レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
2回
2017/10訪問 2018/01/01
<2013年10月>
9月のあるとき。
筆書きの宛名の、立派な招待状が届きました。
それは、ロオジエのオープニングパーティ。
もちろん何を置いてでも、最優先で「出席」決定です。
返信ハガキを送り、当日を楽しみに迎えました。
さて当日。
エントランスには資生堂の幹部を始めとした社員の方々。
そして、懐かしいロオジエのスタッフが、順々にお出迎え。
建て替えた資生堂本社ビルは、以前とはすっかり様変わり。
入口の重厚な扉はまるで、パリのヴァンドーム広場の高級宝飾店に迷い込んでしまったかのよう。
メインダイニングは地下。
しかし、1階から大きな吹き抜けとなっているので、外光が入り、圧迫感はゼロ。
逆に、1階にある緑も目に入り、開放感を感じるほど。
弧を描いた階段を降りると、メインダイニング。
全体を見回すと、シャンパンゴールド、ベージュ、白がメインのカラースキーム。
テーブルセッティングされている位置皿は、ゴールド。
ドリンクサービスのテーブルには、3種類。
ドラモット、ペリエ、あとはブラッドオレンジジュースだったか…。
もちろん、シェフソムリエのサーブです。
シャンパーニュを片手に、新しいダイニングを回遊したり、スタッフの方々とお喋りしたり。
勧められるがままに、フィンガーフードをいただいてみると…。
素晴らしいキャヴィア、力強く薫るトリュフなど、
どれもこれも、小さいながら主張がしっかり。
タダモノではないのは、さすがです!
周囲は、ロオジエの長い歴史を知る人々や署名人で、賑わっていました。
顧客の奥の深さが実感できます。
よくぞ、私ごときに招待状が届いたものだと、改めて驚きと感謝です。
帰りには、お礼のカード、お店のブローシャー、お土産のショコラをいただき、
お店を後にしました。
新しい「銀座の柳」が、ドラマチックに始まりました。
<2011年2月>
一時閉店まであと1ヶ月あまりの頃。
大理石の白い階段を踏みしめて、2階のダイニングへ。
デジュネでも、いつもよりもフォーマルに装ったお客様が多いようです。
だいぶ華やいでいました。
今回も、心に残ったお皿をいくつか。
「鳩のロースト」。
大きくふっくらしたお肉。
ナイフを入れると、ピンクがかった赤身が柔らかく、きめ細かい。
窒息させているから柔らかい、とのこと。
そして大ぶり。
内臓も余すことなく、カラっと揚げて。
ジュで取ったソースの凝縮感が、なんとも魅力的。
「温かいチョコレートのスフレ」。
王道のチョコレートのデザートのメニューから。
目の前でスフレに穴を開けて、好みのアイスクリームをポトっと。
ふわふわ、そして濃厚なチョコレート。
堪能しました。
数々のプティフールの中で一番好きなのは、エッグスタンドに乗った「クレームブリュレ」。
ボリーさんの頃からの定番プティフール。
限りなく滑らかで、大事に優しく作られたソフトなブリュレ。
タヒチ産のヴァニラビーンズを惜しげなく、たっぷりと。
底のほうに真っ黒に残るのが、もったいないくらい。
突然、無性に、これが食べたくなる時があり、困っております、私。
これからどうしましょう…。
お皿に合わせたワインのセレクションも完璧。
お料理もワインも、私のロオジエ史上で1、2位を争う素晴らしさ。
季節ごとに変化するエクステリア、素敵な店内のデザインも、そろそろ見納めかも、
と思うと、感慨深い思いがあります。
<2011年1月>
今年最初のグランメゾンでのお食事が、ロオジエでのデジュネ。
改装閉店に向けて、お料理も、サービスも、パワーアップしています。
特に心に残ったお料理を。
「的鯛のポワレ きのことキャベツのピューレ マトロートソース」。
的鯛のフィレがしっかり2切れ。
添えてあるのは、ツヤのあるソース。
贅沢にキノコを使ったピューレは、漉して、オリーブオイルやニンニクと和えて。
瓶詰めがあったら購入したいほどの美味。
「牛フィレ肉のロティ"ヴェネソン"冬野菜のココット焼きを添えて」。
今回は岩手牛。
口の中でトロけます。そう、こんな牛肉が食べたかった!
塩のピリっとした振り具合も完璧。
ココット焼きの野菜たちは、自然の甘みがたっぷり。
「フロマージュ」。
いつもながら、状態は最高。
そして、ハードチーズの切り方、ミモレットの薄さ、すべてが私好み。
珍しくデギュスタシオンにしていただいた、ワインのセレクションもさすが。
ボトルでゆっくりと薫りの移り変わりを愉しむのもいいけれど、
お皿に合わせた、絶妙なマリアージュも素敵。
この素晴らしいチームでのロオジエは、今年の3月まで。
当日の客層は心なしか、それを惜しむ人々ばかりのよう。
時間が経つのは早いものです。
<2010年10月>
銀座の柳も、来年3月にはいったんクローズし、資生堂本社ビルは改築。
この素晴らしいスタッフの解散が待っているとは。
新築後に訪れたら、果たして何人の懐かしい顔に会えるんでしょう。
そんな心配をしてしまうほど、さらにチームワークの良さが際立っていました。
印象的だった、アラカルトのお皿をひとつ。
「和牛フィレ肉のポワレ"ロッシーニ"セップとポテトのニョッキ 黒トリュフ風味」。
お皿の上はキノコで秋模様。
目の前で、仙台牛のポワレに黒トリュフのソースをかけて。
神秘的なほどにツヤツヤのソースを、ロゼ色に焼きあげたお肉に絡めると、
和牛ならではの高品質なジューシーさと、黒トリュフの風味が、黄金の組み合わせに。
火入れや塩の具合も、ちょうど好みのど真ん中。完璧!
黒トリュフたっぷりの贅沢なソースは、最後の最後までパンと共に。
お料理全体が、このところ、みるみる基本に還ってきました。
ほんの何年か前までの、「トンガリ感たっぷりのお遊び」はどこへやら。
しっかりとした素材感を全面に出したものが中心に。
地に足が付いた安定感を感じます。
<2010年6月>
今回も、アラカルトのお皿がすごかった。
今までで最大の感動。涙が出そうなほど。
「ヴィエンヌ産鳩胸肉のピスタチオ、カカオ風味 とうもろこしのガレットとさくらんぼ添え」。
真ん丸い胸肉は、とてもきれいなロゼ色。
肉質は限りなくきめ細やかで、肉だけ口にしただけでも感動。
ツヤのあるジュのソースを絡めると、旨さは倍増。
そして、時にはさくらんぼの酸味を加えると、これはまた素敵なアクセントに。
横に添えられた骨付き腿肉のポワレも素晴らしい。皮も肉も。
こんな感動を呼ぶお皿、ちょっと奇跡かも。
そんな奇跡も、ロオジエなら、さらりとやってくれる。
憎いなぁ。
<2010年3月>
デジュネのお皿が、変わってきました。
素材を生かした形とボリューム感を持った、満足感溢れるメニューの数々。
繊細さと彩りの美しさがより際立ち、次々と出てくるお皿は、さながら絵画のよう。
そして、基本がしっかりとしているからこそ活きる、アラカルトのお皿。
様々なゲストのお食事を楽しい場にしようというサービスマンは、
ひとりひとりが個性的なエンターティナー。
決して画一的でも、マニュアル的でもない、自然に溢れ出るもの。
他のお店に行ってこそ実感する、ロオジエのサービスの凄さを、最近は実感しています。
<2009年11月>
並木通りに場所を移して10年。
節目の記念イベントは逃してしまいましたが、そのお祭りも終わって
いつもの落ち着きを取り戻した頃のデジュネに訪れました。
メニューを開いてアラカルトにするか、デジュネにするか、シャンパンをいただきながら
さんざん悩んだ挙句に、コンビネーションに。
「燻製ニシンのムース ポテトとレッドオニオンのジュレ」。
きれいな赤いジュレの上に丸いポテトのスライスがまあるく並べられ、
まん中にニシンのムースが。
ニシンよりもポテトが目立つ一皿。
「金目鯛のヴァブール 薫り高いオリーブオイルとハーブを添えて」。
ふっくらと蒸しあげた金目鯛。
オリーブオイルの薫る、ちょっぴり酸味の効いた泡のソースの中に鎮座してます。
トッピングには色とりどりの野菜、卵、イクラ。
ソースも最後までいただいて。
「シャラン鴨のロティ オレンジピューレ カフェとカルダモンの香り
腿肉とかぼちゃのパルマンティエ風」。
低温調理され、ロゼに仕上げた鴨。
皮目はとてもきれいな焼き色を付けています。
肉の中にあるすべてのものを逃さず、ギューっと閉じ込めたままの調理。
ナイフを入れると、ほんのり血が滴ります。
口にすると、キメ細かい肉質を咀嚼する慶びが。
ほんのちょっとのカフェおカルダモンの香りがアクセントを添えています。
満足感たっぷりの、鴨の一皿。さすがです。
どれをお願いしても完璧な状態のフロマージュ、そして、お菓子の世界に突入して、
今回も、ロオジエを堪能しました。
<2009年9月>
いつも通りのさりげなくも素晴らしいサービス。それは何ら変わることはありません。
ところが今回、デジュネのメニューを渡された時に、少々「困ったなぁ」。
なぜなら、デジュネのメニュー構成が、フラン、クリーム、ムース、スープなど、
ほとんどのメニューが前菜からメインまで「フワフワの柔らか」系。
もちろんメニューには載っていませんが、アミューズも然り。
すべてアラカルトにしたり、アラカルトから好きなお皿をデジュネに組合わせる、
という選択もありました。
でも、この日は別件のディナーも控えていたので、軽いのは大歓迎!
