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2025/09 訪問
西麻布の夜、のれん一枚をくぐると別世界が広がる:『2nd EDITION TERUZUSHI Nishiazabu』
2025/09/07 更新
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西麻布の交差点そば、ラグジュアリーなバーに併設された「2nd EDITION TERUZUSHI Nishiazabu」。
のれん一枚で仕切られたカウンター7席だけの小さな空間は、潜った瞬間からまるで別世界。知る人ぞ知る隠れ家でありながら、アクセスは良好で、粋な大人の夜を楽しむのにぴったりの場所。バーはウェイティングスペースとしても、食後にゆったり飲み直す場としても使え、空間全体が大人の遊び心を演出しています。
親しい女友達との乾杯は「Champagne BOUDE BAUDIN B Zero Brut Nature」。泡立ちの美しいシャンパンが、これから始まる体験への期待感を高めます。
前菜から贅沢な流れ。
「伊勢海老の天ぷらに雲丹とキャビア」を重ねた一皿は、濃厚な海老ソースが全体をまとめ上げ、見た目の華やかさと味わいの濃密さが印象的。「紫蘇ソースで仕上げたタコ」は爽やかさが際立ち、「鮑の茶碗蒸し」には肝ソースが絡み、口に含むと深い旨味が広がります。
さらに「クエの鍋風椀物」は、葱油の香ばしさを受け止める 出汁の厚みが絶妙で、体も心もほっとほどける味わいでした。
そして 握りへ。
最初の「イカ」は丁寧な飾り切りで舌に乗せるとねっとりと甘く、続く「ヒラメ」は透明感のある旨味が静かに広がります。「焼きノドグロ」の手巻きは、香ばしい海苔と脂の風味が一体となり、早くも高揚感が生まれます。
マグロは「赤身ヅケ」から「中トロ」、「大トロ」まで三段階で楽しめ、とりわけ大トロは薄切りを三枚重ねた贅沢な構成で、とろける旨味が幾重にも重なり、思わず息を呑む瞬間でした。
握りの中盤 日本酒「山本 ピュアブラック 純米吟醸」を切り子猪口で。光を透かすガラスの美しさが、握りの余韻をさらに深めます。
続く握りも一貫一貫 見どころアリ！
柚子香る「フエダイ」、脂のりの良い「縞鯵」、レアな茹で加減の「車海老」、粒が揃った濃厚な「雲丹」、肝ダレを纏った「秋刀魚」は その苦味が秋を運んできます。そして 白焼きを天ぷらに仕立てた「鰻の手巻き」……劇場のクライマックスのように次々と繰り出され、驚きと感動が連続します。
ネタはマグロがオーストラリア産、その他は九州中心の厳選素材。特筆すべきはシャリで、九州の本店「照寿司」のために特別に仕立てられた三年熟成の粕酢が使われており、酸味が赤酢よりも強く感じられ、握り全体をしっかりと支えていました。
この特別なシャリに支えられた握りは、劇場型エンターテインメントのような演出と 確かな職人技が融合したもので、インバウンドにも、日本の寿司好きにも響く“唯一無二の食体験”。本店「照寿司」の精神が息づき、3ヶ月ごとに若手ホープが訪れているのも 魅力の一つです。
コースの締めくくりは「玉子焼き」の優しい甘さと「葱鮪汁」の温かさ。華やかな舞台の幕が静かに下ろされるように、心に余韻を残してくれます。
非日常の空間、手間と技の詰まった料理、そして五感を揺さぶる演出――西麻布で体験する新しい寿司の世界を、ぜひ味わってほしい一軒でした。