くうのむわらうさんのマイ★ベストレストラン 2011

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くうのむわらうの痛飲記

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

コメント

2011年は幅広いジャンルのお店に訪問することが出来ました。自分のなかで食に関する興味が拡がったことに加えて、敬愛するレビュアー様から素敵な店へのお誘いを頂く機会も多くあり、レストラン訪問という視点ではとても充実した一年でした。鮨の訪問頻度は落ちましたが、やはり和食が一番好きということに変わりません。そのなかで今回ご紹介する中善、詠月、晴山は、和食の基本である出汁に魅力がありCPにも優れる素晴らしい店です。他に最近好きなのは、ジャンルを問わずひとりで切り盛りする店。マチルダ、おおはまはある意味自分の理想とも言えるこれからも末永く通いたい店。2012年はフレンチやイタリアンも含めて、いろいろなジャンルを今年以上に楽しみたいと思います。たべろぐは細々と続けていきたいなあと。

マイ★ベストレストラン

1位

マチルダ (初台、参宮橋、幡ケ谷 / ビストロ、ワインバー)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 3.8
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2014/09訪問 2014/12/25

愛の才能

2011.11

再訪多数。いま一番訪問頻度が高い店かも。写真を追加。料理メニューは食材の入手状況によって日によって変わる。期間限定のメニューも多いので、食べログに載っている写真はあくまで参考程度に。

予約は1930時までの入店であれば可能。それ以降は不可。それ以降の時間で当日行きたい場合は、新宿とかの近くから「もうすぐ行きたいんだけど、席空いてますか?」と電話で確認するのがいいのでは。

比較的空いている早めの時間の訪問がおススメ。マチルダの魅力をより一層堪能できるのではないかと。ひとりで切り盛りしている店なので、混んでいる時は時間がかかる料理とか頼みにくいしね。

あくまでワインバーなので、ワインを飲みたい人が行くべき店。ワインを輝かせるための素敵な料理の数々。店主のマチルダさんが作り出す空気感が何より魅力な、私にとっては唯一無二の大好きなワインバー。満点。

2011.09

6席のワインバー。店主のマチルダさんは、以前参宮橋駅の近くで洋菓子マチルダという洋菓子店を営んでいた。界隈の人は記憶にあるかもしれない。場所を変えて新たにワインバーを始めたのが去年の9月1日。

こういった女性ひとりでやっているバーには、女性店主の事が好きな男性常連客がいて店内に微妙な空気が漂っている店が多かったりするんだけど、マチルダは店主を中心にしたチーム、そんな空気感がある。

等身大。簡単なようで難しい。必ずしもワインの経験が豊富ではない店主がこの店をワインバーとして魅力的なものにしているのは、自分の戦える範囲で戦うという潔さが心地よく伝わって来るからではないだろうか。

人気の店。先月たまたま行こうとしたら満席で入れなかった。ひとりで全てをこなさないといけないから大変だと思う。でも、客が見える範囲はとても丁寧に掃除をしている。グラスもキチンと磨いたものばかり。で、客に供するときにもう一度キチンとグラスを目視する。ワインの知識以前の、客をもてなすという気持ち。

店主曰く「好みが偏りすぎ」との事だったが、飲んだグラスワインはどれもワインの個性がとても分かりやすいもので、ヤスウマビオワインの方向性としては悪くないなと思った。自由に選んでいる感じがいいのかな。

で、背伸び。等身大での真摯な姿勢の中にある成長しようとする気持ち。空を飛ぶわけではない。地に足が着いた背伸び。ひとりでこれだけの料理を対応するのは大変だと思うけど、徐々にメニューを増やしていると。

ポテサラでいきなり度肝を抜かれた。大量のマヨネーズで誤魔化した巷の凡庸なそれとは違う。マヨネーズを極力押さえてポテトを明確に主役にした上でベーコンでちゃんとアクセントをつける。これはとてもよかった。そもそも、メニュー名がポテトサラダ、ではなくて、ポテサラというのが可愛らしくていい。笑

店主おススメのレバームースも是非頼んで欲しいメニュー。料理はどれもワインバーとしてかなり高水準なもの。軽くつまむ程度の店としても、一軒目としてお腹が膨れるまで食べる店としても使える自由度の高さ。

ブルーチーズのグラタンは私の隣に座っていて楽しく会話させて頂いた女性とシェアして食べたもの。はじめてお会いした方と楽しく会話して、ひとりだと多いというのでふたりで分けて食べる。そんなマチルダの空気感が好き。

この日はある程度長い時間いたので、店主とふたりだけの時間もあったし、客がほぼ満席の時間もあった。変わらずに楽しい時間を過ごした。ひとりでも、ふたりでも、一見でも、常連でも、楽しめる店だと思う。

バーでスマートフォンを黙々といじっていても何も生まれない。勇気を出して、店主や隣のお客さんに話しかけると何かが生まれる。その何かが明日を生きる糧になるのかもしれない。料理、空間、接客、値段が絶妙。

こじんまりした空間でありながら排他性が無い。非常に稀有。これはマチルダさんの才能。愛の才能。その才能がありながら、努力を怠らない。完璧な店ではない。でも、私は最高に好きになっちゃんだよね。

  • チョコブラウニー(ミルクシャーベット付き)
  • ペンネアラビアータ(期間限定)
  • 厚切りベーコンソテー(期間限定)

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2位

おおはま (阿佐ケ谷 / 日本料理、日本酒バー、焼酎バー)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.6 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2013/09訪問 2014/07/02

4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

2013.08

長嶋茂雄は引退の時に「我が巨人軍は永久に不滅です」と言ったらしい。でも、もしかしたら世の中に永久に不滅なものなどないのかもしれない。自分が当たり前と思っていた日常に馴染んだ幸せが消えてしまうのは寂しい。

おおはまさんから閉店する事を聞いた時のショックを今でも忘れない。自分にとって日本酒を愉しむという意味で一番の店が閉店してしまうことのショック。日常が日常で無くなること。それはある意味恐怖に近いものがある。

でもまたどこかでパワーアップしたおおはまさんに会えるような気がする。いや、そのときまでに自分自身も成長していなければいけない。日本酒の素晴らしさを教えてくれた店。出会いに本当に感謝。満点。

2012.04

「おススメの店はどこですか?」と聞かれることがある。最近は酒が飲める人には阿佐ヶ谷のおおはまと答える事が多い。反応はふたつに分かれる。興味を持つ人と、阿佐ヶ谷は遠いなあという人と。

基本的には界隈に住む人達の店だとは思う。気合を入れて訪問するというよりも、仕事を終えてリラックスした状態で訪問するのが合っている。定期的に訪問できる環境の人が本当に羨ましい。

料理が素晴らしい。和酒メインの小料理屋として考えると、これ以上を望む必要なんてないと思う。支払う対価に対する満足度はかなり高い。基本がしっかりしている料理人は、何を作っても大きく外すことが少ない。

日本酒はたくさんの品揃えをしているわけではない。でも、店主のセレクトで意思のある提案がある。それが何より一番大切な気がする。レアなものも含めてたくさん置いている店だけがいい店だとは思わない。

