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日々是温泉並酒食也…
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高天乃葉綴 認証済
この口コミは、高天乃葉綴さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数:4.2
昼の点数:4.2
2009/06 訪問
活き毛蟹と鰻と海鮮のコース料理にお酒の持込み
仕事が終わって帰宅する経路を、新宿経由にしてロマンスカー利用の際は、月に5回程度、こちらに訪問していました。新宿西口で見つけた、酒食を満喫する中では、最上位のおもてなしを提供していたお店になります。看板と箸袋には、うなぎ(鰻)つるだ、と記載されています。既に、数年前に閉店している為、現在この場所は、別のお店に変わっていて、二度と訪問する事は出来ません。テナントビルでの営業ですが、お店の大将は権利金を払ってこちらの場所を所有していますが、家賃は発生すると言う、昔の店子制度の様なシステムで、お店を運営してます。現在、別の方が飲食店を営業されていますが、営業権の譲渡や、賃貸契約に関わる詳細は判りません。通い詰めていた当時の、普通のお店では出会わない思い出を、こちらに残しておきます。初訪問は、取引先へ向かう途中、お昼休み時間になっていたので、お昼ご飯を食べる事にしました。訪問先のビルの向かいに、こちらのお店の看板を見つけて、佇まいにピンッと来たので入店しました。午前12時過ぎた頃で、お店の中には先客は一人も居なかったので、カウンター席の入り口近くに着座しました。カウンターの上の天井に近い木製の壁に、手書きのお品書きが貼って有り、鰻重の松竹梅が目に入ったので、お店の実力を見ようと、松を注文しました。鰻重には、松、竹、梅、とく、特上が有り、鹿児島県産の養殖、活鰻を使用していて、大きさと身の厚さで値段が変わり、とくは鰻がお重いっぱいに入っていて、特上は、鰻がご飯の中と上に、二段になって入っています。こちらのお店の凄いのは、夫婦二人で切り盛りしていても、出前の注文を受けていて、多い時では50個位を近くのお得意さんへ、交代で配達していました。開店当時から暫くは、出前の注文が沢山入って来たので、配達係りのアルバイト2名を雇っていて、女将さんのお母さんがお手伝いに来ていたそうです。大将は、女将さんのお兄さんが経営していた参宮橋の有名料亭で修業をされた方なので、日本料理についてはかなり腕を磨いていて、独立する際に、色々考えた結果、うなぎ割烹料理屋として開業したそうです。鰻重を注文する時は、特上、とく、竹、は、鰻の枚数が多いか、大きさが違うか、身が厚いか薄いかの違いなので、こちらは注文した事が一度も有りません。梅については、夜のコース料理の最後に出て来ますので、こちらも注文した事が無い為、最もリーズナブルに感じた、松だけの評価になります。お昼ご飯時は、刺身定食や焼魚定食等も有りますが、一度も注文する事は有りませんでした。カウンター内の厨房には、炭火焼き用の大きい調理器具が壁際に置かれていて、焼物全般はこちらで焼いて出されます。鰻の下処理は、朝、鮮魚問屋から届いた、活鰻を背開きにしてから蒸して、脂を落として有ります。その時に入荷した活鰻の大きさを見て、どの鰻重に使うか判断しています。注文が入ってから焼き始める為、出て来る迄には少し時間が掛かります。通い慣れて来た頃には、お店を訪問する15分前位に、電話を入れて、松を注文していましたので、到着する頃に出来上がっています。大将の火の入れ具合は絶妙で、何度も返しながら、継ぎ足しのたれに潜らせて仕上げます。暫く、お茶を飲みながら、先に出された冷や奴と香の物を頂きながら待ちました。