いつの間にか握りのシャリの量が現代風に少なめになったうを徳。
握りのフォルムがまた変わったような気がします。
長方形に長く握っていて、
鮨水谷(新橋)のような握り方。
鮨屋でありながら鮨が弱点のお店と言われていましたが、
酢飯の改良で丼や巻物は既に都心の高級鮨店を凌駕するレベルに。
握りに辿り着くまでに「つまみ」でお腹が膨れてしまうので、
前提条件からして不利な握りですが日進月歩しているようにも感じます。
今回おまかせで食べた料理は以下の通り。
01 佐渡島松葉蟹
02 昆布森牡蠣
03 能登アオナマコ 茶ぶり
04 香住セイコガニ 酔蟹
05 京都菜の花
06 余市アンキモ
07 羅臼スケトウダラ真子
08 明石煮蛸
09 青森大間ムラサキウニ
10 氷見ブリ藁焼き
11 宮崎ボラカラスミ
12 愛媛トラフグ 身と皮と白子ポン酢和え
13 明石星鰈
14 トラフグ白子焼き
15 大阪湾天然鰻白焼き
16 京都海老芋唐揚げ
17 山口仙崎アカイカ
18 網走キンキ 明石星鰈 羅臼タラコ モツ盛り合わせ
19 ブリコとハタハタのお椀
20 アカイカとスミイカの炙りゲソ丼
21 明石の鯛潮汁
22 青森ヒラメ
23 氷見ノドグロ 焼きもの
24 愛媛トラフグ カマと唇の唐揚げ
25 トラフグ生白子丼
26 生雲子真子丼
27 土佐縞鰺(握り)
28 青森平目カラスミ乗せ(握り)
29 明石の鯛(握り)
30 富山新湊〆サバ(握り)
31 大間本鮪中トロ(握り)
32 明石の鯛(握り)2回目、サービス
33 船橋小肌(握り)
34 大間本鮪赤身ヅケ(握り)
35 ヒラメ潮汁
36 香川赤足エビの頭
37 香川赤足エビ(握り)
38 ネギトロ太巻き
39 徳島さくらももいちご
お店に入ると松葉蟹、牡蠣、海鼠とカウンターに用意されていました。
冬の味覚の横綱クラスの三重奏。
おつまみに関してはおまかせ2万円の鮨さいとうを遥かに超える美味しさ。
つまみ7種類、握り12貫、細巻3種類、玉子焼き、味噌汁で2万円の鮨さいとう。
つまみ22種類、お椀3種類、丼3種類、握り9貫、太巻き、果物で2万円未満のうを徳。
鮨さいとうも都心の高級鮨店にしてはコストパフォーマンスが高いと言われるのですが、
下町のうを徳のコストパフォーマンスの高さは異常です。
セイコガニは紹興酒や佐藤(焼酎)に漬け込んで「酔蟹」に。
蕩ける身も良いですが内子や外子の美味しさにも唸れます。
前回はボイルのセイコガニでしたが、酔蟹のほうが遥かに美味しい。
特に内子と外子の美味しさが飛び抜けていました。
菜の花は失敗作でアンキモもイマイチ。
40種類ぐらいの料理全てが完璧に美味しいとはいきません。
とはいえ他の料理がほとんど美味しかったので余裕で挽回。
青森大間のムラサキウニは1箱4万円という超高級品。
12月の謝恩セール月間にしか購入しないスペシャルなウニです。
甘くて蕩ける食感で値段相応にやっぱり美味しい。
前回同席者が5.0満点評価したブリの藁焼き。
最高級のボラ卵巣で作る自家製カラスミ。
トラフグ、星鰈、天然鰻と高級食材のオンパレード。
キンキ、星鰈の肝、タラコなど「うを徳らしい」モツの盛り合わせも。
今回は日本酒の一升瓶とフルボトルのワインを持ち込みながら、
生ビールも1人3~4杯飲んでしまったようにお酒が進むメニューばかり。
同席者の1人は酔い潰れてお店の階段で寝込むという失態。
酔い覚ましにとお椀をこの日も「馬鹿の三杯汁」。
ハタハタのお椀のハタハタはブリコ(ハタハタの卵)付き。
昆布とカツオで取ったという出汁が相変わらず素晴らしい。
利尻昆布と白身魚のアラで出汁を取る潮汁もやはり最強のお椀。
そして意外なところで感動級の美味しさだったのがゲソ丼。
アカイカとスミイカのゲソを炙っているそうですが、
これが酢飯とマリアージュして笑ってしまうぐらい美味しい。
他の高級食材に比べれば原価は安いのであろうイカのゲソですが、
美味しさではトラフグの白子丼を凌駕してしまうのだから面白いです。
そして5.0満点クラスの美味しさだったのが氷見のノドグロの焼き魚。
鮨さいとうでは骨の無い食べやすい部分だけを供したノドグロですが、
うを徳ではもちろん骨周りで脂のノリまくった部分を出してきます。
そしてノドグロの脂から感じる旨味がもう尋常ではないレベル。
鮨さいとうのノドグロが児戯に思える異次元の美味しさで驚愕しました。
トラフグは身と皮と白子のポン酢和え、白子焼き、身とカマと唇の唐揚げと、
専門店にも負けない色々な食べ方で堪能していたのですが、
生の白子丼という珍しい食べ方でも楽しんでいました。
しかし生の白子丼は雲子(鱈の白子)のほうが美味しかったです。
白子焼きで味わうのであればトラフグの圧勝なのですが、
食べ方次第で優劣が変わるのも食材の不思議なところ。
そして最後に5.0満点クラスだったのがネギトロ太巻き。
刻みたてのネギ、大量のマグロ(おそらく大間)、煮切り醤油、改良された酢飯。
酢飯からネギトロが溢れている凄まじいネギトロ太巻きですが、
食材同士がマリアージュして渾然一体の圧倒的美味しさ。
酢飯が改良された効果なのか丼と太巻きに5.0クラスの評価。
鮨さいとうでもネギトロ細巻きを食べましたが、巻物に関してはうを徳の圧勝。
握りも進化の途上にあるのでいつか都心の有名店を凌駕する日が来るかも知れません。