2回
2008/10 訪問
下町のうなぎとは一線を画す ~ 野田岩 本店
2階の個室を利用しました。黒光りする太い梁や、歴史を感じさせる座敷がとても良い雰囲気で、さあ、鰻を食べるぞ!という気分が盛り上がります。
うな重コースを注文しました。
まずは生ビールでつきだしをいただきます。つきだしは、鰻の煮凝り、もずく酢、鰻のそぼろです。鰻のそぼろは初めて食べましたが、佃煮でもなく、でんぶでもない、面白いものでした。味わうと甘辛い中に鰻の風味がほんのりして美味いです。
☆志ら焼き
20分以上待って、志ら焼きがやってきました。黒い蓋のついた銀のお重に入っています。よく知られているようにこのお重は湯煎で保温されています。
蓋をあけると。、志ら焼きはきれいな狐色です。まさに「白焼き」ではなくて「志ら焼き」です。表面は綺麗に焼き上げられており、箸を入れると中はホクホク。
なんとここで同行者が注文したキャビアが登場しました。「なんで白焼きにキャビア?」と思いながら、志ら焼きの上にスプーンですくってキャビアをのせ、山葵をつけて醤油をちょっとつけて食べます。
・・・・ 「うまい!」 とろっと柔らかく、まったりと脂の甘い鰻の身に、塩味のキャビアがアクセントを加え、山葵醤油がびしっと締める。鰻の香りとキャビアの風味が口の中で渾然一体となって、実に美味しい。なんと贅沢で、謂わばなんと下品な食べ方なのでしょう。しかし、これが美味しいのです。フランスにも支店を持つご主人が考え出した、究極の和仏折衷です。合わせるお酒はブーブクリコでありました。
☆茶碗蒸し
志ら焼きキャビアの興奮に浸っていると、口直しに茶碗蒸しが登場します。これがまた、鰻とふかひれが入った茶碗蒸しです。そもそも薄味の出汁を楽しむ食べ物である茶碗蒸しに鰻とふかひれを入れるという発想がすごいのですが、結構いけます。鰻と卵の相性の良さに、ふかひれが深みのある出汁を加えています。美味いです。
☆うな重
さらに20分ほど待って、ついにうな重がやってきました。綺麗な日本画の描かれた黒い漆塗りの重です。蓋を取ると、ほわっと香る鰻。こんがり狐色の蒲焼は、照りが美しく美味そうです。
重の端から、ご飯と一緒に頬張ってみました。なんと上品な味! 今まで食べていた鰻は、甘辛いタレのインパクトが強かったのですが、その期待が完全に裏切られる上品な薄味。そのため鰻の身の美味さが口中いっぱいに広がります。鰻の身はすごく柔らかく、口の中でホロリと溶けますが、脂は強くありません。その食感は今まで味わったことのないもので、ある種魚のフレークのようなもの。鰻が魚であることを思い出せてくれます。さっぱりとした味わいは、濃いタレに慣れた口には少し物足りないような気がしますが、食べ進むと、鰻の旨みが広がり、飽きが来ないのでとても美味しく食べられます。
新しい経験です。「鰻」ではなくて「野田岩の鰻」ですね。
大満足の野田岩でした。
2008/10/25 更新
大先輩のオフィスに鰻を差し入れしようと、選んだお店はご存知「野田岩」 出前してくれるんですね。
鰻重 3800円
肝吸 330円
香の物 260円
お店で食べるのと同じように、少しあっさりとした色合いの蒲焼は、ふわっとさくっと。白身魚のような上品な身に、甘味のある上品な脂。そしてタレはさらっと、これまた上品で鰻の味がよくわかる。これが「野田岩」のうなぎ。
備長炭を使い、焦げ目をつけずに繰り返し焼かれた蒲焼は見事。基本的に蒸しが強いので、余計な脂が落ちてフレークのような食感になるのが特徴。これは好き好きで、もっと脂っこい鰻が好みの人もいるでしょう。
脇役の肝吸も抜かりなく、ちゃんと肝が入った美味しいおすましでした。
最近は「野田岩」のお店に行くと、外国で食べているようだ、という話も聞きます。
出前で「野田岩」の鰻を味わうのも、ひとつの形ですね。