ちゃいりーさんが投稿した牧野(東京/新馬場)の口コミ詳細

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ちゃいりーの短編飯

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牧野新馬場、北品川、天王洲アイル/居酒屋、日本料理

1

  • 夜の点数:4.0

      • 料理・味 4.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2025/11 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5

旧東海道の傍ら、生簀の鼓動と酒と肴と調律

新馬場駅という場所は僕の記憶の地図には存在しない、日常のルートから完全に遊離した駅だ。その夜、僕は初めてそこに降り立った。駅を出ると旧東海道の気配がする。歴史という名の古びた布地のようなものが街全体を覆っている。

店の外観はその歴史を静かに体現していた。店の前にはガラス越しに生簀が見える。どうやら彼らは、注文のたびにその生簀から「今」を捕まえ捌いて提供するという。この生に対する確固たる姿勢が、僕の体内の小さな期待値を静かに上昇させていった。これ以上の居酒屋が果たしてこの世界に存在するのだろうか、と。

料理は海鮮が中心でいずれも最高レベルのクオリティーだった。だが、僕の意識に最も強く刻み込まれたのは生命そのものと向き合うある種の儀式的な体験だった。

特に印象的だったのは穴子を炭火で焼く皿だ。直前まで生きていたはずの穴子の身は皿の上でピクピクと脈打っている。特に心臓の周辺の身は強い生命力の残響を感じさせるほど動いていた。残酷という言葉は、ここでは無意味だ。これは新鮮さの最も原始的な象徴であり、僕はその光景を前に無意識に喉を鳴らした。炭火で焼かれた穴子はサクサクともコリコリとも言えない、全く新しい食感だ。その味わいは脂を豊かに含んでおり、それはまるで鰤の深い脂と見紛うほどだった。

蛸も同様に七輪の上で僕たちが焼いた。足を一本ずつ串に刺され穴子とは違う、ウネウネとした波のような動きを見せている。僕たちはまるで音楽を奏でるように、丁寧に醤油を塗りながら焼く。その香ばしさは、遠い記憶にあるお祭りのトウモロコシを連想させた。熱が生命力を旨味へと変えていく。噛めば噛むほど複雑な人生の味が口の中に広がっていった。

僕たちは、店員さんオススメの日本酒をボトルで選んだ。この海鮮の品々に合う日本酒はそれだけで一つの芸術だ。酒と肴の調和は、都市生活の軋みを静かに調律してくれた。

僕は新馬場の旧東海道の傍らで生の魚介の生命力と、その深い旨味に対峙した。これ以上の居酒屋が本当に存在するのだろうか。僕は生涯、この店の不変のクオリティーに通い続けたいと心の中で静かに、しかし強く誓った。

2025/12/14 更新

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