孤高のグルメ☆さんが投稿したアコルドゥ(奈良/近鉄奈良)の口コミ詳細

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孤高のグルメ☆の飲食店ガイド

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孤高のグルメ☆ (40代前半・男性・東京都) 認証済

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アコルドゥ近鉄奈良/イノベーティブ、スペイン料理

1

  • 夜の点数:4.7

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 4.7
1回目

2022/04 訪問

  • 夜の点数:4.7

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.7
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

超デート用/ 世界Topレベル / 奈良の奥深さ/デルフトの風景

こんにちは、知的聡明グルメンなフォロワーの皆様の食の下僕「孤高のグルメ⭐︎」です♬


僕が大好きなエリアの1つ、奈良。
京都出張にかこつけて、奈良にも宿泊しました。


奈良とローマ/Romaは似てます。


数年前から話は聞いていたんですよね。


「奈良市と東大寺が組んでなんか東大寺境内を有効的に活用するために奈良にゆかりのある飲食店の料理人達を集めてコンペするらしいよ?」


僕「へーっ、そうなんですか?」


で、とてつもない倍率の中でその権利を獲得したのが、こちらと隣の日本料理屋『夢窓庵』です。


外壁デザインの縛りや高さ制限などなんのその。


東大寺の境内を借景かー。


この立地とこの木材をたっぷり使ったヨーロッパ的な洗練された内装はすごいですよねー。


皆様はスペイン王国には行かれたことありますか?


かくいう僕は美術館目当てでいつも海外旅行しているので、スペインですとマドリード/Madrid、バルセロナ/Barcelona、ビルバオ/Bilbaoやサン・セバスティアン界隈を自分の人生で累計150日間程行ってる程度ですが、色々と想い出深い大好きな国の1つです。


スペインにも色々と哀しく複雑な歴史背景があります。


是非そのあたりを含めてスペインを愉しまれるとさらに、という真面目な話はさておき、


「奈良でなんでスペイン料理?」


と思う方はまだグルメンじゃないですねー。


奈良は内陸で魚介類とは無縁と思われがちですが、実は古来より淡路島を筆頭とした瀬戸内の魚介類が奈良の朝廷に献上されていたので、魚介類との結びつきはとても歴史があるんです。

その点は京都など足元にも及びません。

ちなみにその頃、大阪の梅田などは海の底でした。


そしてそもそもなんでも本場が1番でしょ!?という固定観念に縛られてます。


この15-20年で特に世界はボーダレス/BorderlessにFlat/平坦になっているので、そういった観念は急速に時代遅れになってます。


とはいえ、だからもう本場に行く必要はないと結論づけるのはこれまた早計。


料理の特徴を形容する場合において、現代的/ Modern というワード/wordはとても使い勝手の良い便利な表現。


でもそれじゃー、10年後100年後もレビュアー/Reviewerは同じ言葉が使えるわけです。


だって、Modernとは現代的/洗練された/今などという意味ですから。


モダン/ガストロノミー/イノベーティブ/フュージョン。


このあたりの単語も同様です。


川島シェフにそんな意識あるかなー?


それじゃー、お店や料理人の方々に対してフェア/ Fairじゃなないかなー。


こちらのシェフのスペイン料理を「モダンスパニッシュ」「ガストロノミー」「フュージョン」という適当な一言で括るほど僕の語彙は少なくないし僕の感性は鈍くない(´-`).。oO