お重にご飯が盛られて、鰻のたれを掛けて、焼き上がった鰻を載せて蓋を載せてから、肝吸いと一緒に出て来ました。蓋を開けて食べ始めました。箸で鰻の身を切ろうとした時、久し振りのふっくら焼き上がった時の、箸の重みで刺さっていく感覚が有りました。そのままご飯まで一緒に切り分けて、一口サイズ位にして頬張りました。今まで食べて来た鰻重の中では、上位に入る鰻の風味と、たれとご飯の相性の良さ、噛んだ時の身の解れ方に、感動してしまいました。鰻屋さんは、老舗から名店含めて数多くのお店を食べ歩きましたが、松に関しては、価格と仕事の丁寧さでは、最もリーズナブルな鰻重でした。お昼を過ぎて、お客さんが数名入って来ましたが、ご夫婦で営業されているので、大将は調理に掛かりっきりですが、女将さんは手が空くと話し掛けて来ます。軽く雑談をしながら、鰻重の仕上がりに感動した事を伝えると、養殖の活鰻を、毎朝締めて仕込んでいるのと、使用しているお米は、新潟県魚沼産のこしひかりでも、人間国宝の方が栽培している、最高級米を炊いて出しているので、全体のバランスが他のお店とは違うと言ってました。通う様になってから、酒食の締めで塩握りを作って貰って、何回か食べましたが、お米の旨さが尋常では無い位際立っていました。カウンター席の奥にテーブル席が、大小2卓在りますが、どちらの席のテーブルの上にも、お品書きは置かれておらず、壁に2枚だけ女将さんが筆で書いた、お品書きが貼られています。興味が湧いたので、夜に提供している料理について聞いてみました。基本的に、壁に貼って有る物を出していますが、その他に、予約すればコース料理を出しているとの話が出て来ました。コース料理は、1人前¥5,000.-からで、追加料理を注文する場合は、その分が加算されるとの話でした。この後、他店では殆ど許可していない、驚きの話をされました。コース料理を注文したお客さんは、最初に瓶ビール1本を注文してくれたら、自分の好きなアルコール類やソフトドリンク類を、自由に本数無制限で持ち込めるとの話をされました。女将さん曰く、お店が狭いので色々な銘柄の日本酒や焼酎等を、置いておく場所も無い為、キリンラガービールと焼酎の二階堂のみは置いているとの事でした。好きな銘柄や、日本酒、焼酎、ワイン、ウィスキー等、料理に合わせて呑みたい人には、持ち込みを許しているのだと言ってました。予約客はかなり多くて、お店の収容人数の少なさと、大将一人の調理の限界からか、カレンダーには予約済みの○が沢山書き込まれていました。鰻重と肝吸いを頂いて、箸袋を貰って帰って、この日はお店を後にしました。暫く日を置いて、夜ご飯を食べに、予約してから訪問する事にしました。電話で、お酒の持ち込みについて再確認をしてから、当日は、訪問前に新宿ハルク横の酒屋さんで、地酒の四合瓶を2本購入して向かいました。お店に到着して入り口を潜ると、カウンター席、テーブル席共に、予約したお客さんでいっぱいになっていて、かなり賑やかに盛り上がっていました。空けておいてくれたカウンター席に着座して、1種類しか置いていない、キリンラガービールを1本注文して、女将さんにグラスに注いで貰ってから、女将さんに返杯する儀式を経て呑み始めました。瓶ビールは、返杯しながら呑んでいるので直ぐに無くなり、酒屋で購入してきた地酒の封を切って、料理と一緒に酒食を始めました。写真は一度も撮影していない為、美味しい料理や地酒の数々は一枚も投稿出来ません。コース料理先付けうな玉と魚卵の甘辛煮のれそれの酢の物お造り旬の海鮮数種盛り鮪の赤身、中トロしめ鯖赤貝平貝焼き物自家製鰆の西京味噌焼き椀物肝吸い茶碗蒸しご飯鰻重 梅冷や奴又は湯豆腐の自家製ぽん酢かけ香の物漬け物3種ご飯の鰻重と肝吸いと、豆腐と香の物に茶碗蒸しは、必ず出て来ますが、それ以外の料理は季節毎に食材の内容が変わります。新鮮な鰻の肝が手に入った時だけ、普段は出していない、常連さんのみで鰻の肝焼きを提供してくれる時が有ります。