imosaさんが投稿したディルセ(東京/千駄ヶ谷)の口コミ詳細

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移転ディルセ千駄ケ谷、北参道、国立競技場/インド料理、インドカレー、創作料理

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥4,000~¥4,999 / 1人
      • 料理・味 4.7
      • |サービス 4.4
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.3
1回目

2013/04 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.7
    • | サービス4.4
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.3
    ¥4,000~¥4,999
    / 1人

日本人によって進化を遂げるダバのDNA

【再訪】2013年4月  
マイレビュアー様3名とともに合計4名で再訪しました。
これまでも何度も食べているテッパンメニューのラインナップなので、個別の評価は過去のものをご参照ください。
(ひょっとすると個別のレビューを忘れているかもしれませんけど)

・前菜
【チキンのリエット風(ミニナン付き)】(420円)×2
【田舎風パテ】(720円)×2
【トリッパとロビア豆のピリ辛トマト煮込み】(580円)×1
【牛すじのおつまみカレー炒め】(420円)×2
・タンドール
【チーズクルチャ】(630円)×1
【チーズキーマクルチャ】(680円)×1
【ラム挽肉のシークケバブ】(720円)×2
【ポークスペアリブ・ゴアのヴィンダルー仕立て】(420円)×4
・カレー
【バングラデシュの豪快フィッシュヘッドカレー】(1,000円)×1
【マスタードソースの魚カレー】(1,000円)×1
【カルカッタフィッシュカレー】(1,000円)×1
【バングラの豆スープ”DAL”】Lサイズ(600円)×1
【ライス】(250円)×1

飲み物は白ワインボトル(2,600円)と赤ワインボトル(2,600円)
その他インドのウイスキーブランド「Amrut(アムラット)」の数種類など

これで一人あたり5,000円未満という安さ。
この日は早めに訪問して19時過ぎから23時近くまでいて、貸切状態でした。
日によってもかなりお客さんの入りは変動あるようでシェフも楽観的ではありますが、もっと評価されてもよいお店だと思ってます。

他にも訪問されたいというレビュアー様もおられますので、また5月にオフ会を行いたいと思います。
ごちそうさまでした。


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【再訪】2013年4月
またまた前回訪問から1ヶ月程度空いてしまいました。
再訪レビューはあまり書かないのですが、今回は点数をわずかながら変更しましたので再訪レビューを書きます。

本来アルコールをあまり飲むほうではないのですが、今回ビールやウイスキーの品揃えが相当ハイレベルだと感じました。
今回飲んだのは、「志賀高原IPA(長野の地ビール)」780円とインド産ウイスキーのAmrut(アムラット)のFusionです。

【志賀高原IPA】
志賀高原IPAは小さな瓶で出てきます。
シェフが言うとおり、ライチのようなフルーティな香りがする割にはしっかり苦味もあってビール好きには合いそうな一品。
私自身はそんなにビールって飲むほうじゃないんですが、このビールは苦くとも香りが柔らかいせいか、とても飲みやすく感じます。
アルコール度数も6%。ビールにしては高いほうではありますが、そこまで感じません。
これは合うなぁ。

【Amrut Fusion】
Fusionは2010年のWorld Whiskyで世界3位となった品だそうです。
インドは意外にもウイスキーの製造が盛んなようです。これもかつての宗主国であるイギリスの影響でしょうか。
ちなみにこのお店ではウイスキーに値段が書いてありません。輸入物なので時価だそうです。
これはアルコール度数も50%なので、イレギュラーですが少しだけグラスに入れてもらいました。
グラスの底から1センチくらいかな?入れてもらって、お会計から逆算すると200円分だったようです(笑)。
でもバーなどでこれを普通の量注文すると一杯1,500円くらいらしいですから、今の私にはこれで充分です。

これはとにかく香りが素晴らしく良いです。
それも時間が経つほどに香りに変化が起こっているのがよく分かります。
どんどんカラメルのような甘い香りに変わっていきます。
この香りだけ楽しむだけでも長時間楽しめそうです。
私のような素人でも世界3位になるだけあるなぁと妙に納得してしまうウイスキーでした。

【今週の魚カレー】
今週は蛤(はまぐり)のカレーでした。魚じゃないですけどね。
でもバングラディッシュはイスラムなんですけど、貝を食べるイメージ無かったのでシェフに聞いてみると、やっぱりバングラでも貝を食べてる人を見たことがないそうです。
当然ハラール食材だけがカレーに合うとは思ってませんが、この先入観の無い素材選びが畑中シェフのスゴイところです。

