レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2013/08訪問 2014/01/26
昼にショナルパでバッタリお会いしたレビュアー様に教えていただきました。
三宮駅から北野方面に坂をどんどん進んでいくと、住宅街の中にあるタイル張りの古い建物。
その2階の目立たない場所にこのお店がありました。
中に入ってみると、インド人の方が3~4人いますが、どうみてもインド食材を売る食材店。
ここで食べられるのかな?と思って店内をよく見ると、入り口を入った両脇にそれぞれ小さなスペースがあり、テーブルが2つずつ置かれています。
あまり日本語は通じず、辛うじて30代くらいの男性が早口で聞き取り辛いながらもどうやら日本語を話しているようです。
特にメニューも出てこず、お母さんがおしぼり、お水、やけに濃いマンゴージュースを出してくれてからはホッタラカシ。
お母さんもそのまま奥に引っ込んでしまったようで、何か注文する術は無いかな~と思って後ろのテーブルを見ると、ランチメニューとディナーメニューを書いたパウチを発見。
なるほど、昼夜メニューがそれぞれ一種類しか無いんですね。
そうこうしていると、先にサモサが出てきました。
どうやらおしぼりを出した後、お母さんは厨房に入って料理を作ってくれていたようです。
サモサはグリーンチリ(?)のチャトニか、タマリンドベースの甘いソースで食べます。
カリカリの生地を割ってホクホクの中身を見ると、カレーで和えられたジャガイモとたっぷりのグリーンピースです。
早速頂いてみますが、普通に旨い。
グリーンチリのチャトニはさほど辛くなく、サモサの味を非常に引き立てます。
チャトニはグリーンチリだけじゃないかもしれませんが、もうサモサに気を取られてよく分かりませんでした(笑)。
甘いソースも悪くないですが、グリーンの方が美味しいですね。
そんなに食べた経験も無いサモサですが、当たり前のように美味しいものという印象です。
サモサが全てこんなレベルで出てくるなら、インド料理店に訪問したら絶対に毎回注文するでしょうね。
お母さんが作っているので文字通り家庭料理なんでしょうが、そこいらの店で出てくるようなものとは全然レベルが違うように思います。
次に出てきたターリー皿。
3つのカトリには、奥からジャガイモとひよこ豆のカレー、グリーンピースとパニールのカレー、ダル。
そしてチャパティとキチュリという内容。
まずカレーを一口ずつ食べてみますが、これが驚き。
違います、今まで食べてきたものと。
何が違うのかと聞かれても答えに困るんですが、美味しさとか旨みが全然違います。
それにちゃんと手間を惜しまず作った料理というのがよく分かるんです。
ダルは食べる瞬間、バターのようなギーと思われる風味を強く感じました。
ギーを後から加えている様子は無く、スパイスをテンパリングする段階でギーを入れているのだろうか?
今まで食べたことが無いタイプのダルでしたが、いきなり衝撃的なダルに出会ってしまいました。これ、旨いです。
グリーンピースとパニールのカレーは、パニールが良質。
スプーンで押すと豆腐のようにねっとりと崩れていきます。
これまでパニールは好んで食べるものでは無かったので、良質なものに出会ったのも少ないんですがこれは良いです。
グリーンピースも柔らかく煮込まれていて美味。
潰しながら食べるとまたグリーンピースの味がカレーと馴染んで美味しく食べられます。
実はこのカレー、味付けがどういうものかよく分からなかったんですが、薄味ながらも素材を引き立てる味でした。
むしろ今回のようにパニールやグリーンピースを潰しながら、素材と混ざった味こそがこのカレーの本質なのかもしれません。
じゃがいもとひよこ豆のカレーは、食べた瞬間の旨みが秀逸。
最初肉のように見えるものが入ってたのでチキンでも入ってるんだろうと思ってたんですが、どうやらひよこ豆の皮だったようです。
豆とじゃがいもでこんな旨みを感じるとは驚きです。
普段はいくら美味しくてもどうやって作ってるのか、まであまり興味の無い私ですが今回ばかりは気になってしまいました。
でも聞こうと思ってもお母さん、日本語ほとんど分からないんですよね。
夢中で食べていましたが、今回のカレーは全て豆のカレー。
それにすら気付かせないくらい、豆を使っても全く違う料理に仕上げているのは素晴らしいの一言に尽きます。
そしてキチュリがまた出色の出来栄え。
豆などをスパイスとともに炊き込んだご飯ですが、これが旨い。
口に入れた瞬間、いくらでも食べられそうな錯覚を覚えます。
手間のかかる料理だと思いますが、決して手を抜いてませんね。
キチュリだけで食べても旨いのに、これにカレーを混ぜるともっと旨くなります。
更にそこにチャトニを混ぜると旨味も増して深い味わいになります。
これはたまらん。
ちなみにお替りもできるようですが、残念ながらお腹いっぱいになってしまいました。
ダルだけはお替りをお願いしたものの、これだけはもう無かったようです。
でも後で思えばキチュリはちょっと多めにお替りしてでも持って帰りたかったなぁ。
デザートも出てきましたが、これは初めて見ました。
砂糖が原料のようですが、わたあめのような繊維状になった砂糖を固めた感じの軽いお菓子。
これもインド仕様らしく、かなり甘みが強いですが、これも文化なんですね。良い勉強になります。
帰りがけ、缶のマンゴージュースをお土産にくれました。
こういうところも何だかアットホームで良いですね。
そういえば、メニューにはサラダとあったけど出てこなかったなぁ。
でもあのクオリティなら全くサラダなんて気になりませんけど。
家庭料理ということであまり大きな期待をしていなかったのですが、かなり衝撃的な料理に出会うことができました。
当然家庭によっても味は様々でしょうし、これをもって北インドの家庭料理だと言いきることも出来ませんが、少なくともこのお店の料理は素晴らしいと思います。
もちろん基本食材店という飲食店としては恵まれた環境であるとは言え、この料理の腕前は間違い無く本物です。
この料理を毎日本当の家庭料理として食べられるあのおじいちゃん達が羨ましいです(笑)。
昼にいただいたショナルパも素晴らしかったのですが、使っている素材は素朴ながらそれに並ぶ程の感動を覚えました。
インド料理が好きな方は神戸に来たら外せないお店だと思います。
是非私も再び神戸に来たら絶対に再訪させていただきます。
ごちそうさまでした。
3位
1回
2013/08訪問 2013/08/29
以前よりお世話になっているマイレビュアー様にお誘いいただき、かねてから訪問したいと思っていた当店に来ることができました。
南青山の骨董通りにある小原流会館の地下にある高級インド料理のお店です。
日本にはインド料理店は数あれど、この手の高級志向のお店と言うのはあまり多く知りません。
現在休業中のナーガルジュナ、最近訪問した神戸のショナルパなど私程度の知識だとそのくらい。
今回はマイレビュアー様が一人あたり6,000円で飲み物込みの料理を手配してくださいました。
安い金額ではありませんが、逆にこのクラスのお店でも6,000円というのもインド料理の魅力のひとつではあるように思います。
ちなみに今回のお料理、デフォルトでは3人分だったりするものを人数分の5人分に変更いただくなどのアレンジがあったため、個別のお値段は掲載しません。
まずはソムリエ兼店長さんが選んでくださった赤ワインで乾杯。
あまりクセもなく、至って飲みやすいものです。
今にして思えば、非常に良いチョイスだったのではないかと感心しました。
最初に提供されたのはパパド。
豆の粉を使って作ったせんべいのようなものです。
これに4種類の調味料が添えて提供されました。
ミントのチャトニ、トマトのチャトニ、スイートマンゴーのチャトニ、グリーンマンゴーのアチャールです。
チャトニはいわゆるソース的な位置づけ、アチャールは漬物などと言われます。
パパドは特別何が違うということはありませんが、チャトニがやっぱり素晴らしい。
特にトマトのチャトニは酸味、甘み、辛味が一体となった絶妙な味。
これは美味しかったので、次のサラダにもかけながら食べてみました。
続いて提供されたのはカッチュンバルサラダ。
一人一皿提供してくれるのがうれしいですね。
普段はメニューにないものだそうですが、特別に作っていただいたようです。
カッチュンバルサラダと言うと、通常きゅうり、トマトなどを小口に切ったものにオイルや調味料で味付けをするもの。
今回それ以外にもざくろや紫玉ねぎスライス、梨なども入り、葉ものやパパイヤも添えられるなど非常に彩鮮やかです。
ソースはマンゴーのソースとグリーントマトのチャツネだそうで、素材の酸味と甘みの入り混じった非常に複雑ながら爽やかな味です。
これがメニューに無く、一人あたり400円換算とは驚き以外の何物でもありません。
続いてはムルギチャンプ。
鶏肉をミントやコリアンダーなどを混ぜ込んだスパイスにまぶしてタンドリー焼きにした料理。
インド料理ですから当然鶏肉の皮は丁寧に取り除かれているようです。
表面はよく焼かれている印象でしたが、ナイフを入れると非常に柔らかい。
口の中で崩れるような食感です。
ミントやコリアンダーも過剰に主張せず、風味に花を添えます。
そしてシーク・カバブ。
これは一見私が苦手とする、パサパサなカバブにも見えます。
しかしながらそこはさすがにシターラ青山。
ナイフを入れると全くそうでないことがよく分かりました。
玉ねぎなどを混ぜ込んだ挽肉を串につけて焼くことが多いカバブですが、どうも玉ねぎのようなものは見当たらず、肉とスパイスが主体のようです。
そのためなのか、きめの細かい挽肉であるにもかかわらず、非常に肉肉しさを感じる食感。
ラムの旨みを存分に感じることができます。これも旨い。
続いてはタンドゥーリ・ラム・チョップ。
比較的強めに焼かれたかと思われる焦げも見られるのですが、それでも肉は非常にジューシー。
焦げはスパイスによるものかもしれません。
脂身もさほど多くなく、肉としての旨みを十二分に活かした調理だと思います。
タンドゥール料理には定評のあるこちらのお店ですが、噂に違わぬ素晴らしさでした。
この肉の旨みを充分残して仕上げる焼き加減を理解されている店はインド料理店多しと雖もそうはありません。
続いてカレーが一気にやってきました。
まずはポーク・ヴィンダルー。
