ちゃいりーさんが投稿したグルマンズ(東京/淡路町)の口コミ詳細

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ちゃいりーの短編飯

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グルマンズ新御茶ノ水、小川町、淡路町/ジビエ料理、ビストロ

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2025/12 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

都市の喧騒と、野生の記憶が交差するテーブル

神田と秋葉原の間、ビジネス街の無機質なビル群の合間に、その店はひっそりというにはあまりに強く、しかし明確な意志をもって立っていた。巨大な旗が風に揺れ、店名が踊っている。それはまるで、都市の冷たい幾何学模様を突き破って出現した、異国の、辺境のレストランのような佇まいだった。その扉を開けることは、単に食事の場所に入るという以上の、ある種の異空間へのパスポートを手に入れる行為に近かった。

店内は、一種の博物館であり、あるいは猟師の秘密の隠れ家とでも呼ぶべき場所だった。様々な獣の剥製、骨、毛皮が、言葉を失った静寂の中で、僕を迎え入れた。特に壁にかかった巨大な鹿の顔の剥製は、まるで深い森の記憶を封じ込めたかのように、印象的で、少々威圧的だった。その空間全体が、都市の喧騒とは無縁の、生命の野性的な匂いを放っていた。店主が自ら猟師免許を持つという事実は、この異様なまでのリアリティを裏付けていた。

僕はシェフのおまかせコースとワインのペアリングを注文した。都市生活の対極にある、大地のエッセンスを身体に取り込もうというわけだ。

コースの中でも、いくつかの料理は、僕の意識に強い刻印を残した。まず、生のマッシュルームと生ハムのサラダ。生のマッシュルームというものは、僕の経験の中ではあまり登場しない脇役だったが、ここで出会ったものはサクサクとした軽快な食感の中に、土の匂い、すなわち「野性味」をしっかりと携えていた。トリュフドレッシングの芳醇な香りが、それをさらに高い次元へと引き上げる。

そして、伏茸とジビエのコンソメ。その琥珀色の液体は驚くほど透き通っていて、ひと口飲むごとに、深い森の滋味が身体の奥へと染み込んでいく。まるで、音もなく流れる地下水のように、静かで力強い生命の根源を教えてくれるようだった。

極めつけは、穴熊のポワレだ。穴熊はジビエの中でも珍しく、以前から一度食べてみたいと思っていた。見た目はたっぷりと脂を纏っているのだが、食感は予想に反してサクサクと軽く、その脂が重たさを感じさせない。しかし、その味わいは深く、濃厚で、これが穴熊だという確かな主張を伴っていた。飼育された肉が持つ、どこか予定調和な脂肪とは一線を画す、森の生命力を凝縮した、真のジビエの味だった。

料理とワインが織りなすペアリングのリズムは完璧で、そこに店員や店主の気さくで温かい会話が加わった。彼らは、剥製が作る静寂とは対照的に、生命の躍動を語ってくれた。その気さくな人柄と、料理への真摯な姿勢が、この異空間を居心地の良い場所へと変えていた。

僕は、この店が持つ剥製の沈黙、森の深淵で響く滋味、そして人々の温かさに、すっかり魅了されてしまった。ここは、単なるレストランではない。僕の魂が、都市の喧騒から逃れて一息つける、確かな場所だ。また必ず、この異空間へと足を運ぶことになるだろう。

※ 写真の料理は来れなかった友人分を取り分けたため1.3人前あります

2025/12/13 更新

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