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昼の点数:4.9
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¥10,000~¥14,999 / 1人
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料理・味 4.9
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|サービス 4.3
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|雰囲気 4.5
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|CP 4.3
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.9
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| サービス4.3
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| 雰囲気4.5
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| CP4.3
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| 酒・ドリンク- ]
余熱で火を入れる唯一無二の低温調理
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2019/02/22 更新
五反田と品川の中間ほどの、品川駅から徒歩15分くらいの、カンテサンス。
12年連続***の、日本が世界に誇る名店。
そして予約のとりにくさも随一。
2ヶ月前の朝の予約開始時間から40分ほどリダイヤルし続けてやっと平日のランチを予約できました。
これでも早い方ですかね。
腕を振るう岸田シェフは、パリの複数のレストランで修業後、独立。
30代前半という驚異的な若さでミシュラン三つ星を獲得。
修業時代の「アストランス」のスピリットを強く継承していて、素材、火入れ、味付けを軸にし、そこに独創性を加えていくスタイル。
メニューは、おまかせコースのみ。
食材の最高の状態である時間はそう長くない。
そこでその時の最良の食材を最高の状態で提供するためにそこに向けて準備していく。
故に食材を次の日に持ち越したりしない。
口に入れる温度まで計算し、絶妙なタイミングで提供される。
さて、ランチですのでおまかせコース7皿¥10000です。
【スープ】
細かくした甘鯛の鱗と身、ふきのとうに、トマトを加えて酸味でぎゅっと引き締めたさっぱりとした味わい。
結構温度は高めな印象。
【パン】
ライ麦などをブレンドして天然酵母で発酵させたメゾンカイザーのもの。
お供はシンプルなバター。
【スペシャリテ】
京都の山羊のミルクのババロワ。
プロヴァンスのオリーブオイルと岩塩でいただきます。
ユリ根とマカダミアナッツのアクセント。
混ぜずにいただきます。
ムースやヨーグルト、ピュレのようなどろっとした感じではなくかろうじて形状を保っているようなイメージ。
なめらかな口当たりで塩気や風味が強すぎず、ほのかな酸味が香るようなさっぱりとしたババロワ。
それ故に良質なオイルと塩の塩味を堪能するようなイメージ。
【前菜】
海老芋をアルザス地方のタルトフランペで包み。
スペインの生ハム(ハモーン)と、豚バラ肉をブイヨンにくぐらせ炙ったもの、おかひじきとエシャロットのピクルスを乗せた一品。
豚バラと生ハムの塩気が結構効いています。
【魚料理】
宮崎県産の寒ブリを皮はパリッと、身は外側程よく焼けているようなグラーデーションになるようにオーブンでじっくりと塊のまま低温調理。
貝の出汁をベースにしてピスタチオや、秋田のネギ、「ひろっこ」などを用いたソース。
甘辛い感じで、和のエッセンスを感じます。
苦味のあるアンティーブにカリカリのパン粉と金柑をまぶしたものを添えてさっぱりといただけます。
【肉料理】
群馬県のもち豚。
こちらも骨つき、塊のまま火入れ。
オーブンで加熱しては出してを繰り返し、三時間火入れ。
これにより表面だけ焼けて中は焼けないということを防ぎ、中までしっかりと火が通ります。
余熱で焼くイメージ。
もちろん皮はパリッと焼きあがっており、身はしっとり柔らかく豊かな甘みと旨み。
くどさ、癖は微塵もなく、最上質の脂。
ソースは、ハーブのリキュールの「リカール」と、コーヒーを組み合わせたという斬新なもの。
ハーブとコーヒーの芳醇なる香りによって味だけでなく香りでも楽しませてくれます。
好みはあると思いますが、ハーブの適度なアクセントとコーヒーの豊かな香り、苦味が僕にはヒットしました。
表面は滅多にお目にかかれない極めて淡いピンク色。
中までしっかりと均一に絶妙な火入れ。
ガルニは、牛蒡のフリットとトマトのマリネ。
この牛蒡のフリットも中までしっかり柔らかく食べやすいです。
【デセール 1】
ショートケーキをイメージしたもの。
大粒のイチゴの上に、リキュールを染み込ませたビスキュイ、シャンティ。
シャンティがくどくなくて大部分はイチゴなのでとてもさっぱりといただけました。
【デセール2】
スペシャリテのメレンゲのアイスクリーム。
もちろん手作りでこの瞬間のために温度を調節してあります。
お皿までひんやりしています。
なめらかですが濃厚でミルクの風味が強め。
卵は使用していないためくどさはないです。
【カフェ】
菩提樹のハーブティー。
口当たりはカモミールに近いようなやわらかな優しい味わい。
フロリレージュの川手シェフを始め、クローニー、アビス、アルゴリズムなどすでに多くの優秀な後輩が活躍しています。
最後には岸田シェフが見送って下さいました。
40代半ばとは思えぬ若々しさです。
日々新たなものを創作するべくして刺激のある毎日を送っているからでしょうか。
料理はやはり代名詞とも言える低温調理の火入れが秀逸で、魚、肉ともに唯一無二の今までにない感覚でした。
ソースが独創的でモダンフレンチの要素を醸し出していますが、それもしっかりまとまっていて、全体的に派手にやりすぎてないあたりが安定感を生んでいます。
やはり基本の素材、火入れ、味付けに忠実なようです。
スペシャリテのババロワに象徴されるように良質な素材の良さが前面に出ていました。
随所に酸味や苦味を入れるなど、途中でぐったりさせないようなコース構成も素晴らしい。
常連さんも多く、その期待に応えるべくして日々新たなメニューを創作し、定期的にメニューを更新。
才能だけでなく努力も惜しまず。
7皿と言ったらきっちり7皿でアミューズやミニャルディーズがないあたりもかえって潔い。
内装は、茶やグレー等を基調としたモダンナチュラルでシックな感じ。
フォーマルではありながらもいかにもグランメゾンといった雰囲気ではないあたりがむしろ居心地いいです。
3人4人のグループが多く、終始大声で叫ぶように話していて居酒屋でやれと思いましたが、そこはお店のせいではないので、、、
サービス陣は皆丁寧でとても聞き取りやすく、ただ暗記した文章を朗読するのではなく、ちゃんと伝えようという気持ちがうかがえてとても良かったです。
名実ともに最高峰で、カンテサンス(真髄)の名にふさわしいお店でした。