料理と酒と接客と空間。全てが心地よく馴染んでいる。満席で料理の注文が重なっても、テンぱる事もない安心感もある。だからとにかく居心地がいい。自然体というのは、他の人は知らない強い努力から産まれるものだ。

「阿佐ヶ谷三大女将」という、ある意味下世話なキーワードが訪問するきっかけだった。何回か訪問して気が付いた。私はおそらく同じ業態の店でおおはまを超える店に出会うことはないだろうと。出会った奇蹟。満点。

2011.11

阿佐ヶ谷駅から歩いて10分弱。食べログのようなツールがなければ、近隣住民しか存在を知り得ない類の店。日本酒にこだわりを持った女将さんがひとりで切り盛りするカウンター8席のみの和食店。

阿佐ヶ谷は縁もゆかりもない場所。でも、原秀則の『部屋においでよ』という漫画が好きで、その舞台になった阿佐ヶ谷にも勝手に親近感を持っていた。西東京での仕事の帰りに途中下車しての訪問。

おまかせちょっと盛りは酒の肴にぴったりな8種の盛り合せでこれはおおはまに訪問したら必ず頼むべきメニュー。その日によって内容はいろいろ変わるが、これで1,200円というのは本当に素晴らしい。

普段はおまかせちょっと盛りに刺身は入らないようで、「刺身入ってもいいですか?」と聞かれた。偶然食べた刺身の質もよかった。刺身ははっきりと食材の仕入れの質が分かるので、そういう意味で好印象。

店主が日本酒が好きっていうのが分かる料理というか。それでいてちゃんと野菜も食べられる感じで。店にとっては食材のロスを最小限に出来るメリットがあるし、客にとっても何が出てくるかの楽しみがある。

日本酒は定期的に品揃えを変えるとのことで、半合でも一合でも頼めるのが魅力。半合で400円くらいからあったかな。写真に載っているのは全て半合で、この日に飲んだのは、生ビール+3合という計算になる。

ちなみに生ビールの入れ方も完璧だった。その瞬間におおはまが素晴らしい店だって分かったんだけど。日本酒以外に焼酎もいろいろと取り揃えてはいるけれど、店主はやっぱり日本酒が好きとのこと。

店主の接客や立ち振る舞いは「凛」という単語がまさに当てはまる印象で魅力的。自然体で客に媚びずに一見でも常連でも真摯に接するから心地よい。一見でもひとりでも大丈夫。こういう店にはいい常連が集まる。

わりと遅めの時間の訪問で、私の後にひとりの客が何人か来たのが面白かった。おそらく近くに住んでいる方なんだろうな。都心のどこかで飲んできて、飲み足りないから、家の近くの店で軽く飲む。そんな感じ。

阿佐ヶ谷はあまり派手な街ではない。でも、派手ではないからこそ、おおはまのような奇蹟の良店が存在する。例えば、この店が新宿や池袋の駅近だったら、いろいろな意味でこの空気感は無理なんじゃないかと思う。

新宿から電車で11分。案外近い。都心に近い割りに地価もそれほど高くない、という理由で何となく単身赴任の家に選んだお父さんがおおはまと出会って常連になる。そんな姿が想像できてしまうのだ。

2010年9月に居抜きでオープンした。店に入って思い出したのだけど、実は居抜き前の同じ場所の飲食店に私は来たことがあるのだ。もう何年も前。店内の特殊な形状で気がついた。すごい偶然というか何というか。

私が最近大好きな初台のマチルダも2010年9月1日のオープン。何か偶然という名の縁って面白いね。たまたまこのタイミングで西東京での仕事が入らなければ、一生訪問していなかったかもしれないわけだし。

もっと阿佐ヶ谷が好きになる。そんな感じの店。凛とした真心に触れるのが楽しくて、今日も誰かがおおはまを訪れるのだろう。日本酒を飲みたいなあと思ったときに、真っ先に思いつく店。大好き。

  • おまかせちょっと盛り
  • 四万十川鰻の出汁巻き玉子(期間限定)
  • 風の森

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3位

日本橋橘町 都寿司 (馬喰横山、東日本橋、馬喰町 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2013/07訪問 2015/11/11

雨上がりの夜空に

2012.02

その日降っていた雪は雨に変わりつつあった。震災直後の訪問以来だから約一年ぶり。何度か予約を試みるも、日程が合わずにこのタイミングに。人気の高さは相変わらず。ご主人の接客の気持ちよさも相変わらず。

写真が今回食べたものの全てで、出た順番通りに掲載。唯一、弱点というか、他の江戸前鮨屋と比較して落ちるなあと感じていた玉が大きく変わったのが大きな驚きだった。「半年前に大きく見直しました」とのこと。

青空鮨なんばの大好きな玉に似ている印象で私の好み。これでおまかせの流れの中で違和感を感じるタネは無くなった。小肌や金目鯛といったような店の魅力を表すタネは今まで通りに安定感がある。

舎利は「沈む鮨」系のもので、これはほぼ完成系なのかな。私はもうちょっといろいろな意味で固いほうが好みなんだけど、これはこれで好きな人は多いとは思う。試行錯誤のなかで、現在の状態に落ち着いた印象。

「美味しい鮨とは何ですか?」という頓珍漢な質問に対して、丁寧に「舎利の違い」と答えてくれた。タネ質は最上級ではないとは思う。でも今までと変わらないように、舎利やタネの熟成へのこだわりはとても真摯なもの。

初めて杉田さんと出会ったとき、例えば、仰木監督がイチローに対して感じたであろう、成長過程におけるある種の狂気のようなものを感じた。今の状態は、よくも悪くもバランス感がある万人受けする方向に進んでいる。

今の状態で果たして満点の好みかと聞かれると難しい部分も正直ある。でも、江戸前鮨が好きになって、いくつかの店を開拓する気持ちにさせてくれたのは都寿司のおかげでもある。そういう意味で変わらずに大好き。

今回も気持ちのよい時間を過ごすことができた。同行者も喜んでくれた。店を出たら雨は上がっていた。否。雨が降っていてもそうでなくても空を見上げる必要なんてなかった。前を向いて歩いていこうと思う。満点。

2011.03

「今回の地震、大丈夫でしたか?」

杉田さんの第一声。まずは客の事を心配するのが杉田さんらしいと思った。当日予約の際に「タネがいつものように集まっていないし、舎利も普段の米と違います。それでもよろしいですか?」との問いがあった。私はそれで構わないと答えた。

計画停電が経済の復興に大きな影を落とす。飲食店の予約キャンセルが相次いでいる。都寿司もご多聞にもれず、地震当日から数日間はキャンセルの嵐だったと聞く。でも、この日は満席だった。いつもの活気があった。

一時的な料理内容なので詳細の言及は避けるが、確かに舎利に大きな違いを感じた。いつもと違う米を最適化するために握り加減も変えていた。正直、私の好みど真ん中ではなかった。でも試行錯誤しているのは伝わってきた。

大変な状況なんだろうと思う。でも、それを表情に出さず目の前にいる客に全力を尽くす。私は杉田さんを励ますつもりで店に来た。でも逆に私が励まされた。ああ、今やるべきことはこういうことなんだなあと。

今手に入るものを使って過去の習慣を捨てて今のために最大限の努力をする。そんな鮨だった。普段のほうがいいのは当たり前である。でも、この前向きな努力が地震を経験した私達が乗り越えるために必要なんだ。

