2回
2016/05 訪問
沖縄トップレベルの琉球料理店
県庁駅から程近いビルの谷間にところにひっそりと建つ一軒家が琉球料理の美榮。
一歩入ると異空間、玄関では何やら薬草の様な香りがする。
外の喧騒が嘘の様な静かな空間で、照明も昭和の時にあった玄関のように少し暗め。まるでタイムスリップしたような気分になるのが不思議…。
全て個室でのお食事で、他の客様がいても顔を会わせることはない。
何やら赤坂あたりの高級料亭の様だ。
部屋の古いテーブルはその光沢から漆塗りだとわかる。
漆の机と椅子もピカピカに磨き上げられていて、古くて清潔な部屋は手が行き届いているのが一目で分かる。
この空間、たぶん1人飯だと、落ち着かない。
友人を道連れにして正解だった(笑)
ビールを少し飲みつつ、お食事を待つ。
ちょうど真ん中のお値段のコース(9,000円)をお願いしてあった。
こちら、9品と書いてあるが、どんどんやってくるお料理を数えてもとっくに9品どころじゃない。
9皿かな?
先付けの真っ黒い物体がうまい!
キノコ?たぶん椎茸?
この旨味の強さがハンパないと思ったら、なんと椎茸の豆腐よう漬けだそうで!
豆腐ようでさえ手間暇かかり、しかも半年くらいつけるのに〜
それで更に椎茸をつけたら一体どのくらい時間をかけているのか!
最初の一品目で強烈なパンチ、ノックアウトしそうだった。
苦菜の白和えは、かすかな苦味と豆腐の旨味、なんてお上品!
前菜盛り合わせで、一番感動したのは、生姜が程よく効いているポーポー!
ポーポーとは、おやつしかないと思っていたが、こうやってお上品な食事にもなるのを初めて味わった。
中身汁を初めて美味しくいただいた。
なしにろ、この吸い物は、私の苦手な臓物が具になってる。
中身汁、そう、その名の通り臓物の汁物だ。
沖縄でメジャーなこの汁物、ネーミングが素晴らしく的確だと思う(笑)
通常、モツの匂いがダメで、とても飲めないのだが、こちらのは出汁が利いていて全く臭くない。
沖縄特産のピパーツという胡椒とよく似ている香辛料がいい香りだった。
私にはいいが、モツが好きな人には物足りない…かな?
そのあとのジーマミ豆腐がまたまた尋常じゃなく美味しい!
粘りがあるだけでなく、サクッと切れる。不思議〜
その後に続くは、ラフテー
これまた、尋常じゃなくお上品な味付けで美味しい。
三枚肉の脂部分がまったく脂じゃなくなってる!
これだけにするには、どれだけ手間をかけて油抜きをしたのか?
クーブイリチーという、ホテルの朝ごはんやらお弁当に登場率90%以上のお惣菜、これも美榮ではしっかりと出汁を煮含めたものに仕上がってる。
これ、炒め物だと思ってました(笑)
とにかく、充分な量のお食事で〆のトゥンファンジューシーの出汁かけあたりでお腹は破裂一歩手前、まさに死にそうでした(笑)
味はもちろん、サービスも設えも、そして器までもが素晴らしいお店です。
2度目の沖縄なら、ぜひ、観光客向けのお店ではなく、美榮にも立ち寄ってもらいたい。
個室の漆塗りテーブル
苦菜の白和え
椎茸の豆腐よう漬け
前菜
上品な中身汁
器が素晴らしいクースー
絶品ジーマミ豆腐
ミヌダルとターイム
もっちもちのジーマミ豆腐
上品なラフテー
丁寧に処理されたミミガー
出汁で煮含めてあるクーブイリチー
ジューシーのだしがけ
黒糖の寒天寄せ
2016/05/13 更新
二度目の訪問
静かな個室でいただくお料理は、変わらず丁寧な作りと上品な味付け。
サービスはそっけないけど、落ち度もない。
真っ赤な漆器に盛られてくるとどれも美しい
実は、琉球のお料理は滋味なものが多く、色も決してきれいではない。
その為、宮廷では赤井漆器を使って華やかに見せていたのだそうだ。
首里城が悲しい姿になってしまった今、お料理を食べながら美しかった首里城に
思いをはせました。
どちらかというと、今の沖縄料理は濃い目の味付け(暑いせいですかね)ですが、
美榮のお料理は素材の味がしっかりする、雑味のない美しい味付けです。
沖縄に行くことがあれば、ぜひ美榮の伝統的なお料理も味わってもらいたいものです。