3回
2017/03 訪問
間人蟹や鮑、もろこ等冬と春が交差するお料理。出汁の幅広さと透明感に脱帽です
<2017/03>
3回目の訪問。
1回目より2回目が、2回目より今回の方がより好きになるお店。
私の個人的な祝い日で、良いお席だけでなくなんとサプライズもご用意いただき常連でなくても1人であっても細かいお気遣いをして下さり感動。
今回しみじみ感じたのは豊かな出汁の表現力。
前回は松茸の素晴らしさが中心となりましたが前回より食材も幅広い分、吸い地を楽しめ「松川」としてのお味を堪能できました。
伺うとまたこの空間に帰ってきたいと強く思わせてくれる日本を代表する料理店。
曇りなく透き通り、素材により華麗に色を変えていくお料理をこの日もカウンターでいただきました。
◆桜の香煎茶
桜の花びら浮いた香煎茶、桜の香りは奥ゆかしく花びらには少し塩気があります
<ここで後からいただく最高のブランド蟹、間人蟹の紹介があります>
◆白子と雲丹の柚子釜
河豚の白子の上に雲丹、出汁餡をたっぷりかけたもの
柚子釜も蒸されていて湯気が見えます
供された時は柚子釜の香りは強めですが、いただくと素材には交わり過ぎてはいません
白子と雲丹は炙って焼き色がついているので芳ばしさがあります
白子はぷにっと弾け濃厚なお味が広がり、雲丹は風味しっかり
素材がストレートに美味しさを訴える中、そこを纏めるのが餡
すっきりしながらも抑えた出汁で前に出過ぎずお味を支え最後にふわりと昆布の香りが寄せてきます
美味な柚子釜でした
◆間人蟹の焼きと身と蟹味噌の飯蒸し
松葉の上に置かれた甲羅をお皿として供されます
大変香りが強い間人蟹
ぷりっとしていてジューシーで身がしっかりしています
飯蒸しは蟹味噌が濃厚で柚子が香り、蟹身は落ち着いた美味しさを演出していました
漁は3月20日まで行われるそうですが、時期的にはもういただけないかもと思っていたので嬉しいです
今季の蟹についてですが、伺ったところ全盛期のシーズンは思ったような質ではなく終盤になってから良くなってきたとのこと
こればかりはコントロールできませんから難しいところです
◆お造り 鯛
鯛はお醤油か海鼠腸と柚子皮でいただきます
鯛自体は甘く上品
海鼠腸と一緒にいただくととても美味、海鼠腸は癖や塩気が前面に出てしまうことが多いですがバランスが良くこんなに合うのかと驚きでした
添えられた緑は漉油
天ぷらやおひたしで使われることが多いですが、添え物としては珍しいです
あまり日持ちがしない香りが主体となる山菜で、香りが春を伝えてきました
◆椀物 帆立の真薯、木耳、ばちこ
松川さんの真薯は素材のお味がダイレクト
帆立はとても甘く、最初は木の芽が多めかなと思いましたが丁度いいアクセントに
塩気はばちこから、出汁はすっと入ってくる丸みのあるお味で甘い余韻を残します
◆赤貝、芽蕪を添えて
立派な赤貝は閖上のもの
今季は序盤閖上の赤貝をいただくことが少なくそのお話をすると、シーズン序盤より後半で良くなってきたとのことでした
赤貝は磯の香りも丁度良いいので量があっても疲れずにいただけました
◆筍と蛤
筍の間に蛤を挟み、蕗と木の芽を乗せたもの
筍はシーズン的にまだ鹿児島(3月中盤から京都)ですが十分な甘みがあり、ふっくらジューシーな蛤との相性が抜群です
出汁は少しとろみがある位旨みがでていて、甘み一辺倒でも塩気が目立つわけでもなく、優しいですが儚くもない、とても美味な一皿
◆焼きミル貝と蕗の薹
酢橘を絞っていただきます
ミル貝はさくさくと歯が入り、甘みがあります
蕗の薹は天ぷら
中は少し生感を残し味噌を入れることで苦味が程よく抑えられていました
◆もろこ
活もろこは旨みが強く小さくてもインパクトがあり、お味がしっかりしているので私は何もつけずにそのままいただきました
もろこもお店によって柔かだったり甘かったり印象が異なりますが、こちらのもろこには力強さがあります
◆焼き鼈
身が引き締まった鼈は脂乗りと弾力にも優れ深いお味のたれとよく合います