というわけで、せっかくなのでもう少し言語化して掘り下げてみましょー。


奈良『アコルドゥ』。


ここは深淵繊細洗練されたスペイン料理を満喫できる日本でも稀有なレストラン/Restaurantの1つ。


いいよねーっ、柔軟で、偉ぶるわけでもなく、かといって媚びるわけでもない、確かなセンスと技術に裏打ちされた落ち着いた大人の料理。

入店すると受付のすぐ隣にある半個室のウェイティングルームで待機。


ふぅ、ちょっと蒸し暑いな。。。


とそのときにお手拭きと飲み物が出てきます。

お手拭きの香りは失念してしまいましたが、飲み物はお店が独自ブレンドされたモノ。

この日はハーブ/Herbや柑橘系のニュアンス/nuanceでした。


これは来店者達をリラックスさせてひと息つかせると同時に我々の味覚をフラット/Flatな状態にする意図があります。


誘われてるねー(いざなわれてるねー)笑


丁寧にご対応下さった女性がフロア責任者のよう。
眼の前にはちょっとしたお庭が。あれは山桜かな?右手の奥深い庭園は東大寺のそれですか。


かなり良い席に通して頂けたなー。電話での応対も素晴らしかったので、お酒飲んじゃおっと♬


「好き嫌いはありませんので、コースに合うワインをグラス/Glassで頂けますか?最初のスパークリング含めて4~6杯程度で考えています。お料理に合いさえすれば良いのであとはお任せします。あ、できればスペインワインを軸に。」


知的聡明グルメンな私のフォロワーの皆様ご存知の通り、カヴァはスペインの泡ですね。シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方のみで作られた泡、ではスプマンテは?

イタリアの泡/スパークリングですねー。


じゃ、最後に。


フランスのシャンパーニュ地方以外で作られたスパークリングワインはなんていいますか?


答えは、クレマン/Crémant。


ここまで即答できる皆様は素晴らしいです。


で、話は戻りますが、ここでカヴァ/cavaです。
もちろんシャンパーニュなども置いてありますが、私が選んだのがカヴァ/cavaというだけ。

BERTHAのブリュットナチュール2013。

ほらー、京都『キメラ』の筒井シェフ〜、僕が申し上げているのはこういうことですよ。


さて、まるで紙芝居のように、自身の眼の前で名刺サイズのメニューがお料理ごとに入れ替えられていきます。


極上のショー/Showの始まりです。


〈鰆と古都華苺のメヒカーノ〉
鰆/サワラの切り身にきゅうりとアボガドのガスパッチョソース(きゅうりニュアンス強め)、さらには大根のスライスを乗せた苺/strawberryのシャーベット/sorbetが添えられています。苺は「ことかいちご」と呼びます。奈良県産の苺です。

ガスパッチョはスペインやポルトガルの冷製野菜スープの事ですね。

味の組み合わせとしてここで酸味しっかり香り豊かなイチゴは良いにしても鰆/サワラの切り身に対してイチゴのシャーベット/sorbet大き過ぎない?

と思いましたが、味の組み合わせは良いです。

しょりシャリもっちりカリッ、で、最後にトロリ。

特に、それらの横にさりげなく岩塩や水にさらして辛味成分を抜いた玉ねぎのみじん切りも僅かに忍ばせてあるのがこれまた良く最後まで飽きずに楽しく食べさせてくれます。

ここまででも素敵なのですが、僕はここでシェフはこのお皿に「色/color」も表現してより立体的なお皿にしていると感じました。

どういうことか?

キーワードはキュウリ系の緑/Greenのニュアンスにあるのではと感じたんです。

鰆/サワラの切り身を白/Whiteとするなら、苺のソルベは赤ですよね?では、ガスパッチョソースも赤?違うんです。目を瞑ると分かるのですが、確かに色は赤なのですが、きゅうりのニュアンスを強く前面に出しているのでここで表現している色は緑/Greenになります。

白×赤もしくは白×緑で終わることなく、もう一色、補色(正確には赤の補色は青緑)/Comlementary Colorを加えることにより、味わいだけでなく、見えない視覚効果としてこの一皿はさらに立体的になっています。

人間の眼は「赤」「青」「緑」のそれぞれの光の強さに反応する細胞で色を捉えるために、その3色を混ぜると「白」になります。

それらを表現することで、味わいだけでなく、見た目、そして食べ手の深層心理にまで強く訴求する一皿を表現したかったのではないでしょうか?