こちらは通常のメニューにはないもので、サラダ同様特注でご用意いただきました。
通常インドでは宗教上の戒律などのため豚肉はほとんど食べませんが、ポルトガルによって戦前から戦後しばらくの間支配を受けてきたゴアにはその影響で豚肉を食べる習慣があります。
ポーク以外に野菜が多く入っている印象です。
赤ピーマンにじゃがいも、まるごとのニンニク、上から生姜の細切りにグリーンチリも見られます。
食べてみると酸味はかなり控えめなんですね。
ゴアのヴィンダルーを思い浮かべてしまうとまたちょっと違うと思いますが、この濃厚ながら繊細な味は素晴らしい。
そしてローガン・ジョッシュ。
ラムをトマト、玉ねぎ、スパイスなどとともに煮込んで作るカレーです。
大ぶりに切られたラム肉以外には具らしいものは見当たりません。
全てグレービーに溶けているのでしょう。
玉ねぎ、トマト、カシューナッツ辺りの構成かと思いますが、ラムの旨味が溶け出したグレービーは個人的に好きな味。
ラム肉は旨味をカレーに出しているせいか、やや水分抜け気味ではありますが、その分このカレーが素晴らしいと思います。
バイガン・カ・バルタ。
一度タンドリーで焼いたナスを具として使うベジカレーです。
個人的にナスが好きなので美味しいのも当然ですが、ナスの甘みをよく引き出していると思います。
一度焼いたものを使うというのもそういった目的があるのでしょう。
肉のカレーにも決して引けをとらない素晴らしさのあるカレーでした。
これはナスでなければいけない理由がよく分かる一品でした。
サフェド・ラジャスタン・マーンズは白いラムカレー。
上に振ってあるのはフライドオニオンです。
クリームシチューのような風味も感じるので、牛乳や生クリームなどを中心に作っているのかもしれません。
ターメリックなどの色の付くスパイスなどは極力避けているようですが、カルダモンの風味は強く感じました。
以前別のお店で白いカレーを食べたことがありましたが、クリームシチューとあまり大差ないようにも感じていました。
脇役ながらこのフライドオニオンとカルダモンが非常に良い仕事をしているように思います。
この2つを加えるだけでも大きく印象が変わりますね。
カレーは湯取り方で作ったという、バスマティライスでいただきます。
パラパラなバスマティがふんわりとした食感に感じられ、カレーには合いますね。
バスマティライスはインド本国ではもっぱらビリヤニなどに使われるようで、こうやって白米として食べることはまず無いそうです。
それでもバスマティで食べるカレーが美味しいと思う私は、やっぱり日本人なんだなぁと感じます。
そしてゴーシュト・ダム・ビリヤニ。
軽く調理したビリヤニを陶製の容器に詰め、ナン生地で覆い、短時間焼いたそうです。
ビリヤニのスパイス感はやや控えめにも感じますが、多くの方が食べやすいものという印象。
ビリヤニにあわせるヨーグルト、ライタを混ぜると軽く酸味も加わって美味しく食べられます。
これだけのものをお腹いっぱい食べて、一人あたり6,000円。
今回はラインナップを考えていただいたマイレビュアー様のお力も大きいとは思いますが、それでも素晴らしいには違いありません。
ソムリエ兼店長さんも非常に博識で、物腰も非常に柔らかいので感じが良いです。
店内は高級感溢れる雰囲気ながら、店長さんのおかげで敷居の高さを感じることなく食事が楽しめました。
料理についてもタンドール、カレーともに非常にレベルの高いものでした。
最近訪問していた西のショナルパと双璧をなす存在のようにも思いますが、やはりディナーの素晴らしさは圧巻でした。
これだけのお店が都内にありながら、これまで利用してこなかったのが悔やまれます。
是非今後は積極的に利用させていただきたいと思います。
ごちそうさまでした。
また今回手配をいただきましたマイレビュアー様、ご一緒させていただいました皆様、ありがとうございました。
4位
2回
2022/04訪問 2022/04/10
香川でうどんをよく召し上がっておられるマイレビュアー様の評価も高かったこちらのお店。
朝7時半から営業しているようで、朝訪問してみると開店数分程度しか経ってないにもかかわらず狭い店内は満席です。
ここは自分で惣菜を選び、うどんも自分でデポで湯がくという、セルフのお店だそうです。
勝手が分からず前の人に付いていくと、お店の奥で作業をしている店員さんにうどんを注文していたのでそれに倣いました。
ぶっかけ冷を一玉注文すると、「あとはいいですか?」と聞かれたのでショーケースにあったとり天もお願いしました。
セルフだとばかり思っていましたが、ぶっかけの冷の場合だけなのか、親切な店員さんが丼にうどんを入れてぶっかけ出汁まで注いでくれました。
忙しい中、こういう客ばっかりで大変だろうと思いますが、店員さんの対応にはとても誠意を感じます。
こういう姿勢がうどん作りにも現れるんじゃないでしょうか。
その場でお金を払って丼を受け取りますが、これで270円。
驚愕の安さです。まるで駄菓子屋でお菓子でも買ったような気分になります。
ちなみに2玉だと、記憶があいまいなので詳細な金額は出しませんが、確か200円台だったはずです。
出汁も勘案してなのか、単純に玉の数だけ金額が増えるようではなさそうです。
もし3玉でも300円台程度だったと思いますので、安心して注文できますね。
ちなみにあとの薬味は自分で好きな量を投入しました。
揚げ玉は、てんぷらを揚げる際の残りかすというよりはお客さんに提供するためにわざわざ作ったのだろうと思う、粒の小さいものでした。
あとはネギとしょうがの3種類が用意されているようです。
両際の壁沿いに設置されたカウンター席が満席だったので、仕方なく真ん中辺りに小さな島のようにある、立ち食い用のテーブル席でいただきます。
ちなみに食べ終わると、テーブル横の下に置いてある大きなボックスに食べ終わった食器などを戻すというシステムです。
食べてみると非常にコシが強いです。
元々コシの強いといわれる讃岐うどんではあるのでしょうが、ここは今回訪問した店の中でも特に強いように思いました。
でもこの硬さは個人的には全く抵抗を感じることもなく、美味しく食べられました。
エッジも立っていて、さすがに朝一番の出来立てのうどんは美味しいと思います。
あと特筆すべきはぶっかけ出汁。
出汁がものすごくしっかり効いているので、飲んでもしょっぱくないのに味はきちんと主張しています。
コシの強いうどんとの相性もよく、決してうどんに負けていません。
これは素晴らしいうどんです。
この感動が僅か180円で得られるとは思いもよりませんでした。
他にも回りたいお店があったにもかかわらず、昼もここに来ようかと真剣に思ってしまったほどです。
とり天は特段どうこう言うものではありませんが、専門店でもありませんし、この値段なら文句を言う筋合いでもありません。
ただとり天を串に刺しているのは面白いと思いました。
他には稲荷すしもありましたが、こちらは串には刺さっていませんでした。
一玉180円でこれだけのクオリティのうどんを食べられるとは、さすがうどん県を標榜するだけあると思いました。
どのお店でもこんな値段で提供できるわけではありませんし、味やサービスも実に様々ですが、このお店の存在が香川県のうどん文化を支えているひとつだと思えるお店でした。
こういったお店に出会うことができたのは今回の大きな収穫でもありました。
またうどん県にやってくる機会があれば、是非再訪したいお店です。
ごちそうさまでした。
5位
1回
2013/11訪問 2013/11/29
山形県の天童から歩いて20分くらい。
道順がよく分からなかったので天童駅からタクシーで伺いました。
玄関で履物を脱いでから中に入ります。
入ったまん前には持ち帰り用のショーケース。
中で食べる人は右手の座敷に通されます。
偶然開店の時間帯にお店に着いたのですが、お店の前には既に待っている方がおられました。
待っている方というのも明らかに通いなれた地元の方のようで、地元でも有名なお店なんでしょう。
訪問のときまではわらびもちでも食べて帰ろうかなと思っていましたが、地元天童のお酒と酒かすで作ったという醸まんというのが一押しらしく、それをお願いしました。
言っておきますけど、常にこんな生活をしている訳ではありません。
退院後、3週間経ちますが、初めての間食です(笑)。
醸まんは蒸かしたての熱い状態で漬物と一緒に提供されました。
熱いので箸で食べるようですが、食べてみるとこれが衝撃的な美味しさ。
温かいが故なのか、皮のほのかな酒の香りと中の漉し餡の甘さがとても高いレベルでまとまってる感じです。
酒かすで作った饅頭なんてそこそこの味だろうと思っていたのですが、一般的な酒まんじゅうとは全然違いました。
実際オープンの時に待っていた方達はこれを持ち帰るために待っておられたようです。
そして吟醸甘酒。
長らく甘酒なんて飲んでいなかったのですが、これまた素晴らしく美味しいです。
濃くもなく、薄くもなく丁度良い塩梅ですが、吟醸甘酒と言うとおり、やはり素材が良いというのもあるのでしょう。
醸まん、甘酒とも150円ですが、この値付けは正直ちょっとおかしいと思います。
そしてほうじ茶がついて480円のわらびもち。
わらびもちもプルンプルンでとても良質なものだとは分かりましたが、深煎りしているという黄な粉の味がすごく濃いです。
黄な粉でこれほどまでに大豆の味を強く感じるものは初めて食べました。
予想していたよりも高い満足感を得てお店を後にしました。
間食は今の私には当然望ましいものではないのですが、せっかくその間食をするなら心が満足できるものを、と思っていました。
新幹線の車内で急に思い立って天童に足を延ばしましたが、それだけの価値のある体験ができたと思います。
あまり訪問できる場所ではないですが、近くに訪問する機会があれば是非足を延ばして寄りたいお店だと思います。
ごちそうさまでした。
6位
1回
2013/08訪問 2013/08/20
香川、徳島と巡った帰りがけに神戸に寄ってみました。
神戸で行ってみたいと思っていたお店が、ここでした。
マドラスキッチンも興味があったのですが、何故かこちらを優先しての訪問です。
今回こちらに訪問するに当たってオープン直前にお店に着いたのですが、偶然というものは恐ろしいもので、以前オフ会でご一緒させていただいた東京のレビュアー様とお店の前でバッタリ!