一品料理も、訪問した際に大将に何が有るのか聞けば、様々な物が提供されます。海鮮が苦手な人が訪問する際は、特別料理として、料亭等で見掛ける、真ん丸の鶏皮で包まれた絶品の唐揚げや鶏の照焼き重等を出してくれます。基本コース以外で注文出来る料理として、活き毛蟹や活き鱈場蟹等の活き蟹料理が有りました。女将さんのお兄さんが、蟹専門の仲卸で働いていた事も有り、蟹については、物凄く良い活きた物を仕入れて、料理を提供する前に茹でて、捌いてお皿に盛り付けて出されます。本当の話とは思えずに聞き流していた中に、予約のお客さんからの注文を受けて、活きタカアシ蟹も出した事があるとの事でした。毛蟹は北海道産の春期に水揚げされる物が美味しいと、大将が勧めてくれた物を何度か注文しています。一杯¥12,000.-程度の、かなり身の詰まった、蟹味噌もたっぷり入った大きな毛蟹を、綺麗にお皿に盛り付けて、自家製の蟹酢で頂きました。コース料理には、最後に鰻重の身の小さめの薄い、梅が出て来ますので、食べ終わる頃にはお腹が膨れて苦しいです。基本コース料理を頂いた時の平均支払額は、コース料理とキリンラガービール代で、¥6,000.-弱、それに、酒屋で購入した地酒代になります。ふらりと予約無しで訪問する時は、手持ちで地酒の四合瓶2本を持参して、お店の保冷ケースを借りて、地酒を冷しておいて、空いてる席に着座します。直ぐに料理の注文をします。一品料理鰻の白焼き刺身盛りキリンラガービールは、女将さんに一言告げてから、勝手に保冷ケースからグラスと一緒に出して、栓を抜いて一気に呑み干します。刺身盛りが出されてから、鰻の白焼きが出て来るので、それに合わせて、地酒を保冷ケースから出して、専用のデカンタを借りて、移し替えてから酒食を始めます。その後に、仕入れた新鮮な魚の中から焼き物、常連さんだけのメニュー、鰻重を注文して締めます。仕入れた魚の焼き物常連さんだけの、具入り湯豆腐と自家製ぽん酢自家製ポン酢は、絶品で、たまに分けて貰って自宅用に使用していました。鰻重 松コース料理よりは、かなり割高にはなりますが、好きな料理だけ選んで頂く方が、お腹の膨れ具合も、持ち込んだ地酒との兼ね合いも良いので、食べ慣れて来てからはこの構成で頂いてました。次の日が休みの時などは、お土産に鰻重の松を注文して、持ち帰ってから冷蔵庫に入れて、翌日に器に移して、電子レンジで加熱して頂いてましたが、冷めても美味しいので、夜食に食べたり、帰りのロマンスカー車内で食べたりしてました。夜の酒食はこのお店だけで、長い期間掛けて、300回を超える位訪問していました。女将さんと大将含めた常連の方達とは、何年も、お盆やお正月になると、伊豆や箱根の定宿に泊まりに行って、シュノーケリングや海水浴や、箱根温泉に浸かって、ご当地グルメも満喫していました。いつも安心して酒食が出来て、自分の好きな地酒や芋焼酎やワインを持ち込んで、旬の海鮮と一緒に楽しめるお店でした。こちらのお店で空けた、持参した四合瓶、一升瓶、フルボトルの数は三桁に上っています。年に数回、高級芋焼酎、伊佐美の一升瓶を入手した時には、女将さんから声が掛かるので譲って貰って、店内にボトルキープして酒食を満喫してました。こちらのお店には、誰でも聞いた事のある企業や財団法人や医療関係の方達など、かなり羽振りの良い人達や、接待で訪問する社用族の方達が、昼も夜も酒食を堪能していて、その方達から、経験談を聞くだけでも面白かったです。特に、面白かったのは、ある会社の中堅社員が、社長を連れて訪問した際に、畏まって、狭くて汚いお店ですが出される料理は美味しいんですと、コース料理を食べ終わる頃に社長に言いました。すると、その社長さんが放った一言。何故、軽井沢の様な海から離れた場所に、新鮮な海鮮が食べられるお店が在るか判るかと言ってから、それは獲れる場所に近いからでは無くて、旨い物を求める、金持ちが集まる場所だからと言いました。