あのガスパッチョがトマト系の赤系ニュアンスが強いモノであればそこまで感じなかったでしょう。


なるほど、こういう伏線の張り方をされていくお料理を作られるシェフなのか。


だとしたら、滅多にできない、シェフの哲学/思考まで追体験して堪能できるチャンス/Chanceかも?


なら、愉しむのはもちろんのこと、集中して、自分の全身の感覚を研ぎ澄ませて超真剣に頂いてみよう。


そんな中でこのお皿でひっかったのは以下の2点。

1点目は鰆/サワラの切り身単体で頂いたときに僅かに魚臭かったこと。

鰆は養殖をしていないはずなので、おそらくこれはスタッフの方がバットの上で必要以上に長く空気に触れさせて温度が高くなったからだと思います。これは惜しい。

2点目は苺/strawberryのシャーベット/Sorbetのサイズが大き過ぎたこと。確かにこのディナースプーン2本で形作られたソースをたっぷり和えて鰆/サワラの切り身を頂くと、苺/いちごの美しい酸で先ほど感じた鰆の違和感は消えましたが、鰆とシャーベットの量が合っていないことに変わりはありません。僕はこのとき、量だけでなく、ここであえて選ばれた苺/イチゴのソルベのニュアンスが僅かに不適切だと思いました。春だからとはいえ、です。


ただ、それは僕の間違いであったのだと後に続くお皿達で気づかされることになるのです。


次はポルトガル側の土着品種の白ワイン。
PAZO DAS BRUXAS /パソ・ダス・ブルーシャス。

フィロキセラ/phylloxeraが猛威を振るった19世紀以降のワインLover達にとって、土着品種を堪能できる喜び。

僕もスペインに行った際は土着品種ばかり楽しんでいます。スペインワイン界の名門トーレス。スペインの土着品種アルバリーニョを使用して造られる白ワイン。レモン/グリーンアップル/ピーチ/ハニーといったアロマに海側という土壌もあってか、美しい酸と土地由来のミネラル感が素晴らしい、飲食店関係者でしたら知らない人はいない有名な一本です。

そのワインを堪能しつつ、

<冬を過ごし、また春が来る>
随分、詩的なネーミングだな。
少し固めにされたムースにスライスされたカリフラワーが立てかけられそれがさながら雪の結晶のよう。
下にはローズマリーで香りづけされた水とオリーブオイルのドレッシングが敷かれ、上にはディルのようなハーブ/Herb。
カリフラワーはそれ自体に旨味が強いお野菜になるのですがコクを出すために安易に生クリームを多用するのではなく、松の実が加えられています。ハーブやオリーブオイルと共に、鮭の卵であるイクラが雪の中から芽吹く新たな生命力を卵もしくは花として表現。

美味しいです。

お料理を頂いたあとではこの料理名に対して作り手の過剰な自己陶酔感は全く感じず、お皿自体に説得力があるので、お料理からでもきちんとお料理名が浮かびます。麻布十番『エクアトゥール』の小野シェフ、僕が申し上げているのはこれですよー。


次のワインです。

Alta Mora Etna Rosato Cusumano/アルタ モーラ・エトナ・ロザート・クズマーノ。

2000年創業とワイナリーとしてはとても新しいクズマーノ社がシチリア島エトナに特化した新たなプロジェクトが「アルタモーラ」です。ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山のあのエトナです。フランスのブルゴーニュ、ピエモンテのランゲと並び世界3大テロワールに挙げられるエトナで作られるロゼ。口当たりは辛口でタンニンしっかりですが、香りには赤いベリー/Berry系のフレッシュなアロマ。エトナの伝統品種ネレッロマスカレーゼの旨味を堪能できるこれまた有名な一本です。


赤いベリー/Berryか、、、。


ベリー/Berry×3。


ん、苺/Strawberry(°_°)(*_*)?


