松茸、栗、秋刀魚など秋の味覚をお値打ちに楽しめるうを徳。
天然鰻もそろそろ旬のシーズンでしょうか。
今回は琵琶湖産1.7kgの超巨大な天然鰻のお出ましです。
捌く前の生きたままで登場した琵琶湖産1.7kg天然鰻。
初めて見る凄まじい太さで、怪物リヴァイアサンのよう。
大将がいつもの鰻の倍以上も捌くのに疲れたと呟くように、
暴れて逃げ出したり身に包丁を入れるのが大変だったりする鰻との格闘をライブ観戦。
かぶと(池袋)など専門店では捌くのをライブで見れますが、
鮨屋で天然鰻をライブで捌くお店は稀有でしょう。
捌き立てのメリットとしては肝に苦味が出ないことが挙げられると思います。
巨大サイズに相応しい巨大な肝とレバーは大味ということもなく純で素晴らしき味。
今回おまかせで食べた料理は以下の通り。
浜名湖 鯊(はぜ)南蛮漬け
淡路鯖味噌煮 岩手天然舞茸
壱岐メジマグロ藁焼き
琵琶湖天然鰻 心臓
琵琶湖天然鰻 肝とレバー
北海道利尻 平目3.2kg お造り
琵琶湖天然鰻 カブト焼き
大間本鮪 カマ焼き
琵琶湖天然鰻 骨煎餅
根室秋刀魚 有馬煮
琵琶湖天然鰻 白焼き
京野菜 海老芋唐揚げ
信州松茸 宮崎牛肉 栃木牛肉 すき焼き
愛媛中山栗 渋皮煮
昆布森牡蠣 牡蠣フライ
握り7貫
(土佐シマアジ、北海道利尻ブリ、明石鯛昆布〆、
大間本鮪大トロ、岩手石影貝、船橋小肌、東京湾穴子)
信州松茸 愛知合鴨 お椀
平目潮汁
5日干しスルメイカ塩辛
青森生雲子(鱈の白子)丼
まずは冷菜2品、鯊の南蛮漬けと鯖味噌煮(と天然舞茸)。
鯊はやはり身より肝や卵巣(カラスミ)のほうが好きです。
舞茸も出汁に漬け込むより天ぷらで頂くほうが美味しそう。
うを徳のスペシャリテの1つであろうメジの藁焼き。
こちらは相変わらず素晴らしいです。
前回の鰆の藁焼きも感動級でしたが、定番のメジも飽きません。
前述の琵琶湖産1.7kg天然鰻は捌いた後まずは心臓を日本酒と。
かぶと(池袋)インスパイアな心臓の食べ方です。
味が美味しいわけではないですが精はつきそう。
肝とレバーは捌き立てなので苦味が出ておらず純な味わい。
モツ好きなので、こういう複雑な旨味が堪らなく好きです。
カブト焼きは骨が多いので食べにくいですが身の旨味は鮮烈。
これから登場する白焼きへの期待が膨らみます。
骨煎餅の骨は骨太で食べるのが少し大変でした。
これだけは過ぎたるは猶及ばざるが如しでしょうか。
800g前後の鰻の骨煎餅のほうがバランスが良さそうです。
そして主役の白焼きは身厚で脂が乗って間違いない美味しさ。
前回の八郎潟の鰻より遥かに美味しいです。
巨大さの代償か小骨が障る部分が少しあったのですが、
パリッとした皮も身も申し分ない旨味の強さ。
巨大サイズで言えば平目も3.2kgもの巨大サイズだったのですが、
大味にはならず身からしっかり旨味を感じられて何とも美味しい。
縁側も肝も無かったですが身だけで満足できるクオリティの高さ。
ボリュームたっぷりの本鮪のカマ焼きも前々回に続いて再登場。
今回は大将が身をほぐして器に盛りつけてくれましたが、
こうやって食べるほうが味は美味しく感じます。
常連のTさんがお店にプレゼントしたヒマラヤ産ブラックソルト。
硫黄の臭いがするクセの強い塩なのですが、
これが本鮪のカマにはバッチリ合っていました。
ブラックソルトとワサビで本鮪のカマの美味しさが更に昇華。
最近は秋刀魚の不漁が続くとニュースになっていますが、
1尾1,000円以上するこれまた太い根室の秋刀魚を有馬煮で。
