辣油は飲み物さんが投稿した徳山鮓(滋賀/余呉)の口コミ詳細

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徳山鮓余呉/郷土料理、オーベルジュ

2

  • 昼の点数:4.7

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.2
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.0
2回目

2017/11 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.2
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

進化する創作的発酵料理

最後の訪問からゆうに2年近く空いてしまった徳山鮓。
大好きなお店ながらに2名以上でなければ予約を取れなくなった事、
テレビ「情熱大陸」に出演されてから人気が沸騰した事が要因です。
全国を食べ歩いていると、こちらに伺いたいと言う料理人の方に多くお会いします。
しかも、日本料理のみならずフランス料理などでも…!
それは、圧倒的な個性と美麗な盛り付けである点に加えて、
世界的に注目を集めている「発酵」に精通されている点が要因でしょう。

滋賀の伝統的な発酵料理を「保存性」の枠組みから解放し、
独創的なアレンジを加えられた点こそ、徳山さんの最大の功績だと思います。
郷土料理は伝統として保存すべき料理もありますが、
全体としてみると伝統のみに固執していると、必ずや滅びます。
よって、伝統の良い部分を残しつつ現代的にアレンジする事は、
郷土料理の保存の上で必要だと感じている次第。
よって、この度徳山さんの料理を頂き、
インスパイアされる料理人が増えると、
今後の日本料理が楽しくなると思いました。
軽薄な高級食材の足し算とは異次元な、
確固たる個性がこちらにはあると再認識しました。

そして、名声を勝ち得ても進化を止めない点、
価格を上げてお客に転嫁していない点は今日び素晴らしいと感じた次第です。

今回、初めてこちらでお酒を頂きました(いつも一人でドライブだったので)。
七本鎗・特別純米精米80パーセント。
酒器は桜。
ラベルが余呉湖の天女でハッとする。
余呉湖には天女伝説があり、湖畔に実在する柳の木に、
羽衣をかけて水浴びしたと言う謂れがあります。
しかし、隆々と立っていた柳の巨木は現在倒れております。
台風11号(2017年8月6日)によってなぎ倒されてしまったとの事…
湖畔で倒れているのを見かけ、お店で聞いて知りましたが、
前々から見ていて、徳山鮓に伺う際のアイコン的なイメージでしたので、
地元在住でなくても悲しい気持ちになってしまいました。
ただ、自然には勝てないのが人間。
せめて倒木を再利用して祠などが作られれば良いと感じております。

この度頂いた料理です。

余呉の鰻の飯蒸し
配された瞬間にしっかりした生姜の香りが漂う。
頂いてみると葛も強めに打たれており、一瞬野暮ッたく感じつつも、
鰻の野趣が米の甘みを包み込み、実際は良いバランス。
出汁を主張し過ぎない程度に強めている点、
実山椒を多めに使用している点も奏功している。
もち米は土鍋炊きか…お焦げが実に香ばしい。
食欲を喚起してくれる先付である。

鹿肉のロースト
乾燥香茸のフレークを添えて。
鹿肉は爽やかな鉄の風味に旨味もあり。
かなりのレアで瑞々しい。
使用する山葵は甘く香りもあり、鹿の味わいに合致している。
唯一、パプリカが切り置きなのか乾いていた点が残念。

鯖のナレズシ
過去と異なるフォルムで意表を突かれ、頂いてみると味の進化に嘆息。
左がトマトのソース、右がトマトとナレズシの飯(イイ)のソース。
あしらいは乾燥実山椒。
鯖のナレズシは完成度が際立っており、
ハッキリ言って、やたら旨い。
発酵の香りと酸味は柔らかで、旨味の増幅に成功している。
左のソースはトマト由来の甘みがあり、酸味は非常に穏やか。
右のソースは秀逸!
乳製品的なテイストのソースで、飯に魚の香りが転移していない点が圧感。
通常、飯には発酵の過程で特有の魚の香りが付着するもの。
ナレズシの作成過程に工夫がある事は明白である。
以前よりも鯖が活き、ソースが活きる調理だと感じた。
このあたりには、お子さんの若い感性も活きている。