言われた中堅社員の方は、理解出来た様な出来て無い様な、キョトンとした顔で、恐縮していました。確かに、こちらのお店で提供しているサービスや料理の拘りは、普通に酒食をされている方には分らない事が多く、ふらりと席に座って鰻重の梅を食べて、何も言わずに帰って行くお客さんも多く見掛かけました。お客さんが帰った後に、竹と梅は身も小さくて薄いので、松を食べて貰いたいのだけれど、お客さんの懐具合も有るから、お品書きには載せて提供しているとの話を、良くされていました。お店の近くには、有名校への進学率が高い個人指導塾が幾つか在って、そちらで講師を務めている羽振りの良い方が、頻繁に訪問しては、鰻重の美味しさを絶賛していました。女性で日本酒と海鮮料理が好きな、1人呑みのお客さんも何人か足繁く通っていました。大抵は、一度誰かに連れて来られてからお酒の持ち込みが出来ると聞いて、コッソリ一人で訪問したりしていて、良く隣同士になって会話したりしてました。女将さんは、夜の営業が終わる頃に、海鮮や肉等を使って、自分たちのまかない料理を調理して絶品の物ばかり食べるのですが、こちらがお腹いっぱいで苦しんでいても、良くお相伴に預かって、別腹で頂いていました。現在も、色々なお店に訪問しては、酒食を楽しんではいますが、こちらのお店の様なサービスを提供している場所は、殆ど見掛ける事は無いので、寂しい限りです。料理は美味しいけれど、お酒の品揃えが少ない、お酒の品揃えは多いけれど、それに合わせる料理が少ない等、お店毎に一長一短が有りますが、こちらのお店は、料理は絶品で、合わせるお酒は自分で買って来て合わせる事が出来ます。記事がかなり長くなりましたが、備忘録として残れば嬉しいです。
2018/04/19 更新
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夜10時以降入店OK
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家族・子供と
デート
女子会
合コン
大人数の宴会
接待
一人で入りやすい
知人・友人と
禁煙 分煙を含む
喫煙可
ワインあり
日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
仕事が終わって帰宅する経路を、新宿経由にしてロマンスカー利用の際は、月に5回程度、こちらに訪問していました。
新宿西口で見つけた、酒食を満喫する中では、最上位のおもてなしを提供していたお店になります。
看板と箸袋には、うなぎ(鰻)つるだ、と記載されています。
既に、数年前に閉店している為、現在この場所は、別のお店に変わっていて、二度と訪問する事は出来ません。
テナントビルでの営業ですが、お店の大将は権利金を払ってこちらの場所を所有していますが、家賃は発生すると言う、昔の店子制度の様なシステムで、お店を運営してます。
現在、別の方が飲食店を営業されていますが、営業権の譲渡や、賃貸契約に関わる詳細は判りません。
通い詰めていた当時の、普通のお店では出会わない思い出を、こちらに残しておきます。
初訪問は、取引先へ向かう途中、お昼休み時間になっていたので、お昼ご飯を食べる事にしました。
訪問先のビルの向かいに、こちらのお店の看板を見つけて、佇まいにピンッと来たので入店しました。
午前12時過ぎた頃で、お店の中には先客は一人も居なかったので、カウンター席の入り口近くに着座しました。
カウンターの上の天井に近い木製の壁に、手書きのお品書きが貼って有り、鰻重の松竹梅が目に入ったので、お店の実力を見ようと、松を注文しました。
鰻重には、松、竹、梅、とく、特上が有り、鹿児島県産の養殖、活鰻を使用していて、大きさと身の厚さで値段が変わり、とくは鰻がお重いっぱいに入っていて、特上は、鰻がご飯の中と上に、二段になって入っています。
