孤高のグルメ☆さんが投稿したモトイ(京都/京都市役所前)の口コミ詳細

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孤高のグルメ☆ (40代前半・男性・東京都) 認証済

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モトイ京都市役所前、烏丸御池、丸太町(京都市営)/フレンチ

1

  • 昼の点数:4.7

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 4.3
1回目

2021/11 訪問

  • 昼の点数:4.7

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

なぜ京都『MOTOI』がミシュランを獲得し続けるのか?/ 総合力高過ぎ


京都『俵屋旅館』、私に初めて京都の奥深さを教えてくれた宿です。高野槙のお風呂には身体も心も絆されます。


さて、京都『MOTOI』。


8500円/人のランチコースにサービスチャージやワイン2杯頂いて15,000円/人。


あー、本当に素晴らしい。


あとワインを1-2杯頂けば、コースのランクを上げれば良かったと申し訳なくなるほど素晴らしいです。


京都周辺在住の方はもちろん、京都旅行に行く際は必ず予定に入れておきたいレストランの1つ。


中華のエッセンスが散りばめられたフレンチ。
夜はさらに中華色が強くなりますが、この散りばめ方のセンスが良いわけで、京都『MOTOI』のお料理は「ヌーベルシノワ」とはいいませんよね、ヌーベルシノワは香港で1980年代に生まれたあくまで「中華」というジャンルですから。


「ヌーベルキュイジーヌシノワ」?


そんなWord聞いたことありません。
どなたか教えて下さい(ノ_<)


さて、そんな京都『モトイ』のお料理に至った背景を覗いてみましょう。


才能はあくまで乗り物、それを上手に乗りこなすか否かはあくまで本人の性格/道徳心である。

という真実が世の中にはあります。

才能があっても失敗/破綻する多くのケースを目の当たりにしてきているからです。

マイケル・サンデル氏の著作を読んだ上でもやはりそう思うわけです。

好きな言葉の一つです。


前田シェフはまだ×2上に登られる方なので今のご自分とお店をどう捉えているかは別にして、氏の今を仮に「成功」と仮定するならその背景にはいくつかの明確で大きな理由があります。

キーワードは、「性格」「師」「物件」。

元々幼少期より本と料理が大好きで、家族と共に食事したフレンチに感動し調理学校の道に進むも卒業時に自分のフレンチ店へ就職という道はなく、やむなく正統派中華料理のお店へ。そして結果10年に渡り働くことに。

まずここですよね、頑固で意固地な人はここで中華のお店に進まないですから。

現世を生きていく上で、「素直さ」というのはなんという武器なのでしょう。

ここでみっちり高級中華を学んだ後にフレンチを学んだからこその今のジャンル/Styleに辿り着いたわけです。

次に「師」。
中華料理をしっかり学ばれた後にフランスへ短期留学されたり、古巣に戻ったりしていたわけですが、ここでOpen間もない大阪『HAJIME』で働かせてもらうことによって、米田シェフの調理×経営を徹底的に磨き上げられたことにより、前田シェフの能力の総てが開花。本当の一流は人を育てるといいますが、カンテサンスの岸田シェフといい、HAJIMEの米田シェフといい、素晴らしいですね。


そして「物件」。
次に2011年頃に見つけた大正時代(100-110年前)に建てられたこちらの物件。元は半衿(はんえり)で財を成した呉服商の邸宅を大幅リニューアルして極上の空間にされてます。日本の和食が世界に広く認知され、日本のフレンチが世界に広く認知された今となってはもう絶対手に入らないでしょう。それにしても今となっては廃れた京都着物ならではの「半衿」が如何に莫大に儲かったのか、眼を見張ります。。。このボロボロの骨組みの大邸宅を、そして極上の箱庭を見つけリニューアルしたときに京都『モトイ』の成功は確定していました。


もちろん人生ですからその後にも色々と紆余曲折があったとは思いますが、良いスタッフ達の存在もあり、フレンチには特に厳しいミシュランスタッフも星をつけざるを得ないわけです。


以下、この日のお料理です。

・2種のアペリティフ
まずは今が旬のスーパーフードである菊芋をフォンで加熱してミキシングしたスープ。フォン自体がとても丁寧に惹かれているので血糖値が上がりにくくなることもあり、美味しいです。そして、紹興酒漬けされた甘エビの下にはしっかりと海老味噌と殻出汁を煮詰めて作り上げたソースが敷かれているので、スプーンで口に入れて一口で頂いた際の存在感と旨味が強烈です。

と、ここでソムリエに任せたオーストリアの白。
ちょうど宿泊先の俵屋旅館に今回私が持ち込んだのが2014年物の「ヒルシュ」です。好みが合いますねー!

