2回
2019/01 訪問
日本ならではのフランス料理
表参道から徒歩15分ほど。西麻布の名店、レフェフヴェソンス。
広尾からも六本木からも10分以上かかります。
ウェイティングスペースのショーケースには、
アジアベストランベスト50、ミシュランガイド、
食べログアワードゴールドなど、過去の受賞の証が飾られています。
1階のメインダイニングは、様々な階調の黒を組み合わせたダークな内装。
その分白いテーブルクロスが映えます。
天井には木を使ったり、椿の花を飾ったり、
庭には紅葉も見られたりと、随所に和のテイストも見られます。
ミネラルウォーター、スパークリングウォーターがサービス料に含まれています。
スパークリングウォーターをいただきましたが、
福島県奥会津の天然のものだそうで、人工的なものと違って酸味が少なく、炭酸も強すぎないので飲みやすいです。
生江シェフは、大学の先輩みたいで、法学部でしたが、
生活費を稼ぐためにバイトするにあたり、
どうせなら美味しいものが食べたいということで、
イタリアンの調理スタッフとして働き、そこで自分のした仕事に対してすぐにお客さんの反応があることに
やりがいを感じ、大学卒業後都内のイタリアンに就職。
その後、北海道にある、フランスに本店があるレストランの支店に行き、
スーシェフを務める。
その後、イギリスに渡り、当時世界のベストレストラン50で2位にランクインしていた、
「ザ・ファットダック」でも修行し、スーシェフまで上り詰めた。
その後、レフェルヴェソンスを開業。
周りに流されず自分のやりたいことを突き詰める姿は尊敬しますね。
僕ももしかしたら...笑笑
ランチはおまかせコースのみの提供です。
•歳時記〜セイコガニ、カリフラワー/柚子、お酒
店名が活気とか沸き立つという意味で、それにちなんだ、セイコガニと生ハムの泡。
その下にはセイコガニの身や、卵。
ゆずのアクセントでさっぱりと仕上げ、
最下層には、カリフラワーのムース。
滑らかで甘みがあります。
添えられているのは、お口直しの、ゆずと日本酒のグラニテ。
•アップルパイのように#35〜あん肝、マッシュルーム、黒トリュフ
あのアップルパイに見立てた一品で、ブランデーを効かせたあん肝、
マッシュルームに、黒トリュフの香りを効かせて。
熱々でサクサクしていて、油っぽくなくて食べやすいです。
•パン
大阪のル・シュクレールのカンパーニュ。
ふんわりもっちりした食感と小麦の深い味わいが美味。
豆腐とサワークリームで作ったものにつけていただきます。
これが美味しくて珍しくパンをお代わりしました。
バターと違って罪悪感も少ないです。
•北極星〜ホタテの薄づくり、ライムとエシャロットのヴィネグレット、白味噌、大根たち
サロマ湖産の、帆立を薄くスライスして、
ライムとエシャロットのヴィネグレットソース
(それぞれ酢、油の代わりでしょうか)と、白味噌のソースとともに、
帆立と大根をラヴィオリのように包んでいただくサラダ仕立ての一品。
•定点〜蕪とパセリ、キントハム、ブリオッシュ
当店のスペシャリテ。
4時間低温で火を入れた蕪を、セロリのソースと刻んだブリオッシュとともに
いただくというシンプルな一皿ですが、
みずみずしく柔らかいのにもかかわらず、ちょうど良い食感を残した絶妙な火入れ。
蕪ってこんなに美味しいのかって痛感させられる一品。
セロリのソースもセロリ独特のクセはなく、野菜の旨味が野菜を引き立てる相乗効果
•ぼんやりとした街の灯り〜鮟鱇のポシェリソレ、しじみ、乳清と酒粕のソース、春菊と菊芋と菊の花
柔らかく煮込み、表面をさっと焼き上げたポシュリソレという手法で仕上げた、
鮟鱇は、ふっくらもちもちした食感。
酒粕や、乳清のソースは、お酒の旨み、香りと、
酸味が感じられる和のテイスト。
春菊、菊芋、菊の花という様々な菊を使っている点も印象的。
菊芋はピューレ状で。
•海の神 山の神〜七谷鴨炙り焼き&ブランダードのソース、ビーツ、長ネギ、カーボロネロの枯葉
鉄分質のねっとりとした甘みが特徴の胸肉と、
ジューシーな旨味が際立つ腿肉を食べ比べられる一品。
鱈と、牛乳、ジャガイモのブランダードのソース、
ビーツのソースで。
甘みのある長ネギと、カリッとした食感のカーボロネロが、
肉の旨みを引き立てます。
•帰郷〜栗、山葡萄、林檎、そばほうじ茶のアイスクリーム
季節の素材をふんだんに盛り込んだ一皿。
栗は、チップスとムースで。山葡萄もムース状にして
焼きリンゴはソースに。
軽やかなデセール。
•小菓子、お薄、world peace
小菓子まで一つ一つ丁寧な作り。薄皮であんこや柚子などを包んだ和菓子も。
抹茶は目の前で作ってくれるプレゼンテーション。
バターミルクと焼酎をブレンドしたworld peaceと交互にいただきます。
•ハーブティー
希望の場合、コーヒー、紅茶、エスプレッソ、ハーブティーの中から食後のカフェを。
