しい白をとお願いしたら、Cheverny 2012を薦めていただきました。
爽快な柑橘系果実の香りと酸味のバランスが素敵で、後味のニュアンスも複雑で味わい深いワインです。
ソーヴィニヨン·ブランとシャルドネの良いとこ取りをしているのでしょうか。

五皿目は牛ばら肉と新牛蒡の煮込み。煮て蒸してまた煮るという複雑な工程を経なければこの食感と味わいは出せない
と原シェフ。さすがプロの味です。こちらもナイフとフォークが活躍してくれました。

六皿目は梅と紫蘇の炒飯、上湯スープ掛け。パラパラの香りがいい炒飯に上品な上湯スープがかかっていて、
中華料理というより、まるでサラサラのお茶漬けを頂いているようなそんな気分にさせられます。、
なんだかうれしさがこみあげててきますね。

最後のデザートは和三盆を使った杏仁豆腐と大人のパイナップルジュース。
あくまでも滑らかな舌触りの良い杏仁豆腐でほのかで上品な甘み。これなら甘いもの苦手な小生でも大丈夫。
大人のパイナップルジュースも滑らかでスムージー。パイナップル特有のとげとげしさはどこにも感じられませんでした。

それでは最後のストーリーテリングを、、。
店名の私房菜(シィフォンチョイ)とは香港で有名シェフが引退後、自宅に気心知れた友人を招いての 食事会が始まり
とされる香港の食文化の一つ。
なのだそうです。

  • 前菜
  • イタリアンのような皿
  • ゴールドラッシュのポタージュ

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7位

ブルーラベル (静岡、新静岡、日吉町 / バー)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2014/08訪問 2014/09/18

不純物のないウィスキーを飲めば悪酔いしない

このバーのことは、噂では知っていました。
銀座にあるヴィンテージを出すバーだということくらいでしたが、、。
その名前も、ジョニーウォーカーのブルーラベルから付けられたものだと
思い込んでいたくらいの浅はかなものでした。

静岡で晩御飯を食べた後、案内してくれた人が一軒のバーに連れて行ってくれました。
お世辞にもきれいだとかお洒落だとか言えないビルの上階へ
古いエレベーター特有の挙動に身を任せながら、、。

そこにあったのはまさに「天国にいちばん近いショットバー」でした。

熟練のバーテンダーさんおひとりと、若い女性バーテンダーの方が数名。
大きなバーカウンターの向こうのバックバーにはモルトウィスキーが大量に並んでいます。
地方都市のバーでこれだけの保有量を見るのは稀な事なので驚いてしまいました。
しかもあちこちの瓶には付箋のようなものが張り付けられています。

とりあえず1杯いただきましょう。
小生は最初に来たバーで必ず一杯目に頂くのはドライマーティニーと決めています。
難しいことは解りませんが、何となくそのバーの心意気というか何かを感じるからなのです。
「ドライがいいですか」とバーテンダー氏、
「香り付けでお願いします」と小生。
「オリーブどうされます」とバーテンダー氏
「お願いします」と小生。

氷を用意する、グラスを用意する、ステアする、その動作の洗練されて美しいこと。
きりっとしていて、さっぱりと、なのに豊饒な味わい深さ。
小生の好きなドライマーティニーに仕上がっています。

今度は案内してくれた人が頼んだギムレットに取り掛かります。
シェイカーを振る所作、小気味いい響き、華麗です。

思い切って気になったことを聞いてみました。
「東京にも同じ名前のバーがありますよね」と小生。
「銀座の店はこちらの支店です」とバーテンダー氏、
「私も週に3日は東京のほうにいます」とのこと。
「なるほど」

せっかくモルトバーに来たのだからそれをお願いしようと思って
アイラモルトでお勧めをお願いすると、
ラフロイグの10年を勧めてくれました。
内心「10年ごときか」と思ったのですが、出してきたボトルに貼ってある付箋を見て仰天。
なんと57.8度と書いてあるではないですか。
それにプラスして「絶対おすすめ」「瓶売りもあります」と書かれています。
それをお願いすると、「最初にお値段を申しておきます」とバーテンダー氏。
それになりの値段でしたが、普段飲んでいるラフロイグとは全然似て非なるものでした。
美味いというかピュアな感じが非常に高かったです。

「不純物のない酒を飲めば悪酔いしない」とバーテンダー氏。
どこかで聞いた台詞だと記憶をたどっていくと銀座のカーネルの木村さんの口癖でした。
あのおやじさん元気かなあ。

最後にもう一つの疑問をぶつけてみました。
「ブルーラベルというのはジョニーウォーカーにちなんだのですか」と小生。
「イイエ、こちらのウィスキーからです」と瓶を持ってきていただきました。