蛤は浅利のふた周りくらい大きなもので、それが7個入ってます。
蛤は見るからにふっくらとしたミディアムレアというよりもレアに近い状態。
貝の口がしっかり開いてるのにこの状態。一体どうやればこういう風になるのかよく分かりません。
これはインド料理しか経験したことのない人には絶対に出来ない芸当です。
ちなみに貝に熱はちゃんと通ってます。

味付けも秀逸。
蛤が活きるような玉ねぎなどの野菜を使ったサラサラカレーではありますが、ちゃんと蛤を支えつつ出過ぎないのがいい。
こちらのシェフは素材が絶対にカレーに勝ってないといけない、という考え方なので、絶対に素材の味がカレーに埋没していません。
それは初めての訪問から今まで、一度たりともブレていません。

あらかたのメニューは食べてはいますが、また次回の訪問が楽しみになるお店です。
ではまた訪問させていただきます。
ごちそうさまでした。

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【再訪】2013年3月
仕事の都合もあってなかなか再訪できず、前回の訪問から1ヶ月空いてしまいました。
その間にメニューが一部変わっているようで、そのうちいくつかを食べてみました。

【チキンのリエット風(ミニナン付)】420円
リエットはフレンチの肉料理で、細かく切った肉を叩いたりしながらほぐし、味付けしたもの。
シンプルですが、みじん切りのコリアンダーやグリーンチリなども入っているようで、適度なスパイシーさが秀逸。
ナンを一口大に切り分けたものが付いてくるので、これをレバーパテのバゲットのようにここに載せて食べます。
さすがフレンチの経験もあり、ダバインディアで修行された畑中シェフならではの料理です。
これも訪問した際のローテーションのラインナップに加えたいと思います。

【キッシュ ア ラ ディルセ】300円
おそらく直径にすると15~20cmほどのキッシュを8等分したくらいの大きさで出てきました。
具はじゃがいもがメインです。
程よく食感の残ったじゃがいもがたくさん入っている中、仄かにカレーの風味を纏わせた味付けがニクいです。
これまた畑中シェフならでは、という料理でしょうか。

【今週の魚カレー】1,000円
鯖のつみれが入ったカレーだとのことで注文してみました。
大きなつみれが3つ入った器には粗みじん切りの玉ねぎが大量に入った赤みを帯びたカレー。
上から生姜の細切りを振っています。
食べてみると、なるほどね、つみれの味が際立つカレーです。
つみれにはコリアンダーのみじん切りが練りこまれていますが、一度揚げているのか魚の臭みも感じることなく美味しいもの。
ちなみに魚に合わせるカレーというのは結構難しくて、大抵のカレーは魚の味を封殺してしまいがちですが、そこはさすがに畑中シェフです。
決して魚の味を邪魔せず、それでいてカレーとしては充分な旨味を持っています。


ちなみに前出のリエットとキッシュ以外に新しいメニューとして、ひよこ豆のカッチュンバル(420円)、トリッパとロビア豆のピリ辛トマト煮込み(580円)、本日のタンドーリフィッシュ(350円)です。
メニューも新しいものが追加されたし、また今後も訪問したいと思います。
ごちそうさまでした。

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【再訪】2013年1月
これまで月2回程度の訪問を繰り返しているお店です。
この日はマトンシークケバブ(720円)、パパドとクスクスのサラダ(420円)を注文し、カレーはどうしようかと思って「本日の魚のカレー」と「本日のお肉のカレー」の内容を聞いてみると、魚は何だか聞いたことのない名前。
何でも酸味と辛味のあいまったカレーだそうですが、あんまりイメージがつかなかったのでパス。
一方お肉のカレーはと言うと、チキンカレー。
何だチキンカレーかと思って、いつものようにカルカッタフィッシュカレーを注文しようとしたら畑中シェフには珍しくやけにチキンカレーを推してくる。
何でもこれは高校生の時に初めて作ったカレーらしく、それが十何年経ってこういう風に進化したんだな、というのが分かるカレーだとのこと。
それも何だかよく分からなかったんですが、とりあえずそんなに言うならと思って、そのチキンカレーを注文。