通常メニューに身を任せることにしました。
唯一、素材の形がありそうなメニューはメインのサーモン。
というわけで、「サーモン」を中心にメニュー決め。
青海苔を使ったソースの磯の薫りたっぷりで海の中にいるかのようなのサーモンは、
50℃の低温調理で素材が生きていました。
あとは何をいただいたんだっけ?と柔らかいものはすべて失念です…。
昼間のストレスを、その日のディナーで解消。
形のあるお肉を、ガッツリといただきました。
何度も訪れているので、こんな日もあるかと思えるのですが、
もしもこの日が、「清水の舞台から飛び降りたつもりでのデジュネ」、とか、
「とっても大切な記念日」などだとしたら、今回のメニューはちょっと厳しい。
「デジュネのメニュー構成を考えて~」と、密かにボヤキたい私でした。
<2009年6月>
メナールさんが就任した時の「尖った感」が影をひそめ、
食べ手の立場に立ったメニュー作りにシフトしているかのように思えます。
一皿一皿に、幸せと優しさを感じます。
アラカルトの中でも、根強い人気を誇るメニューは定番化していて、安心感も出てきました。
しっくりと馴染んできた感じが、とても心地よく感じます。
ロオジエの歴史を知っている常連の方々も、納得されていることでしょう。
最高のものを提供しようという姿勢は、いつものことながら感嘆。
例えばフロマージュ。
どれを選んでも、すべて最高の状態。
ここまでワゴン上のフロマージュが完璧なお店を、他には知りません。
ワインリストは改訂中で、デジュネに、ディネに、
それぞれオーダーしやすい価格帯を充実させるそうです。
これからの仕入れは円高も追い風になって、さらに魅力的になることでしょう。
さりげない自然体のサービスは、いつでも健在。
さらに、全体に笑顔の度合がいくらか増したような。
ちょっとしたロオジエの「トリビア」を語ってくれたり、ファンとしては嬉しい限り。
素敵なひとときを過ごすお店としては、トータルで最高です。
★2008年10月以前は字数制限のため、コメント欄に収納しました。
2位
2回
2017/08訪問 2018/01/01
<2011年12月>
年の瀬のお約束。
どうも、アピシウスを愉しまないと終わりません。
いつもの、落ち着き。
いつもの、あのメニュー。
いつもの、サービス。
そんな「いつも」が揃っている安心感。
「海の幸、野菜、クスクスのタブレ」。
「小笠原母島の海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」。
「フランス産仔鳩のジャンポネット、アニスエトワールの香り」。
またまた、いつもと同じようなアラカルトのチョイス。
その中でも特に、メインの仔鳩の素晴らしさは感動もの。
肉の状態、火入れ、ソースのコク。
ワインをゆっくりと愉しみながら。
そんなお食事の余韻を振り返りながらの、フロマージュと、デセール。
至福の時間です。
この年も何とか終わり、次の年も元気に迎えられるよう、
そんな想いを胸に、お店を後にしました。
<2011年2月>
キャンセルが続出するくらい悪天候で寒かった、この日。
がんばりました。がんばりましたとも!
ダイニングに入ってしまえば、いつもの静けさと軽い華やぎ。
雪など、どこ吹く風。
テーブルにはすでに、「PJ」のマークをお花模様で囲んだシャンパングラスが。
ならばこれでしょう。
ペリエ・ジュエのベルエポックで、エレガントな時間のはじまり~。
今回一番楽しみにしていたのが、黒トリュフ。
ちょうど季節です。
お店では、トリュフの魔術師であるペベイル氏の採取する、フレッシュトリュフのイベントがあったばかり。
「フランス産カオール地方のフレッシュ黒トリュフの丸ごとパイ包み焼き」。
クラシックなこのメニュー。
素晴らしく上質なバターを使って、折りたたんだパイ。
実にきれいな色に焼き上がっています。そして、立ち上る薫りがすごい。
パイがナイフが入れられるのを、今か今かと待っているよう。
艶やかなソースは、芸術品。
サクっとナイフを入れると、中にはちょこんと黒トリュフ。
一緒に、そしてソースを少し付けて口にすると、広がるトリュフの薫りが。
幸せ過ぎます…。
「海亀のコンソメスープ シェリー酒風味」。
こちらもスペシャリテ。オーダーせずにはいられません。
澄んだスープが舌に乗ったあとは、至福のひととき。
喉に流れて行ってしまうのが、惜しいほど。
添えられたチースパイは、ときどきサクサクと。
「フランス産仔鳩のロティ スパイスを効かせた赤ワインソース」。
しっとりとキメの細かい、非常に上質のフィレ。
モモは適度に脂が乗り、こちらもジューシー。
旨みをきれいに閉じ込めたロティ。
赤ワインソースには、色んなスパイスをじゃまにならないよう上品に加えて。
これだけ美味しい鳩は、初めてかも。
「フロマージュ」。
ラッキーなことに、例のトリュフを使ったブリーがありました。
もちろんお店で、大きな丸ごとをスライスして、挟んで。
少し温めてもらい、トロンとした状態で。
これがまた、絶品。
ゆっくりと、しみじみと、ワインと。
「ジャスミンのババロワとリコッタチーズのムース 柚子のジュレとアイスクリーム添え」。
実はこちらのデザートワゴンも好きなのですが、目が欲しくなって頼み過ぎた挙句、後悔することもしばしば。
ところが、時々いただいている、一人分づつ手をかけたデセールがなかなかに優秀なのです。
今回は、食後の締めくくりに相応しい爽やかなデセール。
こんな感じ、好きです。
安定したサービスは、どんなシチュエーションでも対応可能。
委ねていて、安心感があります。
ハプニングにも的確に対応されているところを見て、感心。
余談ですが…最初から最後まで、色んな場面で目にする大倉陶苑のお皿。
日本が誇るチャイナ。
元々いくつか我が家にもありましたが、こちらで何度も目にするうちにどんどん欲しくなり、
とうとう色んなものを購入してしまいました。
和のテイストが入った、上品さがたまりません。
アピシウスワールド、結構ハマってて、年に何度か訪れてしまいます。
<2009年12月>
秋冬にぴったりのグランメゾン、それはこのアピシウス。
ダイニングに案内された時はすでに、ほとんどのテーブルが埋まっており、
賑わいが華やかさを添えていました。
今回はアラカルトで好きなものをチョイスしてみたくなりました。
幸い、ほとんどのお皿にスモールポーションが用意されています。
「ウミガメのスープ」。
あくまでも澄んだコンソメ。
口にすると、得も言われぬような深い味わい。これは一体!?
微妙にトロみがあるのは、甲羅のコラーゲンでしょうか。
初めての体験。
最初からガツンと、やられました。
「冬の海の幸をエテュベ、その日のシェフのソースで」。
海老、帆立、鮑、北寄貝、白身魚、アスパラ。
バターとクリームのソースには生青のり。
これが磯の香りを上品に引き立てます。
想像通りの一皿。
「茨城県稲敷市真鴨のロースト シャンピニオンデュクセルのファルシとそのジュ」。
キノコとその薫りに囲まれた真鴨。
じっくり噛み締めると、その旨みがどんどん増してきます。
「林檎と柿のキャラメルソテー ヨーグルトのソルベと蜜柑のジュレ」。
せっかくアラカルトなので、きちんと作り込んだデセールを。
クラシックに登場するのかと思いきや、こちらはイマドキのプレゼンテーション。
そして…キャラメリゼされた林檎と柿の甘みと酸味。素晴らしい!
