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昼の点数:4.1
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¥1,000~¥1,999 / 1人
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料理・味 4.1
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|サービス 3.5
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|雰囲気 3.3
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|CP 3.5
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|酒・ドリンク 3.0
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[ 料理・味4.1
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| サービス3.5
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| 雰囲気3.3
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| CP3.5
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| 酒・ドリンク3.0 ]
白濁のポタージュに溺れます。しっかり味の優しくも濃厚な鶏白湯!
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2026/01/15 更新
暖簾をくぐったのは、ランチの喧騒が引き、夕方のラッシュにはまだ早い午後4時過ぎでした。通し営業というありがたいシステムのおかげで、遅めの昼食難民となった私のような人間も温かく迎え入れられます。
店内は清潔感に溢れ、L字型のカウンターとテーブル席が機能的に配置されています。券売機で迷わず「鶏白湯醤油ラーメン」を選び、カウンターの隅に腰を下ろしました。厨房からは、ウィーンというハンドブレンダーの駆動音が微かに聞こえてきます。これから提供されるスープが、ただの煮込みではないことを告げる音です。
待つこと5分強。着丼の瞬間、そのビジュアルの美しさに息を飲みました。 ドンブリの中は、まるで雪原のような白濁したスープで満たされています。醤油ラーメンと聞いて想像する黒や茶色の液体ではありません。表面には細かな気泡が浮かび、ブレンダーで丁寧に強制乳化された証左である「泡(エスプーマ)」の層が見て取れます。その中央には、古墳のごとくうず高く盛られた刻みタマネギの山。そして、その裾野を守るように配置された豚のレアチャーシューと鶏チャーシュー。具材がスープに沈むことなく浮遊している様は、スープの濃度の高さを物語っていました。
まずはレンゲでスープをひと口いただきます。 「……これほどでしょうか」 口当たりは驚くほどシルキーです。ポタージュ、いや、それ以上の粘度を感じますが、決して脂っこいわけではありません。鶏ガラを極限まで煮出した凝縮された旨味が、波のように押し寄せてきます。同店では塩ラーメンには「老鶏」を使うそうですが、この醤油にはあえて一般的な「鶏ガラ」を使用しているとのこと。その選択が、醤油の香ばしさと鶏の脂の甘味を、喧嘩させることなく高い次元で融合させています。 特筆すべきは、その温度感です。熱湯のような熱さではなく、旨味を舌の細胞すべてで感じ取れる「適温」。一部には、ブレンダー攪拌による温度低下を「ぬるい」と評する向きもあるかもしれません。しかし、このクリーミーな質感を損なわずに提供するには、この温度帯こそが正解なのでしょう。猫舌の私にとっては、最初の一口目から鶏の輪郭を捉えられる、慈悲深い温度です。
麺を引き上げます。中太の縮れ麺は、少し黄色がかっており、艶やかです。箸で持ち上げると、ドロリとしたスープがこれでもかと絡みついてきます。啜り上げれば、加水率高めの麺特有のプリプリとした弾力と、スープの重厚感が口の中で渾然一体となります。
中盤、中央のタマネギを崩してスープに馴染ませてみます。これが劇的な「味変」をもたらします。濃厚一辺倒になりかけた舌に、タマネギのシャキシャキとした食感と清涼感のある辛味がアクセントを加え、食欲を再点火させるのです。計算され尽くした構成には脱帽するほかありません。
そしてチャーシュー。低温調理された豚肩ロースのレアチャーシューは、スープの熱で徐々にピンク色から褐色へと変化していきます。「あまりしゃぶしゃぶしないで」という店員さんのアドバイス通り、早めに口に運ぶと、しっとりとした肉の旨味が溢れ出しました。一方の鶏チャーシューは、サクッとした歯切れの良さが心地よく、スープとの相性は言わずもがな「親子」の絆を感じさせます。
気づけば、丼を持ち上げて最後の一滴まで飲み干していました。濃厚なのに、喉が渇きません。むしろ、コラーゲンで唇が潤うような感覚です。食後の余韻は、こってりとした重さではなく、上質な鶏料理を食べた後のような満足感に満ちていました。
店を出ると、夕方の風が少し肌寒く感じられましたが、胃の腑に落ちた鶏の熱源が、帰り道まで私を温め続けてくれました。学生街の喧騒の中で、静かに、しかし力強く主張する「時茂」の鶏白湯。その実力をまざまざと見せつけられた一杯でした。