テーブルにおかれる冷麺。
険しい目をした妙齢の女性は、テーブルにボウルを置くや否や剪刀をさっと取り出す。
彼女は、麺の上に美しく盛り付けられたれたゆで卵やキウリ、大根などを、なんの躊躇いも無く刃先で払いのけ、パチンパチンと麺を十字に切っていく。
細くコシのある冷麺は噛み切りにくいので、食べやすいように切って呉れるのだが、あまりにも潔く盛り付けを壊していく様は痛快で面白い。一応ちゃんとした完成品も見せましたヨ。もうこれでいいでショ、てな具合だ。
最初から切って来ればいいじゃん、というヒトもあろうが、それは違う。
彼(女)らにとっても、一応「理想とする完全型」がある。それをたとえ一瞬でも見せなければならない。
それがびっくりするほど短い時間でも。
しかしウマイ。