drunkwhaleさんが投稿したヴィラ・デラ・パーチェ(石川/和倉温泉)の口コミ詳細

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酔鯨の美しき酒呑みたち

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ヴィラ・デラ・パーチェ笠師保/イタリアン、オーベルジュ

1

  • 夜の点数:5.0

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 5.0
1回目

2023/02 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

日本最高レベルの「ローカルガストロノミー」

窓から海が見えるスペシャルなビューの「Villadellapace」さん。
最初に認知したのは「DiscoverJapan2021年5月号」で10ページにも渡って紹介されていたとき。
更に去年の3月に行った「ca'enne」さんが載っていたので買った月刊専門料理2022年9月号の記事を読んで一目でこちらのお店に心を撃ち抜かれようやく半年越しの訪問です。

反対側を見るとこんな感じでサーブの準備をするスペースといった感じ。
カーテンの奥が厨房です。
シンプルなメニューと裏には生産者さんなど。

最初の胃の温めはニンジンのコンソメ。
ハーブが利いてなんとも胃が絶好調に。
やっぱりちょっとビールが欲しくて。

●オリエンタルブルーイングのシングルホップシトラ
金沢のIPA。ホップの香りが華やかで軽く柔らかい味。

●HureFreres"Invitation"CuveedeReserve
食欲をそそる酸と果実味の泡。ビールと役目が被ってしまった(ペアリング以外にビールを頼んだ自分のミス)。
とっても食前酒。あまり冷やしすぎない方が香りが開く感じがする。
ちなみにここからペアリングでお願いしたのですが非常に柔軟に、そしてこちらの好みと肝臓のタンクの量を把握するべく素敵な尋問が始まり適切に肝臓を逮捕される素晴らしいペアリングおよびその他。
酒に関してこれほど完璧にサーヴィスされたのはこれまでありません。

●藤瀬霊水
お水も中島町のお水。

◆アミューズ
・細魚を軽く昆布締めしたもの
中にパン粉、セミドライトマト、梅の実を合わせて刻んだものをクルクルと細魚で巻き込んで。上に載っているのは赤紫蘇のマイクロリーフ。
・地元の自然栽培で育てた蕎麦粉のタルト
宇和島の岩海苔、烏賊のイシリとオリーブオイルと合わせた上に甘エビとコリコリっとした赤西貝をタルタルにしたものを載せて。更にその上に紅菜苔(コウタイサイ)と菜の花。
・本州鹿のレバーペースト
白山で獲れた本州鹿に胡桃と素揚げした芽キャベツを合わせて。
最初からとてつもない。否応もなく奥スンと黙カンパイ。今宵はサイコウのようだ。

●NicolettadeFermoLeCinceCerasuolod'Abruzzo
ここはナチュールロゼ。

◆スルメイカ 本州鹿
・スルメイカ刺身
文旦の香りの付いた塩で味付け
・本州鹿のモチェッタ(生ハム)
イタリア北部、アルプス山中にある小さな州、ヴァッレ・ダオスタではヘラ鹿で作るのだが本州鹿で。赤ワインと様々なスパイスで。
・紅くるり大根のラビオリ
紅くるり大根を発酵大根に仕立てたものを生地に見たてて作ったラビオリ。中にスルメイカとモチェッタのタルタル。アクセントにナスタチウムマスタードのマイクロリーフなどのハーブ。発酵大根のパウダーを添えて。

●MeigammaBiancoQuarto
サルディーニャ島のナチュラルワイン。
サルデーニャに伝わる言葉で、昼ごはんを食べた後、消化に伴って起こる眠気の事をメイガンマと言うそうです。そんなゆるやかな時間が流れるホッとする味でした。

●LeCinciolePetrescoCollidellaToscanaCentraleIGT
何が柔軟かって言うとどうにもウチの夫婦がバカみたいに呑むのを早々に感ずかれたらしく、ペアリングに加えて奥スンが好きだと言った赤ワインを別添えでボトルでどうですかとの提案。
今までこんな提案されたことがなく、自分から言うとはしたないとか思っていたのですがこういうバカもいると知ってほしい(笑)
しかもこのボトルも緻密に緻密に好みを聞いてくださり3本ご提案。素晴らしいプレゼンの揚げ句こちらをチョイス致しました。
キャンティってそんなに好きじゃなかったんですがこれは夫婦ともにかなりタイプでした。

◆コブダイ じゃが芋
9.7kgのコブダイをじゃが芋で巻いたフリット。下に敷いてあるのはトレビス。じゃが芋のソースと野芹のタプナード。
パンは中能登町羽坂にある、大阪の「ル・シュクレクール」さんで修行をされた「月とピエロ」さんの手になるもの。
うん、かなり美味しい。帰りに買って帰りたかったが翌日は定休日で残念。

●DeBartoliIntegerGrilloSuperiore2020
フルーティな旨味が爆発といった味。
ド直球の白ワインといった印象です。

◆牡蠣 中島菜
中島町・宮本水産の養殖真牡蠣に地元の中島菜(かぶ菜のような野菜)をクタクタになるまで炊いて合わせたもの。ラビオリには具として牡蠣の外したヒモの部分や貝柱を包丁で叩いたもの。野菜の出汁に春菊でつくった醤油を利かせたっぷりのオリーブオイルとともに。