炭火の薫香を纏わせしっとりとした身質は前回と変わらず楽しめるものでした
◆鮑とワカメのしゃぶしゃぶ
今回のしゃぶしゃぶは三陸の鮑と淡路のワカメ
湯気が立ち上る出汁に入れるのですが、鮑は断面から水分が溢れて箸で挟もうとしても滑ってしまいます
出汁に15秒程潜らせ少し丸まったらいただける合図
ワカメは写真では濁色ですが、出汁に入れると鮮やかな緑へと変化
取り皿に個々を掬い出汁と一緒にいただきます
鮑は厚みがあるのでコリっとした食感
素朴ではありますがワカメのレベルも高く、品のある磯の香りでお味を押し上げ盤石なものとしていました
出汁は旨みとソフトさと甘さがあります
色味はいつものしゃぶしゃぶと変わりませんがもちろんお味は全く異なりこちらもとても美味でした
◆白魚と蕗の薹の蕎麦
揚げたての白魚を冷たいお蕎麦に乗せて供されました
熱々でサクサクの白魚と冷えたコシがあるお蕎麦の対照的な口当たり
つゆは酢橘が効いたキリッと味わい
しゃぶしゃぶで味わった出汁とは違う顔を見せ一本調子の流れではありません
◆鮑の雑炊
無駄なものを削ぎ、上品で優しく仕上げた出汁に鮑を乗せて
量は少なめで強力なお味とは違いますが、心に残り、落ち着きます
◆お食事
お食事はいかがですか?と聞かれお腹はいっぱいでしたがこちらのご飯はとても美味しいのでお願いしました
不思議なのは松川さんのお料理はお腹いっぱいでも苦しくなくいただけてしまうこと
白米に合わせるのは、各小鉢に盛られた生カラスミ、醤油漬けいくら、のり、じゃこと山椒
この日のご飯はややもっちりしていてそして甘く、そこに柔かで甘みが強いいくらと塩気として生のカラスミ、のり、じゃこと山椒をかけていただきます
止まらなく美味しさです
◆水羊羹
口に入れればすっと溶けて無くなる評判の水羊羹
甘みは抑え、小豆の香りは和菓子の水羊羹より控えめに上品に仕上げてあります
喉越しと清涼感は相変わらず素晴らしいものでした
◆抹茶
◆苺ゼリー寄せと小夏ゼリー
ほうじ茶をお持ちしますと言われて出てきたのがこちら
まだ3回目の訪問にも関わらず良いお席だけではなくお祝いまでしていただきとても感動です
大粒の糖度が高い完熟苺にぷるんとした弾力あるゼリー
小夏ゼリーは蓋の果汁を絞ってゼリーの甘さと合わせてさっぱりいただきました
サプライズ、しかも2品もいただき1人心の中でテンションが上がりっぱなしでした
まだ驚きと気付きばかりですがもっと頻繁に来れる様になって、近づきたいお店。
次回は7月、とても楽しみです。
<全文はこちらです↓>
http://food-garden.net/foodpost/%E6%9D%BE%E5%B7%9D/
2017/09/03 更新
2016/09 訪問
松茸の最高峰、★5以上の感動。お料理と松川さんの深さに心の水底まで満たされました
<2016/09>
岩手の松茸、軸がしっかりしているつぼみ松茸のご紹介から始まりました。
因みにこれ以上大きくなるとお味がまた変わってしまうそう。
松川の松茸はやはり素晴らしいもの。
歯応えはきゅっきゅっと小気味のいい繊維音、香りのスタートは柔らか、後から盛り上がりをみせます。
大きくカットして断面が見えても全く黒みがない綺麗な色。
広がり感のある引き締まりではない、ここまで強く引き締まった弾力のある松茸は始めてでした。
お皿も多くかなりボリューミー、お腹空かせて行きましたがそれでもかなりの量。
お値段はしますが、かけがえのない体験ができました。
◆玉露
まずは玉露が供されます
濃厚で甘く、深みがありますが苦味がありません
お茶の質、淹れ方からして他と異なるクオリティが松川です
◆伊勢海老炭火焼き
緑が映える松葉の上に乗せられた殻ごと炭火で焼き上げた伊勢海老、むかごを添えて
手で外し、伊勢海老味噌×酢につけていただきます
月並みな表現ですが、プリプリと言うのがこれ以上当てはまる伊勢海老があるのかなと思う程の弾力
中はレア状態、炭の香りがふわりとして大変美味しいです
◆渡り蟹の飯蒸し
渡り蟹のほぐし身と菊の花、ベルーガ産のキャビアを添えた飯蒸し