<大地の香りとチビロン(ホタルイカ)>
一番下には緑/Greenのソース/Sauceで、そこにさらに黒いソース/Sauce。

ワインと共にお皿も徐々に濃い色/Collarになってきました。
菊芋のペーストを敷きその上にボイルしたホタルイカ/蛍烏賊。上にはカラスナエンドウの葉。

この緑/Greenのソースはネギ/葱ベースか。黒いのはイカ墨に、、、なんだっけこのニュアンス、、、僕が好きな、、、、カカオ/Cacao?あー、そうだカカオだ!

すごいっ、葱とカカオのソースと菊芋が大地のどっしり感を、そこにサッと茹でられた蛍烏賊/ホタルイカの薄い皮をぷっつり噛むと中から弾けるイカの凝縮された内臓と身の旨味が混然一体となって、そこにロゼを流し込むと、、、おーいしーっ!!

海のモノと山のモノの組合せは料理の鉄板とはいえ、いいなー、ここでカカオ/Cacaoですかー。

スペインは苺やチョコレートでもとても有名ですもんねー。そうだ、マドリード/Madridでの僕の朝のスタートはいつもホテルで牛乳と苺/Strawberryを頂いて、そのあとに近くの老舗チョコラテリア/Chocolateria『サン・ヒネス/San Gines』でホットチョコレートドリンクを頂くことでした。朝から揚げ物のチュロス/Churrosはいらないっていうのに、いつも同じ女性の方が僕にこっそりチュロスをサービスしてくれるんですよね。


あー、口の中で超スペインしてるなー!


色々思い出してきた!!


あ、グラス/Glassが空になった、させられた。


ねー、次は!?


Re Di Fiori / レ・ディ・フィオーリ。
ここで品種はリースリング・レナーノ100%(Riesling Renano)ということでリースリングですか。
元はドイツから北イタリアに流れてきた土着品種だったはず。柑橘系でミネラリーながらそこにコクもあり美味しいです。


<橿原/かしはらのアスパラと刹那な恵み>
橿原/かしはらは奈良県中部の市名です。
春の柔らかくも力強さを兼ね備えたアスパラの上にはセロリ×生姜のグラニテ。知的聡明グルメンな皆さまはシャーベット/Sorbetとグラニテ/Graniteの違いご存知ですよね?そうです。シャーベットにはメレンゲが入っており、グラニテには入っていません。糖度と食感が大きく異なります。

ちなみに「グラニテ」はフランス語ですが、元々は「グラニータ」というイタリア語です。グラニータは、そう、シチリア発祥のデザート。今のように冷凍技術の無い時代において、氷菓子は王様や貴族しか口にすることのできない最上級のデザート/desertでした。このグラニテの高い糖度と粘度のジャリ感の中から生姜とセロリの味や香りが立ち上がり、隣には今がまさに旬ということでらっきょうを揚げた温かい物。

口の中で冷たいモノと熱いモノの対比、なるほど、その一瞬/旬を「刹那」と表現されていらっしゃるんですね?

で、そしてそこに?

この上に置かれているソース/Sauceはなんですか?
なんだこれ、ヨーグルトにカカオ/Cacaoの粉末?
ん、醤(ひしお)も入ってる?

おお、今度は未完熟のまだ緑のストロベリー/Strawberryのフレッシュな香りがする!


あ!


最初の苺のシャーベットといい、先ほどのロゼワインといい、このソースといい、シェフはずっと春の代名詞の食材である苺/Strawberryで『韻/イン』を踏んでいるんだ!!


で、僕の味覚嗅覚に対してずっと優しくノック/knockしてくれてるんだ。


ちょ、ちょっと待てよ。


こんなすごいさりげなく上品お洒落で上手な韻を踏む料理人なんて、世界広しといえども、というか、この美食王国日本でもそんな滅多にいないぞ?