特にお盆期間で美味しいもの(アジア系中心)を食べ歩く習性のある者同士とは言え、お互い東京在住者がこの神戸のカレー屋のオープン前に偶然会うとはスゴイ確率です。
エレベーターを3階に上がると店員さんが出迎えてくれます。
高級な雰囲気を醸し出している店内は席も広く、格調高いレストランを思わせます。
せっかくなのでスペシャルランチとビリヤニランチを選択しました。
ビリヤニも数種類から選択できるようで、マトンをチョイスします。
この段階では正直ちょっと高いかな、というのが本音です。
ちなみにここショナルパは、インドでも東部のベンガル地方の料理を主体に提供しているようです。
店名はベンガル語で「金と銀」を意味し、HP上でもロイヤルキュイジーヌを謳っているところからするとベンガル宮廷料理といったところでしょうか。
ビリヤニランチは、野菜のクリームスープに野菜サラダ、そしてビリヤニにドリンクという構成。
まず出てきた野菜のクリームスープが非常に美味しい。
クリームスープがあくまで主役で、そこにカレー風味を軽く効かせている印象です。
カレーの風味が食欲を刺激します。
そして野菜サラダの後に出てきたマトンビリヤニ。
軽く炒めたバスマティからは鮮やかなスパイスの香りが漂います。
ソースも添えられていますが、まずはそのまま。
う~ん、複雑なスパイスの香り漂うビリヤニです。
以前食べたアーンドラキッチンのように、ゴロゴロとホールスパイスが入ってるのが目に見えるわけではなく、提供前に取り除いているのかもしれません。
この時点では味付けはやや控えめに感じるので、やっぱり添えられているソースを合わせるのが前提なんでしょう。
ソースは玉ねぎベースらしき芳醇な香り。
最初は素材に豆でも使っているのかと思っていましたが、店員さんに聞いてみると、玉ねぎにトマト、カシューナッツにスパイスなどを加えているそうです。
カシューナッツをどうやら豆と勘違いしたようですが、ある意味ちょっとしたカレーのような構成ですね。
パパドを割って上からかけ、ソースを回しかけます。
ソースは玉ねぎの甘みとトマトの酸味、ナッツの旨みが混ざった非常に美味しいものです。
それがこのビリヤニにかかったら、そりゃ旨いわな、という感じ(笑)。
ビリヤニに別添えのソースが付くというのは初体験でしたが、カレーと合わせるような薄味のビリヤニというのも今までいただいたことがあったので、多分そういうタイプなのかもしれませんね。
むしろそういう場合の方が旨いと感じる時がありますから、敢えてそういう感じを狙っておられるのかな、とも思いました。
食後のチャイ。
これは素材が良いものを使っているからなのか、今まで飲んだものとは味わいが格段に違います。
普段はこういうものに砂糖を入れて飲む私が、今回ばかりはそのまま飲んでしまいました。
そして一方のスペシャルランチ。
クリームスープと生野菜サラダまでは同じです。
肝心の写真を取り忘れてしまいましたが、骨付きトリモモ肉の串焼きとコロッケ。
串焼きは骨付きチキンのレッグがタンドリー焼きになっているものです。
これは非常にジューシーです。
大きなチキンがゴロっと出てくるのもうれしいですが、タンドリーで焼くと日本人には火が通りすぎと感じることも多くて、個人的にはあまりこの手のメニューには魅かれなくなっていました。
これは日本人に支持されるのも分かります。
そしてコロッケ。
どういうコロッケだったのか、後でHPを見ても載っていないので詳しく分かりませんが、とても滑らかな舌触りのポテトが非常に美味しい。
ジューシーなタンドリー焼きにしてもそうですが、こちらのシェフは洋の要素を効果的に取り入れておられるように思います。
カレーは5種類から選択できるようで、ホタテ貝を選択。
ナンもしくはサフランライスも選択できるので、こちらはサフランライスを選択しました。
やや大きめな皿にはそれぞれ結構な量のカレーとライス。
それまで提供されてきたものの量も考えると、一人で食べるには結構苦戦しそうな内容です。
サフランライス。
ここしばらくは黄色いライスというとターメリックが多かった中、久々にこの香りを感じました(笑)。
あやうくサフランの香りを忘れるところでした。
ホタテは大きなものが4つ。
いずれも程よい熱の通し具合で、身はプリプリです。
ベンガル料理というだけあって、玉ねぎを丁寧に炒めたものがベースになっているのがよく分かります。
そこにやっぱりトマトとカシューナッツという組みあわせだろうか?
いずれにしてもこの組み合わせは盤石ですね。
スパイスも辛味こそあまり感じませんが、ホタテの良さを決して殺さないこの丸みのある味は秀逸。
ベンガル料理を謳うお店はPuja、ディルセ、ルチなど数店しか経験はありませんが、どことも違うここだけの味という印象。
敢えて言うなら、ディルセの玉ねぎを炒めて作ったカレーをカシューナッツで濃厚かつリッチにしたというイメージがシックリくるでしょうか。
ちなみに以前、そのうちのある店の店主さんに聞いたところでは、バングラデシュではカレーに貝を使うのは見たことがないとおっしゃっていたので、ホタテを使うのもこちらのシェフの創作なのかもしれません。
非常にリッチで濃厚な味わいでありながら、ホタテのような素材を活かすのはさすがだと思います。
スペシャルランチには更にデザートが付きます。
またこのアイスクリームが最高。
インドでは最も高価とされるスイーツが果物と牛乳を使ったものだそうですが、これは濃厚なミルクを使ったアイスクリームです。
一瞬何のアイスクリームかと戸惑ってしまいましたが、普段私が食べているような安っぽいマンゴーアイスの味とは一味違うようです。
このまろやかな味は、現地のデザートというよりは西洋の高級レストランのそれだと思いますが、この流れからすれば自然ですね。
ベンガル料理には詳しいわけではありませんが、ベンガル料理を基礎としながらも独創性に富んだ、それでいて非常に洗練された味の料理に出会うことができました。
ランチとしてはかなり高価であるのは事実ですが、内容を勘案すれば決してCPも悪くないと思います。
こういったお店は日本でも数少ないと思われますので、非常に貴重な体験をさせてもらいました。
たまの訪問しかできない神戸という土地でしたのでちょっと贅沢してしまいましたが、ランチは850円、1,000円というメニューもあるようで、このグレードの料理がこの値段で食べられるというのは、神戸の方が非常に羨ましい限りです。
夜も面白そうなラインナップのコースがあるようで、こちらもまた神戸に来る機会があれば訪問してみたいものです。
ごちそうさまでした。
7位
1回
2013/08訪問 2013/08/17
徳島に来たらここは外せないと思っていました。
今回の四国訪問で、事前にこの時期の営業をしているかどうか、唯一お店に確認をしていたお店です。
市街地からは徒歩でも30分程度はかかるような川沿いの一軒家のレストランです。
徳島駅辺りからはバスも出ているようですが、宿泊先が駅と店の中間くらいだったので歩いての訪問です。
レストランは1階だけのようで、2階は事務所あるいは自宅、もしくは大人数の宴会上などとして使用しているのかもしれません。
ランチ時はキッチンに2人のスリランカ人男性がいて、ホールも同時にこなしていました。
ディナーは更に日本人女性がホール専門として加わっての体制のようです。
ランチで訪問した時、店頭のボードに「アペーキャーマ1,500円」の文字が見えます。
「アペー」(私達の)「キャーマ」(食事)という意味だそうですが、どういうものだろうと思いメニューを手繰りますが、載っていない。
店員さんに聞くと、その料理の載った雑誌を持ってきてくれ、コレだと言うのでお願いしてみました。
ちなみに辛さが選べて、普通だと加算なし、中辛だと30円増し、辛口だと50円、激辛だと100円増しとなります。
どうやらグリーンチリを投入する量によって額を変えているようですが、そのためグリーンチリを使う料理ごとに選択が必要となるようです。
出てきた料理は、中央に短粒米が配置されパパダムが刺さっています。
写真では分かりづらいですが、イエローライスと言えるほどではありませんが若干黄色がかっているようです。
辛味を加えるためのペーストがその横に配置されます。スリランカ人店員さんは漬物と言ってました。
カレーは奥から時計周りに、ポークカレー、茄子、海老、ゴーヤ、キャベツ、ダルとなっています。
まず一通り一口ずつ食べてみますが、どれも旨い。
ココナッツミルクを使っていることは何となく分かりますが、モルディブフィッシュの風味は感じず、少なくともこの料理自体には使われていないように感じました。
あるいは隠し味として、非常に少量使用している可能性はありますが。
比較的スパイスの存在がよく分かる作り方のようで、クミンの香り、カルダモンの香りなどと個々のスパイスの風味を楽しむことができます。
辛さは中辛でもあまり気にならず、食べ終わった後に舌にヒリヒリする感覚がある程度です。
スリランカ料理は全てのカレーを混ぜて食べるのが真髄ですので混ぜてみますが、これが絶品!