皮は柔らかくしっかり卵のお味がする濃厚な超高級ベルーガ産キャビア
このままでもとても美味、こちらでキャビアは美味しいものということを教えていただきました
そのうちいただけなくなるなんて・・・しっかりお味を覚えておこうと思います
渡り蟹はまず香りが先行し、いただくとかなり甘く素材が良く生きたお味
米は少し柔らかめ、お酒はライト、菊の花から少し酢の香り
上質の渡り蟹のポテンシャルを引き出し、キャビアの濃厚さでいただく最上の飯蒸し
◆お造り 鯛と唐津の雲丹塩水
鯛は弾力とさっぱりとした甘みが光り、ツンとした中に円やかさのある山葵が良く合います
雲丹は溶ける甘さ、あまりに甘くて酢橘を絞っていただきました
唐津の雲丹はいただきますがここまでの美味でフレッシュなものはまずありません
◆椀物 松茸と紅ズワイガニの真薯
松茸は前述の岩手、下の富山の紅ズワイガニの真薯
蓋を開けると松茸の香りが立ち込めその上品な香りにうっとり
紅ズワイガニの真薯は思いの外大きく中には少量の味噌
真薯と言っても紅ズワイガニのお味が殆どで口いっぱいにいただけばダイレクトに甘さと柔かさが伝わります
松茸のむぎゅっとした強い弾力、広がる香り
円やかですっきりとした透明感がある出汁が松茸の良さを生かし、そこに蟹の甘さが交わり、盛り上がりがある素晴らしいお椀
◆スルメイカのルイベ
北海道の郷土料理として有名なルイベ
凍ったままで生姜醤油につけていただきます
最初は凍っているので固めですが、口の中ですっと柔かに変わっていきます
弾力とワタの溶けゆくの濃厚さ、お酒を呑まれる方にはたまらないお味
◆お造り カワハギと肝醤油
9月から旬を迎えるカワハギと肝醤油、ハマボウフウを添えて
細くカットされていますが、跳ねる弾力をもつ素晴らしいカワハギ
肝は甘く濃厚、癖のないカワハギと交わり美味
◆松茸と鮑
鮑は千葉の房州黒鮑、油炒めという新しい形でいただきます
歯切れの良い松茸が楽しめ、香りがいっぱいに広がります
炒めることによって少し歯応えの強さを増した鮑、酢橘で涼やかにして贅沢にいただきます
◆クジと加賀蓮根
添えられているのは蓮の実
蓮根は粘りがありえぐみが全くありません
甘く旨味が凝縮したクジは塩気を効かせています
蓮の実はサクッと歯が入り程よい甘さ、優しいお味で美味ということを知りました
◆口直し 焼き無花果
焼くことで甘みが増す無花果、とろんとした食感に
甘みの強さに驚きます、素材の力が恐ろしくなる糖度
糖度は高いですが引きずりません
ワインシロップが美味で控えめに香りすべていただきました
◆牛ヒレ肉と松茸、銀杏を添えて
お肉は近江牛、中はレア
甘くて噛む必要のない柔らかさ、蕩ける美味しさです
歯応えはお肉よりも酢橘の香りが漂う松茸にあり
大切りより細くカットすることで香りが出やすくなっていました
素晴らしい相性とこの上ない贅沢、美味しさに痺れます
◆鱧と松茸のしゃぶしゃぶ
前回と同じく鱧の骨と昆布のお出汁でいただきます
最初は出汁でその後はポン酢でとアナウンスがありますが、今回も出汁が美味しくポン酢の出番がありませんでした
鱧も松茸も丸まったら頂ける合図
お皿ごとに松茸の歯応えを多角的に楽しめ、こちらからはダイレクトに美味しさを味わいました
◆自家製蕎麦となめこと辛味大根
氷の器で供されます
澱みが一切なく良いかき氷が作れるのではないかと余計なことを考えてしまうクリアな氷
辛味大根の辛味はベスト、刺さる感じはありません
歯応えがしっかりしたお蕎麦、キリッとした出汁
出汁も全ていただきたかったですがお腹いっぱいになってきて断念
◆生松茸のご飯
今度はなんと生
最上位でなければ生では食せません
そもそも焼くことで香りが増すという松茸、それを合わせるのはご飯のみという振り切った一皿
食感は焼きより新鮮な柔かさがあり、香りもバッチリ
素晴らしさに脱帽です
◆甘味 焼き栗
カリッと香ばしく自然な甘さ
秋らしさを感じつつお料理は締めとなりました
◆お薄
◆煎茶
程よい渋みで秋の松川は終了