・雲子のベニエ×聖護院蕪のスープ
文字にすると簡単なんですが、実際はこんなもんじゃありません。1番下には美味しい聖護院蕪のピュアなソースが円に敷かれ、その上には下味が付いて程よいアクセントと見た目も可愛い桃蕪。その上に、イカ墨を混ぜた生地で揚げた程よい塩味の真鱈の白子。最初の1/3をそのまま頂き、イカ墨で旨味を補填されたほんのり塩味のベニエ。下に敷かれた強烈な聖護院蕪ソースの旨味の相乗効果でとても美味しく、最後の1/3をでソースと桃蕪で頂きさらに満足。

最初に聖護院蕪のソースを口に入れた瞬間にここで支払いを終えて帰ろうかと思いました。

生クリームなどに頼らず、蕪の旨味を引き出しているのが良いです。神楽坂『ボルト』のシェフに教えて差し上げたい。

ヴェネツィアで教わりましたが、イカ墨には旨味成分が含まれているのでイカ墨パスタはちゃんと意味のある調理法なんですよね。はぁ、あと10個ベニア追加したかった、、、。

・フォアグラナチュールと代白柿
フォアグラと渋抜きされた柿の甘味、隣にはヤウール(ヨーグルト/砂糖/ゼラチン/生クリーム等)の一品。フォアグラは日本の発酵食品で締めたのでしょうか?周りにはアマゾンカカオで作ったクランブル(イギリス発祥のポロポロカリカリにクッキー生地を砕いたようなモノ)と葡萄のソース。私の好きな脂臭くない重たくない鮮烈な旨味のフォアグラを思う存分満喫できます。


とここで、今度はせっかくの京都丹波の赤。このヴィンテージはまさかのメルロー100%ということもあり、迷わず選択。あと10-20年後が愉しみなポテンシャルの高い赤ワインの今を以下のお料理と共に満喫です。


・聖護院大根と上海蟹
1番下には美味しい上海蟹たっぷりのとろみの付いた餡が円に敷かれ、時計盤でいえば10-12時の針の間にのみ、ブラウンマッシュルームのソースが敷かれています。

上海蟹にソースの美味しさをしっかりと確認した上で、最初の1/3を美味しい上湯(シャンタン)を煮含めとろみをつけた蕪のみを頂き、次の1/3をブラウンマッシュルームの旨味で頂きさらに満足。最後の1/3を上海蟹ソースとブラウンマッシュルームソースを混ぜて味変し、今度こそここで満足して支払い済ませて帰ろうかと思いました。


・ハマフエフキ(魚)のポワレ
白菜と腐乳(フールー)のブールブラン
ブールブランはバターソースで、そこに丁寧に薄く削ぎ切りされた白菜の旨味と歯応えがひっそりと加えられた腐乳(フールー)の香りがバターソースと相まって、中身はミディアムレアの加熱でカリッカリに皮目を焼かれたハマフエフキを見事に上質な一皿へと引き上げています。

・炭火で焼き上げたイベリコ豚
たっぷりのお野菜と共に

大阪『HAJIME』のシグネチャーサラダ「chikyu 地球」を少し想起させる40-50種類の様々な下味や調理を施された野菜の上にイベリコ豚が乗っています。イベリコ豚はもちろんスペインの食材ですがそんなことは気になりません。適切な加熱がなされているので柔らかく旨味しっかりで炭の香りも相まって美味しく頂けばきました。


その後に3段階続く美味しいデザート。
飲み物はダージリンを選択。
タルトタタンに添えられた番茶のアイスクリームが特に印象的でした。下世話ですが、このティーセットだけでも3500-4,000円/人の価値あり。


これで8500円/人のコース。


お気づきでしょうか?


使われている食材は決して高価なモノばかりではなく、極めて安価な食材も多く使われています。

ただ、それぞれの食材の鮮度や、シェフやスタッフの方々が丁寧にしっかり時間をかけて引いて下さった「フォン(フレンチ出汁)」と「上湯(シャンタン)」を効果的に贅沢に使われてることにより、そして一つ一つの食材の切り方や加熱の入れ方をギリギリまで見極めることにより、超一級のお料理へと各お皿が昇華しているわけです。


よって、来店者達は深く感動し満足するわけです。


前田シェフのしっかりとした技術×センスがあるからこそ、中華×フレンチで誰にも真似できないオリジナリティ溢れるフレンチが作られるわけです。


ミシュランスタッフはフレンチに特別厳しいのでしょうがないですが、個人的には2つ星の実力、そしてこれだけの内装であれば、ゆくゆくは3つ星となるであろうポテンシャルをヒシヒシと感じてます。


ソムリエもまだお若いながらもとても優秀です。ワインが好きで、前田シェフのお料理が好きで、モトイが大好きな感じがよく出てます。この感想も彼に来店者の意図を汲む能力の高さ、ホールスタッフとしての能力の高さがあればこそ。もっとシェフのお料理に詳しくなってシェフにおねだりして色々なワインを飲ませてもらって色々学ばれたら将来さらにステキな大人のソムリエになることでしょう。


京都周辺在住の方はもちろん、京都旅行に行く際は必ず予定に入れておきたいレストランの1つ。


ここに連れて来られて嫌がる女性は相手がどんなVIPであろうともいません。


30代前半に何十回も中国を北から南まで、香港や台湾まで中華料理巡りしておいたのは、今となっては本当に私の財産です。


このお店を選択したことでその会の7-8割は成功したようなもの。


会食やデートに。


※お料理は価格帯が高ければ高いほど満足度が上がるので迷わず上位ランクを選んで大丈夫です。
※夜はランチより中華色強くなります。
※お庭奥にある蔵の中が個室です。
※箱庭/中庭がとても素敵なので、お庭前の席が特に好きです。


2022/09/28 更新

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