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建仁寺祇園丸山
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建仁寺の龍の天井図
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粟饅頭の椀
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鰆の焼き物
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えび芋の風呂吹き
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デザート
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焚き合わせ
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入口付近
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手あぶり火鉢には、鉄瓶と松葉が
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寄付きから見えるお庭
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この日利用した部屋
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おめでたい福寿の掛軸
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掛軸
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部屋から見える庭
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庭の様子
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京都 建仁寺といえば、臨済宗 建仁寺派の本山である。俵屋宗達の風神雷神図屏風を所蔵することでも有名だが、祇園の花見小路を歩いた後に立ち寄った人も多いことだろう。
そんな由緒ある寺院の袂にあるのが、今回お世話になった「建仁寺祇園丸山」。
娘の彼氏のご両親とお会いするということで、2人が設定してくれたお店である。
京都駅で娘と待ち合わせをして、タクシーでこちらに向かう。建仁寺横の八坂の通りで降りると、周りには料亭らしき建物がいくつも並んでいる。
そんな中、店舗横に枝垂れ桜が植えられて、壁には都をどりのポスターが貼られた数寄屋造りの建物が目にとまる。
門をくぐると寄り付きがあり、手あぶり火鉢には鉄瓶が、周りに松葉が八角形に敷かれている。
迎えてくれた中居さんに娘が予約の旨を告げると、「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ。」と玄関の方へ案内される。
靴を脱ぎ上がると、足元が温かい。見ると、半畳ほどのホットカーペットが敷かれていた。弥生も末となったが、このようなちょっとした心遣いが嬉しくなる。
廊下を少し行った正面の和室に案内される。黒く艶のあるテーブルが置かれ、窓からは手入れされた庭を眺めることができる。床の間には、結び柳がしなやかに飾られ、花瓶には季節の花が生けられている。
掛け軸には福◯の文字が、◯の漢字もおめでたいものだろう。寿だ思うが少し自信がなく、そのことには家族には触れずにおく。
そうこうしているうちに、彼氏とご両親が来られた。
ご挨拶を済ませ、それぞれの席に着く。私の向かいには、彼氏のお父様が座られた。
独特の雰囲気が、室内に漂っている。そんな中、娘と彼氏が顔を見合わせて何かのタイミングを見計らっているようだ。
彼氏が緊張の面持ちで口を開く。
「本日は、両家のお父さんやお母さんに、ここ京都まで来ていただき、ありがとうございます。N子さんといろいろ相談して、初顔合わせの場所をここ建仁寺祇園丸山さんにしました。ゆっくりと食事をしながら、楽しくお話をしていただければと思います。」
中居さんが、最初に運んで来たのは甘酒だった。上品な甘さが、空き腹に心地よく染み渡っていく。
「飲み物何にしはります。」
「最初はビールで乾杯しますか。」誰が言ったかは忘れたが、そんな雰囲気になった。
それぞれのグラスに、ビールが注がれる。みんなで杯を上げ、「よろしくお願いします。」と会食が始まった。
いつもなら、写真を撮らないと、料理に箸をつけない忍者なのだが、この日は初めて娘の彼氏の両親に会うので、食べロガーであることを隠し、ただの親父に徹する。
こういう席は慣れないので初めはどうしても硬くなるが、ビールを飲み干す度に、中居さんが絶妙のタイミングで注いでくれるので、次第に肩の力も抜けてくる。
「まあおひとつどうぞ。」と向かいのお父さんにビールを注ぐ。「お父さんもまあおひとつ」とビールを注いでくださる。
彼氏のお父さんは、地元では地域のお世話をされているようで、会合が度々あって結構忙しいとのこと。また、晩酌は欠かさないようで、自分で好きなアテを準備しては家飲みを楽しんでいるらしい。
お母様はとても明るくて、お話しもお好きなようだ。娘や相方と、また久しぶりに会った息子さんと楽しそうにお話をしながら、食事をされていた。
飲むにつけリラックスしてきたのだが、その分、酔いも増し、何を食べたのか今ひとつ覚えていない。後で食べログで検索すると、同じような時期に行かれているレビュアーさんが、同じようなコースを食べられていたので、記憶が少し蘇ってきた。
そして、娘に「料理の写真を撮れたらお願いね。」と言ってあったので、少しだけだが画像をもらうことができた。全部の料理の画像はないが、一部だけ上げておく。
料理の流れは次のようなものであったと思われる。
①食前酒(甘酒) ②先附 ③向附 ④椀 ⑤焼物 ⑥お凌ぎ ⑥焚合わせ ⑦珍味 ⑧後汁 ⑨飯 ⑩香物 ⑪水物
どの料理も美味しかったのだが、その中でも粟饅頭のお椀の蓋を取った時の出汁のいい香りが脳裏に浮かぶ。吸い地は淡く上品だが、粟まんじゅうが解け始めるとともに旨味と塩味がじわっと広がっていくようなお椀だった。
鰆の焼き物は、なんとも言えずふくやかに焼きあがっていた。本当は日本酒が欲しかったが、飲みすぎたらいけないかなと、いつになく自重してしまったのが惜しまれる。
また、めでたい席ということで、お凌ぎには赤飯が用意されていた。赤飯は大好きなのだが、このような上品で美味しい赤飯にはなかなかありつけない。
そして、最後の方に出た御飯がまた最高だった。一人一人の分を釜で炊いているんだそうで、そのままでもすごく美味しかったが、明太子のふりかけが添えてあったのもよかった。
水物の新鮮なフルーツを食べていると、店主の丸山嘉桜氏がわざわざお部屋に来てくださり、お祝いの言葉をいただいたり、床の間の結び柳や掛け軸について説明をしてくださったりした。
掛け軸の文字は、やはり福寿であった。あれは寿という字だねと知ったかさんになれたのにと、ちょっと後悔する(*^^*)/ホラホラやっぱり
店主の丸山嘉桜氏は、菊乃井や和久傳で料理長を務めた第1級の料理人だ。現在は、祇園 丸山とここ建仁寺 祇園丸山の2店を構えている。しかし、お話ぶりを聞いているととても気さくなお人柄を感じることができた。
「ご馳走様でした。」「とても美味しかったです。」「お世話になりました。」と直接店主に言うことができたのは何よりだった。
玄関前で記念写真を撮ろうとすると、見送りに出てきてくれた中居さんが快くシャターを押してくださる。
娘の彼氏の両親。素晴らしい料理。腕がよくて人柄もいい店主。よく気の利く中居さん。
いろいろな出会いを演出してくれた、娘と娘の彼氏に「ありがとう。」と言いたい。
次に会うのは、五月。下鴨神社での挙式の日だ。今度はどんな出会いが待ち受けているのか、楽しみにしながら日々過ごすことにしよう。
(o^^o)/にんにん