◆お土産 鱧寿司とちりめん山椒
鱧寿司は甘く外側はカリッと炭の香ばしさ、松川のお味を家でも堪能できました
この上ない経験をさせて頂き、心が震えました。
時間が経てば当然お腹は空いてしまいますが気持ちはいっぱい、美味しさだけで満たすのではない心が膨らんでいくのが分かります。
次回はちょっと先ですが今からとても楽しみ、次予約までにもう少し私自身のレベルも上げておきたいと思います。
<2016/06>
◆黒鮑、淡路島のうに、すっぽんの煮凝りがけ
◆鱚の飯蒸し、ベルーガキャビア
◆お造り 淡路の鰈、唐津の塩水赤雲丹
◆椀物 宍道湖の天然鰻と冬瓜
◆北海道の毛蟹と生きくらげ
◆鱧の焼き霜造り、半生ばちこ、揚げトウモロコシ
◆鮎の塩焼き 京都美山の滋賀安曇川2種
◆焼きすっぽん、新牛蒡揚げ
◆高知県 徳谷トマト
◆京都賀茂茄子
◆淡路産鱧のしゃぶしゃぶ
◆自家製蕎麦と刻みオクラ
◆お食事
◆水羊羹
◆お薄
◆小夏のゼリー
◆さくらんぼ
<2016/06の全文はこちらです↓>
http://food-garden.net/foodpost/%E6%9D%BE%E5%B7%9D/
岩手産の松茸
椀物 松茸と紅ズワイガニの真薯
牛ヒレ肉と松茸、銀杏を添えて
伊勢海老炭火焼き
渡り蟹の飯蒸し
松茸と鮑
氷の器でいただく自家製蕎麦となめこと辛味大根
氷の器でいただく自家製蕎麦となめこと辛味大根
鱧と松茸のしゃぶしゃぶ
生松茸のご飯
カワハギと肝醤油
スルメイカのルイベ
クジと加賀蓮根
2017/03/14 更新
2011年オープン、アメリカ大使館、ホテルオークラの裏手にある、最高の素材を最上級に高め供されるお料理で他の追随を許さないと言われている松川。
完全紹介制のお店で夜は2人~になりますが、お昼は1人で予約することができます。
店内の設えはシンプル。
柔かな温もりのある檜カウンターからは、飾り立てない洗練さの意義を伝わってきます。
店主はあまりに有名なので記載する必要性は薄いですが、滋賀の名店招福樓、志門を経て、青草窠では料理長を努めた松川忠由氏。
お料理の説明はさり気ないですが、国内最高の食材がここ松川に集まるのでどれも最上。
ストイックで寡黙なイメージが往々にしてありますが、お時間がある時やお食事後は色々教えて下さり堅苦しい感じはありません。
伺ったことを1:1で返す様なことはなく、素材を見せて下さり、さり気なく勉強になることもお話して下さいます。
お料理は最高素材の頂点の時期を見分け、生かし、お味は気品と透明感が特徴。
蓋物は開ければ美しいだけではなく、香りの閉じ込めも素晴らしく、松川は視覚と嗅覚両方に訴えかけます。
素材を引き立たせる吸い地に引き寄せられ、そこに込められるのは生産者様への信頼感とリスペクト。
心を生かすお料理は、強く押すのではなく優しく世界に引き込まれ、内に秘めたる華が咲き誇ります。
<2017/07>
人には特別なお店があり、私は2種類あるのではないかと思います。
それは、特別な日に行きたいお店と自身にとって特別なお店です。
松川さんに訪問するのはこれが4回目。
回顧すれば、初訪問は素晴らしさにただただ圧倒され、2回目は少し緊張しながらもとても充実した気持ちになり、3回目はお店にドアを開けた瞬間に「またここに来たい」と強く思いました。
松川さんには雰囲気だけで人の心を動かすことができる、他ではない魅力をもっています。
そして私の中で「特別」ということが、私にとって特別ということだということが確信できた今回。
今年はご予約がいっぱいでしたので次回は秋のみになりますが、来年から間隔を短くして通わせて頂くお店となりました。
諸事情でアップが遅くなり、いつもより正確性に劣る箇所があるかもしれませんが、お値段と比較することが出来ない実りの多さをお伝えできれば幸いです。
◆水出し緑茶
リムから香る濃厚さと円やかさ、甘みと深みのある味わいに涼を覚えながらお料理が始まります
◆雲丹と鼈煮凝り寄せ
唐津の雲丹に、鼈の出汁は季節柄らしくキリッとしたもの