◆真鰯 茴香
シチリアの郷土料理、パスタ・コン・レ・サルデ(鰯のパスタ)。鰯、マスカット・ベーリーAのレーズン、茴香(近所のおじいちゃんが作るフェンネル)、松の実、セミドライトマト、ニンニク、鰯の頭の部分と腸の部分をコンフィにして骨ごとすり潰してペースト状にしたものでコクを加えてある。

●IVinidiGiovanniVermentuzzo
私がオレンジワインが好きと言ったら結構オレンジ推しに。
印象はハチミツレモン。

◆畑
農家さんの畑そのままここまで持ってきましたよっていうお皿。いろんなお野菜を生だったり茹でたり焼いたり蒸したり発酵させたりといろんな調理法で調理してあります。お味はお塩とオリーブオイルだけというシンプルな構成で貪るように食えと言われましたが美味すぎて貪り喰いました。

●SkerkMalvasia2019
更にオレンジ推し。こちらは桃か洋梨といった風味。

◆クエ 源助大根
クエの炭火焼。ソースはザバイオーネ・サラートに山椒のオイルを利かせたもの。奥にある能登島の源助大根のボリートミスト風は中島菜のサルサベルデで。クエの内臓の煮込み。上に雪の下。

◆本州鹿
白山の本州鹿のロースト。藪肉桂の葉で軽く燻してソースはバローロ・キナートベース。野菜の向こう側で見えにくいですが鹿と天然キノコのカプネ(イタリアピエモンテ州の焼きロールキャベツ)。その下にカリフラワーのムースとピューレ。野菜はタネツケバナ。

●奥能登の白菊貴醸酒2021火入れ原酒
ここに貴醸酒を合わせてくるとは。
次のメニューが若干デザートっぽいからでしょう。いいですね白菊。

◆金時人参
金時人参のジュースで作ったセミフレッド。メレンゲの下に金時人参のピューレ、ヨーグルトのホエーから作ったソース、ハシバミとレーズン、エディブルフラワー。

●PacinaLaSorpresa2010
あらまぁ好きモノねぇ(笑)
デザートワインとしてパーチナが出てくるとはマニアというか素晴らしい。

◆六畳大麦
ティラミスのジェラートのアフォガート。
上に載っている煎餅状のものが六条大麦で作られている。大好物が出てくるとは。とことんこのお店とは相性がいい(片想い)。

ミニャルディーズは
・スイートポテト
・カスタニャッチョ
・スギナのバーチ・ディ・ダーマ
・ハシバミのメレンゲ
・リングエ・ディ・ガット
・河内豆のパウンドケーキ
・トウモロコシの粉で作ったザレッティ干し柿入り
盛りだくさんすぎて笑う(笑)どれもこれも手が込んでいるうえにこの品数で残ったお酒が足りない勢い。

六条大麦のノンカフェインコーヒー。

往復のタクシー代は概ね片道\,3500ぐらいの計算でよいかと思います。

コース\16,500/人でビール\1,100にボトルワインが確か\16,000ぐらい。ペアリングも\8,800/人でトータル7万弱だったかと。
これだけ食って呑んで3万円台前半はかなりリーズナブル。

料理がどれも本当に七尾能登のローカルガストロノミーで旅行者にとっては感激の一食です。
何より美味しかったのはシェフ自らが畑で育てて手摘みした野菜が…生で食べて旨味を感じたのは生まれて初めてかもしれない。野菜があんまり好きでない私がワシワシ一気喰いしてしまうほど。
メインの鹿はもちろんクエも火入れが素晴らしくとてもジューシーで肉感が凄い。
料理が他もどれもこれも美味しいのはもちろん、ワインの供され方がホスピタリティ溢れるものでとにかく細かくこちらの好き嫌いを探ってくださり、そして当然にも料理に合うものをペアリングしてくださった。
更に妻が赤ワイン好きだと聞くとペアリングの中の赤ワインはボトルを選んでそれ以外はそれぞれ合わせることもできると。量呑んじゃうウチ夫婦、通常のペアリングだと場面で手持ち無沙汰になることがありボトルも入れれたらそれに越したことはないと感激。そうかそういうお願いすればいいのか。なぜかペアリングかボトルの2択で考えていた固定観念が崩されて非常に勉強になった夜でした。
塩士卓也ソムリエはトークも知識豊富で多岐に渡り、物腰柔らかで非常に楽しく食事させていただきました。
平田明珠シェフとも食後話をさせていただき、シャイながら朗らかに話していただき本当に楽しかった。8月は食材が弱いから休むつもりとか探究心もすごく、さらなる飛躍を遂げられること間違いなし。
更に美味しくなったお料理を、今度は泊まって楽しみたいと再訪を誓った夜でした。
最後に独立されると挨拶された吉沢悠椰スーシェフ。3月いっぱいで既に退職された由ですが彼の手になるものも平田シェフに負けずとも劣らず素晴らしいものだと思うので次の場所でもお逢いしたい次第。

個人的に、お約束したように今度は宿泊棟に泊まっての更なる呑みまくりを決意した夜でした。
日本最高レベルの「ローカルガストロノミー」がここにある。

2023/04/07 更新

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