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お通し
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お造り
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季節の揚げ物
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比内地鶏
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比内地鶏の鶏さし(800円)
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旬の魚介料理
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季節の野菜料理
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豆腐料理
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店主の手打ち蕎麦
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おまかせ日本酒
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おまかせ日本酒
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おまかせ日本酒
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おまかせ日本酒
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外観
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外観
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外観
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生まれて初めて秋田県に足を踏み入れた。これで47都道府県のうち訪問したことがないのは山口県と島根県だけになった。仕事で秋田に行くことが決まったとき、その仕事の成功よりも何とか空き時間を作って酒盃に行く事ができるかどうかで頭の中でいっぱいだった。そんな熱い思いが通じたのかどうか、何とか夜に自由時間が作れることになった。訪問日の一週間くらい前に店に予約電話をした。「その日は既に予約でいっぱいで・・・」との予想外の返答に目の前が真っ暗に。落胆して「その日だったら遅い時間でも大丈夫なんですが・・・」と粘ると、早い時間の客が帰ったら席を作ってくれるという。「状況をお伝えしますので、20時頃に電話ください」と。
秋田訪問の日。思いのほか仕事が早く終わったので、酒盃に行くまでの時間が手持無沙汰に。秋田有数の繁華街である川反に繰り出す。まだこの時間はほとんどの店が開いていなくて、たまたま開店しているのを見つけたムーンシャインというバーを訪問。ウイスキーに対しての愛があるとても素晴らしいバー。バーテンダー氏からの「次どこに行くんですか?」と問いに「酒盃」と答えると、「酒盃は大好きで先週の金曜日も行きました。日本酒を楽しむという意味では最高の店です」との言。とても嬉しくなった。最高の食前酒だった。20時頃に電話をすると、「お席出来てますのでいつでも大丈夫です」と。はやる気持ちを抑えてタクシーに乗った。
まず建物がスゴイ。秋田駅からそう遠くないこの場所によくこんな風情がある木造建築があるよなあと。で、玄関。ハリボテ感が微塵もない外観と同じベクトルでの空間。下足入れには予約時に伝えた私の名前が。ちなみに帰るときには下足入れから出されて履きやすいように靴が置いてあった。店主はHPに「当たり前のことを30年間続けてきた」と書いている。客に対して妥協なく考えることを「当たり前」と定義する矜持に心揺さぶられる。事実、私はこの日の接客に関して違和感を感じることがなく気持ちのいい時間を過ごすことができた。これだけの人気店でありながら、慢心がない。常に目の前の仕事に全力投球。で、笑顔がある。マニュアルだけではない個人店の魅力がある。
カウンター。臨場感があってとてもいい。訪問人数にもよるのだろうが、選択の余地があるならば店主との会話もできるカウンターをおススメしたい。料理は自由に選ぶことも出来るし、おまかせで頼むことも出来る。今回は4,000円のおまかせ(お通し、お造り、季節の揚げ物、比内地鶏、旬の魚介料理、季節の野菜料理、豆腐料理、店主の手打ち蕎麦)に比内地鶏の鶏さし(800円)を注文。酒は最初に生ビールで、それからはおまかせで料理に合わせての日本酒(半合)をお願いした。お通しはカルト、コース問わず最初に出てくる。これがとっても協力。日本酒が飲みたくてしょうがなくなる。ちなみにビールは生の普通のサイズのほかにひとくちビールというのもある。そういう配慮も嬉しい。
酒も料理も地産地消。日本酒を楽しむための店。それでいて料理の質が極めて高い。料理の量はそれほど多くない。量より質。日本酒を主にとらえて、日本酒のアテとして最高の料理の数々。私はウイスキーやカクテル、場合によってはワインも酒単体で飲む事が出来るが、日本酒は絶対に料理と合わせたい。素晴らしい日本酒を飲んだとしても、料理が貧弱であれば魅力は半減してしまう。そういう意味で期待に応えてくれる店は実はそれほど多くはない。ワインの品揃えが優れたワインバーは素晴らしいかもしれないが、日本酒の品揃えが優れた店がイコール素晴らしい店ではない。だから、日本酒が好きな私は「日本酒に合う可能性がかなり高い」鮨屋によく行くのかもしれない。
まずお造りで驚愕。居酒屋で出てくるレベルではない。山葵の刺身は美味しいと思っていたけど、あきらかにそれ以上。昆布〆の〆仕事が素晴らしい。季節の天ぷらは穴子とそら豆。んー、この価格帯の店でこんなに美味しい穴子の天ぷらって食べたことあるかなあ。しかも酒にめちゃくちゃ合うんだよなあ。秋田の酒の特徴を理解したうえで、それに合う食材や調理方法を徹底している感じで。これがまさに「当たり前」の話なんだろうけど、巷で「郷土料理」を謳う店でそれが徹底出来ている店ってあんまりない。どうしても郷土料理が勝っちゃうというか、自己満足になっちゃうというか。酒盃の料理はそういう感じが一切ない。
比内地鶏の鶏さし(800円)は必ず注文するべき。隣に座った常連の方から強くおススメされたので注文したけど、もうこれを食べながら日本酒を楽しんでる時間が幸せでしょうがない。これも極めて質が高い。旬の魚介料理は雲丹の使い方が面白い。季節の野菜料理はトマトやトウモロコシといった素材の質を感じられるもの。豆腐料理の豆腐は自家製。店主の手打ち蕎麦も期待以上。ここで蕎麦が出てくるのは有難いんだよね。そうじゃないと酔った勢いでラーメン屋行っちゃうから。笑 蕎麦は居酒屋で供されるものとしては最高水準ではないかと。まあここは蕎麦屋ではないので、蕎麦屋の頂上店と比較するとどうかという話はあるけど。
大満足。酒も料理も。日本酒はおまかせで半合でいろいろ出してくれるのがいい。半合は一合の半分の値段というのも良心的。純米大吟醸が一合1,000円、純米吟醸が一合800円あたりでの値付け。もちろん秋田の酒。ここでしか飲めない希少な酒もある。秋田の酒っていうのは、どちらかというと米の旨味、甘味が前面に出てくるものが多くて、その強さに負けない料理が出てくる。派手な料理ではない。でも手を抜かずにきちんと仕事しているのが分かる料理。前述の通りで量より質なので、居酒屋に量を求める人にとっては合わないかもしれない。私は量より質を求めるので、そういう意味でも非常に相性がいい。
一見の私にも私の名前を呼んで気軽に話しかけてくれる店主の真摯な姿勢に心揺さぶられながら、美味しい日本酒を飲んで帰りたくないなあと強く思う私がいた。私は秋田県の事をよく知らない。でも、秋田の地産地消を謳う酒盃の素晴らしさを堪能して、秋田の事が大好きになった。酒も料理も空間も接客もCPも何もかもが素晴らしい。私がこれから秋田にどれだけ訪問するかわからないが、むしろ酒盃に訪問する事が目的で交通費を使っても惜しくない、そんな気持ちすら持っている。日本酒の魅力を再認識させてくれた。秋田の宝。世界一の居酒屋。満点。