複雑に絡んだカレーはまさにスパイスマジック。
スパイスに限らず素材の旨みも相まって、単品で楽しんでいた時より更に2段階、3段階上の味に変化します。
付いてきたやや酸味と辛味のある玉ねぎのサンボールを加えながら食べてもまた良し。
独特の変化も楽しむことができます。
これは感動しました。
常に用意されているメニューではないのかもしれませんが、あれば是非食べてみられることをお薦めします。
そしてチキンビリヤーニ。
これまた日本の米のようです。
炒めてある鶏肉入りのビリヤニの上には焦がした玉ねぎ、カシューナッツ、パセリなどがたくさん散りばめられていました。
食べてみると、これまたスパイスの輪郭をしっかり把握できる味ですが、それだけでなく焦がし玉ねぎやパセリ、ナッツの旨みが加わってきます。
この素材の組み合わせが実に良くてシェフの非凡なセンスを感じさせられます。鮮やかな味わいのするビリヤニでした。
一言でビリヤニと言っても、実にいろんなタイプがあるんだなぁと改めて思い知らされました。
更に夜の再訪時。
まずはギザという砂肝のスパイス炒め。
独特の料理かと思いきや、どうやら塩、胡椒あとは軽くジンジャーも加わっているように思いますが、基本この味付けです。
ビールのツマミとしてスタートするには良い選択肢だったかもしれません。
そしてスリランカ・オムレツ。
じゃがいも、玉ねぎ、ピーマンなどを細かく刻んだ具を卵でとじて、チリソースをかけているようです。
スパイスは特段目立ったものを感じませんが、チリソースのピリッとした辛さと卵の甘みがよく合います。
オムレツは南アジアの家庭料理を提供する店ではたまに見かけますが、レストランで出てくることは珍しいですね。
でもこの料理について言えば、充分レストランで出しても恥ずかしくないレベルのものだと思いました。
これは結構気に入りました。
デビルド・えび。
名前からして辛さを売りにした料理のように思いました。
これは思い切って辛口で注文です。
野菜と海老を炒めたものですが、案の定結構辛い。
グリーンチリもピーマンのような顔をしてあちこちに入っています。
単に辛いだけではなくて、甘みなども何らかの素材できちんと加えて作られているようです。
お店も推しているカリーボール。
じゃがいもとツナのコロッケなどと解説されていましたが、食べてみるとツナというのはモルディブフィッシュですね。
鰹節に近いものですが、これとジャガイモを練りあわせてコロッケにしているようです。
シンプルな料理ですが、モルディブフィッシュの食感と味がアクセントになってます。
このソースはどうもケチャップのような味。チリソースのように辛くはありませんでした。
最後にラワリヤというスイーツを注文。
ココナッツ繊維にパーム椰子の蜜を和えてクレープ状の生地に包んだもの。
更にパーム椰子の蜜を上から回しかけています。
インドのスイーツと言うと過度な甘みを感じることも多いですが、これは日本人にも合いそう。
スイーツが食物繊維というのも何か健康的で良さそうですし。
徳島訪問を決めた後にこのお店の存在を知ったのですが、この地で驚きのレベルのスリランカ料理をいただくことができました。
まだまだスリランカ料理は詳しくない私でもかなりのレベルにあるお店であることだけは確信が持てます。
この店の魅力を表現しきれない知識の無さがもどかしいところではありますが、今後関東でもスリランカ料理店をいくつか訪問して、いずれまたこのお店に訪問したときに今回見つけきれなかった魅力を発見することができるかもしれませんし、ぜひそうありたいと思っています。
それまでいろいろと勉強していきたいと思わせてくれるようなお店でした。
ごちそうさまでした。
8位
1回
2013/07訪問 2013/07/11
浅草は浅草でも吉原に程近い、ディープな飲食店が点在するエリア。
ここに一際輝きを放つタイ料理店がありました。
店内はカウンターのみ僅か5席の小さなお店です。
タイのコラート地方出身のママさんがお一人で切り盛りされているようです。
ママさんは比較的日本語が堪能なようで、こちらの話もよく理解してくれるようです。
ちなみにコラート地方とは、タイの東北部であるイサーン地方の玄関口のような位置。
今回は予約してくれたマイレビュアー様の手配で、食事と飲み含めて一人あたり4,000円です。
何皿かはこちらの希望を伝えておられたそうですが、それ以外はママさんにお任せです。
ジンロがどうやら一本サービスで提供されるようで、これを水、抹茶、ジャスミン茶で割って好き勝手に飲ませてもらいます。
まずはタイ北部の料理サイウア。
いわゆるソーセージですが、黄色いのはターメリック(ウコン)の色です。
他にはバイマックルーの葉、レモングラス、カティーム(ニンニク)などが入っているよう。
これを一緒に提供されたパクチーと一緒に食べると刺激的なハーブが効いていて非常に美味。
肉の旨みも生きていて、見かけの印象よりも非常に楽しめる料理です。
そしてタップ・ワァン。
豚レバを半生にさっと湯通ししたサラダです。
山と盛られたパクチーが印象的。
バイマックルーとレモングラスが強烈に個性を出していますが、レバの質もよく美味しいです。
以前小岩で食べたものに迫るクオリティを感じます。
そしてヤムカイモッデーン。
赤蟻の卵とか孵化したばかりの蟻の幼虫を使ったサラダです。
タイの奥地では蛋白源として昆虫も食べるということですから、こういう料理も一般的なんでしょう。
ちなみにこの素材自体は現地では高級という位置づけのようです。
食用として繁殖させているのか、卵を見た印象はつやもあって非常に衛生的な感じ。
虫と雖も海老や蟹の類と考えれば食べられなくもないです。
食べた印象としては、クセもなく非常に食べやすい。
素材自体に目立った味は感じず、ほんとに蛋白源として食べるという印象です。
それもあってか、蛋白源の豊富なこの日本にあって、この赤蟻の卵にこだわる必要も逆に無いようにも思えました。
現地では貴重な蛋白源でしょうし、在日本タイ人が郷愁を感じるために食べるなら理解もできますけど、日本人が食べるとなるとやっぱり興味本位なんですよね。
面白い経験ではありましたが、いただくのは一度で良いかな、と感じたのも事実です。
豚の内臓で作ったスープ、トムセップ。
具はタン、シロ(小腸)、フワ(肺)、コブクロ(子宮)などの他、スジらしき部位なども入っているように思います。
ややレモングラスなどの酸味が強く出たスープはクセもなく非常に美味しい。
以前別の店で食べたものとは突出したものは感じませんが、家庭的な味という意味では上出来。
そしてヤムタクライ。
レモングラスのサラダです。
当然ながらレモングラスが具の中心とは行きませんので、メインには海老を選択しているようです。
でもって上にはサクラエビが大量にふりかけられています。
コラート出身の方ならば豚肉を使うものかと思ったんですが、これまでのラインナップに豚肉が多かったので気を遣ってくれたのかもしれません。
他のメニューに比べると傑出したものは感じませんでしたが、異なる海老の風味はなかなか良いんじゃないでしょうか。
カオクラパオカイダオ。いわゆるガパオです。
ただし今回はガイ(鶏肉)ではなくムー(豚肉)で作ってもらいました。
一見して分かる通り、挽肉ではなく薄切り肉を使っています。
ママさん曰く、良い肉を使っているので挽肉よりこちらの方が美味しいとのこと。
ママさんに混ぜてもらい食べてみますが、やや汁気多めのように見えながら混ぜてみるとご飯が汁をまとったことでちょうど良い具合。
ガパオ(バジル)の香りもちゃんと漂い、これまた質の高さを感じられます。
豚肉もご指摘通りジューシーで非常に美味しいです。
これまた素晴らしい一品。
そしてラープガイ。
今回はマイレビュアー様が砂肝などの鶏モツも入れて作ってほしいとお願いされていたようです。
見ると砂肝以外にもレバーも入っているようです。
火の通し加減が非常に絶妙。挽肉のみならず、レバーはレバーのベストな状態に仕上がっているように思います。
この料理は私が個人的に最高評価を付けているタイ料理店にも並ぶクオリティだと思います。
そしてサービスで作ってくれたモミジ(鶏の足)を使ったサラダ。
タイのものは予めほとんどの骨は取り除かれているようです。
これと白キクラゲを合わせて香草などとともに和えていました。
骨があると周りを歯でこそげとる感じになってあまり食べる部分が無いのですが、これならほとんど食べられます。
ところどころ骨も残っているので食べづらいと言えば食べづらいのですが、サービスだしこれはいいです。
そしてこれもサービスの竹蟲。
名前の通り竹の中にいる虫だそうです。
見た目は芋虫の細いやつのようですが、揚げるとピンと伸びるんですね。
周りの部分がちょっと硬くなっていて殻のように口の中に残るのが気になります。
味に特徴らしい特徴が無いようで、特に美味しいものでもないですが、これも良い経験になりました。
これだけ飲んで食べて一人4,000円きっかり。
非常に良心的なお店だと思います。
