バオバブさんが投稿した平野屋(京都/トロッコ嵐山)の口コミ詳細

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平野屋トロッコ嵐山、トロッコ保津峡、トロッコ嵯峨/日本料理、甘味処

1

  • 昼の点数:5.0

    • ¥15,000~¥19,999 / 1人
      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2013/07 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

「鮎よろし」の季節  京都その114

【2013/07/12】     鮎司 平野屋

 京都で祇園祭が始まる暑い夏に食べる特別なものと言うと鱧と鮎がある。「梅雨の水を飲んで育つ」と言われる淡路島の鱧はこの時期が一番美味しいと言われ、京都では好んで食べられる食材の一つだ。一方、鮎は京都の川では多く獲れ、この時期のものが若鮎の頃で一番美味しいと言われる。今回どちらの食材を食べるかを迷ったのだが、鮎を一番の名物料理にしている「平野屋」で頂くと言う贅沢をしてみる事にした。京都では鮎と言えば「平野屋」と云われる。そう、「鮎よろし」の季節なんです。

 JR二条から嵯峨嵐山(トロッコ嵯峨)までJRに乗って、それからタクシーで嵯峨鳥居本にある「平野屋」に行きます。若い時なら嵐山から徒歩で十分行ける距離ですが、さすが37℃を越える気温の中、徒歩で向かう事には無理があります。ほんの10分ばかりで「平野屋」の前まで連れて行ってくれます。流石この辺まで来ると京都の中心部の凄い暑さと違って、風が涼しく幾分過ごし易いと思います。

 京都市民は北東の比叡山と北西の愛宕山をいつも望み観て生活をしている。愛宕山には愛宕神社があり火伏せの神様として古来より京都の住民の信仰を集めていた。
 創業400年「平野屋」はこれから愛宕山に登る起点となっている愛宕神社「一の鳥居」の茶屋として古くから親しまれている。店の前には朱色に塗られた鳥居が建ち、苔むした茅葺の平屋の建物と緋毛氈が掛けられた縁台は、私の子供の頃のままで時間が止まっている感じがして懐かしさを憶える。

 10日程前に予約をしていた時間より少し早い時間に着いてしまったのだが、名前を伝えるともう伺っていて部屋が用意されているとの事だった。若女将に案内されるまま付いて行くと池の前の角部屋に案内された。2方に庭の池を眺める事が出来る。畳の上に座ってしばし休んでいると、裏山の緑が風に吹かれる音と保津川の渓流から引き込まれている池の水のせせらぎの音で心が癒される。部屋には小さな扇風機が置かれているだけで冷房設備はない。というか必要がないのだろう。

 やがて愛宕名物“志んこ”とお茶が運ばれてきた。“志んこ”はお米の粉を捏ねた団子をひとひねりねじってニッキ、お茶、白の三色にしたものに黄な粉と黒砂糖を掛けて食べるお菓子だ。この“志んこ”は平野屋の店頭で縁台に座ってこれだけを頂く事も出来る。

 注文は予約時に済ませていたのでメニューを見せられる事はない。ただ飲み物だけ別に注文する。ノンアルコールビールを頼んで見る事にした。お昼には昼膳とか湯豆腐もあるのだが、やっぱりこの季節の「平野屋」は“鮎料理”と言う事で天然鮎のフルコース料理を頼んで置いた。

 “志んこ”を食べながら庭の池を眺めていると、池の横にある生簀からこれから我々が食べる鮎を網ですくって取り出していた。


 やがて飲み物と突き出しの山菜が運ばれて来てお料理が始った。

突き出し
 山菜はふきの茎、山芋にモロミ、わらび、ウド、わさびが皿に盛られている。ご飯が欲しい。

鮎の背越し
 新鮮な骨の柔らかい若鮎の骨と身を一緒に筒切りにしたもの刺身の事を背越し(せごし)と言う。見るからに清涼感があり美しい。若鮎は10㎝ほどのもので、この“背越し”と言う料理方法はこの季節にしかできないとの事。例年だと6月中のもので7月には普通の「鮎の刺身」なるはずなのだが、今年は例年より成長が遅いのだろうか。以前平野屋に来た時は8月の中旬だったのだが、その時は三枚におろした普通の「鮎の刺身」だった。この背越しの方が数段美味しく思える。生臭さは一切なく、身のこりこりする硬さと軟骨のような硬さの骨が絶妙で繊細。ただ生きているような目が恨めしい。