旬の苺 → 熟した苺の香り → 未完熟の苺の香り


うわー、今までのお料理が鮮明に思い起こされてきた。


あー、すごい×2、この韻の踏み方、各料理のさりげないなぞり方、これはあれだ、たまーにいらっしゃる世界Topレベルの料理人のコース構成だ。


あ、こっちの女性は普通のアルバイトの方だから無理そうだな、ちょっと先ほどの女性スタッフに確認しよっと!


僕「すみません、こちらのお料理のソース/Sauceなんですけど。」

女性「はい、お客様、こちらのソースがいかがされましたか?」
 

僕「これはヨーグルトに醤(ひしお)と未完熟ストロベリーの果汁を加えたものでしょうか?青い苺/イチゴのニュアンスをすごく感じて、最初の鰆/さわらのシャーベット/Sorbetの韻(いん)を踏んでいるような、あ、失礼、これは僕の独自表現でして、掛けられているような印象を強く受けたんですけど。。。」


女性「あ、そうなんです。このソース、奈良県は醤油の発祥地なので、醤油の古代種を使ってまして、それ自体が発酵調味料なのでヨーグルトのような風味と苺のようなフルーティー/fruityさがあるのでシェフの川島が最初のお皿のシャーベット/Sorbetも苺ベースにして、ロゼも先ほどのにしようって決められまして、、、。私やスタッフ達もシェフにそう説明されてなんとなくそういうニュアンスは言われれば程度に感じていたんですけど、、、すごい、本当に口にするだけでそこまで感じ取られる方いらっしゃるんですね!?」


僕「いえいえ、僕としては当然なんですが、とはいえてっきりヨーグルトに未完熟の苺の果汁を絞られたと、ん?っていうことは、今回のこのコースはこのソース/Sauseから苺のニュアンスをコース全体にさりげなく散りばめることを考えられたってことですか?うわー、鳥肌立ちます。でしたら、やはりこれを考えらえたシェフがものすごいことだなと思います。それにしてもこの極めて上質なオトナの成熟した思考って、シェフってお若くはないですよね?50代60代ですよね?そして調理の1つ1つに極めてフレンチ的な技術や発想を感じられるのですが?」


女性「そうです×2。元々フレンチをしっかり学んできたそうです。」


僕「あー、なるほど、全部納得、完璧納得、ありがとうございます♬」


だよなー。


基礎にフレンチがあれば、極端な話あとは調味料や食材を置換するだけでヨーロッパの他の国の料理になるもんね。


で、そこにその料理人の「思想/哲学」が美しくお料理に反映されていたらそれは、、、。


いやー、、、これはやばいお店に来てしまったぞ。


僕は今、世界のど真ん中であり、最先端にいるに違いない。


とここで、新しいグラス/Glassに黄金色の白ワインが注がれます。


もう一回、白?


やるねー、余程自信があるんですね。


くんくん、白い小さな花/白桃/ネクタリン/レモン/バターに樽香。


とここでカリフォルニアの白ワイン。

Summer Wood のグルナッシュ・ブラン/Grenache Blanc 100%

そっか、そういえばSummer Wood は赤ばっかりでグルナッシュ・ブラン/Grenache Blanc 100%は僕飲んだことないや。

うーん、そうだよなー、このエチケットってずっと白ワインが合うと思ってたけど、この香りと味わいとコク、、、2017年のバランス/balanceは素晴らしいね。

厳粛で控えめ上品ながら複雑で深い味わいは、米国人にも品位と高潔さがあることを証明。

まるでこのお店のために作られたかのような白ワインだ。

ってことは、このワインから逆算すると、次は豚肉か鶏肉が出てくるっていうこと?


<ミルキーな豚、ナッティーなキャベツ>
豚肉(五条/奈良県産)のかたまりをハムの要領で香りづけしてから焼いてスライスしたもの。

そこにスペイン料理で有名なパプリカ油をさっと添えて、赤い粉はパプリカパウダーですか。

わー、ボイルしたキャベツはちゃんと酢が染み込んだあとに胡桃ペーストが絡みつけられて上から白胡麻がかけられていて確かにナッツ風味/Nuttyになってる。

豚肉の脂肪分と白胡麻&パプリカオイルの植物性油分が口の中で広がって、そこに先ほどの、ぎゃー、これは先ほどの白ワインとめちゃくちゃ合うな、マリアージュ/Mariageしてるなー!