●以下参考に

それはグラスゴーのオールドフィールド社のプレンデッド・ウィスキーでした。
ちなみにブルーラベルという銘柄は1960年代には4社から発売をされていました。
このウィスキーは1664年創立したグラスゴー市のオールドフィールド社のもの。
1970年代には輸入されていましたが、1980年代後期になってから輸入実績も
途絶えているようです。スタンダード・クラスのブレンデッド・ウィスキーで、
当時のオールドフィールド社はロング・ジョン蒸留会社の系列下にあり、
トーモアやベンネヴィスをメイン・モルトにしてブレンドしたものです。
円筒形トールボトルと四角形トールボトルが輸入されていましたが、
ラベル、中身共に同じものです。

  • アイラの香りを楽しむ
  • ラフロイグ57.8度
  • ドライマーティニー
  • ブルーラベル

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8位

センプリチェ (中書島、伏見桃山、桃山御陵前 / イタリアン)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥5,000~¥5,999

2014/05訪問 2014/05/28

蔵の街、中書島に輝くイタリアンの素敵な店で

中書島といえば伏見の中でも造り酒屋の蔵が建ち並び、
月桂冠や黄桜の資料館があったり、ちょっと足を延ばすと
時代劇のロケ地としても有名な松本酒造の大きな蔵もあります。

史跡もたくさんあって坂本竜馬がおりょうの機転で
危機一髪で襲撃を逃れた旅籠「寺田屋」は今も営業しています。

京都のベッドタウンでもある郊外のこの店のことを小生に教えてくれたのは
元同僚でもあり、飲み仲間のK君でした。

今回はK君とではなく、久しぶりに幼馴染の従姉妹と合流して行ってみました。
京阪特急で祇園四条から15分ほど。
駅から4-5分のところにある町屋をリノベーションしたリストランテです。

広々としたカウンター、高い天井、ゆとりのある調理場、気持ちのいい店内です。
オーナーシェフの西山哲平さんと奥さまの二人でサービスされていました。

【ランチ・コースは以下の内容】
◆リーヴァ・ディ・フィオーリ・プロセッコ(スパークリングワイン)

◆サラダ スナップエンドウクリーム添えドライトマトのソルベ青柚子の香り

◆クルミのパンとフォカチャ エクストラバージンオイル添え

◆蚕豆を詰めたファゴティーニ、熊本産馬肉のクリーム添え

◆アイナメとバジルの香るピュレで和えたタリオリーニ季節の野菜と生ハム添え

◆カベルネ・ソーヴィニョン ラ・レッチャイア(赤ワイン)

◆初鰹のロースト葱とリコッタチーズアーモンド添え(シェア)

◆熊本産天草天龍鶏のロースト、鞘大根とグリーンピース、フロマージュブランのクリーム添え(シェア)

◆チーズとドライ無花果 フライドグレープ

◆クッキアイオのデザート

◆エスプレッソ

【印象に残ったもの】
イタリアンなのに珍しくソースにこだわった料理が多かったこと。
サラダにはスナップエンドウのクリームソースが添えられていましたし、
水餃子にも似たファゴティーニにはなんと馬肉のクリームソースが添えられていました。
鶏のローストにもフロマージュブランのクリームソースがと言うように、、。
そういえばオーナーシェフの西山哲平さんイタリアンの他にもフレンチやスパニッシュの修行もされたとか。
以前京都ネーゼの森博史シェフとお話しさせていただいたときも同じ印象を受けたのですが、
京都という地は京料理という伝統と、京野菜をはじめとした豊富な食材が寄与するところが大きいのだなあということ。
この店でも野菜の使い方が実に素敵で素晴らしいと思いました。

【特筆】
なんでもないことですが、ドルチェの代わりにチーズという選択肢があったこと。
これがすごくうれしかったので書かせていただきました。
甘いものが苦手な小生はいつも恐る恐る「ドルチェに代えて、チーズにできないですか」
と頼むのですが、きっぱり断られることが多いので残念な気持ちになること多々でした。
中には「チーズは高いから」とまで言われた某銀座のリストランテでは、
「だったら差額を払うから」という押し問答をしても結局はダメでした。
欧米のきちんとしたレストランでは客の要望は絶対に聞いてくれますからね。
というか、ケンタッキーですら、好きな部位だけリクエストして買えるようになっています。

チーズという選択肢、うれしいひとは小生の他にもたくさんいると思いますし、
もう一杯赤ワインをというセールスプロモーションにもなると思います。
チーズの皿に載ってきたフライドグレープという驚きも新鮮でした。
見た目は干しブドウにしか見えないのですが、カリカリとした食感が楽しかったですね。


  • サラダ スナップエンドウクリーム添えドライトマトのソルベ青柚子の香り
  • サラダアップ
  • 蚕豆を詰めたファゴティーニ、熊本産馬肉のクリーム添え

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9位

石花海 別邸 かぎや (南伊豆町その他 / 旅館・民宿)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2014/10訪問 2014/10/18

