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前菜
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イタリアンのような皿
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ゴールドラッシュのポタージュ
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活き鮑のステーキ
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香港風帆立と中国野菜の炒め
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和牛ばら肉と新牛蒡の煮込み
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梅とシソのチャーハン上湯掛け
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胡桃
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大人のパイナップルジュース
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和三盆杏仁豆腐
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15年物の甕出し紹興酒
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白ワイン
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Chevern Y 2012
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ハートランド
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美味しい中華料理が食べたいならグランドホテルのレストランに行けばいい。
餃子のおいしい店、点心のおいしい店、麺のおいしい店が好みなら専門店を探せばいい。
でも、今までにない独創的で刺激的な中華料理をいただきたいのなら、こちらがお勧めです。
シェフの原さんとカウンター越しにいろいろお話しさせていただき、気付いたことがあります。
それは原さんが白金という新しい舞台でストーリーテリングのある料理を目指しているんだなということ。
ストーリーテリングとはマーケティングやPR、ブランディング等でよく聞かれる言葉ですが、
その意図するところは次のように要約できます。
「ストーリーテリング」とは、伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの
“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のことです。
抽象的な単語や情報を羅列するよりも、相手の記憶に残りやすく、得られる理解や共感を深める効果があります。
たとえば「毎朝築地で目利きをした鮮魚を使用」といわれるより
「銚子漁協の漁師、犬吠 埼さんが朝網で揚げた魚を直送」といわれたほうが体験価値が高まるというものです。
食材にも調理法にも、原さんは物語性のある付加価値で味付けをし、
お客様に体験価値の高い料理を提供したいと考えられておられるようです。
そういう意味で白金という土地柄は、それを求めるこだわりのある感度の高いお客様に事欠かないロケーション
なのではないかと思います。
前置きはさておき、原さんの独創的な料理をいただきましょう。
6時に予約をして店に向かうと店頭まで出てきてお出迎えをしていただきました。
木のぬくもりに包まれたシックな店内、カウンターだけ8席というスケールにしては
ゆったりとしています。中華料理店にしては珍しくオープンキッチンです。
席数といいオープンキッチンといい、お客様としっかりと向き合い、対話を大切にしたいという姿勢が見て取れます。
ビールはハートランドの生。前菜はミニトマトの甘酢漬け、スモークサーモンのクリームチーズ巻き、
蒸し鶏(よだれ鶏)の四川ソースかけ。見た目はまるでイタリアンのアンティパストのような一皿ですね。
酸味のあるミニトマトをさらに甘酢に漬け込む、面白い発想です。
二皿目はゴールドラッシュという生でも食べられるトウモロコシを使ったコーンポタージュです。
皮が軟らかく味わいが深いのでそのままつぶしてほんの一塩しただけと原シェフ。
爽やかな甘みが口いっぱいに広がります。
三皿目は活き鮑のチャイニーズステーキ、6000円のコースで正直言って鮑のステーキが出てくるとは驚きです。
肝と豆鼓を絡めたソースがおいしい。そういえばお箸と共にナイフとフォークが用意されていて、
これで食べるのが楽しい。こういう様式のボーダーを外しているところも印象深いものです。
そういえばデキャンタでお願いした15年物の甕出し紹興酒は赤ワインのグラスに注いでいただきます。
ワインのようにスワーリングすると、馥郁とした香りがグラスから立ち上がってきます。
こんなに素敵な香りの紹興酒をいただいたのは上海王宝和大酒店で雄雌両方の上海蟹とともに15年物の
紹興酒をいただいて以来です。
「ブランデーのように掌で温めて、香りを楽しまれる方もいますよ」と原シェフ。
夢見心地のような味わいにしばし陶酔です。
四皿目は北海道産の帆立貝と中国野菜の炒め、香港の香り。エリンギ、黄韮、紅芯大根、金針菜(百合の蕾)
と貝柱を香港独特の豚肉を炒め発酵させた調味料で香り高く炒め上げたものです。
以前原シェフの料理で頂いて印象深かった咸魚(ハムユイ)という香港クサヤの調味料もそうでしたが、
香港仕込みの珍しい味覚が楽しめるのもこの店ならではの真骨頂です。
さて、美味しい白ワインもいただくことにしましょう。
なんとこの店にはソムリエはいませんが、ワインのセレクトはフランスのワイナリーで修業をされている方の
厳選のモノとか、、。次の肉料理にも合う美味しい白をとお願いしたら、Cheverny 2012を薦めていただきました。
爽快な柑橘系果実の香りと酸味のバランスが素敵で、後味のニュアンスも複雑で味わい深いワインです。
ソーヴィニヨン·ブランとシャルドネの良いとこ取りをしているのでしょうか。
五皿目は牛ばら肉と新牛蒡の煮込み。煮て蒸してまた煮るという複雑な工程を経なければこの食感と味わいは出せない
と原シェフ。さすがプロの味です。こちらもナイフとフォークが活躍してくれました。
六皿目は梅と紫蘇の炒飯、上湯スープ掛け。パラパラの香りがいい炒飯に上品な上湯スープがかかっていて、
中華料理というより、まるでサラサラのお茶漬けを頂いているようなそんな気分にさせられます。、
なんだかうれしさがこみあげててきますね。
最後のデザートは和三盆を使った杏仁豆腐と大人のパイナップルジュース。
あくまでも滑らかな舌触りの良い杏仁豆腐でほのかで上品な甘み。これなら甘いもの苦手な小生でも大丈夫。
大人のパイナップルジュースも滑らかでスムージー。パイナップル特有のとげとげしさはどこにも感じられませんでした。
それでは最後のストーリーテリングを、、。
店名の私房菜(シィフォンチョイ)とは香港で有名シェフが引退後、自宅に気心知れた友人を招いての 食事会が始まり
とされる香港の食文化の一つ。 なのだそうです。