私が最高評価を付けている小岩のタイ料理店もそうですが、日本人向けの意識があまり無いせいでしょうか、味もさることながら値段やサービスも現地仕様な印象です。
やっぱりこういうお店にこそ本当の良店が潜んでるんですね。
味は他のタイ料理店に比べて傑出しているものの、香草使いでは調和を重視しているように感じました。
ミントやレモングラス、パクチーにセロリなど個性の強い素材を使いながらどれも大きく突出させることは無く上手にまとめているという感じ。
小岩のお店はどちらかというと遠慮無い香草使いで一種の芸術性を感じましたが、こちらは家庭の味と言えばいいのか。
でも非常に高いレベルにあるのは事実だと思います。
傑出した素晴らしいタイ料理店は例外なく不便な場所にあるように思いますが、これまた通いつめたくなる味でした。
ごちそうさまでした。
お誘いいただきましたマイレビュアー様、ご一緒させていただきましたマイレビュアー様、ありがとうございました。
9位
1回
2013/08訪問 2013/09/14
美味しいタイ料理店を探す基準ってやっぱり他のジャンルとは全く違うと改めて思った
【再訪】2013年8月
再びマイレビュアー様達と訪問させてもらいました。
相変わらず(当然ですが)カラオケスナックという出で立ち。
2度目ともなると入るのも問題はありませんが、初めての人には極めてハードルの高い外観(笑)。
ジンロのボトルにウーロン茶割で乾杯した後は立て続けに注文です。
ヤムプードンは前回も注文しましたが、生の蟹に辛い調味料を合わせた料理。
生の蟹がかなり良いものを使っているのもありますけど、このガツンと辛さが効いたタレがすばらしいです。
この料理を食べるためだけにこの店に来てもいいかも。
スタートからいきなりの先制パンチを食らいます。
そしてトードマンクン。
ナムチムガイと言われるスイートチリが付いてきます。
海老のすり身を揚げたものです。
これは店によるブレもそう無いですけど、普通に美味しく食べられます。
日本人シェフのお店は海老の食感を生かしたり、香草を練りこんだりしますが、ここは至って現地風。
やや蒲鉾チックな食感が楽しめます。
ラープムーは前回も食べてましたが、煎り米も入った王道のラープ。
豚ひき肉を使ったサラダですが、現地ではもち米でこういう料理を主菜とするらしく、サラダと言うのは個人的にちょっと抵抗もあります。
そして海老の辛みそ炒め、パークン。
素材も味付けも申し分なし。
海老がゴロゴロ入ってますが、これで1,000円は安いなぁ。
1,500円でもよさそうな感じです。
きゅうりのサラダ、タムテン。
ちょっと味をあんまり記憶してないんですが、辛味もそこそこ効いてて濃い肉料理などが続いた後にはこういう料理がありがたい。
タイ料理の濃い味付けだと野菜が美味しく食べられるのがいいんですよね。
ムーパップリックゲーン。
前回も食べていた豚肉の辛口炒めです。
相変わらずの美味しさです。
ガパオは前回鶏肉だったので、今回は無理を言って豚肉にしてもらいました。
調理の腕も良いですが、豚肉になるとまた旨みが鶏肉とは違って美味しいです。
この店でもガパオははずせない一品です。
そしてコブクロを揚げたトードサイタン。
食感が魅力の料理ですが、素材が良いので美味しいです。
最後にカオパットガイ。
鶏肉のタイ風炒飯です。
タイ米を使ってもご飯がパラッとならないのは、調理の仕方とか油の使用量とかに拠るんだろうか?
それでもというか、だからと言うべきなのか、ちゃんと美味しいんです。
カオパットはどのお店でも味付け控えめなところが多くて、好みでナンプラーなどで味付けするようです。
ここはもともとの味が良いですからあまりナンプラーを使う必要性を感じません。
やっぱりここは良いお店です。
雰囲気は好みが分かれるというか、怯んで入れない方も多いお店だと思いますけど、勇気を持って入れば美味しい料理が待っています(笑)。
ただあくまでこのお店はタイカラオケのスナックであり、たまたまそこで出す料理が美味しいということはご理解されておいた方が良いかも。
だからタイカラオケを歌う人もいるでしょうし、キャバクラ的に使っているお兄さんなどもこられてます。
なので、こういう中でガッツリ食事だけをしにくる、という方が特殊な人なのかもしれません。
そう思えば多少この雰囲気に対しての理解も増えるんじゃないかな?
いずれにしてもここは定期的に食べたくなる味のお店です。
ぜひまた訪問したいと思います。
ごちそうさまでした。
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【初訪】2013年7月
「こち亀」のモデルとなっている亀有の裏通り。
大きなマンションの裏手になっていて通りからは全く目立ちませんが、ここにポツンとタイの国旗を掲げたお店があります。
私がお店の前に来ると扉が開いていて中が少し見えます。
ちょっと遠目から覗いて見ると、中はタイカラオケ完備のスナックという出で立ち。
店内には接客担当という感じのタイ人のお姉ちゃんの姿も見えます。
ご一緒させていただくマイレビュアーさんも見当たらず、まさかここじゃ無かったのかと心配になって店名を確認しますが、やっぱり合っています。
タイ料理については多少のお店は訪問してきたつもりですが、今回ばかりはさすがに失敗だとこの時思いました。
とりあえず意を決して店内に入ると、接客担当のお姉ちゃん2人と国籍も性別もよく分からないねじり鉢巻きをした人の計3人がおられます。
この鉢巻きの人が一番日本語を理解できるようで、予約だと伝えると席にすぐさま案内してくれました。
この鉢巻きの半袖の袖口から結構なタトゥーが見えますが、この人がどうやらシェフとして料理を作るようです。
でも日本語は片言ながら接客もかなり達者で愛想が良いんです。
この鉢巻きがいなかったら今回のオフ会は果たしてどうなっていたか分かりません。
ようやく全員そろったところで、タイ料理店ではおなじみのジンロのウーロン茶割で乾杯です。
シェフはイサーン地方出身の方らしく、フードメニューは現地風に作ってくれとお願いの上で注文しています。
まずはラープ・ムー。
豚肉の香草サラダのようなものですが、これがいきなり驚くほど旨かった。
やや粗めの炒り米も入っているようで食感もよいのですが、香草の香り豊かでビシッと効いた辛さの程も秀逸。
これまで訪問してきた中でも数軒程度しか感じなかったレベルの感動です。
そしてリンムーヤーン。豚のタン焼きです。
肉をタレのようなものに漬け込んで焼いているのか、それだけで食べても美味しいのですが、ピリ辛のタレをつけても美味しく食べられます。
このタレが粉の唐辛子の他に甘さも感じて何ともタイらしい味です。
肉の食感も良くて非常に満足のいく一品でした。
そしてノムムーヤーン。
豚のおっぱいの部分の焼き物です。
脂が多いんだろうと思っていたのですが、全くそんなことはなく、脂らしい脂はほとんど落ちてしまっています。
言われなければおっぱいの部分だとは思えません。
初めて食べた部位でしたが、これは美味しいなぁ。
そしてヤムプードン。
生の蟹に非常に辛いタレを和えています。
海老だとクンチェーナンプラーなどという激辛料理がありますが、これの蟹版と言った印象。
蟹が意外なほどに新鮮で、ここにタレの爽やかさと生ニンニクスライスの辛味が相俟って素晴らしい旨さ。
少し食べるたびに辛味で痺れた舌を休ませないと食べ進められないのですが、それでもこの料理に手が伸びてしまうという、まさに魔性の旨さでした。
ルークチントードは牛、豚、魚の団子盛り合わせといったところでしょうか。
ルークチンとは団子を意味し、トードは揚げる。いわゆる揚げ団子です。
ここにスイートチリがかかっていました。
タイの肉団子というのは日本の肉団子の印象と違って、結構押し固めた印象があります。
ふわっとしていて、口の中で崩れるのが日本の肉団子とかつみれのイメージですが、タイのものはと言うと、敢えて言えば蒲鉾風な食感。
米粉や中華麺で作った麺類にも具として入っていることが多いですが、個人的にはあのイカの団子が好きだったりします。
予測のつきやすい味なので、あまり食べた時の感動はないものの、おつまみの一品としては良いと思います。
そしてムーパップリックゲーン。
豚肉の辛味炒めとでも言いましょうか。
豚肉の薄切りとピーマンなどを合わせて炒めたもの。
比較的シンプルな料理なのであんまり他の店で注文したことも無いのですが、あまり感じたことが無いようなクオリティでした。
シンプルなものが旨いというのはよくよく考えてみれば差別化することが難しいだけに腕が問われる料理なのかもしれませんね。
最後にガパオ。
豚肉のラインナップが多かったこともあり、鶏肉でオーダーしました。
米は普通のタイ米のようですが、味付けや目玉焼きの状態も非常に好み。
なかなかこのレベルのガパオってお目にかかれないんですよね。
これまたシンプルなようで非常に難しい料理だと最近痛感してます。
それがこの手のお店で食べられるというのは驚きではあります。
これで一人あたり2,600円程度という安さ。