割と油多めとは言われていた通り、油の中に大きめのチキンの塊がゴロゴロ入り、玉ねぎなどの野菜をスパイスなどで炒めた具が沈んでいると言う印象のルックス。
こちらのカルカッタフィッシュカレーを食べたことがある方なら、ああいうビジュアルと言えば分かるでしょうか?
あれよりも油の比率はかなり多めではありますが。

でも一口食べてみるとこれが旨い。
油多めのマイルドな口当たりでありながら、スパイスも程よく効いていて素晴らしい完成度。
その昔、どれがお薦めか聞いても、どれも旨いですよ、くらいの答えしか返さなかったシェフがあれだけ推してきたのも納得の味です。

鶏肉は一部に皮こそついていますが、過熱されて油が抜けているのか嫌な食感や匂いは全く感じません。
それでいて鶏肉そのものはとてもジューシー。こういうのはどうやって調理するんだろう?と素朴に思ってしまう。
具は玉ねぎなどの野菜を炒めているようですが、あらかた形を失った状態の中にグリーンカルダモンやシナモンロールの木片なども入っているのが見て取れます。
油多めではあるので、スパイス感がビシバシという感じではなくマイルドな印象ではありますが、これは個人的にツボにはまりました。
盛り付けの際に上に振った生姜の細切りやコリアンダーのみじん切りがまた鮮烈な風味を放ち、料理にアクセントを与えています。
確かにこれまで食べたチキンカレーと名の付くものでは、これが一番、というか群を抜いてます。

最後にシェフから、どうだ?と聞かれたので旨いと答えると、チキンカレーはウチのが一番旨いと思う、と半分冗談めかしながら半分本気で言ってきました。
マトンの最高の使い手を間近で見てきたせいかマトンでは無くチキンを挙げてきたところが何だか面白かったんですが、シェフもこの一品には並々ならぬ絶対的な自信を置いているよのがよく分かりました。
このカレーはグランドメニューに加えないのか、と聞いたらそのつもりは無いそうで、運良くその日に当たれば食べられるメニューだそうです。
日替わりメニューも見逃せないとは、なかなか飽きさせませんね。
やっぱりここも通い詰める価値のあるお店です。
ごちそうさまでした。


【再訪】2012年11月 
実はこれまで何度か再訪していてほぼ全てのメニューをいただいていましたが、写真が撮れないこともあって、レビューがくどくなりそうでアップしていませんでした。
今回はここでオフ会をさせていただいたこともあり、レビューします。

マイレビュアー様とともに4名で予約して訪問です。
インド産白ワインのボトル(カベルネ・ソーヴィニヨン)でまずは乾杯。

基本的な注文は私で主導させていただきました。
既に過去のレビューで触れているものが多いので、重複するものは詳細なレビューを割愛します。

注文したものは、田舎風パテ、海老のマリネ、トリッパのスパイシー煮込み、牛すじのカレー炒め、チーズクルチャ、ラムキーマクルチャ、ラムシークケバブ、ポークスペアリブ ゴアのヴィンダルー仕立て。
カレーはマスタードフィッシュカレー(秋刀魚)、カルカッタフィッシュカレー(鯖)、ダルスープ。

マスタードフィッシュカレー(1,000円)は味付けはマスタード一色。
辛いというものではなく、風味がマスタードと言う感じです。
実際マスタードのシードがたくさん入っています。
シェフに言わせると、これは好き嫌いがお客さんでもかなり分かれるとのこと。
合うのと合わないのが6:4くらいだそうですが、私は4の方です(笑)。

カルカッタフィッシュカレー(1,000円)は玉ねぎを炒めることで味を作っているようで、油の中にたっぷりとおろし大根でも入っているのかと思うような外見です。多少のマスタードシードも入ってるみたいですが、あまり風味は感じません。
その中に軽く素揚げした鯖が2切れほど入っています。
素揚げすることで魚の表面がコーティングされ、カレーに入れても魚の旨味がカレーに流れ出ないんですね。
魚を美味しく食べるためにシェフがよく使われる手法です。
カレーはこれで全種類レビューしましたが、これが個人的には一番好きな味です。