子持ち鮎、香茸の餡
独創的な理系的盛り付け…実に標本的(笑)
鮎は蒸されており、骨までホロホロ。
旬の名残らしい鮎の卵の存在感を強く提示する調理。
鮎の香りや旨味よりも卵。
季節を捉えた料理であろう。
香茸の餡は前述のフレークよりも香りがしっかりで嬉しい。

シャルキュトリ盛り合わせ
真ん中が猪のハム、香茸、猪の生ハム、猪鹿熊のテリーヌ、琵琶鱒の松風風、
上が山葵漬け、蒸し卵、ワインビネガーソース。
とりわけ印象深かったのが、猪のハム&生ハムと、琵琶鱒の松風風。
猪のハムは瑞々しい点が猪のイメージを覆す。
燻蒸香が強くとも障らない。
猪の生ハムは脂が大変旨く、舌の上でとろけ、猪の香りも楽しませてくれる。
琵琶鱒の松風風は鶏肉で作る事が多い松風焼きをアレンジした滋賀らしい一品。
ケシの実の代わりに胡麻を用いつつ、琵琶鱒の淡麗な香りを活かす使用量。
風味はあくまでも琵琶鱒であり、モダンな味わいを感じさせる。
和製テリーヌと言うべき料理を、ハムやテリーヌと共に供すセンスも好ましい。
木製の優しい風味の器は、富山の下尾和彦さん・下尾さおりさんの作品。

熊鍋
先ず、ツユに驚嘆する。
非常に端正な出汁で、熊の野趣がストレートに活きる味わい。
脂を引き締め、脂の甘みを殺さない。
熊から脂が滲み出て、ツユが「育った」ところで頂くネギも格別。
シャキシャキと瑞々しい歯応えに、旨味が複雑に絡む。
熊肉の肉質的には、同じ熊鍋を供する比良山荘が上を行くが、
徳山さんの鍋は「日本料理の鍋」として完成度が高く、
冬の滋賀で伺う価値がある事は言うまでも無い。
コース料金を考えても、食べ応えが抜群である。
ハッキリ言って、超良心的。

鮒鮓
余呉の蜂蜜がけ、パンに挟みオリーブオイル焼き。
過去に伺って以来、多くのお店で鮒鮓を頂いたが、
矢張りこちらのものは洗練されている。
超しっとりしており、卵がホロッとほろける。
酸味は強いものの鮒鮓特有の「癖」は無く、
スッキリとストレートに走る酸味だ。
飯も酸味が利いておりビリッとする。
そこに、蜂蜜の甘みと風味が華を添える。
酸味、甘み、香りのバランスの上で、
何処となく葡萄的な印象を与えてくれる。

熊鍋の雑炊
自分たちで作るのではなく、厨房で調理の後に供される。
よって、卵の火入れにプロの技が光り、
米粒はふわふわな卵を纏い、甘美な美味しさ。
ツユとご飯のバランスも良い(ツユが多め)。
そして、粒の一つ一つが脂の旨味と熊の香りを吸収している。
旬以外の時期にこちらの雑炊を頂いた事があるが、
流石に旬の時期は別物と言える美味しさである。

水菓子
飯(いい)のアイスクリーム、喜界島の黒糖サブレ。
今回は鮒鮓の発酵感が結構強く、よりマニアックに。

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
すしログ:https://sushi-blog.com/

  • 鹿肉のロースト

  • 鯖のナレズシ

  • 子持ち鮎、香茸の餡

  • シャルキュトリ盛り合わせ

  • 熊肉

  • 鮒鮓

  • 熊雑炊

  • 鮒鮓の飯のアイス

  • 店内

  • 倒れた柳

2021/05/05 更新

1回目

2015/09 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.2
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク-
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

畏敬の念すら抱く、ナレズシの再構築

妙味必淡…店内に掲げられた言葉には、箸を進めることによって頷くこととなります。

6月に訪問した徳山鮓、ラッキーにも約3ヶ月後に再訪するチャンスがやって来ました。
ここは近県にあれば毎月伺いたいとまで思いましたので、実に嬉しい。

メニューの内容は前回とほぼ同じ。
しかし、鰻や鮎の味の変化が分かったり、琵琶鱒が登場したりと、
新たな発見があり、ますます好きになりました。
ご主人が狩りに出ており、いらっしゃらなかったのが残念(笑)
是非ともジビエの時期に訪問したいところです。