私達の生活は普段とは大きく変わってしまった。電気が使いたいようには使えない。電車も通常ダイヤではない。人によっては住む場所も変らざるを得なかった人もいる。普段通りのパフォーマンスは無理かもしれない。

でも、今目の前にある自分が出来ることをとにかくやり遂げる。もちろん、将来の夢や希望を忘れずに。それが大事なんだと改めて思った。そんな夜だった。

地震を乗り越えた、とはっきり言えるときがいつになるのか正直分からない。でも乗り越えたときに、杉田さんの鮨を食べたいなと強く思った。不完全であるからこその勇気。前に進むしかない。満点。

2010.10

3回目の訪問。4月→7月→10月の流れ。本当は毎月来たい気分なんだけど予定が合わなくてのこのタイミング。2回転目の19時30分に訪問。選べる環境なら1回転目よりも2回転目のほうがゆっくり食べられるからおススメ。最近はさらに予約取りにくくなっている。

詳細内容は1回目、2回目にあるので割愛。つまみも4月の頃と比較してかなりよくなっている印象。+3,000円でつまみも食べられるわけだからにぎりだけというのはこちらの店に関してはもったいないと思う。

NHKで江戸前鮨について語る番組があって、青空鮨かねさかの大将と一緒に杉田さんも出演していた。そのときに話していた内容が強く納得できる内容だった。

1回目のレビウにあるように、私がこちらの店に衝撃を受けたのは舎利の抜群の相性と小肌なんだけど、杉田さんは「舎利は全体の8割を決める」「小肌が4番打者。4番打者を一番最初に出してこちらの流れに引き込む」と。

決められたコストの中では鮪やら雲丹やらの所謂「分かりやすいけど高額なもの」をメインには出来ない。だからこその江戸前仕事を突き詰めての小肌。私はこちらの店に来るまで小肌というものを誤解していた。

銀座の頂上店に行けば、こちらの店よりも上質な鮨が食べられるのかもしれない。でも支払いはおそらく倍以上になる。この支払いでこの食後感。やっぱり私は他に比較する対象を見つけることが出来ない。

同行者にもとっても喜んで頂いた。江戸前鮨に関わらず全ての飲食店の中で一番好きな店なので喜んでもらえるととても嬉しい。何かいろいろ語ってたら、「これだから鮨オタは駄目なんだ」とか言われたけど。笑

杉田さんに1回目と同じ質問をした。「移転の予定はあるんですか?」と。同じ答えだった。「ありませんと。」それは前回の答えよりもはるかに自信に満ちた答えだった。このスタイルでまだまだ出来ることがいっぱいあると考えているんだと思う。

杉田さんが街場寿司出身であることを私はネガティブには捉えない。店を好きになることを人を好きになることと似ていると考えてみると分かりやすい。私は誰かのことを好きになるときに親がどうかということは考えたりしない。それと同じこと。杉田さんの鮨に対してどう感じるのかという事にしか答えは存在しない。

大好きな作家である太宰治の『晩年』の冒頭からの引用。ちなみに彼がこの作品を書いたのは27歳のとき。

 「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った」

わたしはこの鮨があれば生きていける。生きる理由のひとつに成り得る至高の江戸前鮨。5年後、10年後にどんな成長しているんだろうか。杉田さんの握る鮨も、何より私自身も。満点。

2010.07

再訪。写真を追加。当日予約で何回か振られていて満を持しての訪問。杉田さんは私が前回4月に訪問したことや何を食べたかを全て覚えていた。で、今回の結論から言うと前回より満足度は高かった。初訪問で満点を付けた自分の判断は間違えていなかった。自信が確信に変わる瞬間。

今回特によかったのはつまみの充実振り。前回は正直にぎりは最高だったけど、つまみは弱いなあと感じていたので、この全体を通してのバランスのよさは嬉しい誤算というか。こんな短期間でさらに一段上に行くものなのか。

鮨さいとうって何がすごいのかというと、おまかせをコースとして捉えたときの全体の流れの素晴らしさが他と比較して抜きん出ているってことなんだけど、それに近い水準を今回のおまかせから感じた。個々のネタでは鮨さいとうに勝ってるものもいくつかあるし。値段は鮨さいとうの半値に近い水準なのにね。

今回食べたもの一覧。何か抜けてるかもしれない。

<つき出し>
-なすのおひたし

<つまみ>
眞子鰈
蒸し鮑
鳥貝 ◎
山葵鱈子
鮟鱇肝 ○
帆立磯辺焼き
ねぎま焼き

<にぎり>
小肌
鯛 ○
春子 ◎
鰹 ○
鮪中トロ
鯵 ○
金目鯛 ◎
小柱軍艦
雲丹
穴子塩 ◎


お椀

<酒>
生ビール2杯(ドイツビール)
黒龍3合

で、2万円を余裕で切る価格。やっぱり自腹で江戸前鮨を食べるという基準でこちらの店に敵う店を私は知らない。接待を受けるなら銀座の鮨屋で華やかな空間で食べればいいんだろうけど、こちらの店は支払いに対する納得度が抜群。この食後感でこの値段っていうのが素直に嬉しい。

つまみはどれもよかった。ハイライトは鳥貝。時期ズレだけど、生臭さを排除して甘さを際立たせたものでかなり秀逸。新ばししみづで味わった最高水準の鳥貝にかなり近いもの。これは驚いた。

にぎりは相変わらずの大安定。小柱軍艦は海苔が青空ほど美味しくないこともあって、「まあ、こんあものかなあ」という感じだけど、後は全て納得の水準。前回感動した小肌は時期ズレもあって前回ほどの感動は無かったけど、おぼろを使って必死に抵抗していた仕事振りは相変わらずさすがというか。

にぎりで特によかったのは前回同様に鯵、金目鯛あたりもそうなんだけど、それ以外では穴子。時期がいいというのもあるのかな。4月の写真と比較してもらえば何となく違いが分かるかな。青空のようにやわらかくて舎利を包み込むタイプ。秀逸。

舎利は塩の使い方とかを若干微調整している感じでポジティブな試行錯誤は続いている。

今回、遅い時間に伺ったので杉田さんといろいろお話をする時間があった。向上心があって仕事に対してまっすぐな姿勢は本当に人間的に尊敬出来る。杉田さんの下で働く弟子も大きく育っていくのでは。

同じ時間帯に食べていた感じのよい美男美女のカップルに話しかけられていろいろ話していたんだけど、こちらの店には徒歩で来て、江戸前鮨屋はここしか知りませんと。羨ましいなあ。

このおふたりのように近隣住民の自腹でいいもの食べたいってときの筆頭の候補がこちらの店なんだろうな。銀座の鮨屋とかとは明らかに客層も違って、私はこういう雰囲気も嫌いではない。

近くにマンションを買おうか真剣に考えた夜。私が人生で出会った江戸前鮨屋で一番好きな店。これからの成長も本当に楽しみ。満点。

2010.04

馬喰横山駅から歩くのが一番近い。東日本橋駅からも歩ける。透明のガラスケースからも感じられる街場の寿司屋感。ハレの日に使う店ではないのかもしれない。寿司ネタも銀座の頂上店と比較すると負けるのかもしれない。