こちらのお店の凄いのは、夫婦二人で切り盛りしていても、出前の注文を受けていて、多い時では50個位を近くのお得意さんへ、交代で配達していました。
開店当時から暫くは、出前の注文が沢山入って来たので、配達係りのアルバイト2名を雇っていて、女将さんのお母さんがお手伝いに来ていたそうです。
大将は、女将さんのお兄さんが経営していた参宮橋の有名料亭で修業をされた方なので、日本料理についてはかなり腕を磨いていて、独立する際に、色々考えた結果、うなぎ割烹料理屋として開業したそうです。
鰻重を注文する時は、特上、とく、竹、は、鰻の枚数が多いか、大きさが違うか、身が厚いか薄いかの違いなので、こちらは注文した事が一度も有りません。
梅については、夜のコース料理の最後に出て来ますので、こちらも注文した事が無い為、最もリーズナブルに感じた、松だけの評価になります。
お昼ご飯時は、刺身定食や焼魚定食等も有りますが、一度も注文する事は有りませんでした。
カウンター内の厨房には、炭火焼き用の大きい調理器具が壁際に置かれていて、焼物全般はこちらで焼いて出されます。
鰻の下処理は、朝、鮮魚問屋から届いた、活鰻を背開きにしてから蒸して、脂を落として有ります。
その時に入荷した活鰻の大きさを見て、どの鰻重に使うか判断しています。
注文が入ってから焼き始める為、出て来る迄には少し時間が掛かります。
通い慣れて来た頃には、お店を訪問する15分前位に、電話を入れて、松を注文していましたので、到着する頃に出来上がっています。
大将の火の入れ具合は絶妙で、何度も返しながら、継ぎ足しのたれに潜らせて仕上げます。
暫く、お茶を飲みながら、先に出された冷や奴と香の物を頂きながら待ちました。
お重にご飯が盛られて、鰻のたれを掛けて、焼き上がった鰻を載せて蓋を載せてから、肝吸いと一緒に出て来ました。
蓋を開けて食べ始めました。
箸で鰻の身を切ろうとした時、久し振りのふっくら焼き上がった時の、箸の重みで刺さっていく感覚が有りました。
そのままご飯まで一緒に切り分けて、一口サイズ位にして頬張りました。
今まで食べて来た鰻重の中では、上位に入る鰻の風味と、たれとご飯の相性の良さ、噛んだ時の身の解れ方に、感動してしまいました。
鰻屋さんは、老舗から名店含めて数多くのお店を食べ歩きましたが、松に関しては、価格と仕事の丁寧さでは、最もリーズナブルな鰻重でした。
お昼を過ぎて、お客さんが数名入って来ましたが、ご夫婦で営業されているので、大将は調理に掛かりっきりですが、女将さんは手が空くと話し掛けて来ます。
軽く雑談をしながら、鰻重の仕上がりに感動した事を伝えると、養殖の活鰻を、毎朝締めて仕込んでいるのと、使用しているお米は、新潟県魚沼産のこしひかりでも、人間国宝の方が栽培している、最高級米を炊いて出しているので、全体のバランスが他のお店とは違うと言ってました。
通う様になってから、酒食の締めで塩握りを作って貰って、何回か食べましたが、お米の旨さが尋常では無い位際立っていました。
カウンター席の奥にテーブル席が、大小2卓在りますが、どちらの席のテーブルの上にも、お品書きは置かれておらず、壁に2枚だけ女将さんが筆で書いた、お品書きが貼られています。
興味が湧いたので、夜に提供している料理について聞いてみました。
基本的に、壁に貼って有る物を出していますが、その他に、予約すればコース料理を出しているとの話が出て来ました。
コース料理は、1人前¥5,000.-からで、追加料理を注文する場合は、その分が加算されるとの話でした。
この後、他店では殆ど許可していない、驚きの話をされました。
コース料理を注文したお客さんは、最初に瓶ビール1本を注文してくれたら、自分の好きなアルコール類やソフトドリンク類を、自由に本数無制限で持ち込めるとの話をされました。