焼き鮎
 殆ど塩をしていない鮎の焼き物。子供に骨抜きの方法を教えようとしていると、見かねた女将がじきじきに子供に骨抜きを教えてくれた。骨をすべて取り除いた鮎を箸でほぐして蓼酢で頂く。蓼酢の事を教えていると女将が奥から蓼の葉っぱを持って来てくれ、直接蓼の葉っぱを揉んでその味を確かめさせ、蓼酢の作り方も教わった。「蓼食う虫も好き好き」とは良く行ったもので、蓼の葉を直接噛むと何とも苦い。子供のもう二匹目の骨抜きは完全で私より上手であった。8月終わりの20㎝位の焼き鮎ではさすがに香魚と言うだけの香りがするが、この時期の鮎はまだ藻の食べ方が少ないのか香りは強くない。

茄子
 焼き茄子を胡麻和えにしたもの。箸休めかな。

鮎粥
 白粥に山椒の葉が一枚入れてあるだけに見えるが、白粥に箸を入れて見ると椀の底に大きな焼き鮎の身が入っていた。鮎の香りが微かにして極めて美味しい。

鮎田楽
 焼き鮎が二匹の味噌田楽。焼き鮎の骨抜きはもう手慣れたものになっているので直ぐに頂ける。単なる焼き鮎とも味が違っていて、甘い味噌と合間って内臓の苦さが強調されるように思える。

天ぷら
 鮎は一尾を三枚におろし、更に身は食べ易いように2つに切られている。身は薄い衣の天ぷらで、頭部と骨は多少長い時間を掛けて揚げてあるので衣の色が茶に染まっているが、歯応えが美味しい。部位によってみんな味が違う。野菜はトウモロコシ、蓮、万願寺唐辛子、茄子。トウモロコシがめっちゃ美味しい。

豆腐
 突然、「森嘉」のからし豆腐が一個出てきた。女将に「森嘉」の物かと尋ねると、ご近所のものですとのお答え。確かに「森嘉」はご近所と言えばご近所。丸い椀を逆さまにしたような丸い豆腐の上に四万十川産の青のりが振り掛けてある。中は和辛子が入っている。二つに割って和辛子を取出し、醬油を入れて冷奴として食べます。このからし豆腐は「森嘉」の商品の中でも人気があるので朝の早くに買いに行かないと売り切れている事が多い。和辛子に慣れない子が涙を流している。

御飯
 すごく美味しい御飯。女将に美味しい旨伝えるとお客の「みんなさんにそう言われる」と言う事。銘柄は教えて貰えなかった。香の物は茄子、たくわん、胡瓜のぬか漬けだった。お吸い物は夏らしく赤だしで 具はウド、ジュンサイ、ゆばとどこかで柚子の香り。御飯が出て来たのでお料理がこれで終わりである事が判る。既にお腹は満腹に近くなっている。

菓子
 最後にメロンの切り身と焙じ茶が出てきた。メロンの冷たさが清々しい。


 あっと言う間の約3時間だった。池の水のせせらぎと風の音がする自然に極近い空間の中で、最適の間隔でお料理が運ばれ、会話も最小限の中で食事が進んだ。時間の流れが異なる中で、一部屋と庭の池を独占しているようで贅沢の極みに思える。

 次回は冬にぼたん鍋を頂きに来たいものだと思った。
 帰りに酷暑の中の愛宕街道を逆に歩いて嵐山を目指す。途中に愛宕(おたぎ)念仏寺に寄った。

  • 鮎の背越し

  • 全景

  • 一の鳥居のたもと

  • 暖簾

  • 前室

  • 回り縁と庭と池

  • 愛宕名物「志んこ」

  • 山菜

  • 鮎の背越し

  • 明け放ちの部屋

  • 茄子の胡麻和

  • 鮎粥と梅干

  • 鮎田楽

  • 鮎と野菜の天ぷら

  • 平野屋と愛宕参りを画した屏風

  • 辛子豆腐

  • デザート

  • 池と灯り、3時間前と色合いが違っている

  • 愛宕(おたぎ)念仏寺の竹林

  • 念仏寺 千二百躰の石造の羅漢

2013/08/31 更新

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