でも、出会ってしまった。真摯な江戸前仕事。舎利の抜群の相性。もてなしの心の接客。極めて真っ当なお値段。私が寿司屋に求めるほぼ全ての要素を兼ね備えた奇蹟の寿司屋に。

************************

8,000円のにぎりおまかせと11,000円のつまみからのおまかせの2種。当然のように11,000円を選ぶ。もっと食べたような気もするので何か抜けているのかもしれない。

<つきだし>
-空豆

<つまみ>
眞子鰈
細魚
白魚酒蒸
コノワタの茶碗蒸 ◎
鰆 ○

<つまみ追加>
カラスミ
鮟鱇肝 ◎

<にぎり>
小肌 ◎
鯛 ○
春子昆布〆 ◎
鮪ヅケ ○
鮪中トロ ○
鯵 ○
鰆 ○
平貝
車海老
紫雲丹 ○
穴子ツメ

お椀

<酒>
生ビール1杯(ドイツビール)
黒龍5合

で、2万円を切る支払い。追加もしたし酒も普段よりたくさん飲んでこの支払いなので、これからもこのラインで収まるという安心感。鮨さいとうで3万円、青空で4万円払った人間としてはこのレベルの寿司がこの値段で食べられることが嬉しい誤算。

酒の値付けは高くない。品揃えもまあまあ。日本酒はもうちょっと幅広い価格帯のものがあるといいかなあという印象。

つまみ。

つまみはちょっと弱い部分もある。細魚は青空のほうに味付けで軍配が上がるし、カラスミの酒の肴感でも寿々に勝てない。ただ、コノワタの茶碗蒸は抜群だったなー。コノワタの強い風味と茶碗蒸しの包容力のある優しさが強烈にマリアージュして酒の肴として完璧だった。

にぎり。

最初に食べた小肌で完全にノックアウトされた。人生最高の小肌。ネタが最高なのではない。江戸前仕事を施された小肌として最高。塩の効いた舎利と優しいけれど持続する〆具合のバランスが素晴らしい。

舎利の相性が私の人生で一番。オーダーメイドで作った服のように完璧。大きすぎず小さすぎずのサイズ、舎利自体は固めで握り加減も固すぎず柔らかすぎずで口に入れた瞬間にネタと一体感を持って口の中で広がる。温度も米の銘柄も全部が好み。塩と酢もキチンと主張していて且つ強すぎない。

至高の江戸前仕事。

この立地で最上級のネタを使って最上級の値段で、というのは難しいんだと思う。11,000円のおまかせという制限の中での最上級のネタ。それは妥協、ではない。むしろ至高の江戸前仕事が際立つ形になっている。

素材と真摯に向き合う姿勢。これは美味しいとかの次元ではない。心を揺さぶられる。心意気に対して。

鮪の熟成感のご機嫌さは鮨さいとうに匹敵するもの。春子昆布〆も絶妙な〆具合。衝撃。こんなに素晴らしい寿司職人が馬喰横山にいるんだ。

杉田さんは鮨さいとうの斎藤さんとは一学年下、青空の高橋さんはと同じ年齢の方。接客は極めて誠実で丁寧。いい意味で寿司職人っぽくないというか。給仕や弟子への指示出しも見事。接客面でも不満は一切無し。

私は杉田さんに移転の可能性を聞いた。この場所でこのスタイルで続けて欲しいとの思いからの質問。最初はこだわりがあってこの場所で始めたわけではないけど、今はこの場所が好きと言っていた。

地元から愛される店。でも、地元だけに独占させられない名店。この界隈に住んでいる人が羨ましい。

満点。もちろん完璧の店ではない。でも修行先を超える努力は並大抵のものではない。今の姿勢があれば、この店はさらに成長していくはず。このお店の寿司を食べるために、これからも仕事を頑張ろう。

  • 海松貝(2012/2)
  • 皮剥(2012/2)
  • 皮剥(2012/2)

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4位

中善 (元田中 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.6 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2010/12訪問 2012/07/24

福沢諭吉の可能性

私は大学生の頃、福沢諭吉1枚と別れを告げさえすればご機嫌な空間で極上の料理と酒を簡単に堪能出来るものだと勝手に思い込んでいた。それが大いなる誤解だと分かるまでにそれほど時間は必要ではなかった。

酒飲みの私がそれなりに酒を飲んでキチンとした量の料理を食べてトータルでひとり1万円程度でかなり満足する店。私は富豪ではないのでこのラインでの開拓が中心になる。自腹での普段使いの飲食店という意味で。

ジャンルを問わなければあるにはある。例えば焼鳥であれば鳥しき、鰻であれば友栄、中華であればチャイニーズレストラン わさあたりであればひとり1万円あれば酒込みで満足出来る食事が出来る。

ただ和食はどうか。和食は素材の質がダイレクトに味に反映するカテゴリー。酒で3,000円分くらい飲むとしたら、サービス料やら何やら込みで7,000円程度の料理で果たして居酒屋料理ではなく和食として満足出来る料理が食べられるものなのだろうか。

そんな思いに答えてくれる可能性を持った店だった。私が信頼している複数のレビュアー様が高評価。4,800円、7,000円、10,000円の3択。普段ははじめて行く店の場合は店の持ち味を存分に堪能するために一番高いコースにするんだけど、諭吉の可能性にかけるためにあえて7,000円を選択。

私は河原町からバスで行った。20分弱という感じか。バス停から店までは徒歩1分程度の場所にある。最寄り駅からは若干離れているからタクシーを使うよりもバスをおススメする。抜群のCPを享受するためにも。

ご主人とソムリエールの女性おふたりでの切り盛り。清潔感がある凛とした空間の中でふたりの呼吸が合っている。そして何より女性の明るさがいい意味で場の空気を支配している。私は飲食店の接客において正直これ以上は望まないと言い切れるくらいの素晴らしい接客。

で、さらにすごいのはサービス料が発生しないこと。サービス料と取る数多の京料理の店と比較しても接客においてかなり素晴らしい印象を受けるにもかかわらず。後述するが酒の値付けの安さと合わせて京の良心と呼ぶに相応しい店。

私はこの価格帯の和食ではお造りいらない派(お造りを省略してそれ以外の食材にコストをかけて欲しいということ)なんだけど、こちらの店で供されたお造りは必然性のあるレベル感のものだった。

食材の質にいい意味で強弱をはっきりつけていると思った。料理に対するセンスもさることながら、そのあたりの割り切りも絶妙な印象を受けた。全体の流れの中での強弱にご主人の強い意志を感じた。

最上級だとは決して思わない。ただ、長い修行経験に裏打ちされた京料理として真っ当な出汁でわかるように値段を言い訳にしない丁寧さを感じる料理の数々は満足するのに十分なものだった。

ちなみに7,000円だからといって量的に少ないというわけではない。かなりボリューム感も感じる料理。最後のデザートは女性が作ったものだとの事。ちょっとこれだけ浮いちゃってる気はしないことはないけど、これはこれでありなのかな。

酒の値付けが安い。ワインも品揃えしているのが特徴か。好みを伝えればいろいろ提案してくれる。私は和食にワインを合わせる趣味はないので生ビールのあとは日本酒にしたけどワインが好きな人には面白いのでは。

7,000円の料理と生ビール1杯と日本酒3合で何と10,300円。安!