至福のひとときを締めくくります。
いつもながら、話が盛り上がっている時は静かに、こちらが矛先を向けるとフッと
話に加わってくれるタイミング、絶妙なサービスは健在です。
質感の極めて高い絵画や家具、食器に囲まれてのお食事。
歴史があるからこそのクラス感。
貴重なお店です。
<2009年1月>
昨年秋からずーーっと訪れようと思っていたのに、
なかなかチャンスがやってこなくて、とうとう年明けになっちゃいました。
こちらは私の中で、「秋&冬」のイメージなのです。
ですからもちろん、今回はジビエが入っているコースをオーダーしてみました。
「鮪、コルニション、オリーブ、アボカドのタルタル仕立て わさびソース」。
きれいに、お皿の真ん中に盛りつけられたタルタル。
周囲には小さく丸くわさびソースを置き、イクラ、オリーブ、ハーブをあしらって。
爽やかな前菜に、シャンパンが進みます。
「カナダ産オマール海老のヴァブール エストラゴンの香る軽いアメリケーヌソース」。
たっぷりのオマール海老のきれいな肉に、グリーンアスパラ添え。
濃厚なオマール自体の味わい、ソースの上質さは格別。
ここまでオマールを美味しいと思ったのは、はじめてかも。
「狩猟真鴨のロースト サルミ風ソース 栗と芋セロリのピュレと共に」。
羽付きのまま1週間熟成させて下処理。きれいなセニャンにロースト。
ソースは真鴨のガラと赤ワインでジュを取り、真鴨の血でつないでいるそう。
目の前にお皿が置かれた瞬間、「お~!」。
こんなにしっかりとしたソースは、近年久し振り。
こっくりとしたソースには照りがあり、ピカピカと光っています。
薄くスライスされた鴨を口にすると、ジビエらしい滋味溢れる肉質。
一口、一口、大事に噛みしめて、この季節に訪れることができた幸せを実感。
途中のお口直しに、別添えの栗と芋セロリのピュレを。
ピュレの素材そのものの味を感じ、また鴨に突入、の繰り返し。
おかげで、赤ワインが進むこと、進むこと!
フロマージュのためにとっておかなくちゃ、なのに~。
これこそワインに合うお料理!!です。
デザートは最近では珍しくなった、ワゴンサービス。
たっぷりといただきました。
ワインはいつものように、熟練の素晴らしいサービスとアドヴァイス。
チーズは専門の資格を持った方のサーブで、説明もわかりやすく、
思わずたくさんお願いしちゃいました。
そして、以前からお馴染みの方が今年からこちらにいらしていて、うれしい再会。
シェフは少しづつ、3代目の岩元シェフに移行している最中だそうです。
2月に行われる「センセーショナルなトリュフの夜」で、センセーショナルにデビューを飾るのでしょう。
このフェアのために、森社長と岩元シェフが2月初旬にトリュフを買付けに渡仏するそうで。
今年のものは、かなり期待できるようなので、都合がつけばぜひとも参加したいフェアです。
今回も、とてもリラックスした至福のディナーを、ゆっくりと過ごさせていただきました。
次はいつ?と、思わず考えてしまう、愛すべきお店です。
<2008年5月>
ゆるやかな段差の、黒い石の階段を下りきった左側。
どこから見ていたのか、タイミングよくスタッフが扉を開けてくれます。
ウェイティングバーを左に見て、メインダイニングへ。
すでに賑わったダイニングに一瞬躊躇するものの、
案内された絵画の前のテーブルへ。
以前使ったことのある個室は、上からのシャンデリアが明るめ。
メインダイニングは、テーブルに当たったダウンライトが反射し、
女性の顔がきれいに見えるという、うれしい女優効果があります。
少々蒸し暑いこの日。
グラスではもの足りない…ということでシャンパーニュはデミにて。
シェフ・ソムリエが手際よく、エレガントな所作で開けてくれます。
味わいを感じられる、ちょうどよい温度。
バカラのアピシウスマーク入りのグラスにて。
まずは種ありの黒オリーブと、アンチョビを詰めたグリーンオリーブが置かれます。
どこで食べたものよりも、旨みがほとばしるジューシーさ。
さて、ワゴンで8種類ほどのお水がやってきます。
その中でも、やはりシャテルドン。
お料理やワインと合わせるのに、この数年一番気に入っています。
アミューズは「ヴィシソワーズ」。
中にはフラン。一口だけのお楽しみ。
「北海道産有機栽培のレタスとアスパラガスのシンプルサラダ」。
白アスパラを縦にきれいにスライスし、周りにトマトと一緒に敷き詰め、
真ん中には新鮮そのもののレタス。
白アスパラは薄切りながらも、北海道産なので歯ごたえ充分。
シンプルながら、上品にして、感嘆の美味しさ。
そろそろ、お楽しみのボルドーの出番。
バカラの、カッティングが煌くデキャンタで待ち構えています。
「栃木牛のロースト」。
肉質の旨みは充分。胡椒をピリっと効かせて。
フォンをたっぷりと使った濃厚なソース。
まさにボルトーとのマリアージュ。
まだまだ残っているワインと共に、フロマージュを。
ワゴンから色々選ぶ幸せ。
まだ若いチーズソムリエが説明してくれます。
次にやってきたワゴンはデザート。
ここでデザート用の薄いパープルのリネンに替えられます。
ケーキ類が何種類も。
その中でもタルトタタン、パリブレスト、マンゴーのムースを。
と、またワゴンがやってきます。
デザートワインが8種類ほどだったか…。
タルトタタンに合わせたものを1杯。
デザートは見た目、ごく普通。
なのに口に入れると、素材の上質さと完成度を感じます。
特にパリブレストのクリーム、マンゴーの素材。
久しぶりに、こんな美味しいケーキをいただきました。
デザート用のカトラリーはクリストフルの金メッキ。
お誕生日用のお皿は、薔薇の模様の大倉陶園。
ホワイトチョコーレートのプレートが、そっと添えられています。
サービスは、さすがのベテラン揃い。
すべてを委ねていれば、リラックスできるお食事が約束されています。
年齢層の高さも、落ち着きと安心感を覚えます。
ワイン、特にボルドーのリストの揃えと価格はグランメゾン随一ではないでしょうか。
それも歴史と心意気のあるお店だからこそできること。
数々の美術品に囲まれた店内は、美術館さながら。文化を感じます。
それに相応しい客層が華を添えています。
昨年ミシュランの星を獲得したフレンチのお店は、バターやソースを控え、
作りこまれたフレンチが大多数。
しかし、こちらのお料理はいかにも「The フレンチ」。
そう、近頃こんなフレンチが食べたかったのだ、と、改めて新鮮に感じます。
今後もポリシーを曲げずに、このまま文化を伝承していって欲しいものです。
3位
2回
2017/09訪問 2018/01/01
以前のお店のこぢんまり感が大好きだったのだけど、昨年移転されました。
お店の一層のステップアップのために、より高みを目指すのは、走り続けているお店の証拠。
そこは築100年超の古民家、京都ならではの佇まい。
周囲の環境は歴史を感じる街並みに趣があり、店内に入るまでにも心躍ります。
扉を開けると一息、ウエイティングスペース。
さらに扉の向こうがカウンター&ダイニング。
そして、個室も完備して以前よりパワーアップ。
案内されたダイニングは、丸テーブルがゆったりと配され、贅沢な空間。
ウッディな壁面、古木の梁、ダークなカーペットに、キラリと煌めくブラケットが映える、和と洋が融合したインテリア。
美しい曲線のシェイプの椅子に身を委ねると、広がる全面ガラス窓。
ライトアップされたお庭が季節を感じさせてくれます。