まさに驚異的です。
我々以外には2~3人の男性客グループがいただけ。
でもこの人達はいわゆるタイスナックとして利用に来ていた常連さんのようで、接客係りの女の子達も横について会話していたようです。
ちなみにタイ人の女の子同士、タイ語で話していることが多く、日本人のお客さんはその間で酒を飲んでいるという具合。
あれでサービス料を徴収しているのかは分かりませんが、少なくともスナックとしては有効に稼動していないようにも思えました。
普段はどんなお客さんが来ているのかは分かりませんが、このお店を単なるタイカラのお店とだけ位置づけるには非常にもったいないこと。
あの鉢巻きは都内のイサーン料理の料理人としてはセンスも良く、指折りの腕前だと感じました。
かと言って一般の方にはなかなか入りづらい外観ではありますが、客として入れば非常に丁寧な対応で迎えてくれますし、何人かで連れ立って行かれてみるのもよいのではないでしょうか。
ごちそうさまでした。
10位
1回
2013/11訪問 2013/11/26
JR宇都宮駅から歩いて5分ほど。
繁華街からは距離を置いたやや寂しい場所にこのお店はありました。
営業を始めてから40年近くなるそうで、店内は鰻の脂でやや煤けた感じです。
竹の皮を使ったお品書きを渡されますが、鰻重以外は何故か値段が書いてません。
飲み物はどうしましょうと聞かれるものの、値段はおろかお品書きにも載ってない。
仕方ないので無難にビール(エビス中瓶)をお願いしました。
お品書きには刺身類も多く載っていますが、近年の保冷技術は進歩しているとは言え、さすがに内陸でお刺身というのもどうかと思ってパス。
鰻肝焼、白焼、鰻重の松をお願いしました。
鰻重には松と竹の2種類があり、大きさの違いか聞いたところ松はまるまる一匹使っている上に厚みがあると言われたので、さすがにそこまで言われて竹を頼む訳にもいかず、松を注文しました。
最初に出てきたのは鰻肝焼き。
苦味もさほど感じず、逆に肝の甘さを感じます。
一般的な鰻屋さんでは肝焼きというと、消化器官の胃などを中心とした苦味のある部位で提供されることが多いですが、ここは苦味を感じませんでした。
聞かなかったのですが、ひょっとすると本当の肝の部分で肝焼きを作っておられるのかもしれません。
タレは本来の作り方に従って醤油と味醂だけで作るそうですが、長年にわたり鰻を漬け込んできたせいかとても美味しいタレでした。
店によっては粗目などを加えて甘みを出すそうですが、やっぱりそれは本来のタレの作り方ではないそうです。
この肝焼を食べて、このお店のタレは自分に合うと感じました。
続いて出てきた白焼き。
本来はもう少し小ぶりな鰻を使うようですが、それが用意できなかったのか蒲焼用の大き目の鰻で出てきました。
そのためか多少大味な感じもしましたが、脂も乗っている鰻でした。
ちなみにこちらでは静岡の養鰻業者から仕入れた養殖ものを使っているそうです。
昨年は天然ものをあちこちから仕入れたりもしたそうで、実際香りは素晴らしかったらしいのですが、大きさが不揃いな上、餌をきちんと食べられていないものもあったりして身がぼそぼそだったそうです。
私も天然ものを盲目的に信奉する一人でしたが、客自身が見分ける目を持たないといけないですね。
お客さんに安定した商品提供をするためにはやっぱり養殖ものが良いのでしょう。
そして鰻重。
確かに厚みのあって脂ものっている良い鰻です。
タレも私の好みに合いましたので、とても満足のいくものでした。
ちなみに鰻の旬は脂ののるちょうど今頃。
土用の鰻が有名なので夏だと思っている方も多いようですが、そうではありません。
ご主人ともいろいろ話をさせていただきましたが、タレの濃さなどいろいろ悩んでいるところもあるようです。
でもその探究心というか、良いものを追い求める気持ちが今の味につながっているんじゃないかと思いました。
鰻屋さんと言えば苦戦しているお店も多い中、やっていけていることに感謝されておられるようでした。
ご主人はじめ奥様や従業員の方も裏表の無い方のようで、非常に心地よい接客でした。
また訪問する機会あればお伺いしたいと思います。
ごちそうさまでした。
【再訪】2013年8月
またまたマイレビュアー様たちとともに再訪しました。
8月下旬の訪問ですが、レビューが遅れてしまいました。
注文したものは以下の通りです。
・インドなオードブル三点盛り(500円)×1
・茄子の詰め物(150円)×4
・イドゥリ(4個、チャトニ、サンバル)(1,000円)×1
・ワダ(2個、チャトニ、サンバル)(500円)×2
・緑豆のドーサ(チャトニ、サンバル)(750円)×2
・マイソール・ラッサム(200円)×4
・カレーリーフペーストのチキンカレー(にんじんサラダ、ポリヤル2種、パパド、ライス付きで1,200円)×1
・夕顔のココナッツ・グリーンカレー(にんじんサラダ、ポリヤル2種、パパド、ライス付きで1,200円)×1
・マドラス・コーヒーのフルサイズ(300円)×4
・クルフィ(400円)×4
その他飲み物
茄子の詰め物は意外と小さな茄子です。
中にガラムマサラを詰めて焼いたようで、やや硬さの残る茄子の風味と相俟ってなかなか美味しいものです。
イドゥリは豆の粉と米の粉を混ぜて発酵させてから焼いたものらしく、酸味のある蒸しパンという食感。
これにサンバルという豆を煮込んで作ったカレーやココナッツ味のチャトニをつけながらいただきます。
サンバルの中にはドラムスティックスという表面が非常に硬い植物の茎が入っていて、外皮は食べられないので歯でこそげるように中身だけをいただきました。
美味しいものかと言われると、まぁビミョウなんですけど、これはこれで面白い体験をさせてもらったと思います。
今回特に感動したのがクルフィ。
デザートのアイスなんですけど、これまではマンゴー味のものしか提供されなかったんですが今回初めてミルク味のものが出てきました。
何でも一日がかりで牛乳を煮詰めたものを使って作られるらしく、その手間故か、デザートは今回これ一品しか用意されていませんでした。
でも逆に言えばそれで充分というほど、濃厚な牛乳の味を感じるクルフィでした。
多分これだけの手間をかけてこういうものを提供してくれるような店は日本中探してもここしか無いんじゃないかと思います。
こちらのお店はデザートだけでなく、ビーフンなど多くのものを手作りされるので安心して食べられるものばかりです。
今後も長く営業していただきたいものです。
ごちそうさまでした。
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【再訪】2013年7月
前回のサタデーナイトから1ヵ月後のサタデーナイトに訪問しました。
通常は土曜は昼のみの営業ですが、月の最終土曜だけは18時から21時までの営業があります。
今回も4名での訪問です。
やはり稀少な土曜夜の営業となると、徐々に知名度が上がってきたようで既に予約でいっぱいのようです。
その上で飛び込みのお客さんが3組来られ、最初の1組は辛うじてお座敷席に入られましたが、他のお客さんは入れませんでした。
平日はかなり空いているようなんですが、普段来られない方はどうしても土曜に集中してしまうのでしょう。
めいめいドリンクを注文しての乾杯ですが、最初はお店の売りのひとつである自家製ジンジャーエールのジン割です。
スパイスの香りが豊かで私はこれがとても好きなんです。
さて、フードメニューですが、いつも注文するインドなオードブル三点盛り(500円)は写真を撮れてなかったようです。
感想は以前のレビューに書いていますのでご参照ください。
ラッサムは来るたびに変わっていますが、今回はチェティナドラッサム。
チェティナドとはインドの特定の地域を指す地名のようですが、スパイスをかなり豊富に使う料理に付くイメージの言葉でした。
シェフいわく、どうやら商人が多い地域でもあるようですが、高価なスパイスをふんだんに使う風潮があったりするのかなぁと勝手に想像したりしました。
このラッサムも多くのスパイスを使っているように思います。
辛味は強くないものの、多くのスパイスのエキスが染み出たラッサムは素晴らしい味わい。
スパイスが主役になってる印象です。
そして豚肉のスパイス炒め。
インドではなかなか無いので作ってみた、というようなことをシェフはおっしゃってました。
確かにインドって豚はまず食べないんですよね。
食べるとすれば数少ないクリスチャン辺りでしょうか。
豚肉のインドカレーと言えば、コアのポークヴィンダルーくらいしか食べたことがなかったのでこれは新鮮な感覚です。
日本ではあまり宗教によるタブーというのは関係ないですから、こういうものを提案される柔軟さは良いんじゃないでしょうか。
今回初めて食べるマサラワダ。
ワダとは豆を電動の石臼で挽いたものを揚げて作るドーナツ状のもの。
横に添えられているのはトマトチャトニで、横の器に入っているカレーは豆を煮込んで作るカレー、サンバルです。
ワダも豆の香り豊かで非常に美味しいと思いましたが、やっぱり個人的にはサンバルが秀逸だなぁと思います。