淀んだ香りのない雲丹はクリアな美味しさがあります
冷たさと柚子の香りに包まれ、夏を感じさせます
◆天然鰻の飯蒸し
宍道湖の鰻、さくっとふわっとした優しい口当たり
旨みが広がりもソフト、甘く脂のりも良好です
◆鰈
淡路の鰈とインゲン
弾力と甘味のある鰈、上品なお味です
◆鱧の焼き霜
淡路の鱧
鱧と言えば淡路、ただその鱧の中でも松川の鱧はやはり別格
国産の鱧は綺麗なお味をしていますが、濃さという点については難しいものでした
ですが、いただいた鱧は甘さと他ではない力強さがあり、地域だけでは測りようがない松川さんの色がくっきり見える様でした
そして、お食事後のお話で私も繊細な味覚の違いが分かる人間になれればと思ったものでした・・・
◆椀物 アコウ、新銀杏擦り流し
真っすぐした出汁に銀杏の香り
アコウの身を割り初めて、旨みが椀に広がります
いただくその瞬間まで潜む美味しさは、代え難い時を感じさせます
◆毛蟹とモズク、酢のゼリーがけ
蓮の葉に盛られ、透明感のある盛夏を思わせる盛付
酢の酸味を効かせ、もずくはシャキっとしています
毛蟹のお味はとても濃厚
フレッシュな旨みと時々折り重なる、みその旨みに思わず口元が緩んでしまいます
嫌味がなくただただ、美味しいと思える一皿
◆焼鰈とキャビア
芳ばしい焼きの鰈と風味豊かなベルーガのキャビア
塩気とコクがあるキャビアに、厚みのある味わいの鰈がお料理の流れを作っていきます
◆天然鮎
美山の天然鮎、生きている鮎を拝見するととても元気
シャッターがついていけない程、動き回っていました
鮎は目の前で松川さんがお皿に置いて下さいます
いただくとクリスピーでサクサク
苦味と甘味のバランスが良好です
小振りでクリスピーとなると、中はパサつくことが多いのですが松川さんの鮎はしっとり
ゆっくり味わいたい鮎です
◆賀茂茄子
去年と同じく月並みに・・・岩の様です、というファーストインプレッション
炭焼きの薫香を纏い、迫力抜群の茄子の登場です
驚くのは水分量
溢れ出し、器がプール状態
甘味があり何も添えずとも、寧ろ添えないからこそ真のポテンシャルが伝わるお味
そのままに見たら、炭火で焼かれた茄子ですがそこに確たる違いを見出せるのが松川さんの素晴らしさです
◆鮑とばちこ
ぷるんとした食感の鮑と甘みのあるばちこ
硬すぎず、濃すぎないばちこでお酒がなくてもいただいている気分になります
◆鰻のしゃぶしゃぶ
鰻のしゃぶしゃぶは初めてでした
思わず「鰻ですか?」と言ってしまったほど
出汁は鰻の骨、いつもと違うのは醤油系であること
鰻はしゃぶしゃぶにするとぷりぷり、こんな食感になるとは思いもよりませんでした
出汁は甘めで、いつもの松川さんと違いますがこれがとても美味
後引くお味でとても美味、新しい美味しさを知ることができ楽しくなるしゃぶしゃぶでした
◆笹の葉の冷麦
上に添えられるのは焼いたお揚げ
向こう側を映し出す氷の器には、冷麦の鮮やかな緑と合わさってました
冷麦は跳ね返る弾力と蒼い香りが漂い、酢橘が引き締めます
強さだけに向かないよう、落ち着きを演出するのは揚げ
季節を思いながらいただく、情景がある味わいです
◆お食事
ご飯
こっくりした赤出汁に浮かぶ庄内麩
各小鉢に盛られた生カラスミ、醤油漬けいくら、のり、じゃこと山椒
こちらのいくらが好きで好きでいつもたくさんかけてしまいます
◆水羊羹
形を保っていられる限界の姿の水羊羹
衝撃を与えてしまえば崩れてしまいます
甘さは控えめ、少しざらりとした舌触りに確かにそこにある存在を残していきます
◆グレープフルーツゼリーとぶどう
常連様がいらっしゃり、お昼ですがサービスでいただいてしまいました
余韻が素晴らしくて、ついついお席で少しでも気持ちを伝えたくなってしまいます
次回は9月、松茸のシーズン。
松川さんの松茸をいただかなければ秋は迎えられないと思えるシーズン、楽しみです。
<全文はこちらです↓>
http://food-garden.net/foodpost/%E6%9D%BE%E5%B7%9D/