ミシュラン一つ星掲載以降だったからか日曜日にもかかわらずテーブル席も含め満席だった。テーブル席もあるけど、こちらの店はカウンター席を強くおススメする。カウンター割烹の魅力を存分に味わえる。

私が訪問したことがある東京和食で比較対象になるのは花邑(未レビューだけど★4.5相当)あたりになると思うけど満足度はハッキリとこちらの店に軍配が上がる。夜に酒込み1万円程度でこれだけの食後感を味わえる和食店を私は他に知らない。

もし私が大学生のときにこちらの店に出会っていたら、その後の私の人生はもしかしたら変わっていたかもしれない。これから和食を覚えたいという人におススメできる。最初のデートでこちらの店を選べば、帰りの河原町までのバスでの会話が弾むはずだ。

ご主人は言った。「祇園の半値を目指しています」と。それはただ安さを売りにするということではなく、わざわざこの立地に足を運んでくれた人へのご主人の強い感謝の気持ちなんだ。京料理はまだまだ開拓する必要があるけど、こちらの店の成長を期待することも新規開拓と同じくらい人生の楽しみのひとつになった。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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5位

赤坂 詠月 (赤坂見附、赤坂、溜池山王 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 昼の点数: -

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.6
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥1,000~¥1,999

2014/11訪問 2014/12/25

青き炎

2012.03

再訪。写真を追加。

前回の夜の訪問では箸休め的にコロッケが出てきたりして、よくも悪くも試行錯誤している印象があったが、今回は直球勝負に覚悟を決めた印象を受けた。直球でも客を満足させることが出来るとご主人が認識したのでは。私には極めて真っ当な進化に思えた。食材のコスト以外に妥協が無い、それが何より私が赤坂詠月を好きな理由。カウンターでご主人と女将さんと会話しながら食べる時間がとにかく楽しい。出汁を味わうとご主人の和食に対する想いが理解出来る。何もかもが心地いい。料理のボリューム感は客に対する心意気。それを全力で楽しめばいい。

「炎」というと赤色をイメージすると思う。見た目も赤い炎のほうが熱い気がする。でも実は赤い炎よりも青い炎のほうが温度は高い。まさに「青き炎」を持った料理人。和食の初心者でも上級者でも、全ての人におススメする和食店。料理が美味しくて幸せになり、ご主人と女将さんの気持ちが素敵でさらに幸せになる。これからもずっと訪問したい大好きな店。

■■■
※昼は休止中との事。夜のメニューで穴子茶漬けは要相談。

2011.02

夜に再訪。写真を追加。既に昼は予約無しでは入店が難しい人気になっている。昼の予約は11:45~と13:00~の2回で受け付けているとの事。1,200円で食べられる昼食として最高水準の内容だと思う。

夜は8,400円からのおまかせ中心。単品での注文も出来るし食材の希望や酒飲み放題の設定も追加料金で柔軟に対応するとの事なので、酒の希望を含めていろいろと相談してみるといい。

東京和食に慣れた人には弱く感じるかもしれない出汁の味わい。ただ、京料理を知っている人にとっては、この値段帯の和食でこの淡く深い出色の出汁を味わえることに驚きを感じるのではないか。ご主人は京都の複数の店での修行経験がある。原点は京料理。

まだコースの組み立てとして完全に完成しているとは思わなかった。試行錯誤もしている印象だった。それでいても、出汁の魅力とCPの高さは現時点でずば抜けていると感じた。CPにおいては中善までではないにしても、花邑と同等かむしろ上回っている印象。

和牛コロッケが出てきたりと若干遊びを出そうとしていたが、私はむしろ正統派として当たり前のものを当たり前のように出す方向性に進んで欲しいと思った。東京において1万円割烹で真っ当な出汁を味わえるのは貴重な事だから。

昼も夜も素晴らしい。今は昼が注目されているが、むしろオススメはご主人と女将さんの魅力をいっそう味わえる夜のカウンター。この界隈に地縁がある人は今のうちに常連になっておくべき。

非常に使い勝手のいい店なので知っておくと何かと使える。接待でもデートでも仲間との気軽な会食でも。それほど遠くない時期に夜も簡単には予約出来なくなる気がする。

隣のクラブから音が漏れるのは抜群のCPの高さでカバー出来る。この立地であえて店を開いたのは、自分の料理に対する自信があるから。それが自信過剰にならずにとにかく誠実にこちらに向き合ってくる。

やはり夜も素晴らしかった。これからの成長が楽しみ。

2010.12

真っ当な和食店がある雰囲気の場所ではなかった。会員制クラブが目立つ界隈でフロアの奥のほうにひっそりと佇んでいた。一応1階にはランチの内容が掲示してあるが、知らない人がフラっと入る店ではない。

私は所謂1万円割烹が昼に夜とは違う1,000円程度の軽いランチを出すのはあまり好きではない。それにはある種の割りきりが見えてしまうからだ。要はその店の本気を味わえないというか。その考えを根底から覆されてしまう料理に出会ってしまった。

魂がこもった料理。香の物からご飯にいたるまで全てに全力投球でコストの制限の中で最良のものを出そうと努力しているのがはっきりと伝わってくる。一期一会の真剣勝負。ご主人の本気がとにかく心地いい。

私はご主人がどういう経歴の持ち主なのか全然知らない。でも、料理人は経歴よりも何よりも作った料理を見れば分かる。そういう意味で素晴らしい料理人だと思う。女将さんの接客の真面目な雰囲気も佳い。

昼は穴子茶漬けと本日の定食の2択。どちらも1,200円。

穴子茶漬けを選択。穴子利久造り。定期的に変わる炊いたんと小鉢。香の物。薬味。おかわり自由のご飯と出汁茶。ご飯は最初に穴子を刺身として一緒に食べて、ご飯をおかわりして残りの穴子とともに茶漬けにする流れ。

千利休が胡麻を好んだことから胡麻を使う料理を利久と呼ぶことがある。穴子利久造りはその名の通りで穴子を味噌と胡麻で合えたもの。あまり生の穴子は食べる機会がないけど面白い食感で若干甘めの味噌ともよく調和していた。

「出来たばかりなので若干やわらかいかもしれません」と言われて供されたご飯は過不足ない絶妙な炊き上がりだった。しみじみと日本料理っていいなあ、出汁の力ってすごいなあと感じることが出来る料理。それが1,200円を支払うことによって味わえる。

この類の店が1,000円程度のランチを出すのはくろぎとかもそうなんだけど、有料試食というか、店のエッセンスを少しでも客に伝えて夜の集客につなげたいという思惑があると思う。

そう考えると最高のプレゼンテーションなのでは。ランチとして抜群の完成度を誇ってランチで完結しながら、夜も面白いだろうなあと感じさせる料理。夜は8,400円からのおまかせとのことだが、どんな料理が出てくるのか。

こじんまりした店内でこの値段でこのスタイルで続けられるのか分からない。むしろ客が来すぎてくろぎのように完全予約制になったり、構成そのものを変えてしまう可能性だってあると思う。