【鹿肉の胡麻和え】
前回写真を撮るのを忘れて食べちゃったので、今度は忘れずに…
やはり美味しい先付です。

【琵琶鱒のお造り、鰻の落とし】
前回は鰻のおとしだけだったので、ラッキー!
しかも、合わせて【琵琶鱒の卵の醤油漬け】も。
鰻は明らかに身がイキイキしており、野趣に富む香りも強くなっている。
琵琶鱒は爽やかな繊維質で、卵の方はプチプチと良い食感。
独特の余韻も持っております。
なお、この度の山葵には叩いた葉っぱも混ぜておられ、香りが鮮烈でした。

【鯖のナレズシ】
前回同様にトマトソースの甘みとナレズシの酸味の相性が抜群。
チーズは口どけに妙があり、穏やかな香りのチーズを極々薄くすりおろし、
軽やかな印象を残す。

【余呉湖の鰻の焼き物】
明らかに肉厚になっており、美味しさを増しておりました。
そして、今回はご飯を持ってくれたので、オンザライス!

【稚鮎の酢の物】
今回は鮎の稚魚である氷魚(ひうお)が添えられ、贅沢な一品に。
また、飯(いい)のソースも使い、一層印象深くなっておりました。
ソースは素晴らしく、香りはナレズシですが、マヨネーズに似た味わいを残します。

【小鮎の焼き物】
酢の物よりも濃厚な飯のソースと頂く。
付け合せの葡萄とも妙に合います。

【琵琶鱒と熊肉の蒸し物】
インパクトある一品。熱したオリーブオイルが掛けられております。
塩分は極めて低く、琵琶鱒に穏やかな塩が振ってあります。
自然を食らうため最低限手を加えた、という印象の料理です。

【鮒鮓、鮒鮓のパン挟み、発酵カラスミ】
こちらの鮒鮓はやはり素晴らしく繊細で旨い。
凝縮された旨味は言わずもがな、爽やかな香りと鋭いけれどさっぱりした酸味が特徴。

【琵琶湖のスッポンの雑炊】
前回は熊肉も入っておりましたが、今回はスッポンのみ。
恐らくスッポンの量が増えており、よりダイレクトにスッポンの旨味を感じました。
なお、香の物も実に美味しいです。

【ナレズシの飯を使ったアイス】
これもまた唯一無二のスイーツで満足。

訪問する度に違う表情を見せる、余呉の自然とともに在る名店です。

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
すしログ:https://sushi-blog.com/

【2015年6月】
こちらのお店は滋賀県の外れにあり、予想以上に奥まった場所にあります。
余呉湖を回りこんで到着した先には、重厚ながらに穏やかな雰囲気も併せ持つ建物が待っており、
プロの料理人や発酵の研究家も足を運ぶことがある種、意外に感じさせられます。

お店の内装も穏やかで、堅苦しいところは微塵もなく、
余呉湖を望む窓からは、心を安らかにする陽光が燦々と射しこんでおります。
ベランダに出ても構わないとのことで、食事の前に湖を眺めて開放感に浸ります。
自然の香りで胃を満たした後は、自然の恵で胃を満たしてもらうことに…

【頂いた料理】
鹿肉の胡麻和え
鰻のおとし
鯖のナレズシ
稚鮎の酢の物
余呉湖の鰻
ホンモロコの発酵米のソース
山菜の天麩羅
発酵カラスミ、鮒鮓
香の物
琵琶湖のスッポンと名残のクマの雑炊
ナレズシの飯を使った水菓子

まず最初に出てきた料理は【鹿肉の胡麻和え】。
あまりにも食欲をそそる見た目と香りだったので、写真を撮るのを失念してしまいました。
一口頂いてみると、鹿肉の処理の仕方と胡麻の使い方が非常に良く、
繊細かつ地味に溢れた味わい。
噛みしめると力強い香りが漂い、繊維は柔らか。

次いで頂いたのは【鰻のおとし】。
ぷりぷりとした歯ごたえが良く、嚥下した後にたなびく香りが野趣に富んでおります。
骨切りの技術もあり、繊細な中に意外性のある一皿。