大豆の品種は大鉄砲(オーデッポー)ですか?

うーん、このお料理は先ほどの白ワインだからこそ完璧な一品に。

疑いようのない完成品。


とここで、僕の正面の山桜が生えているお庭に白い侵入者。

短毛の猫、超かわいい。

まさかこれも演出!?笑


<秋津洲のアロスと奈良ゆかりのケソ>
秋津洲(あきつしま)は神武天皇の頃日本をそう呼ばれたらしい?アロス/Arrozはスペイン語でお米で、ケソ/Quesoはチーズ。つまりチーズリゾット/Risotto。チーズにはかすかに薫香があるので燻製されているのでしょう。


豚肉はイベリコ豚か。


ふーん、このイベリコ豚なんだ?。


イベリコ豚は散々スペインで食べ比べしてきたかね、見たらランク/rankがすぐに分かります、いや冗談抜きで。


で、ここで使われているイベリコ豚は中の中、つまりミドルランク/rank。


でも僕は知っている。


今までのお皿を創り上げてこられた方がここでいきなり適当にするはずがない。


これは確信を持ってこのランク/rankのイベリコ豚を使ってるはず。


うん、さらっとシンプルで美味しい。


あ、先ほどの女性スタッフにまた確認しよっと。


僕「こちらのリゾットって、お米の粘り気や油分を極力感じさせないようにされているじゃないですか?っていうことは、このイベリコ豚も前脚ですか?で、ここで使われているイベリコ豚もどんぐりだけ食べてるいわゆる最高ランク(後ろ脚)のじゃないのは意図的ですよね?」

女性「そうです、シェフがこれくらいのランク/rankの生ハムのほうが合うんじゃないかって。」

僕「僕もそう思います。これが最高ランクのイベリコ・ベジョータでしたら香り高過ぎて油分凄くて悪目立ちしてしまいますもんね?」

女性「はい、シェフの川島も同じことを話してました!」

僕「ですよねー、お忙しい中ありがとうございます♬」


よしっ、川島シェフの思考に完全に追い付いたぞっと。


と、そこに日本酒が。

僕の大好きな奈良県「風の森」シリーズ。
風の森シリーズを知らないでプレミアム日本酒ばかり有難がっている人見かけると辟易します。

なるほど、その中の秋津穂を使った素晴らしい香りと濃厚な旨味の日本酒を合わせて、、、どんぴしゃです。


<スモーキーな魚と海の春>
ここで今度は焼き鰆/さわら。
下にはヨード香りがある春ワカメを敷いて、ゆっくり優しく加熱してから皮目を焼いて燻製/Smokeしてます。
この鰆/さわらのジューシーさは低温調理ならではですねー。


で、そこに、

そこにアルザスのワイン。
Emilie Beyer/エミール・ベイエ。
そうです、南アルザスのトップ生産者です。
南寄りになるだけで~、濃厚フルーティー/fruityさが増し×2なので、流れも全く崩れず。

ひゃー、鰆/サワラとこのワインで無限ループ、お見事マリアージュ。


あのー、なんか、一皿ごとにワイングラスがほぼ空いちゃってる感じ?

ちょっと、先ほどのサマーウッドの白ワインを一口。

おー、まだヘタれてない、さすが。


そこに本日初の赤ワイン。
そこはもちろんスペインはリオハのリゼルバ。
Baron de Ley/ バロン・デ・レイ。


いいですねー、待ちに待った赤がこのタイミングで始まるって。

凝縮した赤い果実感がたっぷり。


<大和肉鶏のコンフィタード>
しっとりパリッと加熱された鶏肉を緑/Greenのソースが取り巻いていて黄色い食用花(わさび菜)との色合いも綺麗です。
大和肉鶏は軍鶏との掛け合わせでしたよね?上には砂糖でパリッとさせた煮リンゴで甘み。クレソンのソースにこの琥珀色のゼリーは、穀物酢?えっ?ここで柿酢?

