えこだねこさんが投稿した京味(東京/新橋)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

☆えこだねこの一食入魂

メッセージを送る

この口コミは、えこだねこさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

閉店京味新橋、内幸町、汐留/日本料理

1

  • 夜の点数:5.0

      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2013/08 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0

京味@新橋~ 時の豊かさをいただく幸せ ~

再 訪(13.8月)

 今夏はずい分鮎を食べた。

星野でもくろぎでも車力門 ちゃわんぶでも、

また他の割烹やフレンチ、イタリアンでも頂いた。

しかし西さん自ら綺麗に骨から身を抜いてくれた保津川の鮎の塩焼きを

頂いたとき、そこには間違いなく空前絶後の真味が在った‥


 器に山水の如く垂れる釉の景色を愛でるように、

単なる美味にとどまらない一皿一皿をしみじみ味わう、

そんな稀有な体験も京味ならでは (〃Φ∀Φ〃)♪


◆今回のお品書き

あわびの冷汁

鱧のおなかの骨揚げ、穴子寿司、ごま汚し

ずいきの吉野葛煮のお椀、生姜で

鱧の梅肉、鱧の焼き 醤油で

鱧の卵と肝、浮き袋の煮こごり

茄子田楽、河豚の皮で巻いて

とうもろこしのかき揚げ

明石の鯛と赤魚鯛(あこうだい)のお造り、ポン酢と醤油で

甘鯛のお椀

保津川の鮎の塩焼きと骨煎餅

蛸の子、海老芋、粟麩の煮物

蟹真丈の生姜葛餡かけ

鮭のハラスご飯

ぜんざい

+ビール1杯、日本酒(天領)6合(を3人で)

(夜)(推定)42000円/人


再 訪(13.4月)

 何気ない料理にこそ、ごまかしの効かない真骨頂が顕れる。


 何の変哲もないえんどう豆が何故にこうも美味しいのか?

 一粒一粒を噛み締めながら頂いて、ふと気づく。

直径7ミリほどの豆の大きさが綺麗に揃えられている事に。

恐らくその大きさから外れたものを一粒一粒はじいているのだろう。

 確か「美味しんぼ」に、

海原雄山が山岡史郎との対決の中で

米粒の大きさを揃えてご飯を供すると云うエピソードが有った。

 無論このえんどう豆の美味しさはそれが凡てではないだろう。

しかし、口に入れたときの快にまで心を砕く、

その細やかさがこの名店を象徴している。


 神は細部に宿る。


◆今回のお品書き

蕗の薹、ぐじの寿司、氷魚

田楽 木の芽味噌和え

えんどう豆

焼き筍、鯛の子、蕗

白魚とこしあぶらの天ぷら

鰹のたたき、鯛の塩昆布〆

海老真丈

虎魚(おこぜ)の唐揚げ 塩又は天つゆで

虎魚(おこぜ)の肝焼き

菱蟹の身と卵

新蓮根揚げ饅頭

筍ご飯

木の芽ご飯

香の物

ぜんざい

+ビール1杯、日本酒2合

(夜)42000円/人


(13.1月)

◆出色の一皿に変えて


 食事をするに当たって

こんなにも緊張したのはいつ以来だろう?

愛しいひとをエスコートして

フレンチ・レストランと云うところに初めて足を踏み入れて

慣れないナイフとフォークを使ったときだろうか?

もちろんその後にもしばしば緊張する事はあったのだけれど、

いつの頃からか

蛇の道は蛇、お店に委ねてしまう方が心地よく楽しいことを覚えた。


 今は初めて訪れたくだんのレストランを訪れても、

もはや緊張はしないだろう。

それは経験値の成せる業なのかもしれない。

然るに、なぜここ、京味を訪れてこうも緊張するのか?