魚に合わせるために水気の多いカレーにしているのかと思っていましたが、これをシェフに聞くと基本的にバングラディッシュの家庭で食べるものはこういったカレーだとのこと。
招かれたりすると、油を多くしたりして濃くすることもあるそうです。
なるほど。北インド系の店でもナッツや生クリームを豊富に投入したトロトロのカレーが多いですが、家庭ではこういったものではなく、もっとサラサラしたものだと言いますから、これは南アジア全般に当てはまることなのかもしれないですね。
家庭で食べるものは比較的サラサラで、人を招いたり高級飲食店などでは濃い味にするという。
ちなみにバングラディッシュではナッツや生クリームを投入するのは見たことがないそうで、油で濃くするみたいです。

シェフは日本の専門学校を卒業後にバングラディッシュに渡り、料理学校と現地ホテルでの勤務を通算1年半ほど経験されたようで、カレーだけはバングラディッシュのものを忠実に作っておられるそうです。
その後、バックパッカーなどを経て、国内のホテルでフレンチ、イタリアンを経験後、ダバインディアグループに入店され、ダバ、グルガオンなどでインド料理を経験されたそうです。

この経歴を見れば、フレンチやイタリアンとインド料理をこの高いレベルで融合させられる日本人がいかに少ないかが分かっていただけるかと思います。
つまりこの店は畑中シェフだけが作ることのできる唯一無二の世界なわけです。

インド料理以外の経験があるということがプラスに働いていると私が思うもうひとつのポイントが、インド料理店の多くは何が具に入っても変わらないと言いますか、具の味がカレーの味に埋没してしまっていることが多いんですが、こちらの畑中シェフの場合、例え魚であっても絶対に具の良さがカレーに勝っていると言うか、カレーに具を引き立てさせるような料理を作られます。
実際、彼自信も素材の味が主役であるべきという考えに絶対的な価値観を置いているようで、どの料理においてもそれは常に一貫しています。

こういう不利な場所でやってて・・・と多くの方に言われるようですが、シェフは「ここに来たいと思う人が来てくれればいい」とはっきりおっしゃっていました。
私もそう思いますし、必ず今後も再訪すると思います。
ごちそうさまでした。


【再訪】2012年9月
前回あまり深く切り込めなかったバングラディッシュの魚カレーを味わいたくてやってきました。
平日夜20時頃の訪問で、先客2組、後客2組で5卓あるテーブルは満卓。
シェフは、こんなこと稀なんです、と料理の提供が遅くなったことを詫びてくれましたが、当然の評価だと思うんですけどね。
むしろこれでも私には少ないんじゃないかと思えるくらいです。

この日はマサラフライドフィッシュ(450円)、バングラディッシュの豪快フィッシュヘッドカレー(1,000円)、ライス(250円)を注文します。

最初に出てきたのはマサラフライドフィッシュ。
秋刀魚にスパイス入りの衣を薄く纏わせて揚げているようです。
衣はカラッとなっているのに、中身はホクホクしています。

辛味をほぼ感じないところを見ると、スパイスはターメリック(ウコン)だろうか?
タイのイエローカレーにも色づけとして加えられるスパイスです。
これにもやはりコリアンダー(タイではパクチー)の粗みじん切りにした葉を振りかけています。
揚げていてもこのおかげか、さっぱりした印象があります。

個人的に揚げすぎてしまった青魚の揚げ物は最悪と言っていいほど不味いと思っているのですが、こういうちゃんとした火加減がわかる方が調理してくれると安心して注文できますね。

続いてフィッシュヘッドカレー。
大きなお盆にご飯がのせられ、その横に器に入った鯛の頭がまるまるひとつ入ったカレーの器が置いてあります。
カレー自体はさらさらしたもので、ルーと言うよりはスープのようなもの。
先日ダバインディアで食べたカニカレーもそうでしたが、魚介類にはこういったカレーを合わせることが多いのかな?

箸で身を崩しながら、身の入ったカレーをスプーンでご飯の上にかけて食べて行きます。
他にも玉ねぎだとかの細かい野菜の粒がたくさん見られます。
ケシの実も入っているようですね。

これまたほとんど辛くない。
激辛は食べられない私にはちょうどいいかもしれないです。
味も最初の一口二口は?という感じでしたが、徐々に身と一緒に食べ始めてから魚の風味が加わり、何となく複雑な味わいになってきました。
うん、これは美味しい。
魚の頭は割と美味しい部位が集まってますが、締まったほほ肉や目玉、かまの部分など、結構楽しめます。
皮にはうろこが残っていてちょっと食べづらいということはありますが、元々こういう料理なんでしょう。大きな問題ではありません。