今回のサンバルは以前のものよりもサラサラなタイプのようで、敢えてこういったように作ってこられたのかもしれません。
サンバルにもいろいろとバリエーションがあるのでしょう。
アダイ&アヴィアルは個人的に初めて食べます。
アダイは左のクレープ状のもので、米粉と豆をフードプロセッサーで挽いたもので作っているそうです。
アヴィアルは見たところクリームシチューという印象ですが、具はジャガイモ、ニンジン、インゲン。
材料をシェフに教えていただいたところでは、ヨーグルト、ココナッツミルク、少量の米粉、グリーンチリ、クミン辺りがベースとのことでした。
ここにカレーリーフを加え、最後にココナッツオイルを加えるようです。
食べ方も教えていただきましたが、アヴィアルをアダイにかけて、混ぜて食べるのが良いようです。
アダイが若干粗く残る程度に混ぜて食べてみますが、アヴィアルを吸いながらも豆の食感を残したアダイは美味しい。
何も知らなければアダイをちぎってアヴィアルに付けては食べていたと思いますが、このようにかけてしまった方が両者が馴染んで良いと思います。
そしてビーフンのココナッツ炒め。
驚くことにこちらではビーフンは自家製なんです。
これを使ってココナツ風味に調理していただけました。
塩が主体の味付けのようですが、ココナッツ風味に加えて固めの豆が入っているのが良いアクセントです。
ビーフンだけでは歯応えが無くて退屈してしまいますが、そういう意味でもこの豆は良い役割を果たしていると思います。
そして今週のカレーは魚のカレーです。
昼間は味のカレーを提供されていたようですが、どうやらそれが切れてしまったらしく、夜には鯖カレーを提供されていました。
鯵のカレーのグレービーだけは残っていたようで、少しずついただくことができました。
なるほど、確かに似たようなカレーでも違いますね。
やはりきちんと素材からグレービーを作っておられるんだなぁと実感しました。
鯖はインドっぽく、ぶつ切りで投入されています。
何だかこの方が現地風で良いですね。
グレービーに鯖のエキスが染み出ていて美味しいです。
また前回も感じた茄子のポリヤルも秀逸。
そして今回特別に用意してくださった、海老のココナッツ炒め。
殻が全て丁寧にむかれているので食べやすいです。
海老の弾力のある歯応えにココナッツの香り、スパイスの味わいが重なってとても美味しい。
海老がこれだけ入っていながら1,300円という値段は良心的。
ちなみにこれは特別に用意してくださったメニューなので、正式にメニューに載ったときには量、価格などは変わる可能性はありますのでご注意ください。
最後に恒例のマドラスコーヒーとデザートで〆て終了。
今回も楽しませていただきました。
これで一人あたり4,500円強。
前回は調子に乗って酒をグイグイいってしまったので予想外の値段になってしまいましたが、今回は一人あたり3杯前後。
このくらいだと値段も手頃感が出てくるんじゃないでしょうか。
ちなみにシェフは今回ややテンバリ気味(笑)。
提供までに多少時間がかかっていたようです。
効率に走らず、ひとつひとつのものを丁寧に作るシェフの頭の中には、いい加減に済ませるという考えは無いのでしょう。
デザートやドリンクも手作りするくらいですからそれも当然です。
そこがこのお店の大きな魅力のひとつでもあると思ってますから、これは仕方ないところ。
水~金の平日夜は比較的空いているようですから、こちらに訪問できる方はそちらをお薦めします。
シェフとの会話も楽しみながら食事ができることと思います。
是非また訪問させていただきたいと思います。
ごちそうさまでした。
【再訪】2013年6月
前回から10日ほどで再訪しました。
今回は行きたいとおっしゃっていただいた方3名との計4人での訪問です。
土曜日とあってオープンと同時に訪問。
間もなくして満席。
営業時間はランチはともかく夜は3時間程度となるため、一度お客さんが入ったらまず回転はしないと思った方がよいです。
席数はカウンターで4~5席の他、2名テーブルが2つなので事前確認か予約を取っておかれることをお薦めします。
まずはビールで乾杯。
写真を撮っていなかったようで、プレミアムモルツ(550円?)でした。
まずは前回もいただいたインドなオードブル三点盛り、そしてスパイシーチキンドライ炒め。
詳細は今回初めていただいたものだけ触れます。
スパイシーチキンドライ炒めは鶏肉の皮を取り除いたものが使われているようです。
以前アーンドラダイニングでいただいたミリヤラコーディウェブドゥのような、スパイスなどで炒めたような印象。
鶏肉は割りとサクサクした食感なので、胸肉あるいは笹身のような部位を使用しているように思われます。
辛さも適度で美味しいです。
前回の生ラッサムとは変わったようで、トマトラッサムがありました。
割と王道なラッサムですが、トマトの尖ってない酸味が絶妙です。
スパイスや香草などもふんだんに入っていて値段以上の満足度があります。
そしてワダカリ。
個人的には初めて食べるメニューですが、ワダという豆から作ったドーナツ状のものを崩して作るカレーのよう。
一般的にはそのためのワダを作ってわざわざ崩し、この料理を作るそうですが、こちらでは料理にも出されているものを使われるようです。
豆が粗く挽かれているのでカリカリとした食感が小気味良いです。
これまた水分少なめに調理された料理で、カレーリーフなどもふんだんに入っていて風味が良く美味しい。
そして自家製のビーフンを使って作るインド麺なるものが登場。
調理の途中で小さくちぎれるので、一見バスマティでも使っていそうに見えますがそうではありません。
色づけにはターメリックなどのスパイスを使っているようですが、カレーリーフやマスタードシードなどで軽く味付けされています。
ところどころ入っている固くて小さな豆が妙に良いアクセントになります。
しかしビーフンまで自家製にされるとは驚きです。
この日はドーサが2種類ありました。
セモリナ粉を使ったものとエッグ・ドーサという、ドーサに卵を塗ったもの。
今回はエッグ・ドーサにしてみました。このメニューは他の方々も注文されておられたようで、さながらドーサ祭りのようになってました。
見るからにふわっとしていながら、もっちりとした印象。
付いているのは、白いのがココナッツのチャトニ、隣がトマトのチャトニ、豆が煮崩れるくらい煮込んだサンバルというカレーです。
片面に卵が塗られた形跡が見られ、風味も卵の香りがほのかに漂います。
ナイフで切ってみるとかなりもっちり。ほんとにクレープという印象のドーサです。
前回いただいたドーサのような、ふちがパリッとした食感ではなく、全体に厚みがあってもっちりした印象。
少しくらい時間が経ってもほとんど固くなりませんし、これでチャトニにつけたりしながら食べると非常にうまい。
ちなみに隣のマイレビュアー様はトマトチャトニがいたくお気に入りのようで、追加チャトニをお願いされていました。
サンバルは相変わらず絶品。都内でも指折りかと。
カレーで用意されていたのは、この日は幸運なことにマトンカレー。
6月では27日から29日までの限定だったようです。
ここにポリヤルという野菜炒めが2種とライス、パパド、ニンジンサラダが付きます。
通常はどうやら一皿に盛って提供されるようですが、この日は人数もいて一皿を2人ずつでシェアしたいという事情も考慮いただけたのか、個別に皿に盛っていただけました。
そしてこの日偶然残っていたマンゴーカレー。
何日か前の限定メニューだったそうですが、この日のランチにベジタリアンの方が来られる予定だったので作っておられたそうです。
それを我々のために残していていただいたようで。ありがとうございます。
マトンカレーは大きなマトンがごろごろ。
グレービーもマトンと馴染んでいて非常に美味しい。
こちらのお店ではカレーメニューも限定的なので、ちゃんと肉からグレービーを作っておられると思います。
これはいくらでも食べたくなるような衝動にとらわれます。
一般的には辛くする傾向の強いマトンカレーですが、あまり辛くするのは塩分も多くなってしまうというご主人の考えからなのか、辛さが適度に抑えられているのも個人的には良いです。
マトンという素材は、マニアを除いた一般的な日本人にはまだまだ受け入れられにくい食材だと感じていて、こういった土地柄だと尚更その傾向は強いのではないかと思ってます。
なのでそれが今回食べられたというのは非常にラッキーだったと思います。
マンゴーカレーは初めての感覚。
甘みと軽い酸味を感じるこのカレーはフィリピン産のマンゴーを使用されているそうです。
中にはマンゴーの果肉繊維がところどころ残っていて、ぷるっとした食感が面白い。
スパイスが果たしてどの程度入っているのかは分かりませんが、非常にマンゴーの良さを活かしたマイルドなカレーでした。
最初はマンゴーがカレー?というのもあったんですが、カレーという概念自体インドの方は持ってなくて、海外の人がスパイスなどの入った汁物などをまとめてカレーと呼んでいるに過ぎないと思っているので、こういうカレーもアリだと思いました。
