『[chronicle:2010-06-06] 湯河原日記(後篇):死ぬな!愛車よ』ceciloさんの日記

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cecilo's CHRONICLES

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いつもの通り、別宅の掃除を済ませ、戸締りを確かめ、助手席に母を乗せ、川崎/東京に帰るべくクルマを走らせ始めたその途端。
即座に異変に気が付いた。

走り始めたクルマのATが、一向にギアアップしないのだ。
いつもなら、クルマの発進と加速に伴い、速やかかつスムーズに自動「変速」されるはずのギアが、ウンともスンとも変速しない。
これは明らかにヤバイ。
それからの帰路の殆どが高速道路であることを鑑みれば、その道中に甚大な支障を来すことは火を見るよりも明らかだ。

そこで、まずは、同じクルマの車検や修理等でこれまで長年さんざん世話になっている地元・代々木のガレージ(もちろん日曜休業)の社長の家にダメ元で電話を入れてみる。
すると幸運にも、日曜の早朝だと云うのに、社長当人が電話に出てくれた。
状況を伝えて相談したところ、さらにアリガタイことに、社長が云うのだ:
「それなら今から工場を開けて待ってるから、いつでもクルマを持って来い」
との由。
社長!ありがとう!

そこで次にはさっそく、レッカー移動を手配すべく、契約している保険会社に連絡を。
すると即座に「JAFメンバーならJAF利用が早くて安い」と教えてくれ、すぐにJAFに取り次いでくれた。
すると、これまたすこぶる幸運なことに、たまたま別宅からすぐ近所のJAF指定業者のガレージから、ものの20分足らずでレッカー車が到着。
その場でクルマをレッカーに載せ、社長が待つ東京の工場までそのまま運んでもらうことにした。

...以上、別宅出発直後の異変発覚から、レッカー車への積載・出発まで、要した時間は僅かに30分足らず。
これ以上は望めない最小限のロスタイムで、必要な対処が全て講じられたのは、本当に幸運だったとしか云いようがない。

とは云え確かに、レッカー車の費用(=JAF契約/任意保険だけではカバーできない超過分)やガレージ搬入後の修理代やらで、合計で優にウン十万円を超す出費は必至(涙。
まあでも、考えようによっては、それで済むなら御の字だ。
場合によっては、最悪の場合、自分のみならず母の命まで危険に晒すことにもなりかねなかったとも云えるワケだから。

ともあれ、愛車を載せたレッカー車の無事の出発を見届けた後は、母と二人、電話で呼んだタクシーでJR湯河原駅へ。
そこから小田原経由、小田急線特急で、日曜の昼前には無事に帰宅できたという次第。
肝心の愛車の方も、ぼくより少し早めに無事に工場に着いたとの由。
まずは、めでたし♪

しかし、帰りの小田急線車中でオレもつくづく考えた:
さすがにそろそろ、
今のクルマも年貢の納め時じゃあるまいか
と。
と云うのも、たまたまちょうどこの6月を以て、新車から乗り始めた今の愛車は「ハタチ」なのだ。
そう。つまり、我が一人息子とまったく同い年。
だって、そりゃそうだ。
息子のアイツが嫁さんのお腹にデキたと知ったのをきっかけに、「だったら初めての赤ん坊を病院から乗せて帰るクルマには、世界一安全なクルマを選ばなくちゃ」とかなんとか屁理屈コネて(?)買ったクルマなんだもん。

謂わば今のクルマは、息子にとっては、まだ嫁さんのお腹に居る頃から今までずっと、ヤツの安全の守り主
その息子もこの春ようやく大学生となり、親元を離れ、一人暮らしを始めたばかり。
我が愛車がもしも人間だったなら、そんなヤツの成長と親離れをしっかと見届けた今だからこそ、今まで丸20年に及ぶ「守り主」としての使命を全うしたと同時に、遂に力尽き、自ら朽ち果てようとしているようにも見えないこともない。

そう考えると、なんだか急に切なくなって来たりもする。
今のクルマがずーっと守って来てくれた一人息子も、この9月には晴れてハタチだ。
せめてそれまで、愛車よ、あともう一息だけ頑張っちゃくれまいか。

...てなことで、最後は我ながら少々感傷的なエンディングとなった今回の顛末。
ある意味、母への想いのみならず、息子や愛車に注ぐ愛情に気付かせてくれたと云う点では、正直、この先ずっと忘れられそうにない週末になりそうだ。
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