いつも癒される、マダムの笑顔は健在。
さらに女性サービスが、マダムを支えます。
厨房はガラス張りで、シェフからもお食事を楽しむ客席が確認できそうです。
おまかせコースは、メイン2種類からの選択。
○牡蠣
○ウニのグラタン
○フォアグラ大根
○白身魚のリゾット添え
○蝦夷鹿のロースト根菜添え
○チーズ
○デザート
牡蠣の微妙な火入れとジュレの海水具合。
基本がしっかりと感じられる、濃厚グラタン。
完璧な焼きのフォアグラ、大根、優しいお味の、出汁を感じるようなスープとのコンビネーションの妙。
お魚とリゾットの鉄板な組み合わせ。
鹿の赤身と、厳選された旨みの根菜の力強さ。
優しさと、力強さとが混在するお皿の数々。
シェフのお人柄でしょうか。
新しい場所に移転して、ちょうど落ち着いたようです。
今回のコースは、いつもに増して「神」でした…。
個室や、ラブリーな女性用パウダールームなど、
以前のお店では手狭でできなかったことを実現。
まだまだ色んなことができる可能性がありそうです。
また、すぐに京都旅行の計画を立てたくなった夜でした。
4位
2回
2017/08訪問 2018/01/01
<2015年4月>
店名に違わず、進化を続けています。
店内が改装され、明るい雰囲気に。
煌めきがある照明器具や丸テーブルも入れて、華やいだ雰囲気になりました。
それに合わせたように、お料理も進化しています。
進化系の定番や、新しいメニューや、楽しい、美味しいのオンパレード。
シェフ、乗ってます。
ネオ・モノリスに期待度が高まります。
<2011年8月>
今年に入ってからも、何度かディナーに訪れていましたが、
ランチは初めて。
事前にHPでランチメニューは確認していたものの、やはり「ムニュ・モノリス」に決まり。
そのお店の定番メニューも好きだけれど、シェフの挑戦が感じられる月替わりのメニューって、楽しい。
「トマトのジュレムース」。
爽やかな酸味とジュレ。バランスが絶妙。
ムース系はシェフの得意とするところ。
さすがです。
「山口県宇部港より直送 鱧のポッシェ 焼き茄子 オクラと共にジュレ寄せに仕立てて」。
香ばしく焼きあげた鱧と焼き茄子。
オクラとジュレに紫蘇の葉を加えて、和のテイスト。
なんて合うんでしょうね。
日本の食材とフレンチとの融合を感じます、ホントに。
「フォアグラのポワレ 花ズッキーニのファルシをフリットにし、とうもろこしのピュレを添えて」。
マデラ酒を用いたソースは良質のフォアグラの旨さを引き立てます。
私は、もう少しだけ表面がカリっと香ばしいフォアグラが好きかも。
花ズッキーニのフリットにはモッツアレラ、トマトコンフィ、バジリコが入っているという仕掛け。
とろーり具合が何とも!
一皿でどれだけの手をかけているのやら。色んなサプライズが楽しみ。
「鮎のふわふわ焼き その肝のソース」。
鮎の姿をしているけれど、中は帆立のふわふわムースがサンドしてあり、新しい感覚。
添えてあるスイカの青さや甘さとぴったり。
鮎の主張は少ないけれど、添えてある肝のソースが存在感大。
苦みが何とも美味しく、大人でよかったと思う瞬間。
「イベリコ豚のセクレタのグリエ 野菜のファルシーとスペッツレ添え」。
脂が何とも旨いセクレタは、肩肉の下に隠れていている美味しい部分だそうで。
サクっとナイフを入れるのが楽しい。
口の中で咀嚼するのが楽しい。
飲みこんでしまうのがもったいない。
スペッツレって何かと思えば、お肉の下に敷いてあるパスタのような、チーズのような?
ガルニには茄子に枝豆やムカゴ、茸を乗せて実に彩りよいグラタン。
そして万願寺唐辛子の茄子のペーストを詰めたもの。
さらに、ミニパプリカにバジル風味のリコッタチーズを詰めたもの。とろりん系です。
厨房を見る限りでは、以前よりも人数も増えたよう。
それで、手の込んだお皿が可能になったのですね。
「奄美大島産パッションフルーツとスイカのシャーベット」。
キューーンと酸っぱいパッションフルーツで、目が覚めます。
デセールの始まりなのです。
「桃のブラマンジェ」。
フルーツたっぷりのお皿。
満足感でいっぱいです。
「温かいフィナンシェ」。
ランチのミニャルディーズはこちら。
バターたっぷり。周りがカリっと、中がふんわり。
お願いすれば、テイクアウトもできます。
コーヒーもきちんと美味しく、そのあとに冷たいハーブティーもサービスされます。
以前よりもサービスは落ち着いたかとは思いますが、まだ遠慮がち。
シェフの100%のお料理を120%まで引き上げるような、積極的な姿勢がもう少し欲しいところ。
会話で、そのお皿の魅力、お店の魅力は、さらにアップするのです。
そんなエッセンスを大事にすれば、気分よく訪れるリピーターが増加すること請け合い。
シェフの実力は、揺らぎないものなのですから。
<2010年12月>
クリスマスディナーをのんびりといただける日があり、興味が湧きました。
2回転の落ち着きのなさが苦手な私には、うってつけ。
実は毎月のように訪れてはいるのですが、満席の日に居合わせるのは初めて。
開店して以来、だんだんと登り調子になってきたモノリス。
お料理、サービス、共に満席だとどうなるのか…。
新たにソムリエールさんを迎え、これからワインを強化していく姿勢が見られます。
そのためか、12月からサービス料もかかるようになりました。
店内は訪れるごとに色んな変化があり、進化しているのが手に取るように分かります。
壁に絵が飾られたり、新しい食器が増えたり。
さらにアミューズやミニャルディーズにも色んな工夫が。
まずは、うれしい瞬間、グラスシャンパーニュ。
あらら、なぜか少なめです。テイスティングかしら?
最初のひと注ぎで泡が少し立ったので、もう一度注ぎ足してくれるのかと思いましたが…あれ?
「アミューズ」。
シャンパンと共に勢いよく食べてしまい、何のムースだったか失念…。
しかし、中にたっぷりと入ったキャヴィアの塩気を充分に計算した味付け。
「カリフラワーのスープ カニのフラン ウニ添え」。
カニの茶わん蒸しの上にカリフラワーのスープ、クルトン。熱々。
脇にはレンゲ型のガラスのスプーンの上に、たっぷりとウニ。
少しだけウニを口にしてみると、これだけで充分美味しいもの。
それをスープの中に混ぜてみると、コクが増して何度も楽しめる。
美味しいものをたっぷり。そんな満足感のある始まり。
「オマール海老と野菜のエチュベ トリュフ風味」。
プリプリのオマール海老。
色んな野菜の中にはオマール海老が。
彩りよく、素材を楽しめる一品。
「金目鯛のポワレ ムール貝のリゾット マリニエールソース」。
カリっとした皮目が印象的な金目鯛。
添えられた蒸しアワビは柔らかくて美味しい!
ミルクのリゾットは優しい味。ムール貝が中に隠れています。
材料だけ聞くと、とても濃厚過ぎる気がするものの、実際はあっさり。
「特選和牛フィレ肉のグリエ ロッシーニ風」。
那須牛は、グリエの薫りが見事。
素材を最大限に生かした火入れ。
クラシカルなメニューをシェフならではのアレンジで、芽キャベツのキャラメリゼを添えて。
ソースの照りツヤはとてもきれい。
若干の甘みはハチミツでしょうか。
「ヨーグルトのムース 三種のベリー ジュレ寄せ」。
アヴァンデセールらしく、酸味をと爽やかさを添えて。
「出来立てモンブランにキャラメルアイスを添えて」。
まずはお皿の淵にちょこんと乗った、イチゴでできたサンタさんがかわいい!