だけど、私が1,200円の至福を味わったという事実に何の間違いも無い。そしてその至福は何よりこれからの未来を期待させるものだったというのは食べ終わった後に幸せな余韻に包まれていたことで分かる。

夜の再訪が楽しみな店。

  • 2012/03夜のおまかせ
  • 2012/03夜のおまかせ
  • 2012/03夜のおまかせ

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6位

レフェルヴェソンス (表参道、乃木坂、広尾 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2011/05訪問 2011/05/28

努力する天才

フレンチ評に関して絶大な信頼を置いている敬愛レビュアーじゅあん様の高評価でいつか行きたいと思っていた。素敵メンバーからお誘いを受けての5名でのランチ訪問。GW後半の訪問で席は満席ではなかった。

アクセスが悪い。最寄りの表参道駅でも徒歩10分以上かかる。私はギリギリだったので渋谷駅からタクシーを利用した。でも、そのアクセスの悪さを補って余りある魅力がこのレフェルヴェソンスにはある。

「寄り道」「牧場」「おでかけ」と銘打った3種のコースから選ぶ形。それぞれ4,800円、4,800円、7,500円でサービス料10%が加算される。ロティに興味があったので「牧場」を選択。他のコース内容は店のHPから確認出来る。

特筆すべき料理をいくつか。

■お野菜の一皿

スペシャリテ。4時間の低温加熱により蕪の旨みを最大限引き出す。野菜でここまで素材の真っ当な旨みを感じるのはめったに無い。私が今までの人生で食べてきた蕪のなかで一番美味しかったとはっきり断言できる。

素材と真摯に向き合ったからこそ産まれたメニュー。最初からスペシャリテとして認識していたわけではなく、「お野菜の一皿」のひとつだったのが客の要望で通年で提供しているとのこと。他ではなかなか味わえない。

■信州和牛のロティ

ナイフを自分の好きなものから選べるサービスが面白い。素材の旨みを引き出すという意味では蕪のスペシャリテに負けていない。意図的であるであろう若干やわらかめの食感が単調にならずに和牛を味わうことに寄与する。

■おしゃべりのお供

他の方のレビューを読んだらわかってしまうかもしれないけど、あえてこれはネタバレしない。シェフの過去の思い出を遊び心とレフェルヴェソンスという店名の意味と重ね合わせて昇華させている。これは面白いなあ。

***

グラスワインの提案もよかった。サービスは客本位な姿勢が徹底されていて、且つ固すぎずマニュアル的過ぎない柔軟なところもあって非常に好印象。大事な人との食事でも任せられる安心感がある。

ご挨拶にいらした生江シェフは非常にイケメンな風貌もさることながら、こちらからの質問にも真摯に丁寧に答えてくれる姿勢がとにかく気持ちがいい。変なこだわりを持たずにフラットに素材と向き合っている印象。

4,800円のコースとしての完成度の高さが素晴らしい。夜も素晴らしいんだろうけど、ランチで出し惜しみせずに完結している。客を全方位外交で楽しませる意欲がある。言うなれば、生江シェフは努力する天才か。

またひとり素晴らしいシェフと出会った。フレンチ好きでもそうでない人でもおススメできる店。立地が悪いからこそ、それほど苦労せずに予約できるという利点がある。これからが楽しみなフレンチの名店。

***

アミューズブッシュ

天使海老のポワレ コリアンダーとオレンジのペースト 赤ワインヴィネガーのジュレ 泡立てた海老のジュ 白菜の生ハム風味

お野菜の一皿

待ちわびた春に飛び込んで~ 信州和牛のロティ 、そのジュパースニップのピュレ 、春キャベツ、わさびと葉と茎

空想上のイチゴ畑~ トンカ豆のアイスクリーム焼きココナッツボール 、クランブル 、ライムの泡

おしゃべりのお供

グラスシャンパンとグラスワイン2杯

計8,000円強

  • アミューズブッシュ
  • パン
  • 天使海老のポワレ

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7位

日本料理 晴山 (田町、白金高輪、三田 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2011/09訪問 2011/11/08

未完成のメロディ

とても大切な人との会食。ちなみに恋人ではない。もちろん接待でもない。「日曜日」「美味しい魚を食べられる」「こみいった話をするのでカウンター不可」という先方の諸々の希望にかなう店としての訪問。

岐阜のたか田八祥(未訪)で修行した店主による三田駅が最寄りの和食店。今年の6月にオープンしてから一気に食べログを含む各方面で有名になり、信頼するレビュアー様も概して高評価なので気になっていた。

夜は7,000円、10,000円、15,000円。今回は10,000円を選択。15,000円はゴージャスな食材を惜しみなく使うということなので接待向きか。まずは10,000円の選択がいいのかな。7,000円だと逆にもったいない気がする。

店主はまだ若い。30代前半。若いからといって荒削りの料理というわけではない。1万円和食として極めて真っ当な出汁からもわかるように、基本が出来ている完成度の高い料理の数々。正統派の部類に入る和食。

食材の妙。帆立や雲丹や鯛などいろいろな食材で楽しませてくれたが、一番の皿は晴山のスペシャリテとも言うべきじゃがいものハリハリだった。正統派だからこその面白さがこの皿は突き抜けていた。

ボリュームもしっかり。最後のデザートを含め、外す皿が無い。1万円和食としては私の経験でも五指に入るレベル感。それはやはり出汁がこの価格帯にしては珍しいくらい淡い優しいものであることに起因している。

出色のホスピタリティ。本来であれば、この類の店であれば私はカウンターを好む。でも、今回は諸事情により半個室のテーブル席。「こみいった話があるので、テーブルにしてほしい」との要望に応えての席。

ストレスを一切感じなかったのが何より凄い事で。皿を出すタイミングやら酒を注文したいときに来てくれる間合いとかがいちいち自然で。店主のもてなしの気持ちが全ての人に徹底されているんだなあと。

カウンターだったらもっとダイレクトにそれを感じられるんだろうね。食べログを店選びに使うということは、大前提 として「一見で店に行く」ということだから、そういう意味でも晴山は万人におススメ出来る。

完成度の高さを感じるのと同時に、ある意味矛盾しているんだけど、未完成でここまでのレベル感を生み出す凄みも感じる。例えて言うなら、高校卒業してそれほど経っていないイチローを見た仰木監督の心境というか。

京都には中善という、7,000円で京料理の何たるかを教えてくれる素晴らしい店があるんだけど、それに勝るとも劣らない魅力を持った店が東京の真ん中にある。今のうちに行って常連になっておくべき店。

未完成のメロディが完成したとき、日本でもトップクラスの和食店になっていると思う。それはそれほど遠い時期だとは思わないし、可能性もかなりのものだと期待している。そのときに満を持して満点をつけたい。

  • 帆立
  • 毛蟹の真丈
  • 雲丹と平目

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8位

レストラン バカール (神泉、駒場東大前、渋谷 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.4 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2011/12訪問 2011/11/11

楽しい夢なら醒めないほうがいい

渋谷の松涛にある超人気フレンチ。今回2ヶ月前にお誘いを頂き参加することに。渋谷駅から歩くと10分強。最寄駅は神泉駅。界隈に最近まで住んでいたのに、何故か道に迷って同席者の皆様にご迷惑を掛けてしまった。