久しぶりに上げ膳、据え膳で、伊豆の料理に舌鼓

南伊豆、下賀茂の山間にひっそりと佇む温泉旅館「加納の湯宿 かぎや」で
温泉につかり、美味しい料理に舌鼓を打ち、存分に羽根を伸ばしてきました。

料理は夕食も朝食も上げ膳据え膳で部屋でいただきます。
夕食はそうでも朝食までというのは最近では珍しいです。

【夕食】
◆食前酒 梅酒

◆酒菜(秋を感じる酒菜の箱入り) 牛肉時雨煮 クルトン 焼きナス寄せ 
生姜 烏賊味噌和え クコの実 むかご進上 紅葉南京

◆地魚刺身盛り合わせ 鯛 海老 烏賊 他

◆栗渋川煮 蒟蒻有馬煮 人参カステラ プチトマト梅酒漬 鰆の西京焼き(包みの中)

◆茶碗蒸し菊花餡 甘栗 百合根 松茸

◆吸い物(小鍋仕立て)一文字葱 海上進上 輪牛蒡 椎茸 栗麩 つるな 葛水仙

◆牛タンたまり漬け馬鈴薯餡錦糸丸十

◆煮物 鴨ロース 南京 里芋 エリンギ 紅葉人参 豌豆 海老そぼろ餡

◆追い肴 姫サザエの香味焼き 秋刀魚焼き締め モロヘイヤ トマト酢 茗荷 

◆留め椀 シジミ汁

◆デザート カスタードプリングレープ寄せ 梨、巨峰 ミント添え


残念ながら追い肴以降は写真を忘れるという失態です。色々食べて飲んで
すっかり酔っ払ってしまいました。

【朝食】
ポテトサラダ ミニトマト ホワイトアスパラガス 鮪の山掛け 小鉢3種

鯖の一夜干し

竹炭蕎麦+温泉卵、香の物、デザート


一つ一つの料理についての感想を述べだすと、きりがないのでやめておきますが、
すべてが平均点以上で、旅館の料理というよりは、料亭の料理の域にあります。
しかも旅館の温泉や設備やサービスも含めてもすこぶるコスパは高いと思います。
南伊豆には松崎の大沢温泉などいくつか再訪したい温泉宿がありますが、
こちらもそのひとつに加わりました。

  • 酒菜 牛肉時雨煮 クルトン 焼きナス寄せ 生姜 烏賊味噌和え クコの実 むかご進上 紅葉南京
  • 秋を感じる酒菜の箱
  • 茶碗蒸し菊花餡 甘栗 百合根 松茸

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10位

薮蕎麦 宮本 (六合 / そば)

1回

  • 昼の点数: 3.9

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/09訪問 2014/09/15

思いがかなって、本当に良かった

きっと駐車場は入れないんだろうな。待ち時間も1時間半くらいは覚悟しなければいけないんだろうな。
そう気を揉みながら12時半頃に到着しました。

あれえ? 駐車場には軽ワゴンが一台だけ、待っている人もいない。
休業? でも暖簾はちゃんとかかっているし、、。

これはラッキーだったかもしれない。

ずっと憧れていた藪蕎麦宮本のお蕎麦。
父母が相次いで亡くなって東名を東京から京都まで往復することもめっきり減って、
かといって電車で行ける場所でもなく、諦めかけていたところを案内していただける方が誘ってくれました。

クルマを下りて、入り口にたどり着いたら、笊が立てかけてあってそこに「本日臨時休業」の張り紙がしてありました。
なんという虚脱感。なんという無念さ。
空いててよかったという喜びは打ち砕かれて、胸がふさがるような思いで店を後にしました。

あくる日、その無念さを胸に抱いたまま東京に帰るには承諾できない自分がいました。
もう一度チャレンジしたい、そう言って店に向かいました。

その日はきちんと営業していました。待つこと20分くらいで小上がりの座敷に通していただきました。
文句を言うつもりはなかったですが、昨日来たら臨時休業でしたと告げると
女性スタッフの方が申し訳なさそうに、「昨日は親方が突然体調を崩してしまい、病院で手当てを受けていました。
でも、1時時半ごろに帰ってきてからは元気を取り戻して、営業したんですよ」とのこと。
30分後に来ればよかったんだと、自分のタイミングの悪さを思い知らされました。

お願いしたのはアナゴ天と海老かき揚げ天、シェアしました。
ふっくらとした軽い衣。粗塩でいただくと穴子の風味が際立ちます。
二度目は天つゆで、、。美味いですね。海老の掻き揚げは小海老がザクザクと。
嬉しいですね。

蕎麦は細く角が立ち、瑞々しくも艶やかで、香りも高く、やっぱり来てよかったと思いました。
もう少しいただきたかったので、今度は手挽きをお願いしました。
これは恐らく今までに頂いた蕎麦をどれも凌駕しているように感じました。
難しいことは解りませんが、何となくそう感じさせる迫力がこの一枚にはありました。

店の雰囲気、心のこもったサービス、どれも印象的でしたが、
ただ一つ、厨房での混乱はできれば客に聞こえないようお願いしたいと思いました。

  • 入り口
  • アプローチ
  • 宮本暖簾
  • 宮本外観

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