王道のモンブランはデセールならではの作り立て。
大満足です。
クリスマスディナーらしい、誰もが美味しいと思える、そんなメニュー構成。
高級食材をあちこちにちりばめて、上質の乳製品を色んな場面でたっぷり使って。
シェフは、好きなものをたっぷりと食べたい方なのだと、想像できます。
加えて、お皿ひとつひとつがとってもきれい。
料理センスに加えて、天性のセンスのよさが、私のココロをつかみます。
メニューには含まれていないチーズは、あまり回転していないらしく、
チーズプレートに乗せるには、やや熟成が進んでいるものも見受けられました。
実はちょっとくらい刺激を感じるもののほうが、好きだったりするんですが。
開店以来、お店側とお客さん側がだいぶ歩み寄ったかとは思われます。
ただ、今回のように満席になると、いくつかの部分で取りこぼしも時には感じられ、
まだこれから、といったところ。
ワインの薦め方も含めて、もう一歩近寄ったサービスでもいいと思います。
サービス料がかかるようになったので、ちょっとキビシめです。
とは言っても、大好きなお店のひとつ。
来年もどんなモノリスを見せてくれるのか、とても楽しみです。
<2010年4月>
まだ開店して1カ月程度。あまり情報もありません。
モナリザ丸の内店のシェフが独立開業…その程度。
でも、基本がしっかりしていれば間違いはないはず。同じ出身のラシェリールしかり。
「えいやっ!」と訪れてみました。
渋谷から宮益坂を上り、青山学院大学の手前を右折。
ローソンを過ぎたすぐの道、つまりワイン好きの聖地(?)バーガンディとの間の道を右折。
少し進むと右側にドミノピザがあるので、そこを右折。
すると左側にすぐ見えます。
重いガラスの扉を開くとシックな店内。
奥に細長く、ダイニングに入る時にもう一回扉を入ります。
ダイニングは片側ベンチシートで両側に。さほど広くはありません。
ベンチシートの後ろ側は間接照明で、木目調の壁をほんのり照らします。
上からの照明はダウンライトが真白なテーブルクロスを照らし、
それがレフ板代わりとなるのは女性にはうれしい限り。
カーペットもダークな色合いで、大人のスペースと感じます。
オープンキッチンではないけれど、厨房はガラス張りとなっているので、
ディジェスティフのボトルの隙から、シェフはダイニングが確認できるようになっています。
つまりダイニングからも、厨房の雰囲気が伺える、
でもオープンキッチンのように騒々しくはない、ちょうどいい塩梅。
ちょうどデッドスペースに当たるテーブルには、フラワーアレンジメント。
そして、テタンジェの大きなシャンパンクーラーにシャンパン1本と
グラス用の白ワインが3種類ほど入っています。
テーブルには小さなガラスの器に入った、小さなバラの花。
セッティングされたカトラリーは、まだピカピカ。
通常使用するものは、エレガントなテイスト。
ラッキーウッドのティアラシリーズでした。
コンセプトコースである、月替わりの「ムニュ モノリス」をオーダー。
食前のシャンパーニュと共に、「グリーンピースのムース」。
上にはカリフラワーのムース。
口の中いっぱいに広がる滑らかなムース。ブイヨンとクリームが美味…。
これは、これからのお皿に期待が持てます。
黒白のゴマを散らした、チーズストローを添えて。
「蟹のラビオリ」。
テーブルに置かれた瞬間、彩りのきれいさに感嘆。
少し泡だてたバターソースをたっぷりと纏ったラビオリ。もっちりとした生地。
サイコロ状にカットした野菜やサーモンに囲まれて。
「ブーダンノワール」。
テリーヌ状のブーダンノワールが二切れ。海老も添えて色合いもよく。
グリーンピースとエスプーマのソースで。
熱々のブーダンノワールは、豚の色んな部位がコリコリと、食感もよく。
「鰆のポワレとホタルイカ」。
ホタルイカから取ったソースと、トマトのピュレと共に。
付け合わせには、サクっと揚がった春野菜の天ぷら。
淡泊で、しっかりと厚身の鰆。
プチっと弾ける、新鮮なホタルイカ。
「鶉のロースト バニラの香りのソース」。
厨房からいい香りが漂ってきた…と思ったら、大き目のストウブのお鍋がしずしずとやってきました。
蓋を開けてもらって覗き込むと、ちょうどいい具合にできあがった頃。
「お皿に取り分けてまいります」と、ひとまず退場。
フワっとしたバニラの残り香に、期待が高まります。
お皿にきれいに取り分けて登場。
まずは主役の鶉は、しっとりとジューシーなきめ細かい肉質。極上の素材選びのこだわりを感じます。
そして、完璧な火入れに声もなく…。最後は骨までしゃぶって。
手長エビは半身を殻ごと。プリっとした身は、きれいに殻からはずせます。
ガルニは、ホワイトアスパラ、じゃがいも、ニンジン、青菜など。
クラシカルなソースはバニラ棒の香りで、シェフならではのアレンジ。
こんな素晴らしいお皿には、久しぶりに出会ったかも。
「アプリコットのムース」。
アヴァンデセール。
酸味が強いかと思いきや、かなり甘め。食後にガツーンと。
「マンゴーとソルベ アールグレーのジュレ添え」。
グランデセール。
ソルベはアロマフレスカのグラニテもびっくりの酸っぱさ!
マンゴー、ムース、アールグレーのジュレで中和して。
パンは自家製のプチサイズのフランスパンが熱々で。
生地は粉の旨みが感じられる、もっちり感が楽しめるもの。
冷めても美味しくいただけるのは、ポイント高し、です。
お代わりをお願いすれば、別の種類のものが供されるかも知れませんが、
今回は未確認です。
お料理全体、今後も相当期待できる!と確信しました。
彩り、プレゼンテーションはモナリザ出身だけあって女性好みながらも、
基本をベースにしてきっちり、しっかりと作ってあるところが好印象。
このお値段で、このお料理…。コストパフォーマンスが良すぎです。
ワインリストはオーダーしやすい価格帯のものが多数。
高級ワイン好きにはちょっと物足りないかもしれないので、
お食事中心のお店と言えるでしょう。
特筆すべきはサービス料がかからない、ということ。
確かに、さほどこなれたサービスとは言えないので、これからに期待、といったところ。
帰りは外までシェフとギャルソンがお見送り。
忙しい時間帯なのに、角を曲がるまでずっと。
それって、とても大事!最後の印象が心に残るものです。
この1年くらいにオープンした他店と同様、内装などにあまりコストはかけていないけれど、
それをうまく生かして、料金に反映させているのは素晴らしい。
きっと、近いうちに再訪あり、です。
5位
2回
2017/05訪問 2018/01/01
<2011年12月>
クリスマス期間の銀座を味わおうと、ディナーはこちらへ。
すでにクリスマスメニューのみとなっていましたが、どんな内容かも興味を持ちながら。
入り口には大きなクリスマスツリー。
テーブル上にはひとりひとりに、ユニセフの素敵なクリスマスカードが。
その中に、メニューが書いてありました。
さすが、さりげなく演出上手です。
最初の一口、二口の前菜は、いつもより食材をパワーアップ。
心に残ったお皿は・・・
「キャビア オシェトラのカッペーリーニ」。
泡のソースはクリスマスらしく、フォークで一口。
「甘鯛のうろこ揚げ 黒キャベツとトリュフ風味」。
皮目のパリっと具合と、トリュフの妖艶な薫りがたまらず!
「帆立貝とピエブルーのソテー きのこのデュクセル」。
フルポーションで食べてみたい、鮮度よく火入れが最高な帆立。
どれも華のあるメニューです。
「タラバ蟹と菜の花のタリオリーニ」。
パスタはさすが!としか言いようがない一皿。
ガツンと王道です。
ドルチェやお茶菓子まで、ゆっくりといただいて、ちょうどいい量。
この日はジャズのピアノ演奏で、ところどころにクリスマスらしい曲を織り交ぜながら。
サーラ・アマービレ「らしい」クリスマスを堪能させていただきました。
ところで、以前から気になっていた1階エントランス。
すでに秋頃(?)から「ミュウミュウ」がオープンしていて、
ようやく、ビルエントランス付近の雰囲気がよくなりました。
<2011年8月>
本当に暑かった一日。
その終わりに、涼やかさ120%のコチラへ。
キンキンに冷えた、青リンゴのようなスプマンテをウェルカムドリンクとしてチョイス。
この日は軽く、小皿のコースだけにしようかと思っていたものの、
少しパスタが欲しくなり、基本コース+パスタ、リゾット、ドルチェの「Menu di Ottima」を。
「オマール海老のパスタ」。
想像通りながら、想像以上。
とびっきりの一皿。
「とうもろこしと牛頬肉のリゾット」。
甘いとうもろこしと、お米。この食感が合うんですね!