私が迷っている間に、皆様がコースのアレンジを決めてくれていて、何も考えずに溢れんばかりのスパークで乾杯。ちなみにこの日は朝の4時まで埼玉の志木で飲んでいて強烈な二日酔いだったので、酒はこの一杯だけ。

5,250円のコースが基本。追加料金を出してメニューを追加したり差し替えたりといったアレンジが出来るのが特徴。ちなみに超絶美味でついついたくさん食べてしまう自家製パンはふたつめからは別途料金かかる。

ソムリエの金山氏に対する感想は料理の雑感の後に記載。

料理の感想はじめ+++

トマトのアミューズは甘味・苦味・酸味・塩味・辛味を味わえるとの触れ込みのキャラメリゼしたプチトマト。写真をよく見ると、切り込みが入っているのが分かるのでは。スタートの提案として面白い。

パンは自家製で特に四角いブリオッシュがおススメ。素晴らしい。実は今回の料理で一番感動したのはパンだったりする。美味しいからといって、調子に乗って食べ過ぎると、後半が苦しくなるので注意。

日本各地から取り寄せた有機野菜とズワイ蟹と蟹味噌のバーニャカウダは濃厚なバーニャカウダソースが特徴。店としても準備が楽だからいいんだろうな。野菜を見本として見せるのがプレゼンとして長けている。

面白かったのはオイスターリーフという野菜で、名前からも想像できる通り、牡蠣の味がするというもの。こういう小ネタも交えながら、ソースの魅力でバカールならではのバーニャカウダに仕上げている。

稚鮎のフリットは追加で。泳いでいるかのビジュアルで、金山氏の「そのままお口まで泳いでいきましょう!」のフレーズが各テーブルで連呼される。笑 つけて食べるバーニャカウダソースに負けない味の強さ。

うなぎとフォアグラのマリアージュ マンゴーのインパクトは非常に分かりやすいメニュー。鰻やフォアグラの濃厚さを前面に出しながらも、マンゴーの真っ直ぐな酸味がうまく調和して非常にバランスよく食べられる。

千葉産太刀魚とタップナードのパート包みビュルゴー家シャラン鴨 胸肉のロースト 黒トリュフのソースは決して悪くはないけど、ソースの味わい含めて、ここでしか味わえない、という感じではないかな。

「意気ごみ」鉄鍋炊きあげご飯は同席した隣の美女にほとんど食べられたのであまり味は覚えていない(笑)。クレームブリュレは凡庸。これは頼むメニューを間違えたかな。ハーブティー生キャラメルで終了。

料理の感想おわり+++

この日は前述の通り、強烈な二日酔いで酒を飲む気分ではなかったため、最初のスパークだけにしたから、1万円以内でおさまったけど、普通に酒を頼んだら1万円をちょっと超える感じかな。酒の値付けはちょっと高い。

で、核心の話。金山氏の接客に関して。ため口接客。まあ賛否両論だろうと。でも、バカールはグランメゾンではなくカジュアルなフレンチである。ここでいうカジュアルなフレンチとはイコールビストロということではない。

対比の妙というか。グランメゾンのかしづくサービスとの対比。だから金山氏のサービスに共感するのは、フレンチにほとんど行ったことがない初心者とグランメゾン含めフレンチに行きまくっている上級者なんじゃないか。

そういう意味で初心者の私は楽しむことが出来た。

料理は全てが素晴らしいというわけではない。でも、それをビジュアルだったりプレゼンだったりで補おうという意思がある。だから、楽しいなあと感じてしまうし、また訪問したいなあとも思ってしまうのだ。

楽しい夢なら、醒めないほうがいい。

  • トマトのアミューズ
  • パン
  • 野菜の見本

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9位

鳥しき (目黒、白金台、不動前 / 焼き鳥)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.4 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2014/11訪問 2014/12/25

一生懸命

2011.04

ミシュラン掲載。食べログで焼鳥ランキングで全国1位。でも変わらない。相も変わらず女将さんの電話応対は心地いい。電話で直前予約を断られても、この対応の誠実さであれば、決して嫌な気分はしない。

もてなしの心、というのとはちょっと違う気がする。一生懸命、というのが適している気がする。18席の焼きに徹しながらも、客の動きをきちんと見ているご主人の臨場感を堪能するだけでも楽しい。そんな空間。

味は以前よりも若干濃い目、強めになった印象がする。酒飲みとしては許容範囲か。以前も書いた「素材を信じた意思のある焼き」は健在。外す串がない。全ての串が最適の状態で供される。

料理の意思ほど酒の品揃えに強い意志を感じないのが残念。ありがちなアッパー系居酒屋のような意思のない品揃えというか。悪くは無いけれど、焼鳥の頂上店として考えると、物足りないと思うのも事実。

材料が残っていれば、お土産を頼む事が出来る。「お弁当」と呼ばれていた。2,200円。見るからに美味しそうなそれを注文しようとしたが、材料がなく頼む事は出来なかった。予約時にお土産をお願いする事も可能。

予約が取り難いのが難点。というか、予約が取り難くて当たり前の店。写真の料理で4,000円程度かな。納得価格でご主人と女将さんの一生懸命を感じながら最高水準の焼鳥を楽しむことが出来る最高の店。満点。

2010.06

当日予約なんて絶対無理な超繁盛店のこちらの店に当日予約の電話。

私「今日行きたいんですが・・・。」
店主「申し訳ございません。生憎本日は予約でいっぱいでして・・・。」

ここまでは想定の範囲内。もちろん諦めない。

私「遅くなってもかまわないので、席があくまで待ちますので・・・。」←かなり健気
店主「時間や席の確保はお約束できませんが、それでもよろしいでしょうか。」
私「家、近くなので大丈夫です。電話もらったらすぐに行きます。」←かなり健気
店主「了解しました。席が空き次第、電話させて頂きます。」

何とか当日予約OK。で、21時過ぎに席が空いた旨の電話がかかってきた。まあ、この日は体が空くのは21時くらいからだったのでちょうどよかった。こんな感じで時間は分からないし日によっては無理な場合があるけれど、何とか当日予約が可能。

食べたもの一覧。木札を見ながらのお好みも出来るけれど、今回はおまかせでの注文。「ストップしてと言うまで出し続けるのでお腹がいっぱいになったら言ってくださいね」というスタイル。

●さび
●血肝
●白玉
●銀杏
●背肝
●合鴨
●つくね
●アスパラ
●波
●砂肝
●ぼん
●膝の軟骨
●小玉葱
●ちょうちん
●はつもと
○焼きおにぎり
○スープ
○お新香

これで5,000円。食べる量によって値段も変動するけれど、普通に食べたら5,000~6,000円くらいに収まると思う。目黒駅すぐの立地でそれなりの設えの空間で昇天・超絶レベルの味の焼き鳥って考えると高いということはないかな。

夜の5,000円の食事でここまで満足感が高いものってほとんどないと思う。変なチェーン系居酒屋とか行っても料理だけで5,000円とか普通にいっちゃうでしょ。それを考えたらもう全然満足度が違う。

何が凄いって焼きが完璧。18席の焼きを大将ひとりで対応していてみるからに大変な感じなんだけど、供された全ての串が万全の焼きの状態だった。ひとつとして違和感があるものが無かった。