そして、次は待ってましたとばかりの、【鯖のナレズシ】。
なんとナレズシに、吉田牧場のチーズをグレーターでおろし、トマトのソースを合わせております。
鯖の発酵は穏やかで、チーズに近しい酸味が協奏し、トマトソースには甘みがあり、バランスに長けている。

三皿で心をつかまれましたが、お次は【稚鮎の酢の物】。
ほろっとほどけるあどけない食感に、香りがほんのり残り、印象深い。
エゴマとワラビをあしらっており、湖と森の産物に心が踊る。

そして、さっぱりな料理が続いたところで、【余呉湖の鰻の焼き物】。
ご主人の徳山氏が釣られた鰻は、体こそ小さいものの、一匹まるまる使用されており、
噛みしめると喜びに満たされます。
地ものの実山椒は香り、痺れに富んでおり、少量ながらに名脇役を演じております。

そして、【ホンモロコと発酵米のソース】。
名残のホンモロコも嬉しいですが、発酵米のソースが極めて印象的。
香りに富み、「旨味を持ったマヨネーズ」のようです。
付け合せはアザミ。

次は、【山菜の天麩羅】。
ネマガリタケ、シオデ、イワタバコ、ヤマブドウと、あまり聞かない山菜を使用。
全て味わい、食感、香りが異なり、非常に面白い天麩羅です。
シオデは微かな粘度が美味く、ヤマブドウは最もジューシーで心地よい苦味(ウドより低い)が気に入りました。

そして、食事の前に【発酵カラスミと鮒鮓】。
ハチミツと合わせた鮒鮓は「和のチーズ」と呼ばれる所以を心から実感。
ハチミツの甘みとピッタリ合っており、鋭い酸味が心地良いです。
鮒鮓の熟成は浅めで、一般的なものよりも爽やか。
よって、もう一品はパンに挟んでオリーブオイルと焼いておりましたが、
全く凡庸な創作感がなく、一体化しておりました。

〆のご飯は、名前からして魅力的な、【琵琶湖のスッポンと名残のクマの雑炊】。
クマ肉はクセが無く、固有の香りを楽しむことが出来ます。
スッポンはたっぷりと出汁が取られており、米は濃密なゼラチン質を纏っております。
生姜の使い方も良く、前面に出過ぎずバランスを取っておりました。
ボリュームもたっぷりで、極めて満足度の高い〆。
これもまた、湖と森の産物への感謝を想起させます。

こちらは水菓子も個性的で、【ナレズシの飯を使ったアイス】。
アイスは少しシャーベット状の食感で、クリームチーズのような味わいでありながら、余韻はナレズシ。
不思議な味わいですが、大変美味です。
かなり変化球かもしれませんが、こちらのコースの最後を締めくくるにふさわしい一品です。
ワイルドミントとヤマブドウも香り豊かで爽やか。

全体的に、滋賀、ひいては余呉ならではの食材を、センス溢れる調理で芸術レヴェルまで高めており、
非の打ち所のない名店だと実感しました。
個々の料理の美味しさもさることながら、根底に流れる徳山氏の哲学が素晴らしいです。
料理を口にして哲学を感じることは稀有。
伝統的なナレズシ・発酵料理を新たな領域で再構築されており、余呉の豊かな食材ともども、
深く心に残った次第です。
確実に、何度も訪問したいと感じました。

本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
すしログ:https://sushi-blog.com/

  • 鹿肉の胡麻和え

  • 琵琶鱒のお造り、鰻の落とし

  • 琵琶鱒の卵の醤油漬け

  • 鯖のナレズシ

  • 余呉湖の鰻の焼き物

  • 稚鮎の酢の物

  • 小鮎の焼き物

  • 琵琶鱒と熊肉の蒸し物

  • 鮒鮓、発酵カラスミ

  • 香の物

  • スッポンの雑炊

  • ナレズシの飯を使った水菓子

  • 鯖のナレズシ

  • 鰻のおとし

  • 稚鮎の酢の物

  • 余呉湖の鰻

  • ホンモロコの発酵米のソース

  • 山菜の天麩羅

  • 発酵カラスミ、鮒鮓

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  • 琵琶湖のスッポンと名残のクマの雑炊

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  • ナレズシの飯を使った水菓子

2021/05/05 更新

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