さらにほろほろに煮込まれた、ホロホロの牛頬肉がアクセント。
この組み合わせの妙…。すごいです。
少量ながら、満足感の高い一品。
最後までソースをパンで楽しんで。
「桃のドルチェ」。
暑い日のための、冷たい食感を大切に。
こういう一皿が、とってもお得意。
夏の宵の口。
ピアノの演奏が始まる前に退散。
お店選びは大正解でした。
ただひとつ。
お店には関係ありませんが、この「銀座トレシャス」っていうビル。
いつになったら1階の工事中の囲いが取れるんでしょう。
下層階に「ミュウミュウ」が入ることになっているのに、頓挫したまま1年。
さらに、3基あるエレベーターのうち、1基は荷物用と兼用で、
「寄りかかると服が汚れる恐れがある」と書いてあるとは。
テナントのお店は、困惑してるのではないでしょうか…。
<2011年7月>
ふと思い立って予約。最近はそんな使い方。
夜の時間帯は、案外希望が叶います。
夜は、ピアノの生演奏が入り、シャンデリアが映え、
ランチとは全く雰囲気や装いも異なります。
いうなれば、大人のラウンジ、でしょうか。
さて、最近になって、メニュー構成が変わりました。
小皿とバーニャカウダの定番コース5000円。
パスタやリゾットを加えた7500円コース。
パスタとメインを加えた9500円コースができました(すべてウェルカムドリンク付き)。
お料理を選択しやすくなったのは、エラい!
今までは定番コースをいただき、そのあとアラカルトをどうしようか考える、というパターン。
何度もオーダーが入って、厨房の混乱もあったのかもしれません。
今度のシステムは、お店側にとっても突然のアラカルトのオーダーが入るより、
スムーズに仕事が進んで、お互いのためにHappyでしょう。
印象的なお皿をいくつか。
「うなぎとキャビアとジャガイモのフィルム」。
まず一口。これがなければ!
「サマーポルチーニのソテー」。
非常に薫りよく、歯応えも残して。
「和牛のビステッカ」。
お馴染みのお皿がプチヴァージョンで。これってうれしい。
「仔豚のポワレ」。
皮目が非常にパリっとした仕上がり。
パリっと揚げたアーティチョークと共に。
「メロンのセミフレッド」。
お皿のドルチェのレベルは最高。
フルーツ使い、素材選びが本当に上手。
どれも、私にとって焦点がぴったりと合ったお皿ばかり。
やはりシェフの目が行き届いた、完成度の高い味が好き。
今回のピアノ演奏は軽いタッチで、お食事と雰囲気を盛り上げてくれてOK。
以前訪れたときは、時間によって奏者が異なり、ピアノの発表会みたいな選曲も。
自分でも弾けちゃいそうな曲目は、あまり聴きたくなかったりします。
サービスもだいぶ落ち着き、安心して委ねられるようになりました。
色んなアロマフレスカグループでお目にかかったサービス陣がいると、ホッとします。
使い勝手もグッとアップして、このお店…進化中です。
<2010年12月>
このシーズン、集まる機会が多く、ヘビロテ中。
明るい日差しの中、ソファ席やゆったりとしたテーブル席でのくつろぎ感はなかなかのもの。
グループ利用も多く見受けられ、皆さん思い思いにワインをたしなみ、ドルチェの後には足元が…という方も。
初めてコチラのお料理を口にした人々に接すると、皆、一様に感動していて、
こちらもうれしくなってしまいます。
食材の組み合わせや、食感、薫りが大事にされているのはいつものこと。
それは、小さくてもlひとつひとつのメニューの完成度の高さがあるから。
食材のレベルの高さと、新鮮さも、並々ならぬものがあります。
このところすっかり慣れ切ってしまっているので、改めて新鮮な思いです。
印象的なお皿をいくつか。
まずはベスト3。
「車エビのフライ」。
カダイフを纏った海老のサクっと感が病みつきになりそう。
「石川芋のフォアグラ風味」。
ねっとりとしたお芋に絡みつく、濃厚なソースがたまらない。
「真鱈白子の天火焼き」。
ふわふわした白子が香ばしく焼かれ、後を引くのに、もう…ない。
「ズワイ蟹の冷たいカッペリーニ」
「スパゲッティ フレッシュトマトのアマトリチャーナ」
「ボロニチューゼと黒キャベツのタッコツェッッテ」
「十穀米のリゾット フォアグラのソテー添え」。
これらのパスタも秀逸。
どれも、楽しい。
そして、ドルチェの数々はどれを選んでも、ハズレなし。
食後の小菓子も、手抜きなし。
フリードリンクののワゴンサービスが省かれたり、ハーブティーがポットサービスではなくなったり。
そんな変化もあるけれど、やはり優秀なランチであることに間違いはありません。
小皿のみのオンパレードにも慣れてきました。そういうものだ、と。
店内の活気を感じながら、外の青空を眺めながら、至福の時を過ごしました。
<2010年11月>
訪れたのは、急に寒くなった一日。
銀座をしばらく歩いて、体は冷え切っていました。
今回は窓側のテーブル席。
2人で訪れると、90°の角度で座らせてもらえるので、ゆっくり会話をするのに向きます。
スパークリングワインをオーダーし、色々と並べられた小皿をいただくも、体は冷え切ったまま。
ほんとうは、ホットワインや、最初に体が温まる一品があると寒い時期はうれしいかも。
バーニャカウダ
カルパッチョ
うなぎとキャビア
ニョッコフリットと生ハム グアンチャーレ サラーメ
車海老フライ
石川芋のフォアグラ風味
カッペリーニ 帆立貝の冷たいジェノベーゼ
真鱈白子の天火焼き
高坂鶏レバーのムース 胸肉の生姜風味
本日のお楽しみの小皿
スパゲッティー 黄ニラとカラスミのアーリオオーリオ
アンコウとドライトマト、けっぱーのスパッカテッレ
仔ウサギの煮込みと京春菊のタリアテッレ
フォンティーナチーズのリゾット秋トリュフ添え
栗のドルチェ
実は…最後のハーブティーでようやく体が温まった気がします。
この雰囲気や設えとお値段構成は、女子会にはうってつけ。
グループで訪れたとしても、別オーダーをしない限り、幹事さんはラクラク。
アロマフレスカの厨房で作られた、最高のラウンジ小皿の数々。
真冬はどんなメニューになるのか、それも楽しみです。
<2010年8月>
新生アロマフレスカの予約まで、待ちきれない!
というわけで、まずは軽くコチラでランチを。
銀座トレシャスはワンフロアが狭めの、エンピツ型ビル。
エレベーターで12階へ直行。
ドアが開くと、知った顔のお出迎え。
これだけで、ホッと和みます。
店内は窓が大きくて明るく、壁はイタリア大理石を使ったと思われるゴージャス感を演出。
天井には小ぶりのシャンデリアが並び、夜はきっと煌びやかなんだろう、と想像させてくれます。
軽やかなイメージのラタンの椅子のテーブルの席と、ややローテーブルのソファ席と。
ファブリックはベージュとブルーグリーンがスキームカラー。
ソファ席の前にはグランドピアノ。夜の時間帯に奏でられるそう。
ランチはスパークリングワイン、白、赤、ビール、ソフトドリンクのフリーフロー付き。
まずはワゴンでゴロゴロとやってきたシャンパンクーラーの中から、キレのあるプロセッコで喉を潤して。
テーブルには小ぶりのナイフとフォークがレストの上にセットされ、
次々と小皿が登場して、あっという間に賑やかに。
「バーニャカウダ」。
うすーくスライスした彩りよい野菜の数々。
北海道産のとうもろこしの甘みが印象的。
残ったソースはパンできれいに最後まで。
「サーモンのカルパッチョ サルサ バニェット添え」。
オリーブオイルがキラキラと明るく輝くサーモン。
ハーブを効かせて。
「ウナギとキャビア」。
定番中の定番。
というわけで、この一品から手を付けてしまうのは、もう習慣としか言いようがなく…。
「ニョッコ フリットと生ハム グアンチャーレ サラーメ」。
3種類の生ハムの中にパリっと揚げられたフリットが。
生ハムの脂の旨みの違いを食べ比べ。
「ポルチーニ茸のスープと蒸し鶏」。
お猪口くらいの小さなガラスの器に、濃厚なポルチーニのスープ。
蒸し鶏はピックで。
鶏を組み合わせなくても、一口スープとして充分な一品。
「ミモザサラダと焼きパルミジャーノ」。
お花畑のように色んな種類の野菜たち。
「金華豚のソテー」。
シークレットの1皿。
ほんの一片ながら、本日の中で一番印象に残るお味。
赤身と脂の旨みがギュっと詰まった金華豚。
それが口の中に広がる瞬間ったら!