素材を信頼している意思のある焼き、というのが一番しっくりくるかな。大将は「ただ焼いているだけですよ」と謙遜するけど、全てにおいて明確な意思を感じる焼き。レアが必要な素材は徹底的にレア。大将の思いが伝わってくる。

特に昇天・超絶レベルのものは、さび、白玉、合鴨、つくね、ちょうちんあたり。そのなかでもちょうちんは別格。ていうか反則。写真にもある通り、黄身と鶏のマリアージュということなんだけど、鮨さいとうで鮪中トロを食べたときに感じる快楽に近い水準というか。数百円でこれが味わえるんだから有り得ない。

酒の話。エビスビール生500円、焼酎グラス500円からと値付けは妥当。飲んだのは生ビールと赤ワイン。Sileni Satyr Pinot Noir(5,000円)。これはもうちょっとだけ安くてもいいかな。やっぱり焼き鳥にはピノ・ノワールがよく合う。クセの無い飲みやすい味で悪くない。

品揃えはもっとこだわって欲しいかな。高いワインも置けばいいのに。

接客の話。焼き鳥屋って人気店では一見お断りだったりマイルールが厳格だったりって店が多いけれど、いろいろな意味で良心的で懐の深い店。女将さんはいつも笑顔での接客だし、大将は見た目強面だけど話しかけると誠実に気さくに会話をしてくれる。

ピークの時間帯はさすがに会話を出来る余裕はないけれど(それでも話しかけたらキチンと対応してくれる)、21時以降のある程度落ち着いた時間帯だと大将の仕事に対する真摯な姿勢が伺える会話が出来て非常に面白い。大将といろいろ会話したい方は遅い時間がおススメ。

デートに使える店。安いし。同じくらいの値段で考えると、例えばコジャレてて雰囲気よくて料理があんまり美味しくないダイニングバーとかの100万倍いい。最初は「えっ?焼き鳥?」って彼女に反応されるかもしれないけど、この美味しさにむしろビビる。「こんなに美味しい店知っているのはタダ者じゃない」と羨望の眼差しに変わるはず。笑

特に最初のデートにいい。最初のデートでいきなり高い店に行っちゃうと、それが基準になってその後の男性の懐が大変でしょう。今後のデートの場所を「安くて美味しくて居心地がいい店」っていう流れに持っていくにはベストの選択。

料理の質。値段。雰囲気。大将・女将の真摯な姿勢。当日予約出来る利便性。。。諸々を考えると私にとって唯一無二の焼き鳥屋ということになる。焼き鳥に関しては新規開拓する必要ないかな。満点。

■■■
※全席禁煙
※客層は6割がカップル、2割が男性サラ・リィ・マン、1割が女性同士といった感じ

  • 2011.04
  • 2011.04
  • 2011.04

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10位

うなぎ亭 友栄 (風祭、入生田 / うなぎ、日本料理、すっぽん)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 昼の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 ¥4,000~¥4,999

2014/06訪問 2014/12/25

桃源郷

2011.02

鰻重を食べるという目的だけではなく日本酒を愉しむという目的もあれば、友栄がさらに輝く。青うなぎの割きたてのきもは数量限定なので、店の予約をしたときに一緒に予約するのがいい。

肝の癖のある濃厚さを甘めのタレと包容力のある朱雀卵の黄身が受け止める。日本酒や焼酎と一緒であればこの絶妙なバランスに気がつくはず。酒を飲むための至高のメニュー。これは必食。

鰻の塩辛も面白い。とにかく辛くショッパイ味わいが日本酒を愉しんでいくうちに不思議と交わってくる。決して素面のときに頼むメニューではないと思うが、大人数の時にみんなで軽くつまむ感じで面白いのでは。

白焼きは山葵との相性がいい。鰻重は若干タレの甘みが強いかなと感じるも最高水準レベル。鰻を食べる店としても、日本酒を愛でる店としても素晴らしい。接客も高く評価できる神奈川が誇る名店。

2010.10

箱根に遊びに行くときには「必ず」寄る鰻屋。

最初は車で東京方面から箱根に向かうときにちょうど便利な場所にあるから訪問した。西湘バイパスの箱根口ICを降りてすぐの場所にある。すぐに大きな看板が見えるからそれほど迷わないと思う。

現在の食べログのレーティングは立地の妙での過大評価と思う向きもあるかもしれない。でも私が感激してやまない友栄が友栄たる所以は主に供する料理と接客において一貫してブレないことである。

個に向き合う接客。

私は今まで流行るが故に接客が雑になり総合的な評価を落としてむしろ没落していった飲食店をいくつも見てきた。驕りや慢心。友栄が素晴らしいのは接客においても雑な要素が無く子供を含めた鰻に興味を持って訪問した全ての客に真っ当に向き合うこと。

完璧な接客というわけではない。でも、給仕をまとめ上げる人物がかなり優秀なことでチームとして機能している。全員で力をあわせて客をもてなそう、そういう気持ちが伝わってくる。

鰻の焼き加減など細かい注文も事前の予約時に受けてくれる。これだけの繁盛店でありながらもひとりひとりの要望に最大限応えようという姿勢。普通はありえないと思う。それは媚びではない。自信があるからこそ。

老若男女のための鰻重。

最初に鰻重を食べたときに他ではあまり味わえないやわらかさ故に「蒸しすぎかな?」と思った。でも次の訪問で全く同じ食感だったときに気がついた。友栄で使っている青うなぎの魅力を最大限引き出すこと、箱根に近い立地から老若男女に愛される全体最適を考えること。このふたつを考慮した鰻であることに。

ブレが無い。何回食べても同じ。料理は機械ではないから当然ズレが生じる可能性はある。でもこれだけの人気がありながらひとつひとつの料理を大事にする姿勢があるからこその一貫性。まずはこの食感を味わった上で自分の好みがあれば伝えればいい。

タレも甘さと濃さが違和感を持たないギリギリの範囲で寸止めしている。鰻を普段食べない子供が食べても鰻を食べつくした食通の親父が食べても満足出来るタレ。これは簡単に出来るものではない。

魅惑的な酒の肴。

酒の肴になる珍味類も豊富。売り切れる可能性があるので予約の際に欲しいものを伝えておくのがいい。割きたてのきもがますはオススメ。山椒をかけて食べると日本酒との相性が最高。鰻の塩辛なんてメニューもある。

桃源郷。

行くときはいつも車で自分が運転しているので友栄で酒を飲んだことはないんだけど、平日の昼間とかに電車で来てゆるゆると酒飲んだら本当に最高だろうな。まさに桃源郷というか。これは近いうちに必ず実行したい。

予約がびっしり詰まっている店だけど、予約の回しをタイトにはしていないので酒をゆるゆると飲む余裕がある。友栄に来たら鰻重だけではなく是非一品料理も味わってほしいと思う。

私はこれからの人生で何回箱根に行くことが出来るだろうか。味だけで判断するならば友栄を上回る店はあると思う。私にとって総合的な要素において友栄を超える鰻屋に出会うことが出来るだろうか。

  • 青うなぎの割きたてのきも
  • 鰻の塩辛
  • 鰻重(1種類のみ)

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