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昼の点数:4.8
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¥2,000~¥2,999 / 1人
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料理・味 4.8
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|サービス 4.8
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|雰囲気 4.8
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|CP 4.8
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|酒・ドリンク 4.8
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[ 料理・味4.8
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| サービス4.8
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| 雰囲気4.8
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| CP4.8
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| 酒・ドリンク4.8 ]
泣きそうになる
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2023/05/18 更新
2018年にご自身が65才になったと共に閉められた京都『オ・グルニエ・ドール』のオーナー兼オーナーパティシエの西原金蔵氏が経営されている土日のみ営業のコンフィズリー(砂糖菓子店)です。
氏の中では前から決まっていたこととはいえ、当時の京都甘い物好き達にとっては青天の霹靂で、閉店予定日の1ヶ月近く前から毎日行列でした。
西原金蔵氏は、フランス『アラン・シャペル』という今はなき三つ星レストランにて日本人で初めてシェフ・パティシエに就任された御方。
当時10代の血気盛んな私は、両親と喧嘩してせっかくの『アラン・シャペル』での家族との食事を、そしてシャペル氏のお料理をとてもいい加減に頂いてしまいました。あのときあの厨房に日本人の西原氏がいらっしゃったと知るのはそれよりずっと後のことです、、、。
私が存じ上げなかっただけで、その後の銀座『資生堂パーラー』『ロオジェ』でも私は氏のスイーツに触れていたんですね。。。
店名にもある通り、扱われているお菓子は主に「コンフィズリー(砂糖菓子or砂糖菓子店)」になります。
外に日本人に馴染み深い琥珀糖(寒天(糸or粉)/グラニュー糖or和三盆/水飴/お水etc)。
中には黒豆/アーモンド/ゆず/松の実/ラムレーズン/栗/ピスタチオ/オレンジココアetc....。
自身の人生を大きく引き上げてくれた今は亡き恩師アラン・シャペル氏と語り合うかのように創り上げられた、どうしてもランダムに生じてしまうクリスタリゼ (結晶化)を制御した、今だからこそ創れる恩師が最期まで自分に求めた理想のコンフィズリー。
なんと上品繊細で後味の美しいお菓子でしょう。
「シャリッ」
氏のコンフィズリーを口に入れて最初に聴こえるのは、普段無意識下で自分の心を守っている、薄くて硬い半透明の膜に細かく亀裂が入って割れ落ちる音。
「シャリリッ」
薄い砂糖膜1枚の中にあるトロリとした固体であり液体でもある食感の次に浮かぶのは、極細透明な飴細工/ガーゼ/ベビーカシミア/白い絹/ 一番搾りのメープルシロップ/ 50年以上静かに保管されたシャトー・ディケム/ 早朝に薔薇の花弁の中に残っている雨露。
砂糖ならではの可憐な甘さが口の中に淡く一瞬で均質に薄く広がってスッと儚く消えていきます。それはまるで遠い昔の甘く切ない記憶が現れては消えていく万華鏡/kaleidoscopeのよう。
そうか、多くの人達はこのお菓子を食べて「楽しい」「幸せ」って感じるのか。
そういう風に思えるのもいいなー。
決して広くはない空間に素晴らしくセンスの良い内装とご夫婦の仲の良さを醸し出す空気感、幸せでいっぱいのはずなのに、近い将来の終わりが見えているからでしょうか、氏のお菓子を頂いているとなぜか僕は自然と泣きそうになります。
店内には『グラッセリー(氷菓子)』を頂けるイートインコーナーがありますが、座れた方は超ラッキー。基本的にテイクアウト専門店です。
コンフィズリー(砂糖菓子)は子供の食べ物とばかり思っておりましたが、氏のコンフィズリーは紛れもない大人スィーツ。
美味しい食べ物や体験は誰かと共有して初めて完成するという言葉がありますが、その誰かが、時には「過去の自分」や「今の自分」そして「作り手」とであっても良いのではないでしょうか?
襟を正して1人で静かに頂きたいお菓子です。
1人の人間として、男性として、心より尊敬申し上げます。
※混んでいるのでOpen時から伺いましょう。
※促されませんが、次の来店者のためにも50-60分以上滞在しないのがエチケットです。
※京都『ナンポルトクワ』にて御子息がスイーツ店を営業されています。
※ 今回の私の食べログポイントは、『砂糖菓子』というジャンルの中での相対的評価です。