女将さん曰く、お店が狭いので色々な銘柄の日本酒や焼酎等を、置いておく場所も無い為、キリンラガービールと焼酎の二階堂のみは置いているとの事でした。
好きな銘柄や、日本酒、焼酎、ワイン、ウィスキー等、料理に合わせて呑みたい人には、持ち込みを許しているのだと言ってました。
予約客はかなり多くて、お店の収容人数の少なさと、大将一人の調理の限界からか、カレンダーには予約済みの○が沢山書き込まれていました。
鰻重と肝吸いを頂いて、箸袋を貰って帰って、この日はお店を後にしました。
暫く日を置いて、夜ご飯を食べに、予約してから訪問する事にしました。
電話で、お酒の持ち込みについて再確認をしてから、当日は、訪問前に新宿ハルク横の酒屋さんで、地酒の四合瓶を2本購入して向かいました。
お店に到着して入り口を潜ると、カウンター席、テーブル席共に、予約したお客さんでいっぱいになっていて、かなり賑やかに盛り上がっていました。
空けておいてくれたカウンター席に着座して、1種類しか置いていない、キリンラガービールを1本注文して、女将さんにグラスに注いで貰ってから、女将さんに返杯する儀式を経て呑み始めました。
瓶ビールは、返杯しながら呑んでいるので直ぐに無くなり、酒屋で購入してきた地酒の封を切って、料理と一緒に酒食を始めました。
写真は一度も撮影していない為、美味しい料理や地酒の数々は一枚も投稿出来ません。
コース料理
先付け
うな玉と魚卵の甘辛煮
のれそれの酢の物
お造り
旬の海鮮数種盛り
鮪の赤身、中トロ
しめ鯖
赤貝
平貝
焼き物
自家製鰆の西京味噌焼き
椀物
肝吸い
茶碗蒸し
ご飯
鰻重 梅
冷や奴又は湯豆腐の自家製ぽん酢かけ
香の物
漬け物3種
ご飯の鰻重と肝吸いと、豆腐と香の物に茶碗蒸しは、必ず出て来ますが、それ以外の料理は季節毎に食材の内容が変わります。
新鮮な鰻の肝が手に入った時だけ、普段は出していない、常連さんのみで鰻の肝焼きを提供してくれる時が有ります。
一品料理も、訪問した際に大将に何が有るのか聞けば、様々な物が提供されます。
海鮮が苦手な人が訪問する際は、特別料理として、料亭等で見掛ける、真ん丸の鶏皮で包まれた絶品の唐揚げや鶏の照焼き重等を出してくれます。
基本コース以外で注文出来る料理として、活き毛蟹や活き鱈場蟹等の活き蟹料理が有りました。
女将さんのお兄さんが、蟹専門の仲卸で働いていた事も有り、蟹については、物凄く良い活きた物を仕入れて、料理を提供する前に茹でて、捌いてお皿に盛り付けて出されます。
本当の話とは思えずに聞き流していた中に、予約のお客さんからの注文を受けて、活きタカアシ蟹も出した事があるとの事でした。
毛蟹は北海道産の春期に水揚げされる物が美味しいと、大将が勧めてくれた物を何度か注文しています。
一杯¥12,000.-程度の、かなり身の詰まった、蟹味噌もたっぷり入った大きな毛蟹を、綺麗にお皿に盛り付けて、自家製の蟹酢で頂きました。
コース料理には、最後に鰻重の身の小さめの薄い、梅が出て来ますので、食べ終わる頃にはお腹が膨れて苦しいです。
基本コース料理を頂いた時の平均支払額は、コース料理とキリンラガービール代で、¥6,000.-弱、それに、酒屋で購入した地酒代になります。
ふらりと予約無しで訪問する時は、手持ちで地酒の四合瓶2本を持参して、お店の保冷ケースを借りて、地酒を冷しておいて、空いてる席に着座します。
直ぐに料理の注文をします。
一品料理
鰻の白焼き
刺身盛り
キリンラガービールは、女将さんに一言告げてから、勝手に保冷ケースからグラスと一緒に出して、栓を抜いて一気に呑み干します。
刺身盛りが出されてから、鰻の白焼きが出て来るので、それに合わせて、地酒を保冷ケースから出して、専用のデカンタを借りて、移し替えてから酒食を始めます。
その後に、仕入れた新鮮な魚の中から焼き物、常連さんだけのメニュー、鰻重を注文して締めます。
仕入れた魚の焼き物
常連さんだけの、具入り湯豆腐と自家製ぽん酢
自家製ポン酢は、絶品で、たまに分けて貰って自宅用に使用していました。
鰻重 松
コース料理よりは、かなり割高にはなりますが、好きな料理だけ選んで頂く方が、お腹の膨れ具合も、持ち込んだ地酒との兼ね合いも良いので、食べ慣れて来てからはこの構成で頂いてました。
次の日が休みの時などは、お土産に鰻重の松を注文して、持ち帰ってから冷蔵庫に入れて、翌日に器に移して、電子レンジで加熱して頂いてましたが、冷めても美味しいので、夜食に食べたり、帰りのロマンスカー車内で食べたりしてました。
夜の酒食はこのお店だけで、長い期間掛けて、300回を超える位訪問していました。
女将さんと大将含めた常連の方達とは、何年も、お盆やお正月になると、伊豆や箱根の定宿に泊まりに行って、シュノーケリングや海水浴や、箱根温泉に浸かって、ご当地グルメも満喫していました。
いつも安心して酒食が出来て、自分の好きな地酒や芋焼酎やワインを持ち込んで、旬の海鮮と一緒に楽しめるお店でした。
こちらのお店で空けた、持参した四合瓶、一升瓶、フルボトルの数は三桁に上っています。
年に数回、高級芋焼酎、伊佐美の一升瓶を入手した時には、女将さんから声が掛かるので譲って貰って、店内にボトルキープして酒食を満喫してました。
こちらのお店には、誰でも聞いた事のある企業や財団法人や医療関係の方達など、かなり羽振りの良い人達や、接待で訪問する社用族の方達が、昼も夜も酒食を堪能していて、その方達から、経験談を聞くだけでも面白かったです。
特に、面白かったのは、ある会社の中堅社員が、社長を連れて訪問した際に、畏まって、狭くて汚いお店ですが出される料理は美味しいんですと、コース料理を食べ終わる頃に社長に言いました。
すると、その社長さんが放った一言。
何故、軽井沢の様な海から離れた場所に、新鮮な海鮮が食べられるお店が在るか判るかと言ってから、それは獲れる場所に近いからでは無くて、旨い物を求める、金持ちが集まる場所だからと言いました。
言われた中堅社員の方は、理解出来た様な出来て無い様な、キョトンとした顔で、恐縮していました。
確かに、こちらのお店で提供しているサービスや料理の拘りは、普通に酒食をされている方には分らない事が多く、ふらりと席に座って鰻重の梅を食べて、何も言わずに帰って行くお客さんも多く見掛かけました。
お客さんが帰った後に、竹と梅は身も小さくて薄いので、松を食べて貰いたいのだけれど、お客さんの懐具合も有るから、お品書きには載せて提供しているとの話を、良くされていました。
お店の近くには、有名校への進学率が高い個人指導塾が幾つか在って、そちらで講師を務めている羽振りの良い方が、頻繁に訪問しては、鰻重の美味しさを絶賛していました。
女性で日本酒と海鮮料理が好きな、1人呑みのお客さんも何人か足繁く通っていました。
大抵は、一度誰かに連れて来られてからお酒の持ち込みが出来ると聞いて、コッソリ一人で訪問したりしていて、良く隣同士になって会話したりしてました。
女将さんは、夜の営業が終わる頃に、海鮮や肉等を使って、自分たちのまかない料理を調理して絶品の物ばかり食べるのですが、こちらがお腹いっぱいで苦しんでいても、良くお相伴に預かって、別腹で頂いていました。
現在も、色々なお店に訪問しては、酒食を楽しんではいますが、こちらのお店の様なサービスを提供している場所は、殆ど見掛ける事は無いので、寂しい限りです。
料理は美味しいけれど、お酒の品揃えが少ない、お酒の品揃えは多いけれど、それに合わせる料理が少ない等、お店毎に一長一短が有りますが、こちらのお店は、料理は絶品で、合わせるお酒は自分で買って来て合わせる事が出来ます。
記事がかなり長くなりましたが、備忘録として残れば嬉しいです。