先入観を持たずにいろいろと試してみると、新しい味覚を知ることができるように思います。
ちなみにお米はタイ米を使用されているそうです。
現地ではバスマティはビリヤニなどにしか使わないらしく、このような食べ方では使わないそう。
なのでそれに似たタイ米を使っておられるとのことでした。
そしてポリヤルとニンジンサラダ。
特に気に入ったのがなすのポリヤル。
辛味などはほぼ皆無で、何だかなすの煮びたしのような食べなれた味わいです。
これは気に入りました。
飲み物については今回は前回に引き続き、ジンジャーエールも注文しましたが、ソフトドリンクはラッシーとチャイ以外一通り注文してみました。
フレッシュレモンのソーダ割りは、砂糖で甘くするのと塩でソルティーにする2通りがあるようで、今回は塩でお願いしました。
レモンの新鮮な酸味と夏場に不足しがちな塩分の合わさった味は、何だか元気を得られるような気がします。
面白かったのはローズミルク。
牛乳にローズシロップとローズオイルを加えたというのをラージサイズで注文してみました。
ちなみにラージで出たのは初めてだそうです(笑)。
イチゴなどを使ったイチゴミルクなどのローズ版という優しい味わい。
元々個人的には甘党なので、この味は好きです。
酒を飲めない方にはラッシーだけ、という思いをしてほしくないというご主人のお考えからこういったものも充実させておられるようで、こういった配慮は下戸の方にも嬉しい限りでしょう。
横の方で度数の高い酒ばかりカックらっているマイレビュアー様にも聞かせてあげたいくらいです(笑)。
こちらのご主人ina(いな)さんは料理のことにとどまらず他のインド料理店のことなどいろいろとご存知ですが、そういったものを出し惜しみをされない方なので、お話していても非常に楽しい方です。
ちなみに前回のレビューで顔バレしてしまっていたので、レシピも素材も何でも教えるので、間違ったことだけは書かないようご注意くださいと言われました。
真剣にやっていればいるほど、間違った解釈が広まってしまうのは耐えられないのでしょう。
それはこちらのお店に限ったことではなく、他のお店にも言えることではありますけど。
きちんとした知識があって、現地のものを忠実に提供されたいというinaさんの料理、インド料理ファンなら一度は行っておかれることをお薦めします。
いろいろと勉強にもなりますし、何よりこのお店の魅力をもっと多くの方が知るべきだと思います。
そういう私も次回訪問の予約を早速取らせていただきました。
行く度にメニューが変わっていたり、その場に応じて作っていただける料理を食べていると何度訪問しても飽きることはないでしょう。
ちなみに可能な限り、平日が狙い目のようです。
また訪問させていただきます。
ごちそうさまでした。
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【初訪】2013年6月
未訪のお店の中でも特に気になっていたお店がこちらでした。
南インドが大好きな日本人のご主人が始められたお店なのですが、一際派手な外観写真がどうにも気になっていました。
私はいずれもやっていないので知らなかったのですが、FacebookやTwitterなどでは有名な方だったようです。
元ITエンジニアだったというご主人ですが、人当たりは非常に爽やかで話しやすい。
インド始めアジア系のお店を食べ歩くのが元々の趣味だったらしく、私が先日訪問したアチャラナータの店主さんとも友達だそうで、いろんなお店の話で盛り上がりました。
訪問は平日の夜オープンと同時に入店。
ディナーは、オープンが17時30分で20時閉店という営業時間のためか、お客さんは私を含めて3名のみ。
しかもうち一人は雑誌の取材のお願いを兼ねての食事だったようです。
でも客として勝手なことを言えるなら、このくらいの方が店主さんとのお話もできて楽しいですね。
ランチはどのような状態か分かりませんが、土日で何人もお客さんがおられるような状態よりは、可能な限り平日のこの時間帯に来られることをお薦めします。
まずは自家製ジンジャーエールをジン割にしてもらいます。
ちなみにお酒で割ると200円増しとなります。
自家製ジンジャーエールにはシナモンやクローブを加えたスパイス風味を備えています。
この絶妙なスパイス感がまた良いんです。
あまり同じ飲み物をお替りすることは無い私がもう一杯注文してしまいました。
そしてインドなオードブル三点盛り。
乾き物的なものではありますが、それぞれタッパーに入ってるところを見るとこれもそれぞれ一手間加えているようです。
スパイスライスパフはライス(バスマティではないそうです)のパフにフライドガーリックを合わせたもの。
スパイスの香りもさることながら、ガーリックの強い風味がまた素晴らしい。
ひよこ豆にココナッツをあわせたというものは、ココナッツのような甘いものではなく、おつまみという味わい。
料理名もうかがったんですが、忘れてしまいました。これも美味しいです。
マサラカシューナッツは文字通り様々なスパイスで和えたカシューナッツ。
こういうものは一品だけ注文しても量が多くて困るので、こうやって三点盛りにしてくれるのはありがたい。
そして変わり種だったのが生ラッサム。
いわゆるラッサムに火を通してないものらしく、暑くなってきたので、ということのようです。
冷製という特徴を活かすためもあってか、辛さはかなり抑え目に作っておられるのですが、この複合的なスパイスの旨味は素晴らしい限り。
王道のラッサムもよいものですが、暑い時期になってきたから、という気の利いたアレンジ、いいですね。
そしてドーサ。
米と豆を粉にしてクレープ状に焼いたものですが、サンバルという豆を溶け込ませた野菜カレーと3種類のチャツネが付きます。
チャツネはそれぞれココナッツ、グリーンチリ、トマト。
ドーサは周りがパリッとしていて美味しい。
特に旨いのがサンバル。
店主さんは淡々と会話しながら提供してくれますが、このレベルのサンバルは都内でも数えるほどしか味わえませんよ。
チャツネも単体で味わっても良いですが、混ぜてもまた良し。これも良いですね。
最後に何かデザートを・・・と思っていると、盛り合わせもできます、というご主人。
迷っている人には盛り合わせをお薦めするようです(笑)。
この店は多くのものがそうですが、このデザートも全て手作りだそうです。
ラヴァ・ケサリはセモリナ粉?を使ったプディング状のものですが、適度な甘さが良いですね。
パヤサムはナッツを炒めて、セモリナ粉の極細パスタを加え、牛乳や砂糖などで味付けしたものですが、インドのデザートでは牛乳やフルーツを使ったものがよりグレードが上らしい。
これまた適度な甘さで美味しいですね。
マンゴークルフィはああいう形状で出てきたのは初めてですが(笑)、なかなか美味しかった。
もっと滑らかな食感にされたいそうで、いろんな方にも聞いたりしたそうですが、あれは機械を使って常に攪拌しないと出せない食感だそうです。
確かにシャリシャリした氷の食感はありますが、この値段ならこれで充分だと思います。
最後に注文したマドラスコーヒー。
デミカップで出すものとこのようなフルサイズが選べるようです。
これ、かなり旨いです。
泡立ったミルクたっぷりのコーヒーという印象のマドラスコーヒーですが、これまであんまり飲んだことはありませんでした。
他のお店のレベルがどれほどのものか分かりませんが、これからはちょっと飲み比べでもしてみようかな。
これには結構力をいれておられるらしいのですが、なかなか出ないそうでご主人も嘆いておられました。
私もお薦めの一品です。
既製品を使うのもつまらないので極力自分で作ったものを出したいというご主人のお考えには大いに賛同するところです。
お一人でやっておられることもあり、そのための手間は相当なものだと推測されますが、それを惜しまないのが素晴らしいところ。
これこそ本当の良店だと思います。
いろんなお店にも行かれて人脈の広いご主人とのお話も楽しい限り。
ちなみに雑誌の取材の申し入れで来られていた方以外のもう一人は、偶然にも私が住んでいる阿佐ヶ谷の隣の荻窪に住んでいる同年代の方(笑)。
それがこういう遠く離れた店で出会うというのも面白いもので、新店のNICOや休業中のナーガルジュナ辺りを除いて、都内では大抵の名の通ったようなカレー店を訪問されたというその方と店主さん含めて3人で話が弾んでしまいました(笑)。
結局閉店時間の20時少し前に失礼したので、この日のディナーは3人だけ。
このくらいが楽しいと言えば楽しいのですが、やっぱりこのお店のためにもお客さんにはもっと訪問してもらいたいところ。
営業時間や立地上のデメリットもなくは無いでしょうが、でもあまり無理してもらいたくもないし・・・と悩ましいですね。
このお店は他には無い魅力をたくさん持ったお店で、個人的にはとても好きなお店になりました。
是非今後も機会ある度に訪問させていただきます。
ごちそうさまでした。