『うを徳(東向島)2016年8月』やっぱりモツが好きさんの日記

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春は山菜・夏は川魚・秋は茸・冬は獣肉・モツは一年中

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日記詳細

01 天草鱧の卵の煮凝り 金沢八景穴子の煮凝り
02 丹波黒豆枝豆 昆布森牡蠣燻製 千葉勝浦鰹燻製
03 淡路島鱧と北海道富良野松茸のお椀
04 神奈川小柴銀宝の天ぷら
05 宮古島オニオクラの天ぷら
06 金沢八景穴子の天ぷら
07 青森三厩メジ
08 青森三厩メジのアラ オランダ産パプリカ
09 鳴門鯛 能登アズキハタ 積丹ムラサキウニ 礼文バフンウニ
10 千葉勝浦メガイアワビしゃぶしゃぶ 肝醤油
11 肝醤油 酢飯
12 アワビ雑炊
13 能登アズキハタ潮汁
14 岡山児島湾天然鰻白焼き
15 有明コハダ(握り)
16 三重ゴマサバ(握り)
17 大間本鮪赤身ヅケ(握り)
18 鳴門鯛(握り)
19 大分関サバ(握り)
20 出水シンイカ(握り)
21 三厩本鮪中トロ(握り)
22 天草シンコ(握り)
23 岩手陸前高田石影貝(握り)
24 初もの北海道イクラ丼
25 鱧のすり身入り玉子焼き
26 横須賀鴨居煮蛸
27 静岡車海老の頭
28 太巻き
29 岡山白桃 タイ産ドリアン

お店に入るとカウンターのボウルの中で銀宝が跳ねていました。
入荷量が少ないこと、高値なこと、捌くのが大変なこと等から、
江戸前の天ぷらで幻の天だねと呼ばれているようです。

更に岡山の幻の青うなぎ、児島湾産天然鰻までカウンターに鎮座。
肉厚で体表が緑色という天然鰻の中でも独特のヴィジュアル。
下町の鮨屋に天ぷら屋と鰻屋の幻の食材が並んでいるのも不思議です。

料理は2種類の煮凝りからスタート。
京都では夏の風物詩となっている鱧の卵。
金沢八景の江戸前穴子の煮凝りは北海道富良野の松茸入り。

神谷バーで食べた煮凝り(370円)はスーパーの既製品レベルでしたが、
オリジナリティ溢れるうを徳の煮凝りは別世界。
走りの松茸こそ香りがまだ弱いですが鱧の卵も穴子も美味しい。

続いて出てきた枝豆は「美味しんぼ」でも登場した黒い枝豆。
ネットリしてコクがあって旨味が凄いです。
某ビアバーで食べた430円の枝豆とは桁違い。

同店の支払いは酒代合わせ2万円を超えるので桁が違うのは当然とはいえ、
これぞ外食する価値のある美味しさと唸れます。
鮨屋なのに野菜でも感動出来るお店はなかなか無いです。
燻製にした牡蠣と鰹はミディアムぐらいの火入れでクセが少しあります。
しかし食感良好で日本酒の肴にするのであればクセも楽しめる範疇。

鱧と松茸のお椀の吸い地は、鰹節、鮪節、鱧の骨。
前述の通り松茸の香りはまだ弱いのですが大振りの鱧が美味しい。
吉野葛を纏っていて出汁の旨味をたっぷり吸っている鱧。
食べ応えがあってお椀というより肴になるレベルで味も抜群。
お椀としても出汁の美味しさが素晴らしくて完成度高いです。

捌き立ての銀宝、宮古島のオニオクラ、江戸前の穴子と天ぷら3連発。
銀宝の身はブリブリと弾力があって、何とも存在感のある白身。
ハゼの天ぷらより野趣があるように思います。

オニオクラはオクラの中心から感じる粘りが並のオクラより強いです。
衣サックサクで中の穴子が蕩ける穴子の天ぷら。
美かさ(宮崎台)で食べた穴子の天ぷらより美味しいかも知れません。

メジは血合いやアラもソテーして貰ってオランダ産のパプリカと。
鯛、アズキハタ、2種類のウニという圧巻の刺し盛りは、
京味であれば1皿1万円を超える値段になるかも知れません。

ウニは相変わらず1万円の鮨屋で出てくるレベルを凌駕。
白身魚にこだわるうを徳だけあって鯛やアズキハタは最高級店レベル。
アズキハタは利尻昆布で潮汁にもしてくれたのですが、
力強い旨味があって潮汁の傑作とも思う美味しさ。
星鰈、トラフグ、アズキハタなど潮汁の美味しさは同店のスペシャリテ。

キロ18,000円という勝浦のメガイアワビ(この個体で1万円ぐらい)。
贅沢にもスライスしてしゃぶしゃぶに、肝は裏漉しして肝醤油に。
しゃぶしゃぶの出汁は二番だしに追いがつお。

肝醤油としゃぶしゃぶを合わせて楽しんだ後は、
残った肝醤油の皿に赤酢の酢飯を入れて肝醤油を一切残しません。
しゃぶしゃぶの出汁には白米を入れてアワビ雑炊に。
アワビの美味しさを余すところなく堪能します。

幻その2の児島湾青うなぎは期待通りの圧倒的美味しさ。
脂の乗った身はフワフワで、口の中で蕩けて旨味爆発。
地焼きということでパリッと焼き上げた皮も楽しめて最高です。

鰻屋で天然鰻を食べようと思うと小さいサイズでも1万円。
大きいサイズともなると1尾で3万円は取られます。
この一口で他店であれば数千円の散財は覚悟しないといけません。

うを徳に通っていると金銭感覚がマヒしてきます。
高級食材のオンパレードで都心であれば5万円でも足りないでしょう。
飲んで食べて2万円でこれだけ楽しめるお店が他にあるのでしょうか。

そして最近は握りのレベルもさりげなく上がっています。
2万円クラスの高級鮨店に比べると握りの技術、温度管理など、
まだ及ばない部分も多いですが下町の鮨屋のレベルを超えつつあります。

スミイカの子どもというシンイカはキロ15,000円の高級食材。
ゴマサバと関サバの食べ比べでは今が旬のゴマサバの勝ち。
握りで一番美味しかったのはお造りでも食べた鳴門の鯛。
お造りのときより美味しかったので握りでネタが昇華したのでしょうか。
この鯛の美味しさは2万円の鮨屋のレベルを超えていました。

鱧のすり身入りという贅沢な玉子焼きもかなり良かったです。
この玉子焼きは2万円の鮨屋と遜色ないレベル。
煮蛸は京味のレシピを参考に甘い味付けでやわらかくしたそうですが、
これはいつものうを徳レシピのほうが好みでした。

最後のデザートは岡山の白桃と冷凍しておいてくれたタイ産ドリアン。
ドリアンは築地で1個6,480円だったそうです。
白桃も非凡な美味しさなのですが果物の王様はやはりドリアン。
凍っているからか臭みは意外と少なくて、ネットリ濃厚クリーミー。
ドリアンを扱う鮨屋も世界でここだけかも知れません。

鮨屋では香りに気を遣ってドリアンはおろかニンニクも使わないですが、
同店は異端の鮨屋として禁忌を破って新たな味覚の世界を切り開きます。
賛否両論分かれるお店ですが、好きな人には最高のお店でしょう。
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