うわー、追い付いたと思ったらまた離された、柿酢か、なるほど、、、奈良×スペイン。。。。

ここで柿の葉寿司の柿酢かー、すごいなー。

あ、今日はお水をここまでほとんど飲んでない。
Serveのタイミングとワインとお料理の流れが美しいのでお水を途中までほとんど必要としなかった。


と、ここで今日担当頂いている素晴らしい女性スタッフが


女性「あの孤高のグルメ☆様、こちらのお料理はいかがですか?こちらの鶏肉を固いっておっしゃる方が結構いらっしゃって、、、。」


僕「え?でもこれって加熱が下手で鶏たんぱく質が収縮した固さじゃなくて、軍鶏系本来の歯ごたえでしょう?この噛みしめる美味しさがいいんじゃないですか?これはシェフの意図したものでしょう?」


女性「はい、まさにそうなんですけどたまにそう仰るお客様がいらっしゃって、、、」


僕「これを固いっていう人はグルメンじゃないですねー。そんなこと仰る方は普段から歯を大切にされずに流動食みたいな柔らかいモノばかり召し上がっている方か咬合力と引き換えに小顔になりたくて耳下腺にボトックス打たれてる方だけでしょうからスルーして良いのでは?シェフの加熱の技術は先ほどの鰆でも充分伝わってますから僕はこれでばっちりだと思います。」


女性「シェフにそのように伝えておきます(笑)」


<日本のケソとパート ド フリュイ>
ハードチーズと柑橘系、奈良由来のみかんのゼリー
口の中が美しく余韻を残しながら洗われて美味しいです。

デザートの前のひと休憩ってやつですね。


緑茶ほうじ茶紅茶の3種から選ぶとのことなので最後は和紅茶を選んで頂きました。


<クチテユクモノトウマレクルモノ>
以前のお店に大きなミモザがあり、そのミモザを粉末で表現されているとのこと。

ハーブ/herbのオキサリス、根セロリの白とドライして薄くスライスしたパイナップルを落ち葉の枯れゆくもの/カレユクモノとして、柑橘系のカスタード、オキザリス(カタバミ)のハーブで芽吹き/ウマレクルモノを表現。

芸術/Artですね、アート。

この一皿の中に、確かに万物流転が表現されています。

実力が伴っているので全く嫌味なくスッとはいってきます。

強いて申し上げるのなら、枯れ葉/落ち葉をイメージした乾燥パイナップルの食感がねっちり歯にまとわりつく感じが若干あるので、飴細工などでパリッと感を出されたらより落ち葉感が出てこのお皿の完成度が高まっていたことでしょう。

いずれにせよ美味しいです。


<熟した八朔と春菊>
甘く煮たよもぎ餅を想起させる春菊のシャーベットはシナモン/クローブ/ブラックペッパー。メレンゲや生クリームによるものでしょうか、さりげないクリーミー感と抑えた甘さが八朔のゼリーとの対比でまた心地よいです。飲み物は八朔系のマーマレードの温かい飲み物。

柔らかいレーズンの甘味が心地よい。


<茶菓子>
桜のクリームを挟んだ厚めのゴーフレットのような生地で挟んであって美味しいです。
自分が日本にいることを思い出させてくれます。はっとしました笑


ふー、これだけの完成度をこれだけのレベルと量でペアリングして、食べて飲んで26,000円/人。


店名の「アコルドゥ/Akourdu」とは、スペインのバスク地方の言葉で「記憶」という意味。


川島シェフのお料理には確かに、奈良の土地の記憶、川島シェフの人生の記憶や哲学が表現されていて、それらが複雑に絡み合って、私の記憶まで呼び起こし、そして今回の体験は私の中で忘れられない記憶に。。。


