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入口脇の看板話が個性的だ!
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料理メニュー
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おでんメニュー
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壁にあった飲み物メニュー
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カウンター前の料理が気になる♪
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ホッピーは冷蔵庫から客が取り、自己申告する♪
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ホッピーセットは310円、きんみや中190円…やすっ!
結局、中は3杯頼んだ!
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プレーンオムレツ(150円)
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牛すじ(100円)、ちくわぶ、しらたき(各80円)
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牛すじの旨煮(270円)
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とまと わり(220円) 〆て1540円の幸せ!
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京浜急行終着駅の三崎口でバスを降り、電車に乗って発車を待った。
京急久里浜駅で降り、改札口を出て5分ほど歩く。京急とJRとは構内ではつながっていないから、一旦改札口を出なければならない。
JR横須賀線の改札口に入ると、電車が来たところで、ボクは慌てて階段を駆け上り、そして階段を踏み外さないよう注意して下りた。間一髪、電車へ飛び乗ったところで、扉は閉まった。
1時間ほど電車に揺られ、目的地ふた駅手前の鎌倉からは乗客が一気に乗り込んだ。空(す)いていた電車は一気に寿司詰めのような状況になった。昨年もそうだったが、この時季の鎌倉は紅葉を楽しむ行楽客で賑わった。
そして、目的地の大船駅では、一斉に乗客が降りた。ここでは、多くの乗客が乗り降りした。乗降客が多い、JR東海道本線の接続駅だったからだ。
陽が少しばかり下がり、辺りはさっきより暗くなった。改札口を出て急ぎ足で入り口まで来ると、残念ながら拝観は16時20分に終了とあった。
幼少の頃、父親に何も分からずに連れてきて貰った大船観音…
ボクは亡き父との思い出を、一瞬ながらに思い出した。おそらく50年ぶりの大船だった。遠目に見る観音さまの顔立ちは、優しく、そして凛々(りり)しかった。そして今見る観音さまも、昔と変わらずに目を瞑(つぶ)り、ボクを見ている…ような気がした。
ボクは見知らぬ街を、少しばかり散策することにした。最近は知らない街に来たときは飲食店を通して、その街のことを楽しむことにしている。
同じ道を何度も行ったり来たりして、ちょっとした路地へと入った。気になる看板が視界に入ったので、引き返し店内を覗いた。
小さな店舗の小さなカウンターに、ぎっしりと客が立っているのが見て取れた。
入口の処で入店を躊躇(ためら)っていると、歳かさの行った女性が奥のカウンターへと促してくれた。店の関係者のようだが、その女性は会計を済ませるまでに1度顔を出したきりで、その間は店にいることはなかった。
飲み物はメニューから"ホッピーセット(黒)"に、料理は"プレーンおむれつ"、"牛すじの旨煮"にした。
料理を頼んだ後に、壁にあるメニューをあらためて眺めた。料理、飲み物のいずれも、驚くほどに値付けが安価だった。
ホッピー、瓶ビールは入口脇の冷蔵庫から自分で取り出し、自己申告して注文する。ちなみに"白"は右、"黒"は左に並べてあると告げられた。焼酎は選べたので"金宮"にした。
L字カウンター前は小ぢんまりとした調理場で、中には60代後半、50代半ばの女性がふたり、調理をこなしている。
ボクの注文を受けると、すぐに"オムレツ"を作り始めた。そして、熱々の鍋のひとつから、"牛すじの旨煮"を掬った。
"プレーンオムレツ"はほんのりとした塩加減なので、卓上にある醤油を回して味を整えた。本来ならマヨネーズが欲しいところだったが、一見客なので諦めた。
"牛すじの旨煮"は甘辛くて、飲み物が進む味わい。値段から小さい器で提供されると思っていたが、ちゃんと一人前の量だった。
おでんがあるから、注文した。"牛すじ"、"ちくわぶ"、"しらたき"にしよう。薄味の出汁が具に染み込み、家庭的な味と感じた。
結局ホッピーは進み、追加として中は"金宮焼酎"で3回お代わりした。
8人立ち、すでに満卓のカウンター隅には、常連客らしい男性3人が楽しんでいる。会話は穏やかで、他のひとり客の楽しみのジャマをすることはない。
ひとりの客は、店内に流れるテレビの相撲を見たり、スマートフォンを眺めたりと、自分だけの世界を楽しんでいるようだ。
ひとりの老人が入り、その空気は一瞬にして崩れた。すでに飲んで酩酊(めいてい)しているにも関わらず、飲み物を"無言で"頼んだ。
おそらく、飲みものは"いつも"決まっているのだろう。
調理場の女性…女将と思われる女性…が飲まないよう指南したが、結局はアルコールを楽しんだ。
ボクが帰るまで、ご老人は一言もしゃべらなかった。ただ、何故か手を叩いている。
常連さんは、優しく老人を柔らかく嗜(たしな)め、店の雰囲気を変えないよう努めているようだった。
ホッピーが空になっていた。
ボクは、帰りはどの経路で帰るか考えた。
勘定を済ませ、トートバックの中を外の喫煙スペースで直した。
常連の3人がボクのことを、話題にしているのが聞こえた。概(おおむ)ね、常連さんにとってのボクは"合格"の一見だったようだ。
ボクが調理場女性ふたりへの会話を、聞いていたからなのだろう。
一度も会話をしていなかったのに、帰り際に常連さんが挨拶してくれたのを電車の中で思い出した。