「パン」。
ブルーの手作り感溢れるガラスの器に盛られて。
お馴染みのグリッシーニとゴマのパンは自家製。
そしてバゲットとチャバタは『シニフィアン・シニフィエ』のもの。
特にもっちり、しっとりとしたチャバタが魅力的。
「花咲蟹の冷製カッペリーニ」。
お得意のカニ系パスタは言わずもがな。
「旬魚のフリット 青トマトとライム ミント風味」。
ミント風味の泡に包まれたフリット。
今回のお皿の中で、一番謎めいた印象。
直球ではないメニューを、模索中か…。
「高坂鶏のディアボラ風」。
フォークに刺さったソテー。
鶏だけでも充分美味しいものながら、ソースに技あり。
これも変化球の一品。
「里芋と白トリュフ」。
お芋がトリュフのドレスを纏っている、セレブなお姿。
「スパゲッティ焼きとうもろこしのアーリオオーリオ」。
とうもろこしの甘みが焼くことによってさらに倍増。
アーリオオーリオのソースと主張し合って。
「海の幸のフレーグラ」。
帆立、車エビと王道の海の幸を惜しげなく使った一皿。
直球中の直球。
「仔牛の煮込みのラガーネ」。
幅広の手打ちパスタ、タマネギの甘み、トマトと共に。
スパイスやハーブの薫りが、「らしい」。
「カボチャのリゾット 牛頬肉の煮込み添え ゴルゴンゾーラ風味」。
甘みと薫りの〆リゾット。
「ドルチェ」。
焼き菓子のワゴンか、3種類のお皿から選択。
今回はフレッシュマンゴーのお皿を。
皿盛りドルチェに限っては、完全にフルポーション!
これぞ、『アロマフレスカ』の味。
お茶はハーブティーを。
フレッシュミントとレモングラスは、薫りよく。
ところでフリーフローのワインは、というと、きらりとセンスが光ってる。さすが。
市販価格が1000円台のものと思われるけれど、ソツなく、どんなお料理にも合わせられる、
グラスワインのセレクションとしては秀逸。
もちろん、これでは物足りない向きには、ワインリストからグラスなりボトルなりをオーダーすれば問題なし。
目に付いたのはワインセラー横にずらっと並んでいる、布袋にはいったボトル。
聞いてみると、グラッパのボトルキープだそう。
夜はラストオーダーが1時。そんな使い方もよさそう。
このお店はあくまで、『アロマフレスカ』が展開する、サロン。
フィンガーフードやビンチョスだけでも、全くおかしくないのに、
少量多皿で『アロマフレスカ』の料理が食べられるのは、ラッキー。
お皿によっては、今までになかったような変化球もいくつか。
こちらで果敢に色んな挑戦をして、『アロマフレスカ』のコースメニューに組み入れていく、というのもありでは?
今後の展開に期待が持てます。
特にランチは、この場所で、この内容で、この価格で、このサービスで、
さらにフリーフローとは驚くべきこと。
ソファ席の居心地のよさも、特筆もの。
銀座の新しいカタチのはじまり、を感じました。
7位
2回
2017/09訪問 2018/01/01
<2010年11月>
紅葉真っ盛りの京都。
お皿の上に、どんな紅葉の風景があるのかを愉しみに訪れました。
季節感溢れる八寸。
ほんのり甘みを帯びた、白味噌仕立ての蒸しもの。お椀に物語があります。
鯉のお刺身は山椒をピリリと効かせて。
目の前の炭火で焼く鴨ロースには、辛味大根。
キノコ三昧の一品。
どれもこれも、野菜本来の旨みや苦み、そして日本ならではのスパイスを効果的に。
驚きと、旨さに満ち溢れている、その目の覚めるような瞬間。
何度訪れても、決して裏切ることのない冴えわたるパッションに、今回も脱帽です。
<2009年5月>
京都の旅で、どうしても再訪したいお店となった当店。
運よく、プラチナチケットの「当日券」を手にしました。
連絡があったのは、夜のお食事開始時間の2時間位前だったでしょうか。
迷わず「お願いします!」と、その日の予定を変更して。
席に着いて、お茶を振る舞われ、少々落ち着いてから開始。
女将さんの、「突然のご連絡で…」と、気遣いの一言が添えられます。
いえいえ、お待ちしておりました。
5月。端午の節句にちなんで、菖蒲を刀に見立てて飾られた八寸からスタート。
次々テンポよく供される、滋味深い品の数々。
特に山椒の使い方がとてもよく、様々な場面でピリっと効果的。
瑞々しい緑をたくさん使っているのも、この季節ならでは。
今回一番印象的だった一品が、蕨を牛肉の薄切りで巻いて、炭火焼したもの。
焼いている最中にも、漬けダレを何度もかけては焼いて、かけては焼いて。
あぁ、絶品でした。
ご飯のお焦げも、存分に堪能。
少しだけ岩塩を振って。
その香ばしさは、いつまでも心に残るもの。
食後には薫り高い水出しコーヒーもふるまっていただき、
大満足の夕ご飯となりました。
作り置きのものは一切なく、すべてその場で作ってすぐに出す。
同じ予約時間なら、みんな一斉に。
それを流れるようなテンポで出すのは、至難の技のはず。
だからカウンター内では店主や女将さんをはじめ、何人もの人が黙々と働いているのですね。
ちなみに「当日券」が手に入ったおかげで旅の予定が狂ったのは、うれしい誤算。
1泊延ばしてしまいましたとさ。
<2008年9月>
今まで予約困難で縁がなく、今回、初めてプラチナチケットを手に入れました。
場所は銀閣寺そば。控え目な看板と設え。
「お竃はんのご飯に炭火の肴と山野草を添えて」と書かれた板が扉の横に。
期待が膨らみます。
予約時間を少し遅刻して中に入ると、すでに先客は、ほぼお揃い。
1階は低めの幅広カウンターのみで、椅子は小さめ。
私自身はタテヨコともに小さめサイズなので幸いでしたが、
大きめの方だとちょっとつらいかも。
カウンターの中にはお竃はんが鎮座。
炭火焼も並んだ場所で行われるので、手狭な感じ。
お茶をいただきながら、お食事を待ちます。
女将さんからは「予約のお電話がかかりづらく、申し訳ありません」のお言葉。
ほどなくして全員に一斉に置かれたお盆。
「八寸」が大きな里芋の葉に乗り、ススキの穂を添えて。
ご主人の中東さんがお料理の説明を丁寧にしてくれます。
食べ手はひとつひとつ確認しながら、納得。
そう、予約時間って全員一緒で、お食事も同時進行なんですね。
この手の食べ方は初めてです。
季節を感じる食材の数々。
中でも、サンマの寿司は驚きの美味しさ。
揚げた小さな栗も初めての味。
その他、心に残ったお献立をいくつか。
「白味噌仕立ての南瓜と茗荷」。
こっくりとした控え目な甘みの白味噌。
甘すぎない地の南瓜を白味噌の中で崩しながら。
茗荷の爽やかさが印象的。
「鯉のお造り」。
色とりどりのな小さな野菜たちに囲まれた鯉。
赤シソのジュレとエスプーマ、大徳寺納豆が調味料。
さらに、「実山椒がいい仕事してます」のご主人の言葉通り、
ピリっと効いた山椒の実が鯉に息吹を与えている。
独創的、かつ大胆にして繊細。
初めての味わいにポーっとしてしまう私。
「鴨の塩焼き」。
目の前で炭焼き。出来上がってくる薫りも、ごちそう。
そして、まだジュクジュクと音を立てて焼けている状態の鴨をスライス。
玉ねぎ、紅葉おろし、たくさんの野菜とともに。
まずは炭焼きの薫りが素晴らしい。それだけで、ごちそう。
レモンを絞って。
鴨と添えられた野菜を添えて口の中に入れると、
鴨の滋味と野菜たちのコンビネーションで思わず幸せな笑顔になってしまう、美味しさ。
飲み込んでしまうのがもったいない、そんないつまでも感じていたい味わい。
そして、最大のごちそうは「ご飯」。
まずは「煮えばな」のアルデンテのご飯を一口。
まだ水っぽいけれど、これから蒸れてご飯になるのを実感。
そして、最後にタイミングよく出される蒸らしたご飯。
ご主人自ら、お茶碗にふっくらとよそってくれる。
「おねば」がちょうどよくご飯一粒一粒を包込み、
じっくり噛みしめると、甘さが少しづつ感じられる。
絶妙な炊き具合。
お代わりにはお焦げ。岩塩とともに。
「パリパリやからフランスお焦げや!」と言いながらご主人がよそってくれる。
「どこのお米ですか?」と聞くと、
「近所のお米屋さんのです」などと答えてくれる、
そんなオヤジギャグも飛ばしてくれるご主人。
実際、お米は宮城のひとめぼれ。
毎日精米して使うのが美味しいご飯の秘訣だそう。
今まで口にしたことのない、「摘草料理」。
独創的な野菜類の使い方がすごい。
びっくりさせてくれる美味しさを体験できる、貴重な時間でした。
発酵臭のする漬物が好みではなかったり、席間が狭くて、
お椀を持つ肘が隣の人と触れてしまうなど、ちょっとした疑問はありました。
また、ほとんどのお客さんが東京からの方で、カメラを持っていなかったのは私だけ!?