京都好きな女性多いですけど、奈良をご存知ない方多いですよね。

駄目ですよ、それは。

コロナ前の京都が観光客だらけでまったくくつろげなくなったときに、日本通は皆こぞって秋の奈良を堪能してました。


まーとにかく日帰りでも良いので、奈良『アコルドゥ/Akourdu』には今の日本に海外観光客の来ていない静かなうちに通っておきましょう。


いいな、奈良/京都/大阪の方々は。


毎週毎月来れるじゃん?


ふぅ、不思議と以前オランダのマウリッツハウス美術館に伺った際に「真珠の耳飾りの少女」の正面に飾られている同じくフェルメールの「デルフトの風景」を思い出しました。「真珠の耳飾りの少女」を観に行ったんですけどね、それまでに何度も観たということもあって、結局強烈に惹きつけられたのは「デルフトの風景」でした。写真や画像で見るのと本物には天地の違い。一見静かで同じようでいて、空/港/建物/海が見事に別々のタッチで描きわけられていて、とてつもなく味わい深い作品です。


あの美術館にも一体何回通ったんだろう、、、僕が永遠に観ていられるフェルメール絵画の中で最も好きな作品です。


そうか、一見とても静的なのに実は色々とさりげない工夫が散りばめられていて、そしてそれが極めて本質的哲学的で、にも関わらず押し付けがましくなくて、うるさくなくて、、、、でもしっかり訴求力はあって、、、だからあの作品を思い出したのかもしれないな。


日本人の皆さーん、これからの関西は京都じゃなくて、奈良が熱いですよ、奈良が。


こういうお店では、ランチでもディナーでも1番良いコースを迷わず選びましょう。結局それがお得なので断トツでお勧めです。


いくらミシュランスタッフが拒もうとも、これだけの内装とお料理が揃っているなら、あとはホールスタッフ達がその域に達すれば、近い将来スペイン料理部門でミシュラン三つ星いくだろーなー。


僕ならデート用もしくは会食用でヘビロテです。


お一人様はもちろんのこと、デート/女子会/家族利用/会食に。


今回のレビュー/reviewはいかがでしたか?
このレビュー内容が良いと思われたそこの性格の良い知的聡明グルメンな貴方様の「いいね!」が僕の明日の活力です♬


※あまりにもカジュアルな格好は店内の雰囲気を壊すのでせめてtシャツの上にはジャケットを羽織りましょう。
※こちらのお店が大好きな方は大阪『La Cime/ラ・シーム』もお勧めです。
※Serve頂いた女性の方はおそらく丁寧に電話対応頂いた方と同じ方。シェフの言動を見る限り、フロアは彼女に完全に任せているのでしょう。彼女のやり取りからは来店者達のその日のコンディションを知って、そしてそれを厨房にできるだけ正確に伝えようという気持ちが伝わってきます。理想はもっと少ない言葉とやり取りでそれができたら最高です。人生はまだ長いですからこういう「課題/余白」が少しあったほうがいいですよね。もちろん現時点でも僕は満足です。
※廊下突き当たりは個室で2階は結婚式用のバンケットルームです。
※1部屋のみですが、ホテル『アコルドゥ』への宿泊もお勧めです。
〈料金〉
お2人様 1泊 58,000円(税・サービス料別)
ディナー、朝食付き
※宿泊は2名様での受付になります。
※帰りはタクシーを呼んでもらうか、夜も解放されている月がキレイな興福寺をテクテク歩くのお勧めです。満月の画像は僕が撮影したとても縁起の良い画像になるので、個人的に使用される限りにおいては皆様も共有どーぞ。
※奈良なので鹿肉料理はNGです。

※東京では新橋『TOKi』を監修されているようです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
皆様の「いいね!」が僕の無料レビューの原動力です(^ ^)
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2023/09/26 更新

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