脂ノリまくりで秋ならではの味覚でしょうか。
京野菜の海老芋がいよいよ初物として登場。
里芋の一種で芋類では一番美味しいと言われる海老芋。
特に揚げものにするとその旨味が引き立つように思います。
去年は揚げた海老芋を入れたお椀なども味わいましたが、
まずはシンプルに唐揚げで味わいご満悦。
そして本日のメインであろうすき焼き。
1箱1,8000円の信州産松茸を入れる贅沢なすき焼きです。
先週は1箱86,000円の丹波篠山産松茸を仕入れたそうですが、
ブランドで値段が跳ね上がっている面もあり信州産でも十分美味しいとのこと。
まず生卵は名古屋コーチンの卵(1パック900円)。
1回目と2回目で宮崎産牛肉と栃木産牛肉を使い分け、
春菊が無かったそうで代役に水菜。
鉄鍋に牛脂を溶かし牛肉、水菜、シラタキと入れていきます。
専門店では肉が硬くなるからとシラタキは最後に入れますが、
こちらは鮨屋のすき焼きなのでそこまで手間はかけられないのでしょう。
自家製の割り下でグツグツ煮て最後に松茸を投入。
2回目には築地場外で買ったという揚げ出し豆腐も入りました。
松茸の香りがプラス効果なのか割り下の味付けが素晴らしいからか、
確かに美味しいすき焼きで大満足です。
牛肉がもっとレアーで、シラタキが最後であれば更に良かったのですが、
〆に讃岐うどんを投入したのでシラタキの出番は先だったのでしょう。
旨味と香りを吸った讃岐うどんも素晴らしい美味しさでした。
スイーツはうを徳のスペシャリテの1つと思う栗の渋皮煮。
愛媛の中山栗ですが、少しホクホク、口にするとネットリ濃厚、
ほどよい甘さと栗の旨味が絡み合って抜群の美味しさ。
洋菓子店のどんなモンブランでも勝てそうにない、
栗の自然な甘さと旨味を引き出す栗スイーツの傑作。
日によってなのか出来上がってからの日にちなのか、
去年に何度も食べた経験から美味しさにブレも感じたのですが、
今回の渋皮煮は上出来で感動級スイーツ。
以前からリクエストした昆布森の牡蠣を揚げた牡蠣フライ。
生で抜群に美味しい昆布森の牡蠣をフライにするという暴挙。
ブルドッグソースのスーパープレミアム極も出されます。
しかし牡蠣自体が濃厚クリーミーで美味しい昆布森なので、
ソースよりそのままか塩で食べるほうが美味しかったです。
生で食べるほうがクリーミーさを感じやすいと思いますが、
牡蠣フライとしても当たり前のように美味しかったです。
先ほどすき焼きのうどんで〆たのですが鮨屋なので鮨も出てきます。
本職なので鮨も当然ながら美味しい。
甘過ぎないツメとやわらかな身の穴子(東京湾)も良かったです。
お椀は鮪節で出汁を取った松茸と合鴨のお椀、
利尻昆布で出汁を取った平目の潮汁の2種類を飲み比べ。
松茸には鮪節だそうですが、個人的には潮汁のほうが好み。
白身魚にこだわって築地でも最高級の白身魚を仕入れるうを徳。
その最高級白身魚(本日はヒラメ)のアラと昆布でシンプルに作る、
同店の潮汁もスペシャリテの1つではないでしょうか。
これで終わりと思いきや塩辛と雲子もあるとのこと。
お酒を飲み終わっていたのでお茶と味わう羽目になってしまいましたが、
うを徳の5日干しスルメイカ塩辛も塩辛の傑作。
これからの時期の塩辛とカラスミもまたうを徳のスペシャリテでしょう。
ボラの卵巣を現在仕込み始めたそうです。
ご飯に生の雲子(鱈の白子)を乗せた雲子丼で本当に最後の〆。
新年1月に味わったときのほうが旨味は濃厚に思いましたが、
初物のときより味は良くなっており季節ごとの味の違いを感じます。