『うを徳(東向島)2015年8月』やっぱりモツが好きさんの日記

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春は山菜・夏は川魚・秋は茸・冬は獣肉・モツは一年中

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日記詳細

お盆期間で築地市場が休みのこの時期。
年に一度の洋食デーということで、今回は洋食メニューが多かったです。

芝海老とスイカのガスパッチョ
フィレンツェ茄子のバルサミコマリネ
北海道トマトのラタトゥイユと赤ピーマンのムース
フルーツトマト「北の極」と吉野葛のトマトゼリー
四万十川鮎とうるかのリゾット
6種類の野菜のテリーヌ
神津島シマアジのソテー
気仙沼星鰈お造り、エンガワ、肝
大間メジマグロ藁焼き
厚岸新秋刀魚有馬煮
岡山児島湾天然鰻白焼き
球磨川天然スッポン内臓ソテー
天然鰻骨煎餅
大間本鮪カマ焼き
握り10貫
(大間本鮪大トロ、福岡白イカ、大阪湾〆鰯、
大間本鮪中トロ、松輪〆鯖、東京湾コチ、
気仙沼カツオ藁焼き、大間赤身ヅケ、
明石鯛、羅臼マス子西京漬)
天然スッポンお椀
岡山白桃、尾花沢スイカ

3人でお会計53,400円、1人あたり17,800円。
日本酒を持ち込んでいるので実質19,600円ぐらい。

本日はガスパッチョからスタート。
ベースのトマトには超高級ブランド「北の極」を使用。
スペインで買ってきたというオリーブオイル、ニンニク、
スイカの甘みも効いていて中には芝海老の剥き身がゴロゴロ。
上にはスペアミントも乗っています。

スイカの甘さとニンニクのクセがあって独特なガスパッチョですが、
最高級フルーツトマトがベースなのでやはり美味しい。
プリプリした芝海老も良質。
スペイン料理店ではここまで食材にこだわれないでしょう。

2品目はイタリアフィレンツェの茄子をバルサミコ酢でマリネに。
築地でも外国産の茄子の取り扱いがあるそうです。
京野菜の賀茂茄子に比べると値段は安いそうですが、
クリーミーでやわらかい身質でバルサミコソースの味付けも良し。
ニンニクやオレガノも効いています。

3品目は大将の奥様の実家で作っているというトマトを、
スープ仕立てのラタトゥイユにしています。
ラタトゥイユというと野菜の形が残っているイメージですがこちらはペースト状。
そしてラタトゥイユペーストの上には赤ピーマンのムース。

明石の鯛の潮汁、牛スネのコンソメ、昆布と鰹の一番出汁に、
赤ピーマンを加えてコクと旨味が強力なムースに仕上げています。
作るのに8時間かかる大作だそう。

年末のおせちにも入っていましたが相変わらず素晴らしい美味しさ。
洋食メニューの中でも一番はやはり赤ピーマンのムース。
食感の滑らかさと尋常ではない旨味の強さで専門店顔負けのムースに。

4品目は細かくカットした北の極に吉野葛を合わせてトマトゼリーに。
ゼラチンとはまた違う葛のネットリした食感が良いです。
かなり青臭いのでトマト嫌いには拷問な一品でしょう。

5品目は四万十川の鮎とその内臓をうるか(鮎の内臓の塩辛)とリゾットに。
北海道土産というチーズをたっぷり使用。
塩が強くなったからと緩和するために下にウニを敷いています。

リゾットの米は少し芯を感じる硬めの火入れですし、
下に敷いてあるウニも甘くて濃厚で美味しいです。
こんな原価率の高そうなリゾットはリストランテでも難しそう。

6品目は6種類の野菜をテリーヌ仕立てに。
金時豆、ニンジン、オクラ、ヤングコーン、ズッキーニをキャベツで巻いており、
コンソメゼリーが固まらなかったそうでユルユルのテリーヌ。
テリーヌとしては失敗したみたいですがコンソメで味付けした野菜の美味しさは間違い無し。

7品目は神津島の天然シマアジをソテーに。
刺身でも食べられそうな高級魚シマアジですが、
皮はポワレのようにカリッと焼き上げ身の中心はレアーな火入れ。
お店の前で栽培しているという自家製スイートバジルも。

素材も火入れも良いので当たり前のように美味しいです。
少し酸味の効いたタレの出来もバッチリで、
鮨屋ならではの高級食材で作る洋食シリーズを堪能。

8品目からは通常モードに戻って星鰈のお造り3点セット。
大間のメジの藁焼きは、これでもかとドッサリ盛られて。
うを徳でのお気に入りの料理の1つですが、今回も4.5級の美味しさ。

原価で1尾1,500円という厚岸の新秋刀魚。
山椒で有馬煮にしていますが、秋刀魚の肝のクリーミーさが堪りません。
今回の秋刀魚は身より肝の濃厚な美味しさに唸りました。

そして5.0に近い評価と思ったのが児島湾の天然鰻。
今回の鰻は脂ノリまくりの個体だったようで、
蒸しを入れていないのに関東風の鰻のようにトロトロな身。
パリパリの皮から感じる旨味の強さも流石は天然鰻。
宍道湖産よりは安いと言ってもキロ18,000円だそうです。
高級食材ですが値段に見合う、もしくはそれ以上の美味しさで感嘆。

球磨川の天然スッポンは賢い個体だったのか首を落とすのが大変そうでした。
介錯の前に切腹させられて可哀想でしたが、
身はお椀、肝はソテーを美味しく頂き供養していました。
お椀はスッポンと酒だけで出汁は不使用だそうですが、
スッポンだけで本当に滋味溢れるスープとなっています。

今回一番度肝を抜かれたのは大間の本鮪のカマ。
頭の半分ぐらいの量をドカーンと大皿で出されて3人でシェア。
マグロは生の刺身かレアーな藁焼きのほうが味は美味しいですが、
大間の本鮪をお腹いっぱい食べるというレア体験をしていました。

握りでも大間の本鮪が大トロ、中トロ、赤身のヅケと登場。
旨味が強くネットリした赤身も良ければ、
脂が乗ったトロの蕩ける食感もたまりません。

握りで特に良かったのが〆鰯と明石の鯛。
鰯は脂身の塊かと思うぐらい脂ギッシュで爽やかな酢〆とベストマッチ。
焼いたら脂がボタボタ落ちそうなぐらい凄い脂のノリでした。
スダチの効いた明石の鯛も星鰈やコチとは別次元の旨味の強さ。

さりげなくマスのイクラの西京漬けも良かったです。
この頃になると大将が疲弊してシャリの量が安定していなかったですが、
洋食、おつまみ、鮨10貫と堪能して大間の本鮪でお腹いっぱいに。

築地で最高級の食材を仕入れているのもうを徳の魅力ですが、
洋食まで手掛ける大将の引き出しの多さもまた魅力。
鮨屋なのか京料理屋なのか洋食屋なのか分からなくなりますが、
何度訪問しても高い満足度で安定しています。
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