シェフも相変わらず良い方です。
他にも試してみたい料理がたくさんあるので、また訪問させていただきます。
ごちそうさまでした。


【初訪】2012年8月
こちらはずっと訪問したいと思いながら、なかなか訪問できなかったお店でした。
ホテルなどで料理人として腕をふるっていた畑中氏が、八重洲にあるインド料理の名店ダバインディアで3年ほど経験を積んだ後、独立されたお店です。

スパイス入りのパテやトリッパなどがあるとは聞いていたのですが、店内撮影禁止につき料理の写真もなし。
インド料理は通常、鶏肉や羊肉は多用するものの牛肉や豚肉を使う西洋料理との融合がどういうものなのかとても興味がありました。

一方ランチはと言うとどうやらカレーセットのようなものが主体のようです。
これはこれで興味はあるもののやはりこちらの真髄を知るのは夜だろうと思い、伺うチャンスを狙っておりました。

今回幸いにもたまたま訪問されるご予定であったマイレビュアー様にお誘いいただき、初訪問。
店内は10坪もないくらいの広さ。4名席が3卓に2名席が2卓。
この日は畑中シェフお一人で調理から接客までこなしておられましたので、このくらいが限界ということでしょうか。

まずはインド産の赤ワインボトル(グローバー、レゼルブ、2,600円)を注文。
これは以前カマルプールで飲んだものと同じグローバーではありますが、クセの種類は同じながらその時のものよりも飲みやすい。
ワインというのは、香りや味を土や干草のように食べ物以外の物に例えられることもあるようですが、私の独断で言えばこれは「革」のような印象です。結構独特です。

続いて田舎風パテ(720円)、牛すじのおつまみカレー炒め(420円)、トリッパのスパイシー煮込み(580円)を注文します。

ペッパーが振られたパテはおそらくクミンとカルダモンが前面に出てきている印象。
辛みはほとんど感じません。適度なスパイシーさがいいアクセントです。
これは一気に食べてしまうよりは、他の料理との間にちびちびつまんでいたい味です。

牛すじのおつまみカレー炒めは、脂はとろとろになってますが牛すじでも割と肉の食感がきちんと感じられる部分が多いようです。
これは煮込んでいる訳では無く炒めなので、肉の表面がカレーと合わさった油をまとっていてなかなかの美味。
細かいスパイスや野菜なども一緒に炒められているようですが、この複雑な味が何とも言えず素晴らしい。
ご存知の通り、ヒンズー教徒が多数のインドでは牛肉は基本使いませんから、インド料理屋ではこういうものは食べられません。

トリッパのスパイシー煮込みは具のハチノスが隠れるくらいに、オレンジ色のソースがかけられています。
3時間煮込んで作るらしく、結構手間をかけているのが分かります。
ハチノスはとても柔らかく、味もピリ辛という程度。少しずつつまむには丁度いいです。
ハチノスは牛の胃なので、当然これも牛肉を使っています。他のインド料理店には文字通り真似ができない料理です。

続いて海老のマリネ コリアンダーの香り(580円)、チーズキーマクルチャ(680円)、ラム挽肉のシークケバブ(720円)、ポークスペアリブ ゴアのヴィンダルー仕立て(360円/1本)を注文します。

海老のマリネは背中を割ってボイルされたボタン海老クラスの大きさのものが4尾。
酸味がさほど強くない酢に玉ねぎスライスなどの野菜が何種類か入っています。
上に載っている生の刻んだコリアンダー(東南アジアではパクチーの名称)の風味が香りを引き立てます。
ちなみに生のコリアンダーは、この品に限らず多くのものに多用されています。
苦手な方は事前に申し出たほうがいいでしょう。

そしてチーズキーマクルチャ。
チーズを入れたクルチャはカマルプールでも食べたことがあってとても美味しかったのですが、こちらはラムの挽肉が入っています。
そこにチーズとおそらくニンニクの風味も効かせている様子。
ラム肉の旨みが生地によって閉じ込められているので、とても美味しい。
ちなみにクルチャとは、日本人に分かりやすく説明すると形状はおやきといった感じ。
若干もちっとした食感の薄手の生地にラムの挽肉やチーズなどを包み、平べったくして焼いています。
インドにはこういった挽肉を包んだものは無いはずなので、これもシェフ独自の料理なんでしょう。
この日の料理の中でも気に入ったもののひとつです。

