孤高のグルメ☆さんが投稿したすし処 めくみ(石川/野々市工大前)の口コミ詳細

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孤高のグルメ☆ (40代前半・男性・東京都) 認証済

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すし処 めくみ額住宅前、馬替、乙丸/寿司

1

  • 夜の点数:4.6

    • ¥30,000~¥39,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.2
      • |雰囲気 4.8
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2019/09 訪問

  • 夜の点数:4.6

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気4.8
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

異端中の異端/ 鮨職人として/人として


この広さでこの内装でやるには金沢駅より2駅離れた野々市でしか無理でした。

周辺は田んぼの広がる民家ばかり。

能登の漁港からも車で片道3-4時間とお世辞にも良い立地といえない場所です。

一見普通の家に入ると外観からは想像しがたい贅沢な8席の極上の檜(ひのき)のカウンターが広がります。

御主人と奥様が集中するのはとにかく能登前(not 江戸前)の最高の魚を最大にポテンシャルを引き出して、最高の鮨と時間を提供するということのみ。御主人は決して選魚を人任せにしない正確なので、お店から市場まで毎朝往復3-4時間運転です。

そのあとすぐに、自身で選んできたあらゆる極上の魚介類を適切な季節に最適解の調理と熟成と温度を持って仕込みに入ります。

昔から異端でしたが、いつのまにか世界トップレストラン50に入るレベルの異端に。この野々市という片田舎で、世界中の鮨好き達が集まって客単価35,000円/人~40,000円/人で昼夜合わせて最低3回転します。

この客単価で3回転ですよ?

他のお鮨屋を否定する気は全くありません。
どちらのお店が上か下かという話でもありません。
ただ、こちらの握り鮨は全くの別次元なんです。

能登前の極上ネタ×適切な熟成×切り方×握りの技術×適切なServe=比肩無き握り鮨

やはり素晴らしいのはご主人が毎朝車で長時間かけて仕入れてこられる能登の白身魚の数々でしょう。

三陸同様、日本海の白身魚は本当に素晴らしい。

ただでさえ水準が高い中でさらにご主人の目利きで最高の食材が選ばれるわけで、アワビにハタに平目にのどぐろ(赤ムツ)/甘えび/黄金蟹など、どれも素晴らしいです。今年になって築地経由で二回目という塩釜で獲れた生マグロも良かったです。

今や都内でもかねさか系のお鮨屋で特に有名になった白エビの握り。私は都内でよくお鮨を頂くことが多いのですがどこもいつも真っ白で同じ味がするな、差がないなと漠然と思っていました。

ただ、野々市『めくみ』の御主人が握る白エビはうっすらピンクがかっています。

何故か?

24時間以内に獲れた白エビを身に触れずに一匹一匹手で捌いてむき身にし、空気に触れさせて甘みを引き出しているからなんです。手間や鮮度を考えたら当然なのですが、都内の高級有名鮨屋でも提供される真っ白な白エビは専門業者からお店が買っているものなんですよね(あれはあれで美味しいのですが)。

私はこれだけの苦労話を聴きながらも空気を読まず、最後にもう一度白エビをお代わりしたので眼の前でまた1匹×2白エビを捌いて握って下さいました。

御主人を1人の男性としても本当に尊敬します。

山中漆器の漆職人だったお父様がご主人のために特別に重ねて塗った漆器に置いた鮨が今や世界Topレベルに。普通はミシュラン星を2つ3つ獲ったらあらゆる美味しい案件が舞い込んできて一生お金に困らずに楽に暮らせるというのに、このご夫婦は毎日目の前のお客だけに集中します。

『極上の鮨ネタをあんまり上手くない握りで握ってそこそこ美味しい握り鮨をお出ししして、やっと最近握りがそこそこ上手になってきたなと思ったら今度は3-4年前から鮨ネタのほうが悪くなってきて困ってます。』

という言葉が印象的でした。

最高のタイミングではないという握り鮨でも、口に入れる瞬間には最高の握り鮨になっている謙遜さと圧倒的な自信に裏打ちされた技術。

これは奥様の功績のようですが、合わせるお酒も器から素晴らしく研究されています。

あらゆる日本酒とぐい飲みの口当たり舌当たり/お酒の香り/味を計算して辿り着いたのがバカラのタリランドのショットグラスというのが実に興味深いですね。影響受けて私もその後にタリラントのショットグラスを揃えました(笑)。

このあたりはぐい飲みレベルからのマリアージュとなると、もしかしたら四谷『三谷』や紀尾井町『三谷』以上かもしれません(あちらはワインマリアージュが秀逸ですが)。

あーっ、あの、あの熟成させた氷見の鰤(ブリ)の握りが恋しいっ!

鮮度にこだわって最高の鰤(ぶり)を仕入れていた漁師の皆さんが、野々市にオレたちの鰤(ぶり)を7-14日間腐らせてから握り鮨で出している不届な鮨屋がいると耳にしてお店に怒鳴り込むような勢いで来店し、食べて、ついには大納得してお勘定を済ませて帰っていった逸話のあるあの鰤(ぶり)です。

食べ歩きが大流行してますが、まずはそれぞれの鮨ネタの切り身を見ただけで魚の名前を言えるようにして、そのネタのお味が明確に浮かぶようになってから、できればブラインドでも判別できるようになってから、季節ごとに是非伺いましょう。

一見、ご主人や奥様はずっと変わりませんが、こちらのお店が現在どれだけの高みにいるか、体感できるかと思います。


※3か月先までの予約のみ。日曜だけお昼も営業しています。
※9時30分〜14時は直接のお電話が繋がりやすいです。

2023/05/17 更新

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