僕はこの店を前にして、生ける伝説の人物と対峙して、

どうしようもなく震えた。


 ここには美味しい、旨いと云う評価を超越した味わいがある。

唯そこにあるものがその料理の十全な定義そのもののようだ。


 白味噌仕立のお雑煮も

香箱蟹も河豚の白子焼きも

グジの挟み揚げもはまぐり真丈のお椀も

百合根饅頭もハラスご飯も

華美ではなく、むしろ潔い。

味の輪郭はくっきりしているが、

それ以上ならえぐくなる紙一重のところで踏みとどまる

濃く雄渾な筆致。

 白隠が一筆で描いた達磨のように、

シンプルだが誰にも真似できない力強さと完成度がある。


 その一皿一皿の奥には、脈動する大河が横たわる。

まろみを帯びて鈍く光る古寺の庭石のような

年月を経てこそ備わる奥深い情念、

そう、ここは西健一郎氏が生きてきた軌跡、その時の豊かさをいただく店なのだと

天啓のように悟り、いつしか緊張は感動の震えに変わっていた‥


◆今回のお品書き

白味噌仕立のお雑煮 金時人参、大根、海老芋

黒豆、からすみ大根、菜の花

子持ちの香箱蟹とズワイ蟹の足、蟹身の味噌和え

芽芋の葛煮

河豚の白子焼き

筍揚げと筍のグジ挟み揚げ

お造り:目地鮪、鯛

はまぐり真丈のお椀

もろこ焼

ナマコの海鼠腸和え

聖護院大根と焼き麩と鴨肉の炊き合わせ

百合根饅頭

ハラスご飯、香の物

葛切り

+ビール1杯、日本酒4合(を2人で)

(夜)42000円/人

*どの料理も十全なので、あえて評価せず。


◆この店の楽しみ方

<プロフ>

 言わずと知れた日本料理界の重鎮、西健一郎氏の店。

『美味しんぼ』の初出は、

ガツガツ大食いの男が西氏のハモ鍋に陶然となり、

今まで食べものに対して無神経に傲慢に食べ散らかしてきた己を恥じると云う

エピソードになっている。

 またここの三十年余の顧客の一人、見城徹氏の著書にこんな逸話が載っていた。

作家の有吉佐和子さんの紹介で通い始め、その回数は千回を超えると云う彼にも、

この大好きな店にしばらく通えないと思った一時期が有った。

それは角川書店を辞めて、幻冬舎を立ち上げたとき。

仕事が軌道に乗るまではしばらく来られないと告げると、

西氏はこう返したと云う。

「何をおっしゃいますか? お代はいただきません。 出世払いで結構です。

 今まで通りいらして下さい。 一切請求しませんから」

その言葉に嘘は無く、それから幻冬舎でベストセラーが出て一息つけるようになる

半年ほどのあいだ何度通っても、一度も請求は無かったそうだ。

 そう、この店には御年70代も半ばの生ける伝説がある。

一見さんお断りだから紹介者が必要と云うハードルの高さに加えて、

2人で行けば高級旅館に一泊出来る値段は決して安くはない。

 しかし、いま同時代に生きていると云うこの僥倖を味わう、

そんな何物にも代え難い贅沢もあると思う。
 

<注 文>

 お任せコースのみ。

お酒を適量頂いて今回は42000円。

支払いは後日自宅に請求書を頂いての振込み。


<雰囲気>

 新橋の静かな通りに、ポツンと赤い提灯の灯りが点る。

個室もあるが、ここの特等席はわずか9席のカウンター。

星野くろぎの名前が出る、西氏の愛のこもった歯に衣着せぬ毒舌に

常連さんをはじめ皆が和やかに笑う、

大人の時間がゆるりと流れる。


◆情報出典 

 『 美味しんぼ 』 30巻初出ほか

 『 東京最高のレストラン 2005 』

 bottanさんの口コミ


 ご馳走さまでした~

  • 新橋の静かな通りに佇む伝説の店1

  • 新橋の静かな通りに佇む伝説の店2

  • 新橋の静かな通りに佇む伝説の店3

2013/08/29 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