日本酒や味噌など、随所に和のエッセンスを加えたフレンチの域にとらわれない料理。
日本でフレンチを作ることの意義を感じさせるようです。
料理だけでなく、ウェルカムドリンクや、小菓子、抹茶など多様な手法で楽しませてくれます。
様々な要素を取り入れつつも、複雑すぎず、
素材の本質を感じ、シンプルに美味しいと思える料理。
生産者とも密接につながり、サスティナビリティも意識した、
食材のありがたみに感謝する姿勢も光ります。
生産者の元を訪問し、信頼できるものだけを使う店は、フロリレージュ の川手シェフにも通じるところを感じました。
最後まで胃もたれしないのもその素材の良さゆえでしょうか。
こういうシェフが今後の飲食業界を牽引していくのでしょう。
2019/03/25 更新
西麻布にたたずむ名店、レフェルベソンス。
ミシュランはもちろん、食べログアワードや、アジアベストレストランなど数々のタイトルに輝く名店。
前回はランチでの訪問でしたが、今回は、ディナーでの利用。
二度目の利用にもかかわらず、迷ってしまうような便利とは言えない立地にありますが、雑踏から離れ、非現実的な時間をゆったりとすごしてほしいというシェフの思いにはぴったりです。
夜のコースは、メインの料理は変わらず、品数増える形になっています。
金の器でいただく焼酎と赤ワインのブレンドをいただき、コースのスタート。
『歳時記』
泡をイメージしたショットグラスで供される定番のアペリティフ。
芯がありながらも、しっかりと中身が変わっているところがすごくいいし、発想力に感心します。
今回は、新鮮な戻りガツオに、ゴボウのピューレを合せ、上にショウガの泡のソース。
その後、日本酒とシャインマスカットのグラニテを。
和の食材をフレンチの技法で見事に調和させています。
前回も思いましたが、この料理がたまらなくおいしく、強く記憶に残っています。
『アップルパイのように』
イノシシとバターナッツカボチャの組み合わせですが、それぞれが別にあるのではなく両者が一体となったリエットのような形状。
粒感がなく、なめらかな食感。
ゆずのアクセントを加えています。
『敬愛するアルチザン』
こちらはディナー限定の一皿。
シェフが尊敬する農家さんから仕入れた品質の良い野菜を美しく盛り付けてあります。
野菜の味を生かすための優しい味付けのソースです。
『pain』
大阪の有名店、ル・シュクレクールのパン。
ほのかな酸味とうまみのバランスがよく、秀逸。
サワークリームと、豆腐のソースでいただきます。
これがまたおいしいんだ。
『序曲』
これがハイライトといっても過言ではない優れた逸品。
脂ののったハタと、千切りにされたマツタケ、ゆり根、菊芋のピュレ。
マツタケの表面をあぶって仕上げます。
その香りがいいのはもちろんですが、肝となるのが最後にかけるだしのスープ。
メニューにはシイタケの出汁と記載されていますが、生ハムの出汁や、すだち、ほえいなども加えられており奥深い味わい。
うまみの強いはたを、さっぱりといただけます。
『定点』
レフェルベソンスの代名詞。
4時間火入れした蕪に、ブリオッシュとキントアハム、イタリアンパセリのピューレを合せた。
前回、冬だったので、それに比べて少しか辛味を含み芯がある食感。
『秋の景色のへ』
鱧の揚げ焼きの上に、香ばしく焼いた舞茸と木の芽。
ビーツとカマンベールのソースで。
意外な組み合わせですがとても合います。
そして赤紫蘇の酢を加えているので全体として甘味や旨味が強いのに重すぎない。
『継がれる味』
味、硬さともに柔らかい茶碗蒸し。
烏賊、根セロリ、シブレット。
茶碗蒸しに烏賊とは珍しいですが、意外にマッチしていました。
『海の神 山の神』
北海道から届いた蝦夷鹿。
表面だけさっと焼き上げていて、しっとり柔らかくシルキーな肉質で、うまみも最高。
こんな柔らかい鹿は初めてかも。
臭みもほんとにない。
合わせるのは、サザエのピューレ。
そして、焦がしバターや、京都のお酢、白ワインで味付けしたズッキーニ。
『黄昏』
洋ナシと酒粕のグラニテ。
銀杏。
『深く静かな森』
シャインマスカット、胡桃のアイスクリーム、フロマージュブランとエストラゴンのジュレ。
『小菓子 お薄』
終始素晴らしかったです。
フォンドヴォーを取らずに、お酒、お酢、発酵食品、魚介や野菜の出汁やピューレを使って味に深みを出す独創的な料理。
通り一遍のものではなく、意外性にあふれていますが組み合わせも妙なるもので、よくまとまっています。
酸味とうまみのバランスもちょうどよく、食べ疲れもなし。
季節感もよく感じられ、日本の風土を盛り込んだような料理の数々。
来るたびに楽しめると確信させられます。
黒を基調としたダークな雰囲気の中でお皿が照らされ料理に集中できる雰囲気。
適度な距離間のサービスはさすがといったところ。
サービスと料理が一体となって極上の空間を作り出しています。