皆さん、ノートを広げて質問をしながら、熱心にメモをしていらっしゃる。
京料理とは一線を画したこちらは、地元の方はいらっしゃらないようですね。
しかし、子供の頃の味覚では決して理解できなかったであろう、このお料理。
大人の今に訪れることができて、本当によかった!
京都の素晴らしいお店のひとつを、また見つけました。
8位
1回
2012/06訪問 2011/06/18
<2011年6月>
訪れるたび、驚愕のCPの良さに脱帽…。
1皿のボリュームたっぷりの、ビストロ料理。
ゆったりした、贅沢な広さの空間。
いつも、頑張った結果が反映されているワインリスト。
期間限定のキャンペーンもあります。
「いいの?いいの?ほんとに、この内容で、このお値段でいいの?」と、
心の中の悦びの声が。
今回はディナーのMenu Bを。
「海の幸のサラダ」。
大きな楕円のグラタン皿ほどの大きさに、たっぷりの瑞々しい野菜と、
海の幸の数々。
この一皿で充分ランチになってしまうほどのボリューム。
気持ちいいくらいの盛りの良さ。
ご自慢のメニューだけあって、お味はいわずもがな。
「牛ほほ肉の煮込み」。
ゼラチン質もたっぷりの頬肉も、がっつりのボリューム。
ブルゴーニュの赤ワインワインをふんだんに使ったソースは、言うことなし。
コク、酸味、甘みのバランスが、ほほ肉を包み込み、口の中でとろけます。
彩りのよい温野菜と共に。
「フルーツタルト」。
さっくりとした厚みあるタルト生地に生クリームと、様々なフルーツ。
しっかりと食べ応えのあるスイーツ。
まあるいパンは熱々に温めて、オリーブオイルと共に。
キメが細かく、柔らかいものです。
美味しいものをたっぷりと、おサイフを気にせずに。
そんな基本形が、ここにはあります。
<2010年6月>
横浜美術館に併設されたレストラン。
もちろん客層も美術館帰り、もしくはこれから美術館へ、という方々ばかり。
かなり賑わっています。
ゆったりと置かれたテーブル。通路部分も広々。
決して洗練されたインテリアではないれけれど、スペースを贅沢に使った空間と、
突き抜けた天井の高さが印象的。
プリフィクスのランチをオーダー。
2皿+ドリンクのセット。
「桜エビと春菊のキッシュ」。
温められたキッシュ。
桜エビが香ばしくカリっとした食感。
サラダを添えて。
「鮮魚のヴァプール ハマグリと春キャベツのソース」。
やさしい澄んだスープにハマグリの薫り。
鱸のしっとりとした身をほぐしながら。
これぞ「食べるスープ」。
パンは2種類、温められてカゴに盛られてきます。
薫りのいいオリーブオイルと共に。
特筆すべきはワイン。
テーブルに着くと季節ごとにピックアップしたワインのリーフレットを渡されますが、
適度に揃ったワインリストも、よーく見てみると面白いものが。
もちろん相談すると、リスト外のお値打ちものを案内してくれます。
どうやら色んな努力をして仕入れているよう。
オーダーしたボトルワインの温度管理も丁寧に見てくれ、安心。
ビストロ的お料理がきっちりと作られていて、ちょっとひねりを加えたワインを合わせると、
またググっとパワーアップ。
投げかけると、さりげなく頑張って応えてくれるサービス体制は好印象。
その上、コストパフォーマンスのよさは群を抜いている!
すでに、愛すべきお店のひとつとなりました。
9位
2回
2016/09訪問 2018/01/01
<2008年9月>
新幹線の中で考えました。
「ホテルへ直行するなんて、時間がもったいない!」。で、急遽、予定変更。
京都駅からその足で地下鉄に乗り、荷物を持ったままお店へ直行。
ご近所の年配ご夫婦が帰られてからは、運よく貸切状態。
入口近くの「シェフズテーブル」とも思える席だったので、手元がよく見えて楽しい。
まずは「いつものメニュー」を順々に。
そして、今回初めて「鴨の塩焼き」を。
ロースターで注意深く火加減を変えたりしながら、ようやく出来上がった塩焼き。
噛めば噛むほど鴨の滋味が感じられる、シンプルながら、奥深い味わい。
しみじみと美味しい。
最後にいくつか握ってもらった中では、近海(淡路島)の雲丹が秀逸。
ミョウバンを使っていない、新鮮な雲丹。
飲み込んだあとも、口の中にまったりと残る旨味だけで、お酒がいけちゃいそう。
駆け付けた甲斐がありました。
今回も、美味しいものをたっぷりといただき、大満足。
<2006年9月>
やはり京都滞在の際には足が向いてしまいます。
まだ鱧もあり、さらに松茸が出ていて、両方を味わうことができました。
今回も極上の鮒寿司があり、立山の冷酒と共に。
旅の始まりの日なので、お酒は控えようと思ったものの、
そんな決意はどこへやら。
<~2005年12月>
駅から10分ほど、住宅街ではありますが、周りに畑もあるのどかな場所。
看板には「味のもり川」と書いてあります。
大将は以前松鮨におり、その後独立。
1階が店舗、2階が自宅のようです。
入って手前はカウンター席、奥には個室があります。
ピリっときれいに磨かれている店内は、大将の姿勢が感じられます。
普通の鮨屋のように、ネタの入ったケースが目の前にあるわけではありません。
献立は季節のものが多数。
まずは、鮒寿司などのつまみや季節の薄作りなどをいただき、
蒸し物、焼き物などなど。
お通しからして、どれもがいい仕事をしているものばかり。
特に、とこぶし煮に山椒を添えたものは美味。
蒸し物などの出汁もよく、どれも日本酒によく合う。
最後に何か握ってもらうのですが、ネタはどれも最上。
通常のネタに加えて、季節によっては加茂茄子の握りなどもあります。
もちろん京都ならではの鯖棒鮨は極上。
そのままいただくのもよし、半量は網で炙ってもらうと、
鯖の脂がシャリに回り、また違った愉しみが味わえます。
客層は地元京都のきちんとした風情の常連さんがほとんど。
さらに東京の築地の人々が新幹線に乗ってでも訪れるという話は聞きました。
初めて訪れた時は、無口で気難しそうな大将とは、あまり会話は
できませんでしたが、何度か通ううちに気軽な話もできるように。
偶然、おせち料理も作っていると聞き、この何年かは大晦日に届くよう、
配送してもらっています。
京都の料亭のおせちなどの比べたら、全く地味ですが、さすが「味のもり川」。
食べて本当に美味しいおせちです。
なかなか、こんな美味しいものには出会うことができません。
家に居ながらにして、こちらのお料理を堪能でき、
満足この上なしのお正月が迎えられます。
★年々、行き慣れたお店が心地よくなってきました。
たまに新しいお店に行ってみると、お店側の緊張がこちらに伝わることが多く、何ともくつろげない気持ちに。
相性がよければ今後も通うのですが、なかなかそう思えるお店を見つけようと思うほど、冒険しなくなりました。
攻めの姿勢が甘くなったかな!?
★というわけで、ランキングに登場するお店はほぼ同じ顔ぶれです。
長く通っていると、料理人の感覚が変わってくるのもわかります。
益々円熟味が増しているお店あり。
年齢を重ねて以前のアグレッシブな姿勢が、ぼんやりと影をひそめているお店あり。
味覚が変わってしまったか、と思われるお店あり。
こちらの好みが変わっている可能性もありますが。
★以前に増して、CPのいいお店はもちろん、サービス体制のきちんとしているお店・喜びや驚きを仕掛けてくるお店。
そんな心の隅をつついてくれるような粋なお店を応援したいと思っています。