ラム挽肉のシークケバブは、いわゆる一般のインド料理店で出てくるようなスパイス入りのヨーグルトなどに漬け込みタンドリー窯で焼いたものではなく、素材であるラム挽肉の色がよく分かるもの。
肉はやや粗めに挽かれたものに玉ねぎやグリーンチリなどの小さい粒が入っているのが見えるので、材料を全て混ぜてから焼くのでしょう。
一般のインド料理店ではこういう焼き物の焼き加減というのにこだわりはあまり無いようですが、こちらは絶妙。
ラム挽肉のジューシーさを最大限に保っていると思います。
この辺がインド料理以外の経験を持つ日本人シェフの良さだと実感します。

ポークスペアリブ ゴアのヴィンダルー仕立て。
ゴアというのは、長らくポルトガルの支配下にあって独特の発展を遂げたインドの西海岸中程にある小さなエリアです。
ヴィンダルーも興味があったので調べてみると、やはりポルトガルの料理法。
ワインビネガーやニンニク、唐辛子などに漬け込み、焼いたものだそうです。
手づかみで食べると、肉がとても柔らかくて簡単に歯でこそげとれます。
ビネガーの風味はあまり感じません。ひょっとすると別の素材を使っているのかもしれません。
これまた肉のジューシーさが際立つ一品。まったく素晴らしいです。これが一本360円でいいのか?と思ってしまうほど。

最後にカレーを注文します。
今週のフィッシュカレー(1,000円)と今週のお肉のカレー(950円)。
カレーは、シェフが以前訪問したバングラディッシュの傾向が強く出ているような印象です。
バングラディッシュはインドの東に位置し、海に面しながら河川が多く集まるため魚料理がメジャーです。
他にもフィッシュヘッドカレーなんてのもありましたが、この日は無難に今週のカレーにしました。
一方お肉のカレーはチキンだそうです。

ちなみにフィッシュカレーは、このお店の看板商品であるバングラディッシュダル(豆)カレーにいわしを加えたもの。
カレー自体は全く辛くないので、タイのイエローカレーのようにターメリック(ウコン)のみで色づけしているものと思われます。
ここに細かく砕いた豆(おそらくひよこ豆)や一緒に煮込んだ細かい野菜がたっぷり入っていて、最後に揚げたいわしを入れるよう。
揚げていることによって、いわし自体にカレーが浸みこまずいわしそのものの味が生きています。揚げ具合も的確で、身がしっとりしてます。
いわしもダルカレーもいずれも素晴らしいのですが、私がフィッシュカレーをあまり食べた経験がないこともあって、カレーに魚というのが今ひとつしっくりこなかったようにも感じました。もう少しフィッシュカレーの経験が必要なようです。

一方チキンカレーは、肉のかたまり以外にも大きな挽肉?と呼ぶにはちょっと大き目の肉がたくさん入っています。
こういう素材を大きめに刻むことによって、食感を持たせるというのもこのお店の特徴かもしれません。
こちらは南インド系に近いさらっとした印象のカレーです。
チキンの旨みがよく出ていて美味しいと思います。
カレーなどもそうですが、どの料理にもホールスパイスがふんだんに入っていて、ペッパーなどのスパイスをガリガリと噛みながら食べるというくらいのイメージです。これがなかなか鮮烈でいいと思います。

帰り際にシェフとお話をさせていただいたのですが、「スパイスが主役で素材が二番手になってしまうのではなく、素材が主役でスパイスはその引き立て役」という言葉がありました。これを聞いた瞬間に、この日食べたものが全て頭の中でつながった気がしました。
この言葉にこそシェフの考えが集約されているように思います。
多くのインド料理店はスパイスがメインの存在になっていて、素材が変わってもせいぜい具が変わったくらいの印象しかありませんでしたが、こちらは確かに素材が主役になっていますし、その考えは全ての料理に一貫して見られました。
ある意味、とても日本人らしい考え方だと思います。

寡黙で職人肌の畑中シェフですが、ホテルなどで経験した後に日本人などほとんどいないであろうダバインディアの厨房で3年間頑張ってきたというその気概は見上げたものだと思います。
フレンチやイタリアンの経験がありながら、質の高いインド料理を経験し、かつ日本人の好みをよく分かっている料理人がこの日本に何人いるかと考えれば、こういった料理がいかに唯一無二のものであるかがよく分かります。
今後も是非利用したいお店です。ごちそうさまでした。

2013/04/19 更新

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