2回
2023/11 訪問
名店の王道をいく、至高の一杯。
今日は、妻と父との変則的な3人編成でランチ。
藤沢駅近くで私用を済ませた後に向かったのは、藤沢が誇る名店「らぁめん鴇(とき)」。
チャンスがあればすぐに行けるだろうと先送りしてた店をついに訪問する。
駅から歩いて10分弱。
12時ごろに到着すると、店頭に並んでる客は意外に少なく、5人ほど。
最後尾を確認して、用意された丸椅子に座って待つ。
数分ごとに客が入れ替わり、10分後には早くも順番が回ってきた。
カメラに✖️印の付いたステッカーについて店員さんに聞いたところ、以前、客の姿が映り込んだ写真をめぐってトラブルになり、それ以来、写真は禁止にしたのだそう。
それでもラーメンの写真だけはOKのようなので、写真を撮らせてもらう。
店内に1人ずつ入って食券を買う仕組み。
メニューを見て、あらかじめ決めたとおり、「特製醤油」(1,350円)と「特製白醤油」(1,350円)を購入。
父は「醤油」(1,000円)を選んだようだ。
案内された奥のテーブル席が、ちょうど3人がけというのがうれしい。
席につくと同時に店員さんに食券を渡す。
おすすめに従い、麺は2つとも細麺から手揉み麺に変更する。
父は「柔らかい麺」と言って細麺を指定。
店内はこぎれいな和食店といった趣。
流れるBGMは80年代くらいの、ちょっと懐かしい洋楽サウンド。
妻が店員さんに頼んで持ってきてもらった紙エプロンは黒い不織布。
そんなところにも上質を感じる。
注文から2分ほどで手早く父のラーメンが配膳。
細麺だと茹で上がりが早い。
続いてまもなく「特製」もやってきた。
わりと高さのある丼に盛られたラーメンが、見るからにおいしそう。
まずはスープをひと口。
うん、うまい。
口当たりはまろやかながら、塩気がしっかりとあり、後を引く。
何口でも飲めそうなところを自制して麺へ。
縮れのある手揉み麺は、やや固めのモチっとした食感。
これはおいしい。
このスープと麺なら、いくらでも食べられる気がする。
スープに浸った麺が少しずつ食感を変えていくのも、またいい。
トッピングは、チャーシューに煮卵、メンマ、海苔、焦がしネギ。
どれもいい仕事をして、いい感じにまとまってる。
麺もスープもいいと思ったけど、特にすごいのがチャーシュー。
日替わりで3、4種類を提供してるとのことで、特製だと贅沢にもいっぱい入ってる。
今日、確認できたのは、つぶし焼きにした豚のモモ肉と「シキンボ」と呼ばれる外モモ肉、低温調理した豚バラに、鶏ムネ肉と思われるチャーシュー。
しっとりしたもの、香ばしいもの、さまざまで飽きることがない。
妻に味見させてもらった「白醤油」もおいしい。
七福醸造製「有機白醤油」を使用したスープは、小麦を主原料として白味があり、自然な甘みがある。
有機原料だけで作る白醤油はこの蔵元しかないとのことで、そんな希少価値もいい具合に働いてる。
普通の「醤油」もおいしいけど、「白醤油」のほうがさらに上をいくかもしれない。
ゆっくり食べてる間にカウンター席を見ると、すでに2巡目に突入。
この回転の速さは、ご主人の手際のよさと、女将さんの客あしらいのうまさから来るものだろう。
ラーメンのおいしさもさることながら、接客レベルの高さを強く感じた店。
女将さん1人で接客から配膳、後片付けまですべてをそつなくこなす姿はすばらしいと思ったし、こちらの質問に丁寧に答えてくれたのも印象的だった。
全部で10席ほどしかない客席数も絶妙に思える。
これ以上増えたら、たぶん品質の劣化は避けられないだろう。
おじきする二人に送り出されながら、名店の王道をいく名店に出会った感慨に浸る。
この店は間違いなく、また来たい。
[2023.11.16訪問]
2025/03/17 更新
藤沢での営業終了まで1週間を切った「らぁめん鴇」へ。
店の数十メートル手前から人だかりが見え始める。
ざっと数えて33人。
開店1時間前の10時きっかりに列に加わる。
北風が少し吹いてるものの、穏やかな日差しのもと、待つのは苦にならない。
30分ほど待ったころ、奥さんが店頭の客に1組ずつ声をかけ、人数を確認していく。
そんな中、テレビ番組の取材スタッフが近づいてきて、目の前の客にインタビューをし始める。
その後、案の定、ADらしき人がこちらにもやってきた。
断る理由もないから、軽く取材に応対。
連日の長蛇の列を受けてか、開店時刻が10分以上早まったらしく、11時を待たずに列が動き出す。
店が近づくにつれ、ラーメンの匂いが時々風に乗ってやってくる。
1時間半ほど待ったころ、壁のある待ちスペースに移動。
ようやく着席できてひと休みするとともに、ラーメンの匂いに満ちた心地いい空間にしばし浸る。
12時5分前に奥さんから「待たせしましたー。1名様、ご案内しまーす」と声がかかり、入店。
券売機で選んだのは、前回おいしいと思った「特製白醤油ラーメン」(1,400円)。
50円の値上がりはこの際気にならない。
カウンター席につき、食券を渡しながら手揉み麺を指定する。
ものの3分で配膳されるという手早さに感嘆。
寸胴をフル稼働させ、麺を常時茹でることで可能になったと思われる。
まずはスープをひと口。
うん、おいしい。
さらりと溶け込むような口当たりで、すっきりとしながらも深みのある味わい。
手揉み麺ももちもちで言うことなし。
店内の客全員で麺をツルツルとすする至福のラーメン時間が流れる。
今日のチャーシューは、豚バラ、シキンボ、豚トロ、鶏ムネ肉の4種。
どれもおいしいけど、中でもシキンボの香ばしさが際立つ。
とろける濃厚な煮卵もシャキッとしたメンマもいい仕事ぶり。
何も考えず、ひたすらにおいしいと思いながら食べる盤石のラーメン。
スープも余すことなく飲み干し、10分足らずで完食してしまった。
名残り惜しくも店を出ると、取材班から再度カメラを向けられ、ラーメンのおいしさと店の魅力をひとしきり話す。
自分では気づがなかったけど、おいしいものを食べた後のいい笑顔を見せていたようだ。
こんなにもおいしかったのに、撮れ高に貢献するコメントができなかったことが悔やまれる。
あと、オンエアされないだろうけど、こんなことならヒゲを剃ってくればよかった…とか、いろいろ思いつつも、名店の最終週に立ち会えたことは素直に喜びたい。
ラーメンもさることながら、この店は接客が抜群。
やっぱり名店だと再認識する。
寒川に移転後もまた食べに行